プロクイーン決定戦 レポート

プロクイーン決定戦 レポート/第11期プロクイーン決定戦 ベスト16レポート

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2013年8月31日
一時期の涼しさが鳴りを潜め、猛暑が戻る事2日。
新橋にてプロクイーンのベスト16が行われました。
プロクイーンの参加資格は最高位戦日本プロ麻雀協会、日本プロ麻雀協会、そして日本プロ麻雀連盟の3団体の女流プロである事。
予選を勝ち上がった12名に、前年度決勝進出者である、清水、和久津、室伏、豊後の4名を加えた16名で翌日に行われるベスト8への切符を賭けた戦いが行われます。
ルールは一発裏ドラのある連盟Bルール。
30,000点持ち30,000点返しの順位点が5,000点、15,000点。
いわゆるオカがなく、順位点も1着順10,000点差なので、着順に加え素点が大事なルールでしょうか。
A卓:清水香織、茅森早香(最高位戦)、白河雪菜、手塚紗掬

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3人のベテラン選手に若手人気ナンバー1の白河が挑むといった形のカードとなりました。
ご存知、セメントクイーンこと清水の超攻撃的麻雀に釣られて高打点の応酬になるかと思われましたが、序盤は意外にも小場な展開に。
それでも1回戦南3局微差のトップ目だった清水が、ラス目の茅森のリーチに一発で飛び込み、12,000を献上した辺りから卓上に熱が帯びてきます。
この放銃で1回戦目トップからラスとなってしまった清水ですが、
そこは天下のセメントクイーン、1回戦のラスはハンデかと言うかの如く2回戦以降はその攻撃力を見せ付けます。
圧巻は3回戦。
東3局、親の茅森の、
三万四万六万七万八万三筒三筒四筒五筒六筒三索四索五索  ドラ四筒
このリーチに一発で放銃してしまうのですが、
次局、清水が6巡目に以下の捨て牌でリーチ。
二万 上向き六索 上向き三筒 上向き三筒 上向き七筒 上向き北  ドラ六万
4巡目の三筒はツモ切りなので、まぁ七対子濃厚な捨て牌でしょう。
数巡してドラをツモり、案の定七対子。
六万一筒一筒五筒五筒八筒八筒五索五索東東白白  ツモ六万  ドラ六万
裏ドラも乗って4,000・8,000。
前局の放銃に利子を付けて返してもらったかと思えば、東4局は567のタンピン三色をリーチしてツモり3,000・6,000。あっという間にトップ目に踊りだします。
とまぁ、ここまではそこらの攻撃派ならよくあること。
超攻撃的はここからもう一伸びあるから超攻撃的なんでしょうね。
南2局、親の白河が高目ドラのタンヤオを先制リーチ。
それに追いついた清水の手牌がこちら。
三万四万五万六索六索白白白発発発中中  ドラ六筒
尚、このテンパイは門前です。結果は言わずともおわかりですね?
ベスト16は展開があまり向いていなかった白河ですが、32,000の放銃はちょっと可哀想。
そんな白河は4回戦の開局親番で4,000オールをツモり、45,000点まで持ち点を増やすも、東2局に手塚が親番でピンフイーペーコードラ2をリーチ。
軽くツモって6,000オールでは、やはり本日はお日柄ではなかったようで。
これを糧にまた来年頑張ってもらいたいところです。
ちなみにそんな4回戦もトップはやっぱり清水。
もうこの人に逆らうのは止めましょう。そんな声が卓上から聞こえてきそうです。
となると問題は2着争い。
こちらも4回戦を終わって、ほぼ、手塚で決まりの状態。
1回戦、2回戦と連勝した貯金が清水台風に晒されるも、なんとか持ちこたえて3着の茅森に80P差を付けています。
茅森も内容は悪くはなく、清水から満貫クラスの直撃を何度も成就させているのですが、攻撃が単発で終わってしまっては、それ以上の攻撃を見せ付ける相手には埋もれてしまうのが現実。
それでも、最終戦の南場に、
一索三索四索五索六索発発  ポン白白白  ポン中中中  ドラ三索
執念でこのテンパイを入れるも、以後手変わりはせずゲームセット。
A卓は、清水、手塚の勝ちあがりとなりました。
最終成績
清水香織+91.6P 手塚紗掬+50.8P 茅森早香▲20.1P 白河雪菜▲124.3P
 
B卓:和久津晶、野村麻衣子、大里奈美、内山えみ

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アマゾネスこと和久津晶が実力、実績共に断トツなのは文句の付けようのないところ。
野村、大里、内山の3名がどこまで喰らい付くことができるかというのが大方の予想でしょう。
1回戦は、東場の親で一気に点棒を稼いぎトップ目に立った和久津を見て、ああ、やっぱりそうですよねと思っていたのも束の間、南3局に事態は急展開。
親番は大里で、500オール(700オール)をツモった3本場、野村が高目イーペーコーの一筒四筒待ちで先制リーチ。
これに追いついた大里ですが、
一万二万三万八万八万四筒五筒五筒五筒二索三索四索六索七索  ドラ二索
現在23,000持ちの3着目。リーチの現物はメンツの中抜きになってしまいます。
そんなリーチの一発目にさて何を切る。って、大多数の人は四筒を切って追いかけリーチでしょう。
しかしそれでは最低5,200以上の放銃です。
ここで大里はメンツの中抜きを選択。
この選択は正直なところ賛否両論あると思います。
四筒がそれこそ手牌が透けて当たり牌だってわからない以上、リーチを打つべきと思う人。
この状況でもまだ我慢できるんだと思う人。
恐らくマジョリティは追いかけリーチでしょう。しかし、大里は当たり牌を止めてテンパイを崩した。
結果として当たり牌を打たなかったという選択は素晴らしいと思います。
しかも、その後、粘って粘って形テンまで持ち込んで連荘。
相手のアガリを潰して、しかも連荘のおまけ付きとなれば、次は自分の番になってもおかしくはありません。
次局、和久津のリーチを掻い潜って、野村から12,000をアガってからは独壇場。
気がつけば78,700点のビックイニングとなりました。
そんな煽りを喰らいつつも、なんとか2着に踏みとどまった和久津ですが、今日はあまり調子がよくありません。
印象としては焦りすぎているとった感じでしょうか。
特に印象的だったのは2回戦目のオーラス。
野村が以下の捨て牌で先行リーチ。
二筒 上向き三筒 上向き三万一索 上向き一筒 上向き西
二万 上向き九筒 上向き白東七万 上向き九索 左向き  ドラ六筒
これを受けて和久津。
二万二万二万六万六万七万七筒八筒二索二索四索五索六索発
現在の持ち点は、
大里38,800 野村31,900 内山31,800 和久津17,500
野村のリーチは捨て牌から手役絡みの可能性が高く、手役が絡んでいる以上、トップを見たリーチであると仮定するなら最低でも3翻。そうでなければ、リーチ棒を出して3着に落ちる必要がありません。
そして和久津は満貫をツモってもラス目のまま。
この手牌はドラの六筒でアガれても、5,200か満願ツモまで。
となると、テンパイが入っていないところからわざわざ危険牌を打つのは微妙です。
しかし和久津の選んだ打牌は発
野村の手牌は、
六筒六筒四索四索七索七索八索八索東東北北発  ロン発
裏は乗らず満貫となりました。
まだ2回戦とはいえ、一度悪い流れを作ってしまっては、それを抜け出すのは容易ではありません。
3回戦目も、南3局の時点で10,000強のラス目に。
ここで連続ラスを引いてしまうと、残り2回で80P以上のビハインドになってしまいますが、自力では断トツの和久津。
七万八万九万一筒一筒三筒四筒五筒三索四索五索六索七索  リーチ  ツモ八索  ドラ四索  ウラ一筒
ツモまでに時間はかかりましたが、この3,000・6,000とオーラスも自力でアガって何とか3着に浮上。
残り2回で55P差までに食い止めると、4回戦では待望の初トップ。
トータルポイントも3着に浮上し、2着目の野村と23.8P差で最終5回戦を迎えます。
しかし、5回戦は野村が序盤に加点を加え、東場を終わった時点で持ち点が50,000超え。
対する和久津は20,000持ちに。
南1局の和久津、最後の親番でもテンパイを入れる事ができず、親番無しで30,000点以上の差と絶望的な状況に。
しかし、ここからがアマゾネスの真骨頂。
南2局にホンイツの満貫仕掛けで積極的に動き、鳴いた役牌を加カンすると新ドラは雀頭の一万
さらにリンシャンでツモりアガって4,000・8,000。
辛うじて可能性を残す事に成功します。
そして運命のオーラス。
和久津の条件は、オーラス開始時では跳満ツモ、野村からの満貫直撃。
しかし、内山がトータルラス目の親なので連荘する限りチャンスは残ります。
流局、2,000オールと続き、3本場では内山のリーチに何とか和久津がテンパイまでこぎつけ、野村との点差をさらに縮めます。
4本場での条件は3,900直撃、1,600・3,200ツモ、更には大里から跳満直撃でもOKと条件が軽くなりましたが、
この局も内山の1人テンパイで流局。しかし、供託のリーチ棒で更に条件が変わります。
5本場では1,300・2,600ツモ、8,000出アガリ、3,900直撃となりました。
ここで和久津が以下の形
七万八万九万一索二索三索三索四索六索六索六索七索八索中  ドラ西
現状ピンフなので、リーチしてツモって裏条件。
流石にテンパイを取りますがリーチはかけられません。
しかし親である上家の内山の二索に反応しチンイツに路線変更。
八万九万二索三索四索六索六索六索七索八索  チー二索一索三索
一通、またはイーペーコーでも条件を満たすので難しいところではありますが、連荘しなくてはいけない内山からならソーズは鳴けると踏んだのでしょう。
事実、次巡には九索も鳴け、さらに自力で五索をツモってついにテンパイ。
二索三索四索五索六索六索六索  チー九索七索八索 チー二索一索三索
こうなれば、後は時間の問題。
程なく七索で出アガリとなり、劣勢を跳ね除けベスト8に勝ち上がりました。
最終成績
大里奈美+43.8P  和久津晶+21.2P  野村麻衣子+20.4P  内山えみ▲85.4P
 
C卓:室伏理麻、二階堂瑠美、宮内こずえ、仲田加南

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4名ともプロ歴の長いプレイヤーの卓となりました。
二階堂、宮内は言わずも知れたトッププロ、仲田も女流桜花優勝経験のある実力派プロですし、室伏は前年度決勝進出にチャンピオンズリーグのタイトルも持っています。
レベルの高い闘牌が見られるかなぁと思っていると、1回戦どの卓よりも早く親の宮内のポンの声が会場を響かせます。
まぁ1枚目だし親番特有の早い仕掛けかなと遠くから見ていると、終盤にツモの声。
四筒五筒六筒東東東発発発中  ポン白白白  ツモ中  ドラ七筒
・・・倍満?
更に東ラスに親番の二階堂が連荘を続けてこの配牌。
六万三筒八筒九筒一索九索南西北北北白発中  ドラ中
9種11牌ですが、手役を好む二階堂は一気に国士に向かうかと思えば、第1打は発
これはちょっと珍しいので、後で本人に聞くと、
「開局からあんな倍満見せられたら悠長に手役狙ってられないよね」
なるほど。ごもっともです。普段ならほぼ100%六万切りでしょうしね。
しかし、この考えが見事にハマり、あれよあれよという間に以下のテンパイに
六万六万一筒二筒三筒八筒八筒八筒九索九索北北北
六万から切っていたら間違いなくこのテンパイは取れなかったでしょう。
リーチを打つと、一発目のツモはなんと九索。おまけにウラドラも九索
六万六万一筒二筒三筒八筒八筒八筒九索九索北北北  リーチ  ツモ九索  ドラ中  ウラ九索
・・・倍満?
何時の間にやら、花火大会の会場にでも紛れ混んでしまったかの様な高打点の応酬です。
この後、連荘の煽りを受けて原点まで点棒を戻してしまった宮内も、南場の親番で12,000を室伏からゲットして2着キープ
仲田はなんとか最小失点の3着にまとめるも、室伏は2人の煽りを受けて大きなラスを引いてしまう苦しい展開に。
しかし、この卓の主役は二階堂でも宮内でもなく・・・仲田でした。
派手さはありませんでしたが、要所要所を本当に上手くまとめ、2回戦以降は無傷の3連勝。
5回戦目を前に勝ち上がりをほぼ決めてしまいます。
逆に室伏は、最後まで不調から抜け出すことが出来ずに脱落。
2着の椅子を賭けて最終戦、二階堂と宮内の一騎打ちとなります。
この時点でのポイントは、
仲田+78.8P 二階堂+26.6P 宮内+5.7P 室伏▲111.1P
1着順10,000点(10P)なので、宮内からしてみると、二階堂に2着順ならほぼOK、1着順なら10,000点差が必要となります。
が、無常にも開局、二階堂の4,000オール、5,800が炸裂し大きなビハインドを受けてしまいます。
これを乗り越える力は残っておらず、残念ながらここで敗退。
C卓は、二階堂、仲田の勝ちあがりとなりました。
最終成績
二階堂瑠美+73.5P 仲田加南+68.3P 宮内こずえ▲38.1P 室伏理麻▲103.7P
 
D卓:豊後葵(協会)、和泉由希子、魚谷侑未、涼崎いづみ(最高位戦)

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女流桜花連覇に女流モンド、天空麻雀と、この1年で最も活躍した女流プロと言えばこの魚谷でしょう。
現時点で最強の女流プロと言っても過言ではありません。
それに立ち向かうは、『ICE DOLL』和泉由希子、プロクイーン優勝経験を持つ涼崎いずみ、前年度決勝の豊後葵の3名。
しかし魚谷はピリっとしません。1回戦は放銃が目立ちラス。
まずは主導権を握りたかったのでしょうが、オリなかった局がことごとく放銃に回ってしまいます。
同卓の豊後も仕掛けの入りは魚谷似ているのですが、こちらは仕掛けた後に他家に押し返された場合、かなりの確率で受けに回って放銃を回避しているといった場面が多くありました。
特に印象的だったのが、親番で役牌を仕掛けてこんな形。
三万三万四万四万七万八万九万  ポン南南南  ポン中中中
出アガリ5,800、ツモって2,600オールのテンパイです。
これに和泉が追いつきリーチ。豊後が一発で掴んだのが五索
当然五索は通っていない牌なのですが、自身もそこそこの打点を持ったテンパイならば、五索勝負といく人が多そうですが、豊後は即メンツの中抜きでオリ。
結果、五索は和泉の当たり牌だったのですが、とにかく豊後は仕掛けた後の他家の動向に敏感で、この日はそれが上手くマッチしていたように見えました。
調子が良い日はやる事なす事が上手くいくものですが、この日の豊後は正にそんな感じでしょう。
非常に良いリズムで対局に迎えていたのではないかと思います。
さて、そんなD卓ですが、苦しみながらも魚谷は2回戦のオーラスに、
発ポン、白ポン、一万ポンとして以下のテンパイ。
四万四万六万七万  ポン一万一万一万  ポン白白白  ポン発発発  ドラ五万
現在34,300持ちの2着目(トップは涼崎の40,100)なので、これをアガればトップに立ちます。
これに追いついたのが親の豊後、
二万二万二万六筒六筒七筒七筒八筒八筒二索二索六索八索
この形でリーチ。
そして魚谷がリーチの一発目にツモった牌は四万
四万四万六万七万  ツモ四万  ポン一万一万一万  ポン白白白  ポン発発発
さあどうする、と、考える間もなく打七万。そして次巡にツモ六万
跳満となり1回戦のマイナスを帳消しにするトップとなりました。
この選択自体は別段光るものでもなく、当たり前の打牌であると思うのですが、親のリーチの一発目でこの七万をノータイムで切れるのは魚谷の長所でしょう。
女流プロに限らず、こういった状況で一旦考えてしまう人を多く見ますが、手牌4枚で入れる長考はデメリットの部分を多く露出してしまいます。
そもそもこの状況で考えるくらいなら、手牌を4枚にする事自体がナンセンスではないかと思います。
さて、対局の方は進んで4回戦オーラス。
ここまでのポイントは、
豊後+44.4P 涼崎+7.2P 魚谷+0.1P 和泉▲51.7P
そしてオーラスを迎えた持ち点は
豊後29,800、涼崎15,800 魚谷35,300 和泉39,100
このまま終われば豊後が有利な状況で、残り3人の争いといった感じでしょうか。
そんな魚谷は、第1ツモをツモって9種10牌。
親は和泉であること、できればトップを取りたいがこのままの並びでもトータル2着に浮上すること。
色々考えた結果、魚谷は流さず続行。
これが功を奏し、6巡目で1シャンテン。
そして8巡目に待望のテンパイが。さらに白は場に0枚。
豊後も八索をポンして応戦します。
決着は10巡目。涼崎が白を河に置くと豊後からポン、魚谷からロンの声が。
これで2着、3着のポイント差がおよそ80P。
残り1回戦では挽回する事はできず豊後、魚谷の勝ち上がりとなりました。
ちなみにこの局、実は豊後も放銃の危険がありました。
八索を仕掛けた残りの形は、白がトイツにドラの三索もトイツ、残りが全てタンヤオ牌だったので、先に誰かがドラの三索を切った日にはポンして白のトイツ落としで放銃・・・なんて事がありえたかもしれません。
D卓最終成績
豊後葵+49.3P 魚谷侑未+46.7P 和泉由希子▲10.1P 涼崎いずみ▲86.9P
 
 
これによりベスト8の卓組みが決まりました。
A卓:清水香織 vs 和久津晶 vs 二階堂瑠美 vs 魚谷侑未
B卓:手塚紗掬 vs 大里奈美 vs 仲田加南 vs 豊後葵
A卓は攻撃的な4人となったので激戦必死。B卓は好調を続ける新人の大里がどこまで戦えるか。
引き続きベスト8のレポートも担当させていただきますのでお楽しみに!