第12期プロクイーン決定戦 ベスト8A卓レポート 編集部
2014年12月05日
勝負に拘った天衣無縫が舞い踊ってから1年。
第11期プロクイーン二階堂瑠美の待つ決定戦まで後1つ。
第12期プロクイーンベスト8A卓。
半荘5回戦を連盟Bルール(一発裏ドラあり)で戦い勝ち上がり者は上位2名。
宮内こずえ(日本プロ麻雀連盟18期)
テレビ対局の実績充分も、タイトル戦の決勝経験は未だゼロ。
「今年プロクイーンになるわ。」
これは予選が始まるよりもだいぶ前の彼女自身のことば。
その間に女流桜花Aリーグに返り咲き、プロクイーンも初めてのベスト8進出。
注目せざるをえない。
手塚紗掬(日本プロ麻雀連盟28期後)
昨年、王位戦、プロクイーンと連続で決勝に進出。
共に5位と悔しい負け方をしただけにもう一度あの舞台に戻りたいはず。
実績を残しつつあるネクストブレイク筆頭。
優木美智(日本プロ麻雀連盟21期)
第1期女流桜花。第2期女流桜花決定戦以来、決勝戦には残っていないが久しぶりのチャンス。
節目のプロ生活10年目に自らの手で花を添えたい。
朝倉ゆかり(日本プロ麻雀協会3期)
第7・8期女流雀王。
5年前の第18期マスターズの決勝にも残り
Bルール(一発裏ドラあり)のプロクイーンでは一歩リードか。
1回戦
起家から(朝倉・優木・手塚・宮内)
まず先手を取ったのは優木。
300・500のツモアガリで親番を持ってくると2,600オール。
このまま勢いに乗るかと思われたが朝倉が交わす。
東3局、西家・宮内がリーチ。
リーチ ドラ
そのリーチを受けた北家・朝倉
このチャンス手にアガリはないとみたかあっさり手終い。
冷静ではある。
東4局1本場
優木
リーチ ドラ
Bルールという理由からか6巡目の即リーチ。
が捨て牌に落ちてしまったが結果は成功。
初戦の緊張から来るものなのか立ち向かうものは1人もなし。
流局後に開かれた手牌に、優木含め4名は何を思う。
「初戦は大事に行きたいところだが、初戦だからこそ勝負。」
解説の滝沢がぼそりと一言。
南2局、親の優木、この半荘の決まり手
ツモ ドラ
ドラ2枚のチャンス手に三色まで見えるツモ。
優木の選択はツモ切り。
最終形は
リーチ ツモ ドラ
4,000オール。
対称的に手塚のチャンス手。
リーチ ドラ
実らず。
迎えた親番では、優木の先制リーチ、宮内の追いかけリーチに挟まれ宮内に5,200放銃。
リーチ ロン
オーラスでは朝倉が500・1,000のツモアガリで100点差の4着になってしまった。
1回戦成績
優木+32.9P 宮内+4.6P 朝倉▲13.7P 手塚▲23.8P
2回戦
起家から(朝倉・手塚・優木・宮内)
東2局、西家・優木
ツモ ドラ
優木は捨て牌を一睨みして切りのカン固定。
ドラ単騎を最終形に想定するならば切り。
捌き手にしたいならドラのツモ切りか。
構想通りドラを重ねリーチ。
朝倉から5,200。
朝倉も負けていない。
東3局
ツモ ドラ
2,000・4,000。
南3局、親番の優木またもチャンス手
リーチ ドラ
しかし宮内も戦う。
そして手塚も参加。
朝倉で宮内に2,600の放銃。
オーラス持ち点
朝倉22,100 手塚34,800 優木32,200 宮内30,900
4着目の朝倉からリーチ。
リーチ ドラ
朝倉のリーチに打点が伴っているのは3者共通の見解。
ツモられれば4着の宮内。ツモられても満貫以下なら連帯の、優木、手塚。
しかしここで立ち向かったのは優木。
しかもこの時は4枚切れ。
5,200以上を打てば4着になるにも関わらず勝負。
その動向を見て宮内、手塚は引く。
決着はすぐに着いた。
朝倉から出アガリ。
優木が2連勝。手塚は又してもオーラスで着順を落とす。
2回戦成績
優木+20.2P 手塚+9.8P 宮内▲4.1P 朝倉▲25.9P
2回戦終了時
優木+53.1P 宮内+0.5P 手塚▲14.0P 朝倉▲39.6P
3回戦
起家から(宮内・手塚・朝倉・優木)
上から下まで90ポイントを超えた。
優木はここでポイントの上積みが出来るようなら決勝がほぼ確定する。
そして朝倉はまったく逆の立場といえる。
東1局、優木1人テンパイ。
東2局、宮内リーチ。宣言牌はドラの。
リーチ
これも宮内の1人テンパイ。
ここで滝沢がまたぼそり。
「行かざるを得ない時に行くんじゃ弱い。」
東3局、ついに優木がつかまる。
手塚
チー ロン ドラ
3,900。
東4局、朝倉
リーチ ロン ドラ 裏
手塚
しかし放銃者は宮内。
打
滝沢の声が聞こえたかのように少しずつ斬り合いが増えてきた。
南2局、この半荘のハイライトはこの人のアガリか。
手塚の我慢がついに昇華。
ロン
高めの24,000。
3連勝が見えていた優木が放銃者。
宮内13,500 手塚52,300 朝倉40,400 優木13,800
オーラス、実はこの半荘はこれで終わらない。
優木メンピンドラ1の先制リーチ。
朝倉
ドラ
解説席もボルテージは最高潮に達する。
跳満ツモで朝倉はトップ。現在のポイント状況ではトップが欲しい。
しかし、朝倉の選択は三暗刻を崩す打ヤミテン。
次巡、ツモ。
三暗刻を崩してまで切らなかったの筋牌。
ここで朝倉は小考。モニターからは悩む彼女の表情。
そして意を決してをツモ切りリーチ。
一発というおまけつきでを手繰り寄せ3,000・6,000。
手塚は1回戦同様、朝倉のツモアガリにより、そして3回戦連続のオーラスの着順ダウン。
そして優木は4着。
トータルポイント天地逆様の結果となる3回戦だった。
3回戦成績
朝倉+38.4P 手塚+24.3P 宮内▲24.5P 優木▲38.2P
3回戦終了時
優木+14.9P 手塚+10.3P 朝倉▲1.2P 宮内▲24.0P
3回戦が始まる前は90ポイントを超えていたが、4回戦開始時には上から下まで38.9ポイントの接戦。
ちなみにBルールのポイントは30,000点持ち30,000点返しのオカがなく順位点が、
1着+15P、2着+5P、3着▲5P、4着▲15Pということはトップラスで30P変わり、後は点差。
つまり現時点で38.9ポイントしかないということはほぼ差がなくなったに等しい。
この4回戦の結果が、最終5回戦目の戦い方を大きく左右される。
朝倉の勢いはこの4回戦目も止まることなく2連勝。
トータルトップまで突き抜けてしまった。
4回戦成績
朝倉+21.9P 宮内+5.6P 優木▲8.9P 手塚▲20.6P (供託+2.0P)
4回戦終了時
朝倉+20.7P 優木+6.0P 手塚▲10.3P 宮内▲18.4P (供託+2.0P)
最終戦
起家から(優木・宮内・朝倉・手塚)
ここで条件のおさらい。
上位2名が勝ち上がりということで現在のターゲットは優木。
朝倉、優木は2着以内でほぼ通過。
手塚、宮内はトップを取ればほぼ通過。
ただし今回、1位から4位までの差が39.1ポイントと大接戦。
例えば、宮内35,000点のトップで朝倉25,800点の4着で逆転してしまうほどの僅差。
素点よりも着順勝負に近い。
最終戦はターゲット者との点差を常に意識した展開になりそうだ。
東1局、北家、手塚6巡目リーチ
リーチ ドラ
東家、優木7巡目追いかけリーチ
リーチ
4枚目のドラのが朝倉の手に吸い込まれアガリの可能性が薄くなった手塚。
視聴者の手塚ファン、そしてドラの所在を知らぬ本人も親の追いかけリーチに肝を冷やしたに違いない。
この2件リーチに勝負牌を切り出すことなく朝倉の切ったにポンテンをかけた宮内。
ポン
すると、すぐに宮内から下がったツモで大きな4,000オール。
優木はトータルトップに立ちターゲットから外れたことで、選択肢が一気に増える。
捌いてもよし、オリてもよし、手作りの制約もなし、ほぼ決勝進出当確といえる。
助かったのは直撃を免れた手塚。
朝倉は自分が標的になってしまい、今後の戦いは避けられない。
東2局、ドラ。
手塚は一通、三色、の両天秤に構え手順どおりに出ていったリーチ宣言牌ので優木に5200の放銃。
このとき優木は2フーロしておりはドラ跨ぎ。
後がない宮内の親番ということを考えれば、優木に任せるのも作戦のひとつかもしれないし、勝負所と捉えるのも間違いとはいえない。
ただ5,200放銃という結果は残った。
東3局、失点せずに親が流れた北家宮内がリーチ。
リーチ ツモ ドラ 裏
1,000・2,000。
東4局は優木が朝倉から1,000点の早アガリ。
南1局は宮内の1人テンパイ。
そして点棒は以下。
優木47,800 宮内31,000 朝倉21,000 手塚19,200 供託1,000
順位点まで入れると
優木+32.8P 宮内+6.0P 朝倉▲14.0P 手塚▲25.8P
トータルポイントは
優木+38.8P 宮内▲12.4P 朝倉+6.7P 手塚▲36.1P
南2局から競り3名の親が順番に回ってくる。
南2局1本場、宮内は最後の親番10巡目
ツモ ドラ
手なりの女王返上フリテンリーチ。一撃で決めにいく。
この親のリーチ、優木は向かってこないのは予測出来る。
ただし、朝倉と手塚は仮にここで放銃したとしても親番が残っている。
勝負手ならば向かってくる公算が高い。その局面でのこの選択はなかなか出来ない。
感服も束の間、手塚、ドラドラで追いかけリーチ。
もし宮内の放銃で決着をすれば脱落必至。
手に汗握る対決は流局。
2本場、宮内2,000は2,600を手塚から。
そして、運命の3本場、
宮内2巡目リーチ。
リーチ ドラ
そして4巡目にを暗カン。新ドラ
ここで手塚の手牌
ツモ ドラ
ここでをツモ切っていると、導かれるように
このテンパイを取れた可能性が高い。
ドラがなので–待ちのノベタンか、が通っているので切り勝負となりそうである。
後者を選べれば、跳満のツモアガリ。
足らればは勝負事ではご法度だが、心の声がつぶやく。
宮内のリーチがあと数巡遅ければ。と。
アガリ逃し後、手塚は追いかけリーチ。
リーチ
しかしお決まりのように次は宮内のアガリ番。
暗カン リーチ ツモ ドラ 裏
南3局、南4局、朝倉、手塚に反撃する力は残っていなかった。
最終戦成績
宮内+34.3P 優木+21.2P 朝倉▲20.3P 手塚▲35.2P
最終戦終了時
優木+27.2P 宮内+15.9P 朝倉+0.4P 手塚▲45.5P (供託+2.0P)
決勝進出
1位通過 優木美智 2位通過 宮内こずえ
カテゴリ:プロクイーン決定戦 レポート