第14期プロクイーン決定戦二日目観戦記 紺野 真太郎
2016年11月04日
4回戦終了時トータルポイント
童瞳+55.0P 宮内+46.0P 西嶋+22.6P 和久津+19.8P 茅森▲143.4P
茅森まさかの大不調で終了した1日目。5回戦目の抜け番はその茅森。4者にとってはここで抜け出すことが戴冠への近道となるか。
5回戦 起家より 宮内 和久津 童瞳 西嶋
東1局、北家西嶋の配牌がいい。
ドラ
速いわけではないが迷わなくていい。ここに絶好のツモで一気にホンイツへ。5巡目には積極的にを1鳴き。
そのを鳴かした和久津も1シャンテン。
ドラ
高目に決まれば文句なしだが、決まらずも戦う構えか。
先にテンパイを入れたのは和久津。–でリーチを打つ。
リーチ ドラ
三色とはならなかったが、–は悪い待ちではない。
和久津の一発目のツモはドラ表示牌の。勿論ツモ切りだが、西嶋がポンしてドラを勝負してきた。
西嶋の待ちはカン。和久津の待ちの方が強いように思えたが、結果は西嶋のツモ。
和久津の選択は結果には繋がらなかった。また、三色に拘った場合には西嶋のツモアガったでテンパイとすることも出来たかもしれないが、ルールや状況を考えればナンセンスか・・
東2局、軽い配牌を手にした親の和久津。ここは仕掛けて2,000。連荘に成功する。
ポン ロン ドラ
この後和久津は3局連続リーチで畳みかけるが、アガリには至らず波に乗ることは出来ない。
和久津の親が流れた東3局、今度は宮内が先制リーチ。
リーチ ドラ
文句なしの勝負手。この時、親童瞳も三色の1シャンテン。和久津が放った現物のを仕掛け追いつく。
チー ドラ
待ちは厳しいが、一発も消せるとなれば必然のチーか。そして、このチーで宮内がツモるはずであったを食い下げた。
それでも枚数的にはまだ宮内有利。童瞳も、と無スジを勝負し抵抗するが、宮内が安目ながらもをツモ。裏ドラも乗り3,000・6,000。ここまでの防戦一方だった劣勢を跳ね返した。
東4局和久津リーチ。流局、1人テンパイ。南1局1本場和久津リーチ。西嶋から2,600。自分が出した供託を回収。決して牌勢に恵まれているとは言えない和久津だが、じりじりと回復させ、いつの間にか2着目に浮上していた。
南2局の親番、ここも仕掛けて出た和久津。1,500だが、宮内から直撃し1,000点差にまで肉薄する。
安く見える上、は通りそうな捨て牌。和久津にしてみればは余りそう、または山にいると考えられる牌。宮内が注文に嵌った形か。
続く1本場、ここで連荘するようであれば和久津は噴くであろう・・そう感じさせるポイントの局。和久津は真っ直ぐ進め1シャンテン。
ドラ
対する西家の西嶋、4巡目リーチ。
西嶋の打ち筋から考えると少し違和感が。悪い意味ではないが、345の三色を見てのテンパイ取らずや、もう一役を求めてのヤミテンとこれまではしてきたような気がしたからである。それだけこの親番を続けさせてはいけないと感じてのことだろうか。そして、この判断が現実に和久津を止めることとなる。
和久津、5巡目ツモ、打。リーチなど無い様である。そして次巡のツモ切りで決着。1,300の点数以上に和久津にとって痛い親落ちとなった。
南3局は和久津を止めた西嶋が1,300・2,600。オーラスを前にトップ目に返り咲く。
ポン ポン ツモ ドラ
しかし、この半荘を制したのは宮内であった。5巡目に一気通貫確定のリーチ。リーチ棒が出たことにより、1,000・2,000でトップになる為リーチを打った和久津との戦いを制して5,200。トータルトップに立つと共に2周目の抜け番選択順1番手を得た。
5回戦終了
宮内+23.8P 西嶋+11.5P 和久津▲11.2P 童瞳▲24.1P
トータルポイント
宮内+69.8P 西嶋+34.1P 童瞳+30.9P 和久津+8.6P 茅森▲143.4P
トータルトップに立った宮内が選んだ抜け番は9回戦目。3日目の初戦だ。最終日のライバル達の動向を見つつ、残り3戦に臨める理想的な抜け番。以下、西嶋は8回戦、童瞳は6回戦、和久津は7回戦を選択。敗退者が決まる10回戦を茅森が押し付けられた格好となった。
6回戦 起家より 茅森 和久津 西嶋 宮内
序盤は穏やかな点数移動で迎えた東3局、和久津ノーミスで七対子テンパイ。1枚切れので即リーチ。
リーチ ドラ
この時1シャンテンであった親の西嶋。リーチ一発目のツモが無情にも・・
親でもあり好形である程度打点も見える。ツモ切って放銃したとしても何もおかしくは無い。しかし、ここはスジの打とし一旦回避。次巡のツモで打の続け切りで完全にオリてしまった。これは西嶋のファインプレイ。流局に持ち込んだ。
一方、躱された和久津。止められたとの感触は得ているだろうが、どこ吹く風で、次局キッチリと1,000・2,000でリーチ棒を回収した。
ポン ツモ ドラ
ここまでほとんどの局でリーチか仕掛けで参加している和久津。南1局、ここも参加料とばかりにリーチ棒を卓上に出した。
リーチ ドラ
これだけ攻撃参加されては周りには和久津が好形か愚形か、高いのか安いのかの判断が難しくなる。結果、引き気味に打たざるを得なくなる。
リーチを受けての宮内。既に七対子でテンパイ。
和久津の河にはがあり、躱したいところであったが、通って無いを掴むと、に受けかえた。そうすると、今度は14巡目に生牌のだ。ギブアップでもおかしくない場面であったが、ここはを打った。そうすると呼応するかの様に次巡のツモは。またもや和久津のリーチは不発に終わった。
2日目に入っても調子が上向いてこない茅森。宮内のリーチを受けての追いかけリーチが渾身の手。
ドラ
山にはまだがいる。しかし、茅森のツモが回ってくる前に西嶋のアガリで局が終わってしまう。
なかなか上昇のきっかけを掴めない・・
南3局親の西嶋テンパイ1番乗り。
ツモ ドラ
リーチでも不思議はないが、ここは落ち着いて打のテンパイ取らず。次巡ツモ。見ようによってはアガリ逃し。だが、西嶋にとってはこれが最初のテンパイ形と同様。ためらわずリーチ。ツモであったが、裏ドラが1枚乗り2,600オール。
これで40,000点を超えトップ目前と思われたが、1本場、和久津が4巡目リーチで3,000・6,000。
リーチ ツモ ドラ 裏
更にオーラス親の宮内が3巡目リーチからの6,000オール。
リーチ ツモ ドラ 裏
西嶋は3着まで転落。女流トップの強さを見せつけられる結果となった。
6回戦終了
和久津+26.6P 宮内+13.2P 西嶋▲8.0P 茅森▲31.8P
トータルポイント
宮内+83.0P 和久津+35.2P 童瞳+30.9P 西嶋+26.1P 茅森▲175.2P
7回戦 起家から 西嶋 茅森 童瞳 宮内
初日に比べれば断然、落ち着き、らしく打てている西嶋。ここも気負うことなくリーチ。
リーチ ドラ
役無しカンのテンパイを入れていた童瞳。西嶋の現物のをチーし打。メンツをスライドさせ役有りに移行。
チー
カンから–に変化し捌きに行っていたがが捕まり5,800の放銃。どうにも気合が空回り・・深い踏み込みはリスクが伴うのは覚悟の上であろうが、一歩引く柔らかさを覚えれば更に成長するであろう。
少し飛んで東4局、この7回戦ここまでは苦戦の宮内。親番を迎えてもこの苦しい配牌。
ドラ
あと1牌あれば九種九牌で流せたが、これではそうはいかない。それがどこでどうなったのかこうなるので麻雀は面白いし、恐ろしい。
攻守のメリハリが効いている宮内。こういう手が入るのも我慢があってのことだろうか。
南1局10巡目、茅森リーチ。
リーチ ドラ
茅森が相手なら勝負になると踏んだか童瞳が追いかけた。
2件リーチに挟まれた親の西嶋。安全に進めるならばのトイツ落としか・・
だが、ここを勝負所と見たか、西嶋はカンで3本目のリーチ棒を卓に置いた。決着はあっけなく着いた。童瞳のツモはであった。リーチ一発ドラ1で7,700。更には南3局にこの4,000・8,000。宮内を逆転し、反対に大きく突き放す。
それでも簡単にトップを取らせてくれないのが現女流桜花の宮内。テンパイ連荘の後の1本場、この3,900で差を詰める。
リーチ ロン ドラ 裏
南4局2本場2巡目、西嶋が以下の形から動く。
ドラ
オーラストップ目であることを考えれば普通なのかもしれないが、どうもそうは思えない。どこか焦りを感じてしまう。この手では周りからの反撃を受けた時に回ることが難しいからである。結果、下家の茅森に好牌が流れ込みリーチを受けることになる。
リーチ
茅森からしても、この手をアガることが出来ればラス抜けが叶う。それよりも喉から手が出る程欲しいであろう浮上のきっかけになりえる。
西嶋はカンテンパイ。茅森の捨て牌にがある程度で、アガリには少し厳しい形。詰め寄られたとはいえ、宮内とはまだ7,200点リードしている。本当に苦しいのは宮内の方の筈だ。そこを冷静に考えられれば回避することが出来たかもしれない。しかし、西嶋は引いてきたを河に放ってしまった。
麻雀とは良く出来たゲームであると聞くが、このような場面を見ると本当にそう思う。焦りから生まれた、ほんの少しの逃げの気持ち。楽になりたいが故の無謀。結果は正直である。
西嶋にとっての救いは次の8回戦は抜け番で今日はもう打たないことか。最終日に向けて切り替える時間を得ることは大きいであろう。
7回戦終了
宮内+26.1P 西嶋+40.8P 茅森▲13.2P 童瞳▲27.6P
トータルポイント
宮内+109.1P 西嶋+40.8P 和久津+35.2P 童瞳+3.3P 茅森▲188.4P
8回戦 起家から 茅森 宮内 和久津 童瞳
7回戦オーラスで満貫をアガリ3着となった茅森。トータルポイントからも苦しい立場に変わりはないが、それでも潰され続けたリーチが成就したのはホッとしたであろうか。
10回戦が抜け番となる為、あと半荘2回で最低1名は捕まえないといけない茅森。この8回戦は東1局からエンジン全開となった。
9巡目にリーチ。その手牌は
リーチ ドラ
ダブドラ3のツモリ四暗刻。出アガリでも24,000からの大物手だ。対抗したのは童瞳。12巡目にこちらもツモリ四暗刻テンパイ。
ツモ
しかし、こちらは直前にが立て続けに切られ、も2枚切られていることから空テン。をツモ切りし、当然のテンパイ取らず。だが、この空テン、テンパイ取らずが功を奏す。このに茅森の当り牌がくっつきテンパイ復活。そして、仕掛けて捌きに出ていた和久津からで3,200のアガリ。茅森の手が開かれることは無かった。もしか1が1枚でも残っていたらポイント差を考え四暗刻に向かっていたであろう。そうするとを勝負する形となり茅森のアガリとなっていた可能性が強い。24,000の直撃と順位点で80ポイント弱を一気に詰められていたとこであった。
親の大物手を潰された茅森。東2局配牌。
ドラ
ダブリーチャンス。ここまでの7戦が嘘の様に手が入りだした。第1ツモは。打で三色へ。
7巡目、和久津リーチ。七対子単騎。
同巡茅森追いつく。狙い通りの三色リーチ。
リーチ
ここまで何度も競り負けてきた茅森であったが、ここは和久津に競り勝った。裏ドラも1枚乗り8,000。風向きが完全に変わった。
東3局。今度は宮内がリーチ。
リーチ ドラ
茅森は1シャンテン。
宮内、この3面張が出ないし、ツモれない。そうしているうちに茅森、ドラのを重ねて追いかけリーチ。もうこの時には嫌な予感しかしなかったであろう宮内。一発でを掴み8,000の放銃となった。
東4局1本場、またもや茅森のリーチ。そして、またもやの勝負手。
ドラ
宮内にも小三元が入っていたが、ツモ切ったのは茅森。高目で3,000・6,000。
何が起こったのだろうか。今まで全く勝てる気がしなかった茅森が、今は誰にも負ける気がしない。
南3局茅森またも三色リーチ。
リーチ ドラ
ただ、この時は宮内にも大物手が入っていた。
終了後、この時の選択を宮内は悔やんでいた。確かにポイント差や結果から考えればオリる方が得かもしれない。
人によっては行く必要がないと言うかもしれない。だが、ベスト8、決定戦と戦ってきた中でこの様な手をしっかり打ち切れるからこそトータルトップに立っているように思えた。
8回戦終了
茅森+46.7P 和久津▲2.9P 童瞳▲16.4P 宮内▲27.4P
トータルポイント
宮内+81.7P 西嶋+40.8P 和久津+32.3P 童瞳▲13.1P 茅森▲141.7P
10回戦が抜け番となる茅森は次の9回戦で+100Pくらいは最低でも欲しいところ。奇跡に近いと言うより奇跡そのものだが、過去に例がない訳ではない。
前年覇者童瞳は強気の攻めが少し裏目に出ている感じ。
決して好調とは言えない和久津だが、それでもこの位置につけているのはさすがとしか言えず、西嶋の戦いぶりは健闘の域を越えており、半荘を重ねるごとに成長している様。
初の女流2冠を目指す宮内は現女流桜花として恥ずかしくない堂々の麻雀を見せている。
泣いても笑っても残すは半荘4回。プロクイーンの座に就くのは誰であろうか。
カテゴリ:プロクイーン決定戦 決勝観戦記