第32期中部プロリーグ 第6節レポート
2019年09月05日
Aリーグ:大橋幸正
今期A・Bリーグのレポートを担当させて頂きます33期生の大橋幸正です。拙い文章になるかもしれませんが、読み応えのあるレポートを作成していきたいと思っています。半年間、どうぞ宜しくお願い致します。
第32期中部プロAリーグは第6節を迎え、いよいよ後半戦に突入した。第5節を終えた時点で、上位、中位、下位が割としっかり表れる結果となっている。各選手、決勝進出を目指すのはもちろんだが、16名中4名と4分の1が降級するという非常にシビアな戦いである。現状1位の清水、2位の小野は降級の心配をする必要が無いであろうが、3位の三戸以下は残留も意識して戦う必要がある。
第6節が行わる日の数日前、前中部プロリーグ優勝者の伊藤(鉄)と話をさせて頂いた。現状4位の伊藤(鉄)は決勝進出圏内にいる。しかし、伊藤(鉄)は下位の選手相手に厳しく打つと話をしていた。その言葉の意図する所は、下位の者を上位に浮上させない、つまりは決勝争いをする者を増やさないと同時に、自分が降級争いに巻き込まれないようにするということである。上位リーガーであればあるほど、このような駆け引きを意識して打っているように思う。その辺も注目しながら、対局を見ていこうと思う。
第6節の組み合わせは以下の通り。
1卓 清水・朝岡・林・村瀬
現状ダントツで首位を走る清水、朝岡、林は決勝を見据えながら残留も強く意識しなければならないポジション、村瀬は降級圏内におり、なんとしてもプラスにしたいポジションにいる。
対局開始前に清水に後半戦に向けてのコメントを聞いてみた。
「たぶん、大丈夫だと思うので、普段通り打ちます。」と回答。
非常に楽観的に聞こえるが、自信があるのだなと感じた。
結果は清水、朝岡、村瀬の壮絶なせめぎ合いとなり、3者ともプラスで終えた。割を食う形となったのは林。この日、オール逆連対で▲56.7Pと手痛いマイナスとなった。林は終始落ち着いて打っており、しっかりと手を組み、本手が入った時はぶつけるスタンスを取り続けていたが、私が見た限りだと、本手は1回もアガれず、3者のファインプレーに阻まれる形になってしまった。非常に良い内容の麻雀を打ち切っていたように見えたので、比較的スピード重視と攻め気の強い3者と噛み合わなかったとしか言いようが無い。内容が良くても結果がなかなかついてこないのが麻雀の難しい所である。
村瀬は嬉しい卓内トップで降級圏内を脱出に成功した。
2卓 小野・土岐・加藤・堤
1回戦、東場で落ち着いたゲームメイクをし、見事な1人浮きのトップを取った土岐のワンサイドゲームになるかと思ったが、それに待ったをかけたのは現在2位の小野。親番の優位性を上手く使い、3回戦目、4回戦目に大きくポイントを稼ぎ、+28.9Pの卓内トップとなった。トータルポイントも+158.6Pまで伸ばすことに成功。残り4節、大崩れをしにくい選手なだけに、決勝進出は安泰と見て良いだろう。堤は4回戦目のオーラス親番の大連荘で一気にプラスし、降級圏内を脱出、加藤は卓内ラスとなってしまい、降級圏内に入ってしまったが、まだまだ2者にとって、苦しい戦いが続くであろう。
3卓 三戸・寺戸・長谷川・斎藤
現在最下位の斎藤にとって、踏ん張り所の一戦となった。1回戦、2回戦とマイナスをしてしまい、いよいよ崖っぷちに追い込まれたが、3回戦目、4回戦目と大物手を何回もアガリきり、終わってみれば、+55.9Pの1人浮きの卓内トップとなった。対局終了後、斎藤に話を聞いてみた。
「他の選手のことは考えず、上だけを見て戦った。だからと言って、前のめりになり過ぎない様に注意しました。」と回答。焦らず、落ち着いてプレイできたことが勝因であろう。一方、マイナスをしてしまったが三戸のポイントを守ろうとせずに叩きにいく姿勢、寺戸の卓上を支配しようとする積極性が印象的であった。残り4節でどう決勝進出争いを進めていくか注目したい。
4卓 伊藤(鉄)・掛水・都築・森下
現在15位に低迷している森下にとって、やりにくい卓組に思い、苦戦必至かと予想したが、そんなの関係ないとばかりに森下の気迫が全面に出た対局となり、復活の+47.0Pの嬉しい卓内トップとなった。掛水も地力を見せつけ、3位まで駆け上がった。伊藤(鉄)は牌勢が悪く、苦しい試合となったが、さすが前中部プロリーグ優勝者、きっちりとプラスで終えることに成功した。対して、格上3人との対戦となった都築は4ラスの▲94.5Pと手痛い結果となってしまった。格上相手に気持ちでも負けてしまった感がある。残り4節、気持ちを切り替えて戦って欲しい。
第6節が行われる前日、第36期プロテストが中部地区で行われた。そこで合格した者は、9月より中部プロリーグ(Dリーグ)に参加することが決定している。これから入ってくる後輩になるであろう者達、また、連盟公式ルールを上達したい人達に伊藤(鉄)の印象的な1局を紹介したい。南場の北家5巡目に伊藤は以下の牌姿
ドラ
かを切れば1シャンテンであるが、伊藤(鉄)は切りを選択。
リャンメンリャンメンの好形の1シャンテンであるが、→と切り出し、すんなりテンパイをしても役が無い。そのテンパイにとを場に打ち出す価値が無いと判断をし、1シャンテン取らずに構えた。連盟公式ルールは手役を作る価値が高く、また、ドラの価値が非常に高い。伊藤(鉄)は場に出たをポンとし、を使い切る手組を目指した。何気ない1局であったが、思考を参考にしていただけると良いと思う。また、東京本部所属現女流桜花Aリーグ2位の武石絵里プロが観戦に訪れていた。1回戦から4回戦まで食い入るように真剣に観戦する姿は、是非、見習って欲しい。強い打ち手のほとんどは他の麻雀をたくさん観戦しているのである。
今節の結果を受け、各々、自分のやるべきことがより明確になってきた。激しい決勝進出争いはもちろんのこと、残留争いにも注目して、今後も見ていこうと思う。
Aリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 6節 | 7節 | 8節 | 9節 | 10節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 清水 哲也 | 28.2 | 61.8 | 65.0 | 12.8 | 31.8 | 6.1 | 205.7 | ||||
2 | 小野 雅峻 | 74.8 | ▲ 4.8 | 39.5 | 0.7 | 19.5 | 28.9 | 158.6 | ||||
3 | 掛水 洋徳 | ▲ 28.9 | 34.0 | 1.1 | 31.9 | 8.5 | 41.5 | 88.1 | ||||
4 | 伊藤 鉄也 | 64.4 | 35.6 | ▲ 40.4 | 12.6 | ▲ 9.2 | 6.0 | 69.0 | ||||
5 | 三戸 亮祐 | 25.7 | 34.1 | 21.4 | ▲ 18.6 | 12.6 | ▲ 10.3 | 64.9 | ||||
6 | 朝岡 祐 | ▲ 26.6 | 22.9 | ▲ 4.2 | 29.2 | 6.3 | 12.9 | 40.5 | ||||
7 | 寺戸 孝志 | 0.8 | 29.6 | 40.4 | 57.4 | ▲ 77.8 | ▲ 21.4 | 29.0 | ||||
8 | 土岐 雄太 | 30.0 | 52.8 | ▲ 29.8 | 6.9 | ▲ 18.8 | ▲ 21.7 | 19.4 | ||||
9 | 林 俊宏 | 40.8 | ▲ 4.3 | ▲ 82.8 | 30.2 | 39.7 | ▲ 56.7 | ▲ 33.1 | ||||
10 | 村瀬 寛光 | ▲ 25.0 | ▲ 106.3 | 68.8 | ▲ 45.1 | 33.5 | 37.7 | ▲ 36.4 | ||||
11 | 長谷川 弘 | 1.7 | ▲ 47.3 | 12.6 | 0.4 | ▲ 2.0 | ▲ 25.2 | ▲ 59.8 | ||||
12 | 堤 文吾 | ▲ 16.3 | ▲ 75.2 | 10.8 | ▲ 39.5 | 4.5 | 25.6 | ▲ 90.1 | ||||
13 | 加藤 泰史 | ▲ 66.9 | 18.3 | ▲ 27.5 | 27.8 | ▲ 10.6 | ▲ 32.8 | ▲ 91.7 | ||||
14 | 森下 剛任 | ▲ 54.5 | ▲ 9.7 | ▲ 33.8 | 3.3 | ▲ 51.5 | 47.0 | ▲ 99.2 | ||||
15 | 斎藤 寛生 | ▲ 11.0 | ▲ 65.4 | ▲ 7.7 | ▲ 47.5 | ▲ 36.0 | 55.9 | ▲ 111.7 | ||||
16 | 都築 友和 | ▲ 37.2 | 23.9 | ▲ 35.4 | ▲ 62.5 | 48.5 | ▲ 94.5 | ▲ 157.2 |
Bリーグ:大橋幸正
いよいよ第32期中部プロリーグ後期Bリーグが開幕した。6月に前期が終了し、そこで私は昇級を決めたわけだが、もう随分と前の出来事のように感じる。個人差はあるとは思うが、Bリーグを戦う選手も同じ様に感じ、気持ちを新たにリセットし、この日のための準備をしてきているであろう。
開幕を前に各選手に後期に向けてのコメントを頂いた。その中で印象に残った選手のコメントを紹介していこう。
・木村「みんなと麻雀をできる喜びを持って、頑張ります。」
・古川「降級しない様に頑張ります。」
・杉浦(勘)「鳳凰位戦でA2リーグへ昇級を決め、半年間、鳳凰位戦は休みとなったので、今期から中部プロリーグに参加できたことは、良い刺激になり、本当に良かったです。鳳凰位戦と同じ気持ちで、Aリーグ昇級を目指して、頑張りたいと思います。」
・太田(充)「前期最終節で集中力が欠けてしまった時があったので、今期は集中力を高めて、頑張ります。」
・杉村「ボーダーラインを常に意識しながら、昇級を目指して頑張ります。」
・佐藤「Aリーグを降級して1年半が経過しましたが、内容が非常に悪く、結果に繋がらない現状があります。きちんと自分を見つめ直し、昇級を狙いたいです。」
・富村「ずっと3~5位と昇級一歩手前で終わってしまい、昇級を逃しているので、今期は昇級できるよう頑張ります。」
・高橋「リーグ戦を戦うにあたって、私には克服しなければならない欠点がある。それはポイントを大きく稼ぐのが苦手ということ。大きくプラスできそうなチャンスが訪れた時も上手く活かすことができず、自分から勢いを殺してしまっていることも多い。今回はチャンスを見極め、きちんと捉えていきたいと思う。」
その他の選手もほとんどが昇級を狙うと力強いコメントを頂いた。そんな中、大ベテランの木村、古川はコメントを見てもわかるように、酸いも甘いも嚙み分けるような様子で笑顔でコメントをしてくれた。対局の様子を見ると、まだまだ元気で、他の選手の大きな壁となるであろう。
女流プロ3名は、しっかりと自己分析ができており、今期どういった戦いを見せてくれるか楽しみである。中部プロリーグ歴代優勝者に女流がいないのはおろか、現在Aリーグに女流は1人もいない。女流3名の中から昇級者が出るのか、大注目である。
第1節で好スタートを切ったのはCリーグを1位通過で昇級してきた河合。杉浦(勘)、杉村といった卓越した選手を相手に力強い麻雀を見せ、+40.7Pとこの日のトータルトップとなった。前期昇級してきた勢いがあるので、この先もその勢いを殺さずに戦い抜く姿に期待する。対して、オール逆連対で▲47.3Pと洗礼を浴びた形となった鈴木(涼)だが、対局終了後、同卓した先輩に積極的に話を聞いている姿が印象的だった。まだまだ若く、今は伸び盛りの時期。どんどん吸収すれば良い。
第1節で大きくポイントを叩けた選手はいなく、おそらくは大混戦になるであろう今期のBリーグ。この先も激戦必至の熱い戦いをしっかりとお伝えしていこうと思う。
Bリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 河合 慎悟 | 40.7 | 40.7 | ||||
2 | 太田 充 | 27.3 | 27.3 | ||||
3 | 大高坂 松城 | 21.1 | 21.1 | ||||
4 | 杉村 泰治 | 20.1 | 20.1 | ||||
5 | 日下 健司 | 19.0 | 19.0 | ||||
6 | 木村 東平 | 16.1 | 16.1 | ||||
7 | 山本 拓哉 | 6.7 | 6.7 | ||||
8 | 高橋 侑希 | 0.0 | 0.0 | ||||
9 | 佐藤 あいり | 0.0 | 0.0 | ||||
10 | 岡本 丈司 | 0.0 | 0.0 | ||||
11 | 太田 峻也 | 0.0 | 0.0 | ||||
12 | 古川 孝次 | ▲ 5.5 | ▲ 5.5 | ||||
13 | 杉浦 勘介 | ▲ 13.5 | ▲ 13.5 | ||||
14 | 金平 裕樹 | ▲ 28.5 | ▲ 28.5 | ||||
15 | 鈴木 涼太 | ▲ 47.3 | ▲ 47.3 | ||||
16 | 富村 つぐみ | ▲ 56.2 | ▲ 56.2 |
Cリーグ:越川清一
今期Cリーグのレポートを担当します24期越川清一です。よろしくお願いします。前期の結果を踏まえ新たな気持ちで今期に臨む選手たち。そんな選手たちをより知ってもらうために毎節2名ずつ注目の選手を紹介していきたいと思います。
まず1人目は29期池沢麻奈美。18才で麻雀を覚えアマチュア時代に夕刊フジ杯で個人優勝。鳴り物入りで連盟の門を叩き2年目には第13回野口恭一郎賞を受賞する。そこから最強戦、女流モンドへの道が開け第15回女流モンド優勝と輝かしい実績を持つ。
今期の意気込みを聞くと、「いつも通り」とのこと。見た感じのまま、ほんわか系女流雀士である。そんな池沢の戦いを後ろで観戦する。
池沢に麻雀のスタイルを聞くと以前は守備型だったが今は攻めに重きを置いているとのこと。それが垣間見えた局があった。上家の5巡目リーチに自身は平和のみの手だが無筋を4枚ノータイムで切り飛ばしリーチといく。これはアガれなかったがこの戦う姿勢には感心させられた。私はノータイムという言葉が好きである。全ての結果を受け入れる覚悟が感じられるから。
ただそんな池沢の気になった局がある。
1回戦東3局南家
ツモ ドラ
この3,000・6,000をツモアガった次局の親、6巡目
ドラ
ここから上家から切られた1枚目のを鳴く。
麻雀に流れはあるという池沢ならば、最高の状態でむかえた親はできるだけ面前にこだわるべきである。
結果は、同巡南家西家からリーチが入り、食い下げたを南家にツモアガリされてしまう。流れ論者の私からすると必然の結果と思う。
この局をどう捉えるか、池沢には今後の課題としてほしい。
2人目は35期新人平野祥太。
前期Dリーグで全節プラスでの1位昇級。そんな平野に今期の意気込みを聞くと、「自分のスタイルは守備型でラスをひかない麻雀です。Dリーグでは20戦でラスは1回だけでした。今期も全節プラスして昇級を狙いたいと思います。」と力強く語ってくれた。目標とするプロを聞くと「二階堂瑠美プロです。」と答えてくれた。手役派でもあるのだろう。
平野の戦いを後ろで観戦する。打牌リズムがよく、判断も速い。ただ東1局からの1,000点の仕掛けや、他家の仕掛けに対応しての中盤での親での形テンには守備型としては違和感を感じた。
3回戦を終えて大きくマイナスしてしまうが4回戦大きなトップをとりマイナスを40まで減らすことができたのだが、私が気になった局がひとつ。
南2局南家10巡目 持ち点48,100
ドラ
ここからテンパイとらずの切り。
ここまでのマイナスポイントを考えれば、気持ちはわかるがこれはやりすぎだろう。場にそぐわないと感じる。
結果はをポンしての1人テンパイで流局するのだが、こうしたのならポンせずのノーテンの方が私は強さを感じる。
平野には苦い第1節となってしまったが、まだ始まったばかりである。ここからの巻き返しを期待したい。
第1節の結果を踏まえ、選手それぞれが課題をもってしっかりと次節に臨んでほしいと思う。
Cリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 安藤 大貴 | 64.5 | 64.5 | ||||
2 | 中谷 彰吾 | 36.5 | 36.5 | ||||
3 | 大滝 聡 | 32.3 | 32.3 | ||||
4 | 池沢 麻奈美 | 22.1 | 22.1 | ||||
5 | 山田 まさとし | 18.9 | 18.9 | ||||
6 | 浅野 文雅 | 0.3 | 0.3 | ||||
7 | 青山 大 | 0.0 | 0.0 | ||||
8 | 田村 良介 | 0.0 | 0.0 | ||||
9 | 杉浦 貴紀 | 0.0 | 0.0 | ||||
10 | 後藤 咲 | 0.0 | 0.0 | ||||
11 | 岡田 智和 | ▲ 11.9 | ▲ 11.9 | ||||
12 | 菅野 直 | ▲ 19.1 | ▲ 19.1 | ||||
13 | 大町 篤志 | ▲ 24.5 | ▲ 24.5 | ||||
14 | 若松 正和 | ▲ 29.1 | ▲ 29.1 | ||||
15 | 平野 祥太 | ▲ 40.3 | ▲ 40.3 | ||||
16 | 家田 みゆき | ▲ 49.7 | ▲ 49.7 |
カテゴリ:中部プロリーグ レポート