プロクイーン決定戦 レポート

第15期プロクイーンベスト16A卓レポート 楠原 遊

熱い戦いが繰り広げられた2次予選から2週間。プロクイーンベスト16が始まった。
ここからは日本プロ麻雀連盟チャンネルでの配信対局となる。今期は、ニコニコ動画・FRESH!・FC2動画など様々なコンテンツでその戦いを視聴することが出来るようになり、より多くの方々が彼女たちの戦いに注目していることだろう。

ルールは日本プロ麻雀連盟WRCルール、半荘4回戦で2名の勝ち上がり。
それでは今週の対局者を紹介していこう。

100

西嶋ゆかり 昨年度決勝進出
北関東支部所属 28期生 二段 群馬県出身
ロン2プロフィール

 

 

100

青山めぐみ
東京本部所属 28期生 二段 千葉県出身

 

 

100

優月みか
東京本部所属 30期生 二段 東京都出身
ロン2プロフィール

 

 

100

高田麻衣子
北関東支部所属 25期生 三段 石川県出身

 

 

今期のプロクイーン放送はじめとなるこの卓は、十段戦決勝進出で話題を集めた青山と、昨年度決勝進出の西嶋が注目となったが、全体として鳳凰位戦D1・2リーグ、女流桜花B・Cリーグ所属の若手プロが集まったフレッシュな卓となった。

 

1回戦(起家から青山→西嶋→優月→高田)

東2局 北家 青山
100
選択肢は四万八索白といったところだが白はドラ。
上家の高田にソーズが高いこともありドラを切らないとなると難しい選択となったが、青山が選んだのは打四万。場をよく見た上での、受けの選択肢も残した打牌となった。
結果は2巡後に七索をツモって来て白切りリーチ。この形ならの勝負といったところか。
西嶋のドラポンも入るが、しっかりと六索を引きよせ500・1,000。青山らしい意思を持った麻雀を見せた。

東4局

11巡目、先制リーチは南家・青山。

六万七万八万九万九万九万二索二索一筒二筒三筒四筒五筒  ドラ六索

この手に4枚目の九万を持ってくる。WRCルールにはカンドラ・カン裏ドラがあるためここで暗カン。新ドラは八索。リンシャン牌の二万をツモ切る。
このとき、北家・優月の手が

二万二万四万五万五万六万五索北北北  ポン白白白

この二万をポンせずに、一旦後退の選択を取った。
じつはこの局、先制リーチの青山より前に、テンパイしている者がいた。親の高田だ。

三万三万六万七万八万五索六索七索二筒四筒六筒七筒八筒

親のタンヤオ・ドラのカンチャンテンパイ。1枚切れの牌で、九筒を切っているのでここではリーチの選択をするプレーヤーも多いと思うが、ここではヤミテンを選択。
13巡目に四索をツモリいったん迂回の三万切り。慎重な、非常に高田らしい選択と言える。

そして一旦戦線を離れていた高田が再びテンパイしたのは残りツモ1回の時。

六万七万八万四索五索六索七索八索二筒二筒六筒七筒八筒  ドラ六索八索  ツモ三索

このフリテンテンパイをハイテイでツモり、ツモタンヤオピンフ三色ドラドラに1ハンをつけ8,000オール。ファーストテンパイからは想像がつかない大きなアガリとなった。

南場は手が入らなかった高田が苦しいながらそのままのリードを守り切り、1回戦が終了。

1回戦結果
高田+25.1P 西嶋+10.2P 青山▲9.7P 優月▲27.6P(供託2)

 

2回戦(起家から青山→優月→高田→西嶋)

東1局
北家 西嶋の手牌
100
2巡目にして1シャンテンの形。次巡すぐに打たれた白をスルー。
ポンテンとなる牌だがここはじっくりと手を作ることを選択した。そのまま2枚目の白が打たれるとどうするか、と思い見ていたが、10巡目に自力で白を引き納得のリーチ。

二万二万六万七万三索三索三索二筒三筒四筒白白白  ドラ五筒

しっかりと自分のペースで麻雀をする西嶋らしい手作りとなったが、ここは1人テンパイで流局。

南3局
10巡目、北家・西嶋のテンパイ

二万八万八万九万九万一索一索三索三索五筒五筒九筒九筒  ドラ二万

一方、東家・高田は仕掛けてこの形

六万七万八万南南南西発発中  ポン東東東

ホンイツ役役の1シャンテン。この仕掛けを受け北家・優月は11巡目
100
場に安いピンズのリャンメンテンパイが入るが、ここから優月は七筒切りとしてテンパイ取らず。親の捨て牌はマンズ模様。一万も既に河に置かれている。三万は切りづらく映ったか。

そしてほどなくして親にテンパイが入る。

三万三万六万七万八万南南南発発  ポン東東東

そして次巡、優月が持ってきたのは場に1枚切れの発三万を切ってのリーチ勝負といっていたら親に12,000の放銃となっていた。そしてさらに引いてきたのは二万。こちらも西嶋の七対子ドラドラのアタリ牌。それらをしっかりと手のうちに仕舞い込み、安全牌を切りだしてゆく。踏み込み所をしっかりと見極めた優月の好判断が光る1局となった。

しかしここはゆっくりと高い手を作った高田がラス牌の三万を引き4,000オール。
そのままこの半荘のトップにつき、2連勝を決めた。

2回戦結果
高田+22.1P 西嶋+1.0P 青山▲9.2P 優月▲19.7P

トータル
高田+47.2P 西嶋+1.0P 青山▲2.9P 優月▲47.3P (供託2)

 

3回戦(起家から青山→高田→優月→西嶋)

ベスト16A卓のトーナメントも折り返しとなった。

ここまで2連勝の高田が一歩リード、そこに2着3着1回ずつの西嶋と青山が続く。
そして苦しい2ラスを引いてしまったのは優月。追う者と追われる者、それぞれの戦いをみていきたい。

東2局1本場

ここまで、手牌に恵まれるもののなかなかアガリに結びつかず苦戦を強いられてきた南家・優月に再び手が入る。
100
2巡目にドラの北を引いて上の形。ここから三万切りとする。
プレーヤーによっては手役の変化などを見て四筒を外す選択もあるが、ここはピンズツモ時に、ターツ振り替えの可能性を残す三万切りとした。
しかしこの選択が恐ろしい結果を生む。
2巡後、七索を引き入れピンフイーペーコードラドラの四万七万待ちとなった優月が満を持して四筒を切ると、その牌にロンの声は東家・高田。

二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒七筒七筒南南西西  ドラ北

わずか5巡目の出来事である。この局も優月にとって苦しい1局となってしまった。
逆にここまで2連勝の高田はベスト8がぐっと近づいた結果となった。

東4局1本場

7巡目、ここまで細かなアガリを重ね4万点オーバーの東家・西嶋。
100
一万を前巡に外していることもあり、三万切りかと思えたがここで七索を暗カン。リンシャンから四索をツモって打三万。そして次巡のツモ三索、リーチ。

三万四万五万二索三索四索八索八索二筒三筒  暗カン牌の背七索 上向き七索 上向き牌の背  リーチ  ドラ四索白

手順としては、三索をツモってからカンしていたとしても結果は同じとなっていたが、この親番でしっかりと攻め加点して、ベスト8への進出を決めようとする西嶋の意思を強く感じるアンカンに見えた。
このリーチにメンホン七対子ドラドラの1シャンテンとなった青山も押し返すが、ここは先にテンパイを入れていた高田が400・700の1本場。局を進めていく。

南2局

またしても南家・優月が手を作る。

七万八万一索二索三索七索八索九索二筒二筒七筒八筒九筒  ドラ五筒

フリテンを三色になる方で引き戻し、リーチ。それを受け西家・西嶋にもテンパイが入る。

一万二万四万五万六万七万八万九万三索三索五索六索七索

現在9,400点持ちの優月と41,600点持ちの西嶋。トータルポイントも考えるとあまり安いリーチは考えづらく、ドラも1枚も見えていない。手の中に現物もある。西嶋の選択に注目が集まるが、ここは静かに無筋をおしてゆく。
昨年決勝で敗れた西嶋の、勝ち上がりに対する気持ちが見えた瞬間だった。

そしてその思いに応えるかのように16巡目にツモ三万。大きな大きな1,000・2,000となった。

3回戦は、強い意志によってアガリを重ねた西嶋が、そのままトップ、そこに高田、青山と続き、ここで大きく浮きたかった優月にとってはまたしても、苦しい展開となってしまった。

3回戦結果
西嶋+31.7P 高田+14.1P 青山▲10.7P 優月▲36.1P (供託1)

トータル
高田+61.3P 西嶋+32.7P 青山▲13.6P 優月▲83.4P (供託3)

 

最終戦(起家から青山→西嶋→優月→高田)

ついに最終戦となった。
アドバンテージを持つ高田に、2番手争いの西嶋・青山。そして勝ち上がるためにはその2人共をかわさなければならない優月。しかしトーナメントは直接対決。順位点も大きなWRCルールだけに、まだ諦めるわけにはいかない

東1局

4巡目、南家・西嶋が、ライバル青山の親番に先行リーチ

一万二万三万七万七万七万五索六索六筒六筒西西西  ドラ二索

しかし東家・青山もここで退いてはいられない。ピンチでもあるが、ライバルが無防備に攻めてくるチャンスでもある。
そして11巡目に追いついてリーチ。

二万二万二万三万四万六索七索八索二筒二筒三筒四筒五筒  リーチ

この手を西嶋から一発で討ち取り7,700のアガリ。この一撃でトータル2番手が入れ換わり、目が離せない展開となる。

しかしその2人の争いに、割って入りたい優月。
東3局の親番がくると、暗カン五万リーチ、1人テンパイで流局。
1本場も先行リーチは1人テンパイで流局。連荘を重ねながら、手が入るのを待つ。
そして迎えた3本場。

二万三万四万六万六万六索七索八索二筒四筒  暗カン牌の背八筒 上向き八筒 上向き牌の背  ドラ四万四筒

4巡目のリーチがここもまた長引き、またしても流局かと思われたハイテイでツモ、裏ドラも乗り6,000は6,200オール。ようやく親番での大きなアガリをものにした。

そして続く3本場もリーチ、流局。積み重ねた4本場にも勝負手が入る。

三万四万五万二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒発発  リーチ  ドラ発

仕掛けてテンパイを入れていた高田も向かえずオリを選択。これをまたしても終盤に四筒でツモり4,000は4,400オール。少しずつ前を走る2人の姿が見えてきたところだったが、5本場に高田が青山から1,000は2,500をアガリ、長かった優月の親番が終わる。

この連荘で、優月が半荘トップ目に立ち順位点が変化したことにより、トータルポイントで再び西嶋が青山の上になる。

そして迎えた南1局2本場。青山の親番。
5巡目先行テンパイは南家・西嶋。

七万八万九万六索七索二筒三筒四筒七筒七筒七筒北北  ドラ六筒

現状13,600点持ち3着目。東1局でのドラ無しリャンメンテンパイリーチ後の7.700放銃がふと脳裏をよぎるがここ再びリーチ。ほどなくして500・1,000は700・1,200。
ライバルの親番を自らの力で流した。

南2局の自身の親は優月のリーチによって流れたが、続く南3局は再び自身の力で400・700は500・800。先頭を走る高田にとっても頼もしく映っただろう。

そしてオーラス。親番の高田がトータルトップ目のため、連荘はほぼ無し。
青山に与えられた勝ち抜き条件は西嶋からの5,200直撃か優月からの跳満直撃、もしくは三倍満ツモアガリ。
最後まで可能性をつないだ手作りをした青山だったが、手が実らず流局となる。

最終戦結果
優月+41.4P 青山+8.5P 西嶋▲17.5P 高田▲32.4P

トータル
高田+28.9P 西嶋+15.2P 青山▲5.1P 優月▲42.0P(供託3)

勝ち上がり 1位高田麻衣子 2位西嶋ゆかり

こうして、A卓の勝ち上がり者2名が決まった。3年連続ベスト16進出から悲願のベスト8進出を決めた高田麻衣子・昨年準優勝で雪辱を果たしたい西嶋ゆかり。
あともうひとつ勝てば、現女王・宮内こずえが待つ決勝の舞台となる。