第15期プロクイーンベスト16A卓レポート 楠原 遊
2017年08月25日
熱い戦いが繰り広げられた2次予選から2週間。プロクイーンベスト16が始まった。
ここからは日本プロ麻雀連盟チャンネルでの配信対局となる。今期は、ニコニコ動画・FRESH!・FC2動画など様々なコンテンツでその戦いを視聴することが出来るようになり、より多くの方々が彼女たちの戦いに注目していることだろう。
ルールは日本プロ麻雀連盟WRCルール、半荘4回戦で2名の勝ち上がり。
それでは今週の対局者を紹介していこう。
西嶋ゆかり 昨年度決勝進出
北関東支部所属 28期生 二段 群馬県出身
ロン2プロフィール
青山めぐみ
東京本部所属 28期生 二段 千葉県出身
優月みか
東京本部所属 30期生 二段 東京都出身
ロン2プロフィール
高田麻衣子
北関東支部所属 25期生 三段 石川県出身
今期のプロクイーン放送はじめとなるこの卓は、十段戦決勝進出で話題を集めた青山と、昨年度決勝進出の西嶋が注目となったが、全体として鳳凰位戦D1・2リーグ、女流桜花B・Cリーグ所属の若手プロが集まったフレッシュな卓となった。
1回戦(起家から青山→西嶋→優月→高田)
東2局 北家 青山
選択肢は、、といったところだがはドラ。
上家の高田にソーズが高いこともありドラを切らないとなると難しい選択となったが、青山が選んだのは打。場をよく見た上での、受けの選択肢も残した打牌となった。
結果は2巡後にをツモって来て切りリーチ。この形ならの勝負といったところか。
西嶋のドラポンも入るが、しっかりとを引きよせ500・1,000。青山らしい意思を持った麻雀を見せた。
東4局
11巡目、先制リーチは南家・青山。
ドラ
この手に4枚目のを持ってくる。WRCルールにはカンドラ・カン裏ドラがあるためここで暗カン。新ドラは。リンシャン牌のをツモ切る。
このとき、北家・優月の手が
ポン
このをポンせずに、一旦後退の選択を取った。
じつはこの局、先制リーチの青山より前に、テンパイしている者がいた。親の高田だ。
親のタンヤオ・ドラのカンチャンテンパイ。1枚切れの牌で、を切っているのでここではリーチの選択をするプレーヤーも多いと思うが、ここではヤミテンを選択。
13巡目にをツモリいったん迂回の切り。慎重な、非常に高田らしい選択と言える。
そして一旦戦線を離れていた高田が再びテンパイしたのは残りツモ1回の時。
ドラ ツモ
このフリテンテンパイをハイテイでツモり、ツモタンヤオピンフ三色ドラドラに1ハンをつけ8,000オール。ファーストテンパイからは想像がつかない大きなアガリとなった。
南場は手が入らなかった高田が苦しいながらそのままのリードを守り切り、1回戦が終了。
1回戦結果
高田+25.1P 西嶋+10.2P 青山▲9.7P 優月▲27.6P(供託2)
2回戦(起家から青山→優月→高田→西嶋)
東1局
北家 西嶋の手牌
2巡目にして1シャンテンの形。次巡すぐに打たれたをスルー。
ポンテンとなる牌だがここはじっくりと手を作ることを選択した。そのまま2枚目のが打たれるとどうするか、と思い見ていたが、10巡目に自力でを引き納得のリーチ。
ドラ
しっかりと自分のペースで麻雀をする西嶋らしい手作りとなったが、ここは1人テンパイで流局。
南3局
10巡目、北家・西嶋のテンパイ
ドラ
一方、東家・高田は仕掛けてこの形
ポン
ホンイツ役役の1シャンテン。この仕掛けを受け北家・優月は11巡目
場に安いピンズのリャンメンテンパイが入るが、ここから優月は切りとしてテンパイ取らず。親の捨て牌はマンズ模様。も既に河に置かれている。は切りづらく映ったか。
そしてほどなくして親にテンパイが入る。
ポン
そして次巡、優月が持ってきたのは場に1枚切れの。を切ってのリーチ勝負といっていたら親に12,000の放銃となっていた。そしてさらに引いてきたのは。こちらも西嶋の七対子ドラドラのアタリ牌。それらをしっかりと手のうちに仕舞い込み、安全牌を切りだしてゆく。踏み込み所をしっかりと見極めた優月の好判断が光る1局となった。
しかしここはゆっくりと高い手を作った高田がラス牌のを引き4,000オール。
そのままこの半荘のトップにつき、2連勝を決めた。
2回戦結果
高田+22.1P 西嶋+1.0P 青山▲9.2P 優月▲19.7P
トータル
高田+47.2P 西嶋+1.0P 青山▲2.9P 優月▲47.3P (供託2)
3回戦(起家から青山→高田→優月→西嶋)
ベスト16A卓のトーナメントも折り返しとなった。
ここまで2連勝の高田が一歩リード、そこに2着3着1回ずつの西嶋と青山が続く。
そして苦しい2ラスを引いてしまったのは優月。追う者と追われる者、それぞれの戦いをみていきたい。
東2局1本場
ここまで、手牌に恵まれるもののなかなかアガリに結びつかず苦戦を強いられてきた南家・優月に再び手が入る。
2巡目にドラのを引いて上の形。ここから切りとする。
プレーヤーによっては手役の変化などを見てを外す選択もあるが、ここはピンズツモ時に、ターツ振り替えの可能性を残す切りとした。
しかしこの選択が恐ろしい結果を生む。
2巡後、を引き入れピンフイーペーコードラドラの待ちとなった優月が満を持してを切ると、その牌にロンの声は東家・高田。
ドラ
わずか5巡目の出来事である。この局も優月にとって苦しい1局となってしまった。
逆にここまで2連勝の高田はベスト8がぐっと近づいた結果となった。
東4局1本場
7巡目、ここまで細かなアガリを重ね4万点オーバーの東家・西嶋。
を前巡に外していることもあり、切りかと思えたがここでを暗カン。リンシャンからをツモって打。そして次巡のツモ、リーチ。
暗カン リーチ ドラ
手順としては、をツモってからカンしていたとしても結果は同じとなっていたが、この親番でしっかりと攻め加点して、ベスト8への進出を決めようとする西嶋の意思を強く感じるアンカンに見えた。
このリーチにメンホン七対子ドラドラの1シャンテンとなった青山も押し返すが、ここは先にテンパイを入れていた高田が400・700の1本場。局を進めていく。
南2局
またしても南家・優月が手を作る。
ドラ
フリテンを三色になる方で引き戻し、リーチ。それを受け西家・西嶋にもテンパイが入る。
現在9,400点持ちの優月と41,600点持ちの西嶋。トータルポイントも考えるとあまり安いリーチは考えづらく、ドラも1枚も見えていない。手の中に現物もある。西嶋の選択に注目が集まるが、ここは静かに無筋をおしてゆく。
昨年決勝で敗れた西嶋の、勝ち上がりに対する気持ちが見えた瞬間だった。
そしてその思いに応えるかのように16巡目にツモ。大きな大きな1,000・2,000となった。
3回戦は、強い意志によってアガリを重ねた西嶋が、そのままトップ、そこに高田、青山と続き、ここで大きく浮きたかった優月にとってはまたしても、苦しい展開となってしまった。
3回戦結果
西嶋+31.7P 高田+14.1P 青山▲10.7P 優月▲36.1P (供託1)
トータル
高田+61.3P 西嶋+32.7P 青山▲13.6P 優月▲83.4P (供託3)
最終戦(起家から青山→西嶋→優月→高田)
ついに最終戦となった。
アドバンテージを持つ高田に、2番手争いの西嶋・青山。そして勝ち上がるためにはその2人共をかわさなければならない優月。しかしトーナメントは直接対決。順位点も大きなWRCルールだけに、まだ諦めるわけにはいかない
東1局
4巡目、南家・西嶋が、ライバル青山の親番に先行リーチ
ドラ
しかし東家・青山もここで退いてはいられない。ピンチでもあるが、ライバルが無防備に攻めてくるチャンスでもある。
そして11巡目に追いついてリーチ。
リーチ
この手を西嶋から一発で討ち取り7,700のアガリ。この一撃でトータル2番手が入れ換わり、目が離せない展開となる。
しかしその2人の争いに、割って入りたい優月。
東3局の親番がくると、暗カンリーチ、1人テンパイで流局。
1本場も先行リーチは1人テンパイで流局。連荘を重ねながら、手が入るのを待つ。
そして迎えた3本場。
暗カン ドラ
4巡目のリーチがここもまた長引き、またしても流局かと思われたハイテイでツモ、裏ドラも乗り6,000は6,200オール。ようやく親番での大きなアガリをものにした。
そして続く3本場もリーチ、流局。積み重ねた4本場にも勝負手が入る。
リーチ ドラ
仕掛けてテンパイを入れていた高田も向かえずオリを選択。これをまたしても終盤にでツモり4,000は4,400オール。少しずつ前を走る2人の姿が見えてきたところだったが、5本場に高田が青山から1,000は2,500をアガリ、長かった優月の親番が終わる。
この連荘で、優月が半荘トップ目に立ち順位点が変化したことにより、トータルポイントで再び西嶋が青山の上になる。
そして迎えた南1局2本場。青山の親番。
5巡目先行テンパイは南家・西嶋。
ドラ
現状13,600点持ち3着目。東1局でのドラ無しリャンメンテンパイリーチ後の7.700放銃がふと脳裏をよぎるがここ再びリーチ。ほどなくして500・1,000は700・1,200。
ライバルの親番を自らの力で流した。
南2局の自身の親は優月のリーチによって流れたが、続く南3局は再び自身の力で400・700は500・800。先頭を走る高田にとっても頼もしく映っただろう。
そしてオーラス。親番の高田がトータルトップ目のため、連荘はほぼ無し。
青山に与えられた勝ち抜き条件は西嶋からの5,200直撃か優月からの跳満直撃、もしくは三倍満ツモアガリ。
最後まで可能性をつないだ手作りをした青山だったが、手が実らず流局となる。
最終戦結果
優月+41.4P 青山+8.5P 西嶋▲17.5P 高田▲32.4P
トータル
高田+28.9P 西嶋+15.2P 青山▲5.1P 優月▲42.0P(供託3)
勝ち上がり 1位高田麻衣子 2位西嶋ゆかり
こうして、A卓の勝ち上がり者2名が決まった。3年連続ベスト16進出から悲願のベスト8進出を決めた高田麻衣子・昨年準優勝で雪辱を果たしたい西嶋ゆかり。
あともうひとつ勝てば、現女王・宮内こずえが待つ決勝の舞台となる。
カテゴリ:プロクイーン決定戦 レポート