第31期中部プロリーグ 第9節レポート
2018年12月10日
●Aリーグ:村瀬 寛光
第8節の組み合わせは以下の通り。
1卓 杉村・日下・清水・伊藤・小野
注目のカードは現在2位の伊藤、3位小野の上位陣直接対決の行方だろう。
開始早々、東2局小野の勝負手と仕掛ける伊藤の手牌がぶつかる。
ドラ 9巡目リーチ
対する伊藤は、マンズのホンイツ仕掛けで
チー ポン
軍配が挙がったのは伊藤。を力強くツモり上げ1,300・2,600のアガリ。
このアガリを機に順調に点棒を重ね、1回戦目は伊藤がトップ。
2回戦も伊藤の勢いが止まらない。2,000・3,900ツモと7,700出アガリと連勝かと思われたが、ここに清水が待ったを掛ける。南1局親、下記のリーチで杉村から高目が出て11,600。
ドラ
続いて南4局、清水は5,200以上のアガリがトップ条件だが、最後は見事にクリア。
チー ポン ツモ ドラ
伊藤・清水と1着2着を分け合い迎えた3回戦。清水の抜け番で東1局から伊藤は日下から12,000出アガリスタート。
次局は日下のチンイツと杉村ドラ3の勝負手がぶつかる。
日下
ポン チー ツモ ドラ
杉村
リーチ
放銃してもすぐにアガリ返す日下。彼はAリーグ在籍8年目だが、5回決勝進出中2回優勝経験を持つ実力者の1人。その飄々とした様とは裏腹に実に高度な雀力と洞察力を兼ね備えている。
その後は伊藤の1人舞台となりトップ。
4回戦目は清水と小野の一騎打ちへ。小野が2,600オール、2,000・4,000をツモり清水も負けじと応戦。南2局、清水、杉村、日下の勝負局。
清水
ドラ
杉村
日下
ポン
清水と杉村はじっと息を潜めてヤミテンを選択。を掴んだ日下が6,400放銃となってしまった。
結果は小野が競り勝ち待望のトップ。
5回戦は最後まで好調だった清水が有終の美を飾り、卓内トップを収めた。
2卓 古川・三戸・山本(拓)・寺戸・森下
三戸、山本(拓)の両者がプラスで迎えた8節、この卓では激動の展開が待ち構えていた。
起家の森下が序盤から2,000オール、5,800出アガリと攻勢に出る。
東4局、森下の手牌
ドラ
寺戸から6,400、続く南1局親番でも下記の手牌をモノにして9,600出アガリ。
ドラ
南2局ではドラがなくてもしっかり手役でポイントを掴み取った。
リーチ ロン ドラ
初戦から6万点越えの大トップで勢いをつけた。
2回戦以降もその勢いは留まることを知らず、終わってみれば4連勝で+110.9ポイントを叩き出し、降級圏内の12位から暫定4位に急浮上。決勝卓まで残り1節、その地力に期待したい。
森下の印象に残った局面がこちら。
4回戦・南3局、三戸と森下の勝負局。
三戸がこの手牌で7巡目リーチ、
リーチ ドラ
親の森下もヤミで応戦していたが、下記手牌からを引き追っかけリーチ。
どちらでもアガリではあるが、振り替わる前なら7,700のところ引きリーチなら12,000。
が一発で出た意味合いに態勢の違いを大きく感じた瞬間だった。
4卓 掛水・朝岡・加藤・土岐・都築
首位を走る掛水と土岐(4位)加藤(5位)都築(6位)が激突する順位変動必至の熱いカードの行方は。1回戦目は掛水が抜け番で、朝岡を除く3人は是が非でもポイントを稼ぎたいところだったが、その朝岡に点棒が吸い取られていく展開に。
南3局、土岐対朝岡の構図へ。土岐が先制リーチを掛けるも、親の朝岡はヤミで受ける。
土岐
朝岡
ツモ ドラ
流局と思われた残り1巡の出来事だった。今振り返ればこの最後の1枚をツモった時点で4卓の結果は決まっていたのかもしれないと思った。2回戦では都築が下記勝負所をしっかり捉えトップを果たした。
東4局2本場、加藤・都築の仕掛けに親の土岐が迎え撃つ形になった局面。
加藤
ポン
土岐
都築
チー チー ツモ ドラ
朝岡が1・2・2・1着と圧倒的な力でねじ伏せる結果となったが、掛水も最小限のマイナスで抑え、不動の首位を守り通した。最後に今期掛水の成績を象徴する1局をご紹介したい。
掛水
ポン ポン ドラ
都築
加藤
後から都築・加藤の2軒リーチが掛かったとは言え、ドラ3で勝負手の掛水。を掴み小考して出した結論はオリ。この冷静かつ正確な読みがこれまでの結果に繋がっているのだと実感した。
いよいよ次が正念場の最終節。今節の森下のように4連勝出来れば11位の清水まではチャンスがあるだろう。しかし現実的に考えれば降級ボーダーが▲57.6である以上プラス組までが妥当か。だが常識では計り知れない「その先」を期待せずにはいられない。
Aリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 6節 | 7節 | 8節 | 9節 | 10節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 掛水 洋徳 | ▲ 8.9 | ▲ 3.5 | 39.7 | 54.1 | ▲ 1.9 | 54.2 | 33.1 | 95.0 | ▲ 0.6 | 261.2 | |
2 | 伊藤 鉄也 | 15.6 | ▲ 33.6 | ▲ 19.6 | 90.7 | 63.2 | 22.2 | 0.4 | ▲ 18.4 | 33.2 | 153.7 | |
3 | 小野 雅峻 | 73.1 | 32.5 | 3.8 | 12.4 | ▲ 41.7 | 20.2 | 14.0 | ▲ 35.9 | ▲ 32.0 | 46.4 | |
4 | 森下 剛任 | ▲ 7.4 | 18.6 | ▲ 30.2 | 16.0 | ▲ 8.7 | ▲ 9.7 | ▲ 2.8 | ▲ 46.5 | 110.9 | 40.2 | |
5 | 土岐 雄太 | 17.8 | 21.3 | 15.7 | ▲ 11.0 | 32.4 | ▲ 15.3 | ▲ 29.6 | 18.8 | ▲ 12.5 | 37.6 | |
6 | 三戸 亮祐 | 5.4 | 3.3 | 5.3 | 33.1 | 34.3 | ▲ 23.6 | ▲ 10.3 | ▲ 38.0 | 4.4 | 13.9 | |
7 | 都築 友和 | ▲ 14.2 | 5.8 | 2.8 | ▲ 0.3 | ▲ 63.9 | 40.6 | ▲ 2.0 | 47.8 | ▲ 14.5 | 2.1 | |
8 | 朝岡 祐 | 22.1 | ▲ 27.1 | ▲ 25.3 | ▲ 37.8 | 6.2 | 11.6 | ▲ 5.6 | ▲ 11.2 | 57.1 | ▲ 10.0 | |
9 | 加藤 泰史 | 16.2 | ▲ 25.5 | 45.0 | ▲ 38.1 | ▲ 17.4 | ▲ 24.1 | 31.5 | 30.0 | ▲ 29.5 | ▲ 11.9 | |
10 | 寺戸 孝志 | 35.7 | ▲ 18.6 | 23.6 | ▲ 48.7 | ▲ 64.9 | ▲ 5.1 | 48.3 | 0.5 | 5.8 | ▲ 23.4 | |
11 | 清水 哲也 | ▲ 9.0 | ▲ 25.5 | 20.1 | ▲ 4.2 | ▲ 32.8 | ▲ 8.9 | ▲ 9.2 | ▲ 17.4 | 62.4 | ▲ 24.5 | |
12 | 日下 健司 | ▲ 40.1 | ▲ 5.0 | 30.3 | ▲ 7.4 | 20.0 | 2.1 | ▲ 32.9 | 4.0 | ▲ 28.6 | ▲ 57.6 | |
13 | 山本 拓哉 | ▲ 86.7 | 19.8 | ▲ 19.7 | 44.7 | 21.5 | 22.4 | 5.4 | 0.4 | ▲ 71.4 | ▲ 63.6 | |
14 | 古川 孝次 | ▲ 2.0 | 26.3 | ▲ 52.8 | ▲ 79.1 | 59.2 | ▲ 20.1 | ▲ 39.1 | ▲ 39.3 | ▲ 49.7 | ▲ 196.6 | |
15 | 杉村 泰治 | ▲ 30.9 | ▲ 3.5 | ▲ 27.4 | ▲ 39.2 | ▲ 28.6 | ▲ 27.3 | ▲ 30.1 | 9.2 | ▲ 35.0 | ▲ 212.8 |
●Bリーグ:村瀬 寛光
静かに小雨が降りしきる中、最終節に向けて正念場とも呼べる第4節が始まった。
Bリーグにおける第4節は非常に重要な意味合いを持つ4回戦である。昇級を目指す者・降級を回避したい者、両者に共通するテーマは1つ。マイナスだけは絶対に避けなければならない事だ。
では今節の結果を順に見ていこう。
5卓 木村・青山・高橋・堤
現在4位の高橋と6位の堤は最終節に望みを託すため、なんとしてもプラスで終わりたいところ。木村・青山も大きくポイントを叩けば昇級のチャンスは充分だが結果はいかに。初戦から堤のハキハキとした発声が場内に響く。軽快にアガリを重ねて1回戦目はトップ、続く2回戦は3着に甘んじるも3回戦では値千金の1人浮きトップを取り、最後はしっかりプラスで終了。昇級圏内まであと一歩の3位まで浮上し、対する高橋は7位まで後退してしまった。木村は手堅くプラスにまとめ、青山は手痛いマイナスを余儀なくされた。
6卓 大町・中谷・富村・岡田
最低でもプラマイゼロ以上で終えたい首位の大町と、少しでもプラスでまとめ降級圏内から脱したいと目論む3名との勝負。初戦は中谷と岡田が競り合う展開になるも軍配が挙がったのは中谷。続く2回戦、1回戦で4着を押しつけられた大町だったが勝負所を見逃さずきっちりアガリ切り、その後も正確な場況読みと押し引きが功を奏し4回戦まで盤石の流れをつくった。富村は3回戦目に+45.1Pの超特大トップをもぎ取り、最後までリードを守り卓内トップに。今節のテーマに掲げたであろう降級圏内脱出を見事果たした。16位の岡田は8巡目小四喜テンパイと絶好の好機があったのだが、最後まで成就する事なく大きなマイナスに沈んだ。
7卓 田村・太田(充)・金平・斎藤
5位田村は2位斎藤との直接対決で1回戦目から奮起するが、2回戦以降一気に調子を落としマイナスを重ねた。斎藤は昇級に向けてその手を緩めず、プラスでまとめ首位の座へ。今節1番大きなポイントを叩いたのは2・2・1・1着とオールプラスで+72.3ポイントを稼ぎ出した金平。大きく上昇し4位に、昇級争いへ名乗りを挙げた。
8卓 大滝・大橋・佐藤・安藤
3位の安藤は安定した打ち方でしっかりとプラスで終えた。順位を1つ落とす結果となったが、最終節を見据えしっかりと準備をしていくに違いない。対する大橋は1・2回戦で▲41.3Pと大きな負債を抱えるも、持ち前の勝負強さを発揮し後半に立て直し連勝で飾り昇級に望みを繋いだ。
佐藤はプラスという結果で終えたが、まだまだ予断を許さない位置にいるため決して安心はしていないだろう。
昇級枠は2つでボーダーは+101.3ポイント。上位をひしめくその差は30ポイント弱と混戦必至の最終節を迎える結果となった。次節では上位陣の直接対決も実施されるため、一節だけで昇級圏内への順位が大幅に変動する展開も十分考えられる。果たして最高峰に位置するAリーグへの扉は誰に開かれるのか。
Bリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 斎藤 寛生 | 44.1 | 42.5 | ▲ 3.8 | 27.1 | 109.9 | |
2 | 大町 篤志 | 52.5 | ▲ 9.3 | 44.9 | 13.2 | 101.3 | |
3 | 堤 文吾 | 4.0 | ▲ 21.8 | 53.3 | 52.9 | 88.4 | |
4 | 金平 裕樹 | 32.3 | 13.7 | ▲ 37.5 | 72.3 | 80.8 | |
5 | 安藤 大貴 | 78.0 | ▲ 33.0 | 15.7 | 10.0 | 70.7 | |
6 | 大橋 幸正 | 11.5 | 5.5 | 10.9 | 11.8 | 39.7 | |
7 | 高橋 侑希 | 21.5 | 57.1 | ▲ 23.1 | ▲ 27.1 | 28.4 | |
8 | 木村 東平 | ▲ 30.0 | 31.1 | 4.1 | 18.9 | 24.1 | |
9 | 田村 良介 | ▲ 19.1 | 23.6 | 42.4 | ▲ 43.0 | 3.9 | |
10 | 青山 大 | 39.1 | ▲ 11.5 | ▲ 2.3 | ▲ 44.7 | ▲ 19.4 | |
11 | 富村 つぐみ | 0.2 | ▲ 48.0 | ▲ 33.9 | 45.0 | ▲ 36.7 | |
12 | 佐藤あいり | ▲ 24.5 | ▲ 50.0 | 19.7 | 13.7 | ▲ 41.1 | |
13 | 太田 充 | ▲ 68.1 | 24.4 | 18.9 | ▲ 56.4 | ▲ 81.2 | |
14 | 中谷 彰吾 | ▲ 28.9 | 0.3 | ▲ 69.2 | 11.8 | ▲ 86.0 | |
15 | 大滝 聡 | ▲ 36.5 | ▲ 81.8 | 4.0 | ▲ 35.5 | ▲ 149.8 | |
16 | 岡田 智和 | ▲ 77.1 | 3.2 | ▲ 44.1 | ▲ 70.0 | ▲ 188.0 |
●Cリーグ:長谷川 弘
第31期中部プロリーグCリーグも、もはや第4節。昇降級に向けての微妙な舵取りが許される事実上最後の節となろう。
今節Cリーグを取材して感じたのは、各対局者とも最終節に照準を合わせ、総合順位を意識した手組にシフトしている点だ。
今節首位に立った大高坂。かつては悪い手牌でもひたすらシャンテン数を上げることに没頭していたそうだが、今節はメリハリを利かせ、相手の特性に合わせた戦術が型にはまった。「手は入っていなかったが、丁寧に対局できた」。いつまでも混沌とした結果に甘んじるわけにはいかない。大きく伸ばしたスコアがその決意と対応力の高さを証明している。
池沢は卓組された対戦相手の立場と自身の順位に合わせた対策を予め講じて対局に臨んだ。
「手が悪くても小細工はしない。状況に合わせてできることを精一杯するだけ」。攻撃寄りであろう下位の対戦相手をケアしつつ、原点維持を目標に掲げ、今節を含め見事ここまで全てプラススコアでまとめてみせた。
捨て牌、山読みから自身の要牌の枚数を推察することを得意とする若松。「状態が悪いときは失点を取り返せない。我慢を重ねながら手順に変化を持たせて勝機を待つ」。常にリスクを負う覚悟は持ちながらも、自身の状態と手牌のバランスを繊細に扱う姿勢が目標通りの累加に結び付いたようだ。
岡本は「細かいミスが多く、押し引きが中途半端だった。稽古が足らない」と反省の弁を口にした。状態が悪いときの判断材料の積み上げが今後の課題になろうが、それでも今節マイナスすることなく、残留圏内に踏みとどまったことで、胸をなでおろしていることだろう。
配牌、展開は満足のいくものを与えられる機会の方が圧倒的に少ない。いわゆる変哲のない平凡な、もしくは最終形を想像することが容易でないほどの悪い手牌を、いかに状況、状態、対戦相手に合わせて的確に処理し、育て上げることができるかが打ち手の技量である。
そこから得た成果を精査し、アウトプットして後の実戦に反映させる。それらを怠れば、いくら脳内で手数を出そうと大きな進歩は望めない。
手順の後先にはわずかな違いしかない。しかし、それでも各人の思考、姿勢、選択によって結果に大きな差が出るのが麻雀の醍醐味の1つであり、リーグ戦という名の短期決戦の1つの結果でもあるのだ。
Cリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 大高坂 松城 | 38.0 | ▲ 0.3 | 14.6 | 58.1 | 110.4 | |
2 | 越川 清一 | 69.4 | 44.6 | 35.1 | ▲ 41.8 | 107.3 | |
3 | 鈴木 涼太 | ▲ 43.1 | 26.8 | 53.5 | 31.4 | 68.6 | |
4 | 池沢 麻奈美 | 19.5 | 28.2 | 12.3 | 6.3 | 66.3 | |
5 | 若松 正和 | 35.5 | ▲ 17.4 | 25.4 | 17.5 | 61.0 | |
6 | 太田 峻也 | 35.3 | ▲ 20.8 | 13.5 | 24.7 | 52.7 | |
7 | 山本 美文 | ▲ 46.9 | 41.9 | 77.4 | ▲ 55.9 | 16.5 | |
8 | 蓮池 浩太 | ▲ 65.8 | ▲ 3.9 | 77.6 | 7.0 | 14.9 | |
9 | 岡本 丈司 | 33.4 | ▲ 29.9 | 3.7 | 3.2 | 10.4 | |
10 | 浅野 文雅 | ▲ 6.0 | ▲ 3.5 | ▲ 18.3 | ▲ 16.3 | ▲ 44.1 | |
11 | 杉浦 貴紀 | 11.6 | ▲ 61.1 | ▲ 70.3 | 73.7 | ▲ 46.1 | |
12 | 日高 志穂 | 15.2 | ▲ 35.8 | ▲ 15.8 | ▲ 41.0 | ▲ 77.4 | |
13 | 河合 慎悟 | ▲ 46.0 | ▲ 51.6 | ▲ 65.5 | 83.7 | ▲ 79.4 | |
14 | 大西 義則 | ▲ 45.7 | 24.1 | 14.4 | ▲ 83.2 | ▲ 90.4 | |
15 | 鈴木 雄介 | 16.2 | 2.7 | ▲ 105.3 | ▲ 24.5 | ▲ 110.9 | |
16 | 原田 知彦 | ▲ 25.6 | 54.0 | ▲ 102.3 | ▲ 42.9 | ▲ 116.8 |
●Dリーグ:長谷川 弘
秋雨したたる晩秋のなか行われた第31期中部プロリーグDリーグ第4節。
今節を含め残り2節で、わずか3枠しかない昇級者が決定される。
昇級に手応えを感じている者も、やや現実味が遠ざかったように感じている者も自分らしく戦うことができただろうか。
今節開始前まで暫定ではあるものの、首位を走る菅野。
「前節は仕掛けが多い対局者に惑わされないよう配慮したつもりだが、少しラフに構えすぎた」
その反省を胸に今節は自身のスタイルを貫き通し、首位の座を譲ることなく昇級の可能性を力強く手繰り寄せた。
目先の出来事に囚われることなく、じっくり腰を据えての手作り、どちらかと言えば守備寄りと自身を評するが、配牌時、最後の一牌を取る際に指先に力を込める特有のルーティーンからは、温和な人柄とは真逆の力強さを感じる。
昇級圏である3位に浮上した家田は放銃を抑え、本手を確実にものにできたことが今節の好成績につながったようだ。
シャンテン数が深いところからのフーロ判断、構想と妥協のバランスに課題を残すが、ヤミテンとリーチ判断には強いこだわりが見て取れる。
滑らかな牌捌き、卓上での手際の良さも円熟味がある。
昇級を確実視するには、まだまだ予断を許さないスコアではあるものの、最終節に大きく望みを繋げることはできたはずだ。
成功する組織や人には3つの共通点があるそうだ。
そのことを「継続する力」、「情熱」があること。そして個々の強みや個性といった「オンリーワン」を持ち合わせていること。
それぞれどれか1つ欠けても望む結果は得られるはずもないが、とりわけ原動力となる「オンリーワン」がなければ継続力、情熱、共に乏しいものになりかねない。
オンリーワンは何も圧倒的に特別なものでなくてもいい。「こだわり」、「付加価値」程度でもそこに「自分らしさ」があればそれで構わない。
試合とは正に自身の力と相手の力の「試し合い」である。
わずか5節という短い期間では、何かを試すにはあまりにも時間が経ちすぎたかもしれない。
しかし、特に昇級圏から遠ざかってしまった者も残りの時間は有意義に活用してほしい。
オンリーワンは誰にでも存在する。
それを見つける時間はまだ残されているはずだ。
Dリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 菅野 直 | 50.7 | 10.1 | ▲ 8.7 | 99.8 | 151.9 | |
2 | 鈴木 淳 | ▲ 29.2 | 101.4 | ▲ 24.8 | 4.8 | 52.2 | |
3 | 家田 みゆき | ▲ 9.5 | ▲ 38.6 | 48.5 | 18.6 | 19.0 | |
4 | 山田 まさとし | 43.1 | ▲ 10.5 | ▲ 12.6 | ▲ 5.1 | 14.9 | |
5 | 加来 千香子 | ▲ 25.1 | ▲ 9.8 | 14.1 | 9.2 | ▲ 11.6 | |
6 | 後藤 咲 | 1.7 | 18.2 | ▲ 2.2 | ▲ 32.6 | ▲ 14.9 | |
7 | 近藤 美香 | 34.8 | ▲ 55.8 | 18.2 | ▲ 33.7 | ▲ 36.5 | |
8 | 奥 潤次 | ▲ 79.3 | ▲ 17.8 | 21.4 | 1.7 | ▲ 74.0 | |
9 | 羽川 えりか | ▲ 6.1 | 2.8 | ▲ 53.9 | ▲ 63.7 | ▲ 120.9 |
カテゴリ:中部プロリーグ レポート