プロクイーン決定戦 レポート

第10期 ベスト8レポート

プロクイーンベスト8A卓の組合せは、清水香織、内田美乃里、筒井久美子、豊後葵(協会)。
ベスト8もベスト16と同じく半荘5回戦。

ベスト8 A卓(清水香織、内田美乃里、筒井久美子、豊後葵(協会))

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左から 内田 美乃里、筒井 久美子、清水 香織、豊後 葵(協会)

ベスト16では、清水も内田も別卓ではあったが、共に他を圧倒する強さを見せ、
3回戦終了時で早々と勝ち上がりを決めたのだが、今日は大きく明暗が分かれてしまった。

清水はベスト16と同様に、初戦から2着、トップと順調にポイントを増やすが、
内田は3着、ラスと、清水とは対照的に苦しい立ち上がり。

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3回戦目に試合は更に大きく動いた。
東2局、親の清水が仕掛ける。

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清水 香織

五筒五筒六筒六筒七筒東東西西西 ポン南南南 ドラ一万

この後五筒をポンして、ホンイツトイトイに変わったところで、西家の内田がリーチ。

三索四索五索七索七索七索八索八索北北中中中 リーチ

現在トータル4位の内田は、ここが勝負所と見て危険を承知でツモリ倍満のリーチを打ったのだが、
東を掴んで清水への18,000放銃となり、3度目の決勝進出の夢はここで絶望的となった。

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内田 美乃里

南1局の親では、筒井が押し寄せる好ツモで6,000オール。

二筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒八筒八筒中中中 ツモ七筒 ドラ五筒

まだ半荘2回を残して、清水、筒井で勝負あったかのように思われた。

3回戦終了時成績
清水+90.9P  筒井+27.3P  豊後▲33.2P  内田▲85.0P

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次の4回戦で、筒井が豊後より上なら5回戦を待たずに事実上の終戦である。
しかし、筒井が4回戦でラスを喰ったため、3着の豊後にまだ条件が残った。

筒井と豊後の差は41.7P。普通のトップラスで逆転可能なのである。
ベスト16では、筒井がこれと全く同じような点差を逆転して勝ち上がったのだが、そのときは筒井が追いかける側で、今度は逃げ切る側である。
大差を追うのは開き直って攻めれば良いが、そこそこのリードを守る方は難しいものだ。

東場はあまり動きが無く、回った南1局、北家・豊後が仕掛けた。

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豊後 葵(協会)

三索四索四索七索七索東東南南西北北発 ドラ七索

7巡目にこのメンホン七対子ドラ2の1シャンテンから南をイチ鳴きし、小四喜の渡りも見て打発、直ぐに北が暗刻になり打西で1シャンテン。

三索四索四索七索七索東東北北北 ポン南南南

ここで、親の内田がリーチ。
内田も親番があるうちはまだ諦めない。

一万二万三万四万五万六万七万八万二筒二筒七筒八筒九筒 リーチ

豊後もここは勝負所で全部行く。

西家の筒井はオリに回るのだが、内田が切った五索を合わせて切り、豊後にチーされ、次巡、七索で跳満をツモられてしまった。

筒井の当面の敵は豊後であり、筒井はソーズに染めている豊後の上家だ。
親リーチの現物に窮したとは言え、豊後にアシストする牌だけはおろすべきではなかった。

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筒井 久美子

この跳満ツモで、豊後のトップはほぼ確定したが、2着目が筒井では3万点以上、差をつけなければならない。
親が落ちて可能性が無くなった内田と、もう点棒を増やす必要の無い清水は何もしてこないだろうから、
豊後はあと2万点近く筒井との点差を広げる必要がある。

ラス前の筒井の親で、南家・豊後がツモれば逆転のリーチ。

六万七万八万四索四索六索七索八索二筒三筒四筒六筒八筒 リーチ ドラ六筒

だが流局。オーラスは豊後の親リーチ。

二万三万四万六万六万一索二索三索六索七索八索南南 リーチ ドラ南

しかし流局。次局も高目なら逆転のリーチ。

六万六万六万四索四索五索五索六索七筒七筒七筒八筒八筒 リーチ ドラ一万

3連続の逆転リーチがついに実るが、ツモッたのは安目の三索で裏ドラ乗らず。
現時点で、筒井と豊後のトータルはまだ筒井が400点上だ。

続く3本場でついに決着がつく。
豊後がチーテンを入れ、

三万四万五万六万七万八万南南中中 チー一筒二筒三筒 ドラ八万

筒井もメンゼンテンパイ。

四万五万二索三索四索七索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒

逃げる筒井と追う豊後。
どちらがアガるのだろうかと見ていたら、西家の清水もテンパイ。

一万一万七万八万九万一索二索三索八索九索一筒二筒三筒

ここまでは静観していた清水に、門前の満貫手が入った。
そしてリーチを打つ。

清水の捨て牌にソーズは1枚も無いが、オリたら負けと思う豊後が、2巡後に七索を掴んで放銃。
誰もが清水と筒井の勝ちで終わったと思ったが、何と集計してみると豊後が筒井より上になっていた。

0.4P下だった豊後が、3本場で満貫を打ち▲8.9Pなのだが、清水が筒井を抜いて2着になったため、筒井の順位点が10P減る。
つまり、豊後は満貫を放銃して1.1P得をし、筒井よりトータルで0.7P上になったのだ。

私もこのケースは瞬間見落としていたくらいの、レアな逆転決着。
裏が1枚でも乗って跳満なら筒井の勝ち。6.400点以下でも、筒井が2着のままなので筒井の勝ち。
筒井にしたらやり切れない、悔やんでも悔やみきれないような敗戦となった。

最終成績
清水+98.7P  豊後▲7.4P  筒井▲8.1P  内田▲83.2P

決勝進出者:清水香織・豊後葵

ベスト8 B卓(安田麻里菜、室伏理麻、魚谷侑未、白河雪菜)

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左から 白河 雪菜、安田 真里菜、魚谷 侑未、室伏 理麻

1回戦は、南3局に大きく動いた。
それまで36.000点持ちのトップ目北家・魚谷がリーチ。

三索四索五索八索八索八索三筒四筒五筒七筒八筒東東 リーチ ドラ八筒

親の安田が即追いかける。

四索五索九索九索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒 リーチ

魚谷が一発で六索を掴んで18.000点!
この後、安田が4本積み1人浮きのデカトップスタート。

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安田 真里菜

2回戦は小場ながら初戦ラスの白河がトップでスコアを戻す。
3回戦は東4局、トップ目の親の室伏に、6巡目に早くて高いリーチが入る。

六万七万二索二索六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒 リーチ ドラ三筒

安目の五万をツモったが、裏ドラも乗って6.000オール。
2回戦終わって、4番手にいたのだがこの大トップで一気にトータル2番手に浮上した。

3回戦終了時成績
安田+39.0P  室伏+14.7P  白河▲16.6P  魚谷▲37.1P

白河と魚谷は、次の4回戦で室伏より下の順位を取ると非常に苦しくなる。

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4回戦、魚谷の起家で室伏がメンピンツモドラ1の1.300、2.600を軽くツモアガる。
追う立場の、魚谷と白河には辛いスタートだが、続く東2局、親の安田が6巡目に五筒切りで二筒発のシャンポン待ちリーチ。(ただしドラが発である)

ここに、北家の魚谷が追いつく。

三万四万五万六万七万八万三索四索四索四索一筒二筒三筒発

發単騎で堪えて欲しかったが、魚谷は勝負を焦ったのか発を切ってリーチと行き親満の放銃。
「ここで魚谷ジ・エンド」と私はメモに書いた。

同1本場、またも安田が6巡目に親満リーチ。

三万三万三万一索二索三索四索五索六索九索九索九筒九筒 リーチ ドラ三万

今度は、皆懸命にオリるが、終盤手詰まった白河が、リーチの後スジを頼り九索をオリ打ち、「白河もジ・エンド」と私はメモに書いた。
安田は遥か彼方に、2位の室伏とも25.000点以上離れた魚谷と白河は、このままこの半荘が終われば最終5回戦を待たずに終戦である。

魚谷と白河が諦めずに必死で追いかけても、安田と室伏が手堅く場を回せば、勝負の流れが大きく傾いた今の状態から、勝敗が覆ることは無かろう。
そう思い私は観戦ノートを閉じた。

ところが南2局、安田の親で室伏がリーチ。
二索白のシャンポン待ちで二索ならリーチのみ、もう試合は詰めの段階に入り、勝っている者は安全に局を潰して行くのがトーナメントの闘い方ではなかろうか?
白で出アガリが利くならヤミテンで充分と思う。

願ってもない直撃チャンスに、魚谷が果敢に攻め返してまず満貫を直取り。だがまだ大差。
次局、室伏の親では少しだけ勢い付いた魚谷が先制リーチ。

三万四万五万七万九万三索四索五索三筒四筒五筒中中 リーチ

室伏は、一度は手を崩して受けに回ったようだったが、終盤1シャンテンになると、無筋の八万を打ち出して5.200点の放銃。
魚谷が2着になり、室伏が3着に落ちた。
「オリていれば良いのに….」と思うのは余計なお世話か?

これで消化試合になりそうだった最終戦に、難しいけど現実的な逆転条件が残った。

4回戦終了時成績
安田+72.8P  室伏+2.5P  魚谷▲32.8P  白河▲43.5P

トップとラスで30P変わるから、魚谷は普通のトップラス条件。
白河は、16.000点差のトップラス条件だ。

魚谷も白河も、まずトップが必要最低条件だから最初から攻める。
まず魚谷がリーチの白河から満貫。

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魚谷 侑未

五万六万三筒三筒六筒六筒六筒東東東 チー一万二万三万 ドラ六筒 ロン四万

ラス前は白河の親で、ラス親は室伏。
ここまで魚谷がトップ目で回ってきたが、室伏が2着目なのでまだまだ差がある。
この状況で、まず室伏がピンフ手で先制リーチ。

一索一索七索八索九索三筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒 リーチ ドラ一万

このままオーラスになれば、かなり安全だからリーチしなくても・・・・
行くしかない親の白河が追いかける。

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白河 雪菜

一万三万七万八万九万二索二索二索一筒二筒三筒西西 リーチ

ここは白河がツモッて、裏が乗り4.000点オール。
室伏が3着に落ちたので、状況が緊迫してきた。同1本場は白河がリーチ。

五万六万七万七万八万九万二索三索四索五筒六筒南南 リーチ ドラ六索

魚谷もリーチ。

五索六索九索九索三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒 リーチ

魚谷がこれをツモれば、室伏を逆転する勝負リーチだったが白河に放銃。
裏1枚の3.900点で、白河がトップ目になった。このため、室伏には順位1つ分の余裕が出来た。
2本場は、3人がアガリに向かったが、ドラドラ七対子をテンパイした魚谷の余り牌で、室伏が1.000点をアガって勝負有り!

オーラスは、白河が6.400直撃か跳満ツモ。
魚谷が、跳満直撃か跳満ツモ条件だったが、ここまで静観していた安田があっさりと満貫をツモって終了。
室伏がラスになり、白河との着順条件はクリアされたが、点差で届かず。室伏が逃げ切った。

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室伏 理麻

最終成績
安田+78.6P  室伏▲17.6P  白河▲21.3P  魚谷▲40.7P

決勝進出者:安田麻里菜・室伏理麻

決勝戦は、昨年、初戦から最後まで圧勝で初タイトルを奪取した、和久津晶を交えての2日制5人打ちとなる。
本命は、7年ぶり3度目の決勝で2度目の載冠を狙う清水だろうが、混戦で荒れる予感がする。
はたして第10期のクイーンとなるのは誰なのだろうか?

決勝進出者

和久津 晶(現タイトルホルダー) vs 清水香織 vs 安田麻里菜 vs 室伏理麻 vs 豊後葵(協会)

決勝:10月20、21日 12:00対局開始 会場:じゃん亭Nobu

(文中敬称略)