プロクイーン決定戦 レポート/第10期 ベスト8レポート
2012年10月15日
プロクイーンベスト8A卓の組合せは、清水香織、内田美乃里、筒井久美子、豊後葵(協会)。
ベスト8もベスト16と同じく半荘5回戦。
ベスト8 A卓(清水香織、内田美乃里、筒井久美子、豊後葵(協会))
左から 内田 美乃里、筒井 久美子、清水 香織、豊後 葵(協会)
ベスト16では、清水も内田も別卓ではあったが、共に他を圧倒する強さを見せ、
3回戦終了時で早々と勝ち上がりを決めたのだが、今日は大きく明暗が分かれてしまった。
清水はベスト16と同様に、初戦から2着、トップと順調にポイントを増やすが、
内田は3着、ラスと、清水とは対照的に苦しい立ち上がり。
3回戦目に試合は更に大きく動いた。
東2局、親の清水が仕掛ける。
清水 香織
ポン ドラ
この後をポンして、ホンイツトイトイに変わったところで、西家の内田がリーチ。
リーチ
現在トータル4位の内田は、ここが勝負所と見て危険を承知でツモリ倍満のリーチを打ったのだが、
を掴んで清水への18,000放銃となり、3度目の決勝進出の夢はここで絶望的となった。
内田 美乃里
南1局の親では、筒井が押し寄せる好ツモで6,000オール。
ツモ ドラ
まだ半荘2回を残して、清水、筒井で勝負あったかのように思われた。
3回戦終了時成績
清水+90.9P 筒井+27.3P 豊後▲33.2P 内田▲85.0P
次の4回戦で、筒井が豊後より上なら5回戦を待たずに事実上の終戦である。
しかし、筒井が4回戦でラスを喰ったため、3着の豊後にまだ条件が残った。
筒井と豊後の差は41.7P。普通のトップラスで逆転可能なのである。
ベスト16では、筒井がこれと全く同じような点差を逆転して勝ち上がったのだが、そのときは筒井が追いかける側で、今度は逃げ切る側である。
大差を追うのは開き直って攻めれば良いが、そこそこのリードを守る方は難しいものだ。
東場はあまり動きが無く、回った南1局、北家・豊後が仕掛けた。
豊後 葵(協会)
ドラ
7巡目にこのメンホン七対子ドラ2の1シャンテンからをイチ鳴きし、小四喜の渡りも見て打、直ぐにが暗刻になり打で1シャンテン。
ポン
ここで、親の内田がリーチ。
内田も親番があるうちはまだ諦めない。
リーチ
豊後もここは勝負所で全部行く。
西家の筒井はオリに回るのだが、内田が切ったを合わせて切り、豊後にチーされ、次巡、で跳満をツモられてしまった。
筒井の当面の敵は豊後であり、筒井はソーズに染めている豊後の上家だ。
親リーチの現物に窮したとは言え、豊後にアシストする牌だけはおろすべきではなかった。
筒井 久美子
この跳満ツモで、豊後のトップはほぼ確定したが、2着目が筒井では3万点以上、差をつけなければならない。
親が落ちて可能性が無くなった内田と、もう点棒を増やす必要の無い清水は何もしてこないだろうから、
豊後はあと2万点近く筒井との点差を広げる必要がある。
ラス前の筒井の親で、南家・豊後がツモれば逆転のリーチ。
リーチ ドラ
だが流局。オーラスは豊後の親リーチ。
リーチ ドラ
しかし流局。次局も高目なら逆転のリーチ。
リーチ ドラ
3連続の逆転リーチがついに実るが、ツモッたのは安目ので裏ドラ乗らず。
現時点で、筒井と豊後のトータルはまだ筒井が400点上だ。
続く3本場でついに決着がつく。
豊後がチーテンを入れ、
チー ドラ
筒井もメンゼンテンパイ。
逃げる筒井と追う豊後。
どちらがアガるのだろうかと見ていたら、西家の清水もテンパイ。
ここまでは静観していた清水に、門前の満貫手が入った。
そしてリーチを打つ。
清水の捨て牌にソーズは1枚も無いが、オリたら負けと思う豊後が、2巡後にを掴んで放銃。
誰もが清水と筒井の勝ちで終わったと思ったが、何と集計してみると豊後が筒井より上になっていた。
0.4P下だった豊後が、3本場で満貫を打ち▲8.9Pなのだが、清水が筒井を抜いて2着になったため、筒井の順位点が10P減る。
つまり、豊後は満貫を放銃して1.1P得をし、筒井よりトータルで0.7P上になったのだ。
私もこのケースは瞬間見落としていたくらいの、レアな逆転決着。
裏が1枚でも乗って跳満なら筒井の勝ち。6.400点以下でも、筒井が2着のままなので筒井の勝ち。
筒井にしたらやり切れない、悔やんでも悔やみきれないような敗戦となった。
最終成績
清水+98.7P 豊後▲7.4P 筒井▲8.1P 内田▲83.2P
決勝進出者:清水香織・豊後葵
ベスト8 B卓(安田麻里菜、室伏理麻、魚谷侑未、白河雪菜)
左から 白河 雪菜、安田 真里菜、魚谷 侑未、室伏 理麻
1回戦は、南3局に大きく動いた。
それまで36.000点持ちのトップ目北家・魚谷がリーチ。
リーチ ドラ
親の安田が即追いかける。
リーチ
魚谷が一発でを掴んで18.000点!
この後、安田が4本積み1人浮きのデカトップスタート。
安田 真里菜
2回戦は小場ながら初戦ラスの白河がトップでスコアを戻す。
3回戦は東4局、トップ目の親の室伏に、6巡目に早くて高いリーチが入る。
リーチ ドラ
安目のをツモったが、裏ドラも乗って6.000オール。
2回戦終わって、4番手にいたのだがこの大トップで一気にトータル2番手に浮上した。
3回戦終了時成績
安田+39.0P 室伏+14.7P 白河▲16.6P 魚谷▲37.1P
白河と魚谷は、次の4回戦で室伏より下の順位を取ると非常に苦しくなる。
4回戦、魚谷の起家で室伏がメンピンツモドラ1の1.300、2.600を軽くツモアガる。
追う立場の、魚谷と白河には辛いスタートだが、続く東2局、親の安田が6巡目に切りでとのシャンポン待ちリーチ。(ただしドラがである)
ここに、北家の魚谷が追いつく。
發単騎で堪えて欲しかったが、魚谷は勝負を焦ったのかを切ってリーチと行き親満の放銃。
「ここで魚谷ジ・エンド」と私はメモに書いた。
同1本場、またも安田が6巡目に親満リーチ。
リーチ ドラ
今度は、皆懸命にオリるが、終盤手詰まった白河が、リーチの後スジを頼りをオリ打ち、「白河もジ・エンド」と私はメモに書いた。
安田は遥か彼方に、2位の室伏とも25.000点以上離れた魚谷と白河は、このままこの半荘が終われば最終5回戦を待たずに終戦である。
魚谷と白河が諦めずに必死で追いかけても、安田と室伏が手堅く場を回せば、勝負の流れが大きく傾いた今の状態から、勝敗が覆ることは無かろう。
そう思い私は観戦ノートを閉じた。
ところが南2局、安田の親で室伏がリーチ。
とのシャンポン待ちでならリーチのみ、もう試合は詰めの段階に入り、勝っている者は安全に局を潰して行くのがトーナメントの闘い方ではなかろうか?
で出アガリが利くならヤミテンで充分と思う。
願ってもない直撃チャンスに、魚谷が果敢に攻め返してまず満貫を直取り。だがまだ大差。
次局、室伏の親では少しだけ勢い付いた魚谷が先制リーチ。
リーチ
室伏は、一度は手を崩して受けに回ったようだったが、終盤1シャンテンになると、無筋のを打ち出して5.200点の放銃。
魚谷が2着になり、室伏が3着に落ちた。
「オリていれば良いのに….」と思うのは余計なお世話か?
これで消化試合になりそうだった最終戦に、難しいけど現実的な逆転条件が残った。
4回戦終了時成績
安田+72.8P 室伏+2.5P 魚谷▲32.8P 白河▲43.5P
トップとラスで30P変わるから、魚谷は普通のトップラス条件。
白河は、16.000点差のトップラス条件だ。
魚谷も白河も、まずトップが必要最低条件だから最初から攻める。
まず魚谷がリーチの白河から満貫。
魚谷 侑未
チー ドラ ロン
ラス前は白河の親で、ラス親は室伏。
ここまで魚谷がトップ目で回ってきたが、室伏が2着目なのでまだまだ差がある。
この状況で、まず室伏がピンフ手で先制リーチ。
リーチ ドラ
このままオーラスになれば、かなり安全だからリーチしなくても・・・・
行くしかない親の白河が追いかける。
白河 雪菜
リーチ
ここは白河がツモッて、裏が乗り4.000点オール。
室伏が3着に落ちたので、状況が緊迫してきた。同1本場は白河がリーチ。
リーチ ドラ
魚谷もリーチ。
リーチ
魚谷がこれをツモれば、室伏を逆転する勝負リーチだったが白河に放銃。
裏1枚の3.900点で、白河がトップ目になった。このため、室伏には順位1つ分の余裕が出来た。
2本場は、3人がアガリに向かったが、ドラドラ七対子をテンパイした魚谷の余り牌で、室伏が1.000点をアガって勝負有り!
オーラスは、白河が6.400直撃か跳満ツモ。
魚谷が、跳満直撃か跳満ツモ条件だったが、ここまで静観していた安田があっさりと満貫をツモって終了。
室伏がラスになり、白河との着順条件はクリアされたが、点差で届かず。室伏が逃げ切った。
室伏 理麻
最終成績
安田+78.6P 室伏▲17.6P 白河▲21.3P 魚谷▲40.7P
決勝進出者:安田麻里菜・室伏理麻
決勝戦は、昨年、初戦から最後まで圧勝で初タイトルを奪取した、和久津晶を交えての2日制5人打ちとなる。
本命は、7年ぶり3度目の決勝で2度目の載冠を狙う清水だろうが、混戦で荒れる予感がする。
はたして第10期のクイーンとなるのは誰なのだろうか?
決勝進出者
和久津 晶(現タイトルホルダー) vs 清水香織 vs 安田麻里菜 vs 室伏理麻 vs 豊後葵(協会)
決勝:10月20、21日 12:00対局開始 会場:じゃん亭Nobu
(文中敬称略)
カテゴリ:プロクイーン決定戦 レポート