第15期プロクイーンベスト16B卓レポート 楠原 遊
2017年09月05日
プロクイーンベスト16の初戦、A卓は、前年度決勝進出者の西嶋ゆかり・3年連続ベスト16進出の高田麻衣子の2名の勝ち上がりで幕を閉じた。
その戦いの熱もさめやらぬ中、B卓の試合日が訪れた。
ルールは日本プロ麻雀連盟WRCルール、半荘4回戦で2名の勝ち上がり。
次にベスト8へ進出する選手は誰なのか、それでは今週の対局者を紹介していこう。
(敬称略)
童瞳(トントン) 13期プロクイーン 前年度決勝進出
東京本部所属 26期生 三段 上海出身
ロン2プロフィール
王政芳(ワンジェンファン)
東京本部所属 22期生 四段 ハルビン市出身
ロン2プロフィール
山脇千文美(ヤマワキチフミ)
東京本部所属 29期生 三段 北海道出身
ロン2プロフィール
高橋侑希(タカハシユキ)
中部本部所属 29期生 二段 岐阜県出身
ロン2プロフィール
和久津晶や茅森早香、二階堂瑠美を倒し13期プロクイーンを制した童瞳がここから登場。
ここまで勝ち上がってきた3名とどのように戦っていくのか。
1回戦(起家から山脇→高橋→王→童瞳)
ここまで大きな点棒移動も無くむかえた南1局、山脇の親番。
選択肢としては、、といったところか。
ここで山脇が選んだのは打。手役は消えてしまうが、河に並んだを見て判断したもっとも効率的な一打といえるだろう。
すぐにを引いて1シャンテン。ピンズの受け入れを外さないことによって無駄にならなかったツモだ。
しかし先行テンパイは童瞳。
ドラ
この手を力強くリーチ。
そしてすぐに山脇も追いついてテンパイ。
リーチの現物待ちをしっかりとヤミテンにして700オールのツモアガリ。
山脇らしい隙のない1局となった。
しかしこのまま小場で進行すると思われたが、王2,000・4,000、高橋の4,000オールと続き、オーラスは山脇が童瞳から8,000。
満貫の応酬となった局が続き、アガリのチャンスの恵まれなかった童瞳が初戦のラスを受ける形となった。
1回戦結果 高橋+24.4P 山脇+13.1P 王▲11.0P 童瞳▲26.5P
2回戦(童瞳→山脇→王→高橋)
東1局は、初戦4着だった童瞳が王から12,000をアガるところからスタート。
そこからアガリを重ね、そして迎えた東3局の親番・王の手牌。
(ツモってきたのは)
ここからをツモ切って6ブロック、手役とドラを逃さない形とする。
さらにそこから、、とツモ切りツモ。
イーシャンテンのターツ選択で、打。
ドラ
そこに北家・山脇のリーチが入る。
リーチ
その宣言牌のをチーしてテンパイ。すぐに山脇から5,800の出アガリとなった。
しっかりと手役にこだわるらしい麻雀で、点棒を回復しトップ目に立つ。
南2局1本場親番山脇の手。
ここから次巡、国士模様の北家・童瞳の切ったをチーしてテンパイ。
7,900点持ちの南場の親番中9巡目、この牌に声を掛けられる打ち手がどれだけいるだろうか。もちろん、大きなアガリを取りにゆきたいところだが、まだ全4回戦の2回目、しっかりとここは目の前のテンパイを逃さず冷静にゲームを廻してゆく。
南3局
西家・山脇が6巡目にリーチ。
リーチ ドラ
それを受けて親番・王も仕掛けてテンパイ。
ポン チー
それを受け西家・童瞳の手がこちら。
まわりつつ1シャンテン、両者に押しづらいを引き、さらに迂回してゆく。
そして巡目は過ぎ14巡目。
手を開いたのは童瞳。
ツモ
アタリ牌をうまく使い切りながら、ノーチャンスなど切りやすい牌を切って組み立て直した値千金の300・500。テンパイ率が高く、しっかりと手を組む童瞳らしいアガリとなった。
オーラスは、ここまで苦しい3着目だった親の高橋が、王・童瞳とのマンズの上目の引き合いを制し4,000オール。
ポン ドラ ツモ
ここから畳みかけるように6,000は6,100オール。
大逆転のトップで2連勝を決めた。
2回戦結果
高橋+33.1P 王+8.2P 童瞳▲2.4P 山脇▲39.5P
トータル
高橋+57.1P 王▲2.8P 山脇▲26.4P 童瞳▲28.9P
3回戦(王→童瞳→高橋→山脇)
折り返しとなった3回戦。
2連勝の高橋を追う3者のポイントはマイナス。
ベスト16A卓の高田のような展開となるのか、それとも追う者たちの大逆襲があるのか。
東1局、その高橋が王に12,000の放銃をするところから半荘がスタートする。
連盟公式ルールに比べ順位点の大きいWRCルール、各者の立ち回りに注目が集まる。
東2局
親の童瞳にドラ3の手が入る。
この手から童瞳が選んだのは。手役をタンヤオに絞り、仕掛けもきく形に受ける。そしてすぐに南家・高橋のをポン。
そしてすぐにが暗刻になった高橋から12,000のロン。
早いテンパイに立て続けに12,000を放銃してしまった高橋。この2回の放銃でここまでのトータルポイント1位が王に、2位が高橋となり、勝負の行方がまた分からなくなった。
東3局
北家・童瞳の手。
ドラ
この1シャンテンにを引いて即座に暗カン。新ドラは。
リンシャンからを引きを切ってツモり三暗刻のリーチにゆく。
一発裏ドラのあるルールだけにもう1枚有効牌を引いてからのカンを選択するプレーヤーも多いと思うが、半荘のトップ目とはいえここはトータル最後尾で3回戦をスタートした童瞳、しっかりと前方を見据え、攻める気持ちの現れた選択となった。
しかしそこに追いついたのは南家・山脇。
ドラ カンドラ
この手ですぐに追っかけリーチ。
ほどなくして童瞳がをつかんで、裏ドラののった12,000のアガリ。
暗カン選択、待ち牌選択と、ポイント状況ゆえに選んだ道の先の結果となったが、童瞳にとって苦しい結末となった局となった。
南1局1本場
再び南家・童瞳の選択。
手変わりの点差が大きいこの手をヤミテンに構える。
そして1シャンテンとなった山脇から打たれる、タンヤオの1,300。しかし童瞳は身動きひとつしない。そして今度は高橋がをツモ切る。場にはが2枚、が2枚目。再び童瞳。やはりアガらず。
そして引いてきたのは待望の。
ドラ ツモ
そっとを河に置く。本人ならずとも気になるアガリ牌の行方だったが、ここは高橋がをツモ切り今度はロンの8,000。箱下1万点となってしまった高橋。
役満こそ実らなかったものの、しっかりと童瞳の意思の現れた局となった。
その後、高橋も子で6,400をアガリ、親番でも粘ろうとするも、3者がそれを許さない。
苦しい苦しい3回戦となった。
3回戦結果
王+40.2P 山脇+22.1P 童瞳▲11.6P 高橋▲40.5P (供託1)
トータル
王+37.4P 高橋+6.4P 山脇▲4.3P 童瞳▲40.5P (供託1)
4回戦(王→童瞳→山脇→高橋)
長かったベスト16B卓の戦いも残り1戦となった。
安定した成績でトータルトップ目に立った王、苦しい3回戦を終えどうにか2位の高橋、そしてそのすぐ後ろに着順勝負の山脇、そして少々苦しいながら順位点でまだまだチャンスのある童瞳。
ベスト8への切符を手にすることが出来るのは一体誰か。
東3局
ここまで半荘トップ目に立つ親の山脇がリーチ。
リーチ ドラ
が3枚場に打たれ、がドラ表示牌に見える切りリーチ。ここで一気に勝負をつけようという事か。
しかしライバル、南家・高橋もここで連荘される訳にはいかない。
山脇の現物待ちをヤミテンとして王から1,300のアガリ。先行する山脇に走らせることなく、大きな価値あるアガリとなった。
南3局
戦いもいよいよ最終コーナーに入る。
こちらは現在半荘ラス目になっている西家・王の手牌。
トータルポイントでも2位になっており、3位の高橋からターゲットとなる位置に立っている。
ここから西をポンして6巡後にこの形。
ポン ドラ
ここにを引いて少考してシャンポンへの受け変え。リャンメンでアガっても瞬間の着順は上がるが、そのさらに次の局を見た受け変えとなった。
そして童瞳から5,200のアガリ。再びトータルトップ目に立つ。
南4局
現在の持ち点は 王30,000 童瞳20.000 山脇38,000 高橋32,000。
トータル2着目の山脇・3着目の高橋との争いとなるが、首位の王も安心はしていられない位置だ。
北家・山脇が、この戦いを終わらせるべく4巡目から仕掛けていく。
この日幾度となく見た、山脇のチーだ。
ここから童瞳の切ったをチー。
そしてその仕掛けを受け、数巡後高橋にテンパイが入る。
ドラ
1回戦から、ほとんどの局面でリーチをかけてきた高橋の再びのリーチ。
2者のこの日と戦いを表す、ドラマチックな対決となった。
山脇もリーチを受けこの形。
チー ツモ
静かに打ちだされる中筋の、そして次巡引いた無筋の牌もおしてゆく。
待ちのはリーチの現物。それを見た王が手の内から切ったで、この長かった戦いに終止符が打たれた。
最終戦結果
山脇+26.0P 高橋+6.0P 王▲7.0P 童瞳▲25.0P
トータル 王+30.4P
山脇+21.7P 高橋+12.4P 童瞳▲65.5P (供託1)
勝ち上がり 王 山脇
こうして、B卓の勝ち上がり者2名が決まった。
おのおのがその持ち味をしっかりと出し、放送時間6時間半を超える長い戦いとなった。応援して下さった方々はもちろん、選手たちにとっても苦しい4半荘だっただろう。
勝った2人には、さらなる戦いが待っている。
果たして、決勝に進み女王・宮内こずえに挑戦できるのは誰になるのか。
カテゴリ:プロクイーン決定戦 レポート