プロクイーン決定戦 レポート/第13期プロクイーンベスト8A卓レポート 編集部
2015年10月22日
昨年、絶対的攻撃力で二度目の戴冠を果たした和久津晶。
現プロクイーンに挑戦出来るのは4名のみ。
すでに第13期プロクイーンはその4人を決めるベスト8が出揃った。
(ベスト16のレポートはこちら)
新たな挑戦者4名とともに、昨年決定戦で涙を飲んだ4者全てがこのベスト8まで駒を進めた。
昨年の決勝メンバーはベスト8A卓に1名。B卓に3名。
リベンジか、ニューヒロインか、今年もプロクイーン決定戦進出者が決まる。
ベスト8 A卓 9月30日(水)16時 夏目坂スタジオにて対局開始。
1回戦 起家から(宮内・古川・大里・童瞳)
A卓には、日本プロ麻雀連盟から4名と偏った。
これはベスト16各卓での通過順位による振り分けである。
このベスト8より配信が開始される。
宮内ただ1名を除く3者は、プロ年数、実績は違えど、生配信は初体験に近い。
開局、今年のニューヒロインの1人、古川からリーチ。
リーチ ドラ
古川彩乃。
31期生Eリーグ所属。
新人1年目でこのステージまで駆け上がってきた。
ここまで勝ち上がってきたということは、当たり前のことだが勝ってきて、破ってきたということ。
例えば、このように元気よくリーチを打ち結果を出してここに座っている。
しかしここはベスト8。目の前にいる相手も勝ち続けている。
今までのようにはうまく事は運ばないかもしれない。
結果は1人テンパイの流局。
起家の宮内は一気通貫の1シャンテンでオリを選択している。
宮内らしくないように思われようが、愚形2つ残りの1シャンテンで、実際にオリた牌は当たり牌であった。
東2局 11巡目、童瞳。
リーチ ドラ
東1局に続いて役牌が暗刻の両面リーチ。
このプロクイーンのルールは日本プロ麻雀連盟Bルール。つまり一発、裏ドラ、カンドラありの一般的なもの。
普段、彼女たちが戦うリーグ戦などでは、Aルール(一発、裏ドラ、カンドラなし)のため、ドラを持っていない以上、ヤミテンにする打ち手などもいる。
ただBルールに於いて、この2つのリーチは当たり前といえる。
先行で、良形、そして何より相手の出方も窺える。
5回戦勝負のベスト8、相手の用意してきた作戦や打ち筋、性格は早めに知るに越したことはない。
ここで大里が粘る。
ツモ
当然の様な顔で打として
全て受け切ってのテンパイ。
宮内も粘り古川の1人ノーテン。
東1局とは真逆の結果となる。
東3局 、今局、初アガリがうまれる。
古川
ドラ
ここからをチー。さらにすぐにをポン。
ポン チー
少し無理のある仕掛けだったが最終形は以下。
チー ポン チー
しかし童瞳がその古川からピンフで1,000の出アガリ。
そして親番を迎える。
ポン ロン ドラ
7,700の大きなアガリは宮内から。
のトイツ落しが入っており、さらには1枚目をポン。
打点がありそうな河にはなっていたが、大里が仕掛け返しており、大里をマークして大里の現物を選んだ。
試合後、宮内は語る。
ドラはないがピンフの1シャンテンではのワンチャンスではあった。
そして宮内の1回戦はこの放銃後、蚊帳の外から見ているだけとなってしまった。
宮内こずえ
昨年のファイナリスト。第3位。実績はこのA卓ではずば抜けている。
昨年プロクイーン奪取を宣言、しかし決定戦では和久津、茅森の前に沈黙。
今年はモンド女流リーグでも復活を遂げ、女流桜花Aリーグでは5節終了時、決定戦進出ラインにいる。
しかしA卓で勝たなければいけない重圧は並大抵ではない。
続く1本場、童瞳にまたもチャンス手。
3巡目で1枚切れ
ドラ
皆さんはどうされるだろうか?
佐々木寿人は自分ならで即リーチを打つと解説。
しかし童瞳はヤミテンを選択し、を引き込んでからリーチとした。
Aルールならで即リーチを打つ方が多いように思われる。Bルールなら例え一通が崩れても、ツモアガれる待ちを選び裏ドラがあれば2,000オール2,600オールから、となるのでそれもある。
童瞳はこの手を大事に打とうとしたのであろう。
結果は1,300オールのツモアガリ。
2本場、北家、大里から8巡目にリーチ
リーチ ドラ
そのとき童瞳
ツモ
ここは、に手を掛けたが次巡、暗刻かぶり。
その後、ベタオリさえしなければ何通りかアガリが存在しただけに、ビックイニングを逃した可能性と、それを阻止した大里のリーチであった。
南場、童瞳はやや受け気味に、大里は恐らくいつも通りの自分の麻雀を打ち続け1,300点童瞳を上回り逆転に成功する。
1回戦終了時
大里+24.6P 童瞳+13.3P 古川▲10.0P 宮内▲27.9P
(30,000点持ち30,000点返しの順位点は5,000-15,000)
2回戦 起家から(古川・童瞳・大里・宮内)
東1局、古川リーチ・ピンフ・ツモ1,300オール。
そして1本場、この局は残念な1局。
まず西家・大里。ドラのツモ。
明確な三色が見え、且つ上家・童瞳が明らかなソーズ。
は3枚見えとはいえ一番良さそうなターツを払う。
そして親番古川
ポン 打
これはミス。は3枚しか切られておらず1枚目のを仕掛けるならば連荘狙いの捌き手。
そしてそのを切ったのは童瞳なのだ。この切りは明確に速度を示している。
すぐに、古川のアガリ逃し。そして、南家・童瞳にテンパイが入る。
チー
そして大里にが入り、マンズが残っていれば、
このテンパイ。その後、場には打たれている。
しかし終局図は
ツモ 3,000・6,000。
大里にとっては嬉しいアガリになった。
東3局、東家・大里
リーチ ドラ
同巡、南家・宮内
リーチ
宮内の宣言牌は生牌のドラの!
さらに西家・古川
ツモ
このときは生牌。は2枚切れ。は2人のリーチに通ってはいない。
ここは古川は切りで真っ向勝負。
しかし大里が競り勝ち。
大里奈美
28期生。3年目。東北本部に所属しており、一昨年のプロクイーンでもベスト8まで進んでいる。
力のある新人若手女流プロの1人なのは間違いない。
実はこのベスト8、大里の独壇場となる。
大里奈美、注目だ。
さてこの2回戦。宮内は先のドラ切りで戦いの意志をはっきりと見せた。
しかしここまで初アガりはない。
宮内の初アガリは、2回戦の南2局。
ドラ ロン
仕掛けた大里の現物でロン。8,000は8,300の嬉しい初アガリ。
高い手のヤミテンもあることを印象付けた。が終わってみれば二の矢は放てず3着。
放銃者は大里。仕掛け倒れが気になるところだが次の局の親番。
古川の3面張リーチをツモらせることなく簡単に
ツモ
この3,200オール。連勝を確定させた。
そして連続2着は童瞳。
童瞳
26期生。5年目。C3リーグ。
プロクイーンはここまで縁がなくベスト8は初めての舞台。
若手勉強会なども積極的に参加し、稽古も積んで来たようだ。
満を持して臨んだ感がある。
2回戦成績
大里+37.0P 童瞳+4.7P 宮内▲10.2P 古川▲31.5P
2回戦終了時
大里+61.6P 童瞳+18.0P 宮内▲38.1P 古川▲41.5P
3回戦 起家から(童瞳・宮内・古川・大里)
東1局、2連勝の大里がまたもやリード。
リーチ 一発ツモ ドラ 裏
安めだが一発ツモ。でも裏は乗らない。
ただ調子がいいのは間違いないだろう。
東3局
古川
ドラ
ここはを切ってリーチ!古川はこの日一貫して即リーチをかけ続けた。
先制でも追いかけでも形がいかに悪かろうとも。
この戦い方でここまで勝ち進んで来たわけだしそれを否定することは本人しか出来ない。
何を信じて戦うか、その信念が伝わるリーチではある。
ここに飛び込んでしまったのは童瞳。
この放銃をみた佐々木寿人は
「これが僕の知っている童瞳のイメージで、攻撃力で押していくのでこれでいい。」
このように解説をした。
それにしても7,700の失点が童瞳に重くのしかかる。
大里のアガリが止まらない。
ツモ ドラ
ハイテイまでついて4,000・8,000。
東4局 東家・大里
南家・童瞳リーチ
ドラ
北家 同巡古川リーチ
そしてリーチ棒が置かれた直後にこのアガリ。
ツモ
6,000オール。持ち点は75,000点を越えた。
唯一これを防げるとすれば
古川がこの時ソーズに渡らずにいると宮内からが出ていた。
しかしならば恐らくリーチを打ちそうなので、結局、同じ結果になっていそうだ。
このツモの瞬間、4人から2人が勝ちあがるのではなく、大里以外の3名から1人が勝ちあがる戦いへと変わった。
このあと宮内は3,000・6,000のツモアガリの次局に8,000放銃とやはり調子は上がらない。
ここまで静観していた童瞳は大きなラスを引き、
勝負の行方はラスト2回戦に委ねられた。
3回戦成績
大里+55.7P 古川+0.4P 宮内▲12.2P 童瞳▲44.9P
3回戦終了時
大里+117.3P 童瞳▲26.9P 古川▲41.1P 宮内▲50.3P
童瞳から宮内までの差はたったの23.4ポイント。
4回戦 起家から(宮内・童瞳・大里・古川)
宮内、古川にとってはここが正念場。
最終戦に望みを繋ぐためには童瞳との並びが大切になる。
大里に4連勝されるのは構わないが、童瞳より下の順位になることは最終戦の条件を苦しめる。
例えば、童瞳からリーチが入る。放銃してしまえば最悪の結果になる。
逆に無防備になった相手を叩くチャンスでもある。
勝負のタイミングをいつにするのかがポイントだ。
負けている以上全て戦うのも、我慢するのも、それは各々の戦い方と勝負感である。
東1局 親・宮内
北家・古川絶好のリーチ
リーチ ドラ
その時の宮内の手牌
ツモ
宮内にとっていきなりの勝負どころ。
古川の捨て牌は以下
ルールはBルールである。一発裏ドラがある。
宮内は打とした。
を選択した場合は18,000。
リーチ 一発ロン ドラ 裏
結果はこの12,000
宮内の選択は冷静ではあったが、胸中残るものがあったはずだ。
ツモの次巡ツモで以下。
で一旦引いてそこにが繋がった。を打ち、一筋勝負にするかに思われたがをツモ切り、そしてツモで三色が崩れ、二筋目の勝負。
一発の放銃を回避した代わりに、二筋の勝負(さらに打点は崩れる可能性)を選んだ。
1本場は宮内の2,900。
2本場は童瞳の1,000・2,000。
東2局は古川が2,000。
東3局童瞳5,200のリーチ棒付きを古川からアガる。
東4局古川2,900。
東4局1本場の点数状況は以下。
宮内42,000 童瞳40,800 大里25,900 古川11,300
宮内VS童瞳の一騎打ちの展開だが古川も粘りたい。
しかし親番で、宮内リーチ。2,000・4,000
リーチ ツモ ドラ 裏
南2局1本場
宮内の親が流れ、童瞳の親を迎えた。
宮内はこの親を落とすことが出来ればトップが見えてくる。
しかしそうは簡単にいかない。
リーチ ツモ ドラ 裏
大きい4,100オール。ここでついに童瞳逆転。
5本場まで積まれたこの親番は大里のアガリで終演。
残り2局で宮内、童瞳、2人の点差は15,100点差。
モニター越しに映る宮内の目は全く諦めているようには見えない。
南3局、6巡目、北家・童瞳がリーチを打つ。
リーチ ドラ
童瞳は役アリのテンパイを組むことが出来たがリーチを選択。
さらに引き離そうということか。
しかし、宮内は3着までも2万点以上離れていて、さらには残り2局でトップに立つためにこのリーチを受ける理由が全くない。
つまりこの局がこの半荘一番の盛り上がりどころ。
無筋を3枚立て続けにぶつけリーチ。
リーチ 一発ツモ ドラ 裏
3,000・6,000。
なんということか、たった1局で大逆転してしまった。
南4局も、宮内は自力でトップを決めた。
4回戦成績
宮内+39.8P 童瞳+25.9P 大里▲22.5P 古川▲63.2P
4回戦終了時
大里+94.8P 童瞳▲1.0P 宮内▲10.5P 古川▲104.3P
古川のポイントが20ポイントずれていますが、南4局、リーチ後、ハイテイを勘違いしてテンパイと公開してしまった為ペナルティの▲20.0が加算されています。
最終戦 起家から(宮内・古川・大里・童瞳)
大里は当確。宮内、童瞳は着順勝負。
古川は2人を追い抜かなければならないため、最低でも9万点は必要。
4回戦目の結果により、宮内、童瞳の2人は着順勝負となってしまった。
童瞳がトップであれば、40ポイント以上のリードでこの最終戦を迎えられた。
「南3局リーチを打たなかったら脇からこぼれたかもしれない。あの跳満は防げたかもしれない。」
そんなことを考えてしまってもおかしくはなさそうなものだが、最終戦を迎える童瞳はどうしたものかすっきりとした表情をしていた。
11巡目、西家・古川からリーチが入り、親の宮内が追いつきリーチ。
しかしその宣言牌にロンの声。
ロン ドラ
宮内のは手順上残ってしまうのは致し方ない。
そして童瞳は七対子を構想に入れた瞬間、を切りたかったはずだ。
ただツモがそれを許さず、(自然にが残ってしまう)さらに古川のリーチにより切れず、余計にが待ち取りになってしまった。
童瞳にとって最高の形となった。
宮内にとってはいきなりのビハインド。
東3局1本場
リーチ ツモ ドラ 裏
粘りたい古川意地の3,000・6,000。
南1局、宮内は1,300オールをツモり童瞳とは8,900点差。
しかし大里が宮内の親を落とす。
南2局、宮内ついにリーチ。
しかしどちらを切るべきか。場況は以下。
宮内は待ち取りをとした。
は6枚見え。は4枚見えている。(大里がで鳴いている)
結果はドラ暗刻の親古川がを一発でつかみ、
打たなくても宮内の一発目のツモは!!!
最後まで諦めず戦ったが、
宮内こずえの第13期プロクイーンはここで幕を閉じた。
最終戦成績
童瞳+23.9P 古川+8.5P 大里▲5.5P 宮内▲26.9P
総合成績
大里+89.3P 童瞳+22.9P 宮内▲37.4P 古川▲95.8P
決定戦進出 大里奈美(初) 童瞳(初)
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