第24期中部プロリーグ 第3節レポート
2014年10月24日
Aリーグ:長谷川弘
街路樹の落ち葉がかすかな冬の訪れを告げはじめた。
秋の嵐を目前に控える中、第3節が行われた。
どうやら今期は2節までを見る限り、特に突出したポイントリーダーは不在のようだ。
スコアが拮抗し混沌とした状態では、特にプラススコアの者は身動きがとりづらいと感じつつ窮屈な感覚で対局に臨んだことだろう。
今期もすでに折り返し地点だ。即ちそれは、ただ目の前の対局を首尾よくこなすことだけでなく、最終節に向けた大局的な戦略の組み立てが必須となることを意味する。
中部プロリーグは毎期5節20半荘という限られた対局数で結果を出さなければならない。
したがって、節が進むにつれ、決勝進出、降級回避等、各々の立場に合わせた目標の立て直しを余儀なくされる。
決勝進出の可能性が現実的な者にとって、戦略上徐々に守備の要素が色づき始めるのもこの3節からではないだろうか。
そこで今回は、以下の3者に、戦略上、特に守備に特化した話を伺ったので紹介したい。
村瀬「その日の最初の半荘等、各対局者の状態の優劣が定かでない状況では、もちろん場況には注視しつつも、特に守備については深く考慮せず自分の考えを信じてまっすぐ打ちます。相対的な相手の状態、打点を判断材料にして守備に配慮しなければならないと判断したときは、攻撃一辺倒の考えは排除して守備に徹底するよう心掛けています。」
日下「どちらかというと攻撃よりも守備を重視して対局しています。特に親に対する不用意な放銃には最大限の注意を払っています。1局単位で巡目を考慮しつつ、相手の打点と自分の手牌を秤にかけて守備に回るかどうか判断しています。しかし、持ち点の状況によってはそれらを無視して攻撃に傾倒することもあります。各対局者の状態の優劣は特に判断材料としては取り入れていません。」
櫛田「攻撃と守備のバランスは着順を最優先に局面によって決めていますが、特にシステム化はしていません。テンパイと1シャンテンは雲泥の差と考えていますので、常に先手を取れるよう意識し、先手を取られたら引く構えです。リーチでのみ手を打つぐらいなら、安牌を意識してフーロしての手作りを目指すよう意識しています。」
攻守のバランスを欠いては満足のゆく結果が得られないことは周知の事実であり、言うまでもない。しかし、比較して守備が手薄であれば、それまで築き上げてきたものを一気に失いかねない。かつ、それは点棒、積み上げてきたスコアを失うにとどまらず、その先の対局に精神的な影響を及ぼすことすら有り得る。
麻雀は牌、点棒の行先を占うだけでなく、ある意味心理戦でもある。
他の対局者は、卓上のすべてを我が物にしようと試みてくるかもしれないが、思い通りにさせてはならない。
加点を逃すという曖昧なリスクを受け止めつつ、守備という1枚の衣をまとうことは自身の力を存分に発揮するために必要不可欠な準備ではなかろうか。
Aリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 森下 剛任 | 8.0 | 15.1 | 82.8 | 105.9 | ||
2 | 樋口 新 | 7.1 | 57.3 | 41.1 | 105.5 | ||
3 | 寺戸 孝志 | 36.7 | 11.1 | 57.5 | 105.3 | ||
4 | 太田 充 | 15.5 | 8.2 | 22.7 | 46.4 | ||
5 | 日下 健司 | ▲ 5.8 | 9.6 | 13.5 | 17.3 | ||
6 | 伊藤 鉄也 | 7.2 | 9.1 | ▲ 9.3 | 7.0 | ||
7 | 杉村 泰治 | 43.4 | ▲ 45.3 | 2.4 | 0.5 | ||
8 | 佐藤 あいり | 10.5 | 13.7 | ▲ 32.0 | ▲ 7.8 | ||
9 | 村瀬 寛光 | 23.9 | 9.3 | ▲ 43.8 | ▲ 10.6 | ||
10 | 櫛田 利太 | ▲ 12.4 | ▲ 34.4 | 29.7 | ▲ 17.1 | ||
11 | 三戸 亮祐 | 46.9 | ▲ 27.7 | ▲ 39.1 | ▲ 19.9 | ||
12 | 土岐 雄太 | ▲ 47.5 | 26.6 | ▲ 4.5 | ▲ 25.4 | ||
13 | 掛水 洋徳 | ▲ 41.7 | 13.3 | ▲ 13.1 | ▲ 41.5 | ||
14 | 毛受 俊 | ▲ 41.4 | 8.9 | ▲ 39.2 | ▲ 71.7 | ||
15 | 杉浦 貴紀 | 43.1 | ▲ 31.5 | ▲ 89.3 | ▲ 77.7 | ||
16 | 長谷川 弘 | ▲ 94.5 | ▲ 44.3 | 0.6 | ▲ 138.2 |
Bリーグ:山神達也
全5節を戦うリーグ戦、折り返し地点である第3節が開始された。
今節の私の目標は、前節までの+79.8Pを維持したまま第4節へ進むこと。
消極的と思われるかもしれないが、最終節で優勝争いに加わるには、この3節でポイントを大きく減らすことだけはしたくないのである。
つまり、第4節では大きく勝ちにいかなくてもいい位置、最終節では自分より少し上にいる選手を上回れば昇級できる位置にいるのが狙い。
Cリーグから昇級したばかりの私にとっては、格上ばかりのBリーグ、短いスパンの勝負に持ち込めれば、勝機は見えてくるのである。
では、その第3節の結果はどうであったか。
私は自身の目論見とは裏腹に、今節+40.1P、合計で+119.9Pと3節終了時点で暫定首位となった。
対局者は、古川・菅野・朝岡。私にとっては3名とも初対局となるが、胸を借りる想いで対局に臨んだ。
当初の狙いとしては、半荘4回を終えて着順で3232など、拾える点数はしっかり拾って、あとはしっかり守って3,900点以上の放銃を避けるように打つと自分に言い聞かせていた。
着順の結果は、1141、自身でも出来すぎとも思える結果であった。
まず、1半荘目で+19.4P、2半荘目で+21.5Pと、2半荘終えた時点で+40.9ポイント。
この時点で、第3節の目標はほぼ達成したようなものである。あとは相手の本手に自ら飛び込んでいかなければいい。ここから残り2半荘でマイナスに転じたとすれば、自身の打牌を律することの出来なかった自分の実力不足によって、チャンスから遠のく。それだけである。
4着になった3半荘目、それまでは自然に手が入り、あまり相手と手がぶつからずにアガリを拾えていた印象だったが、ここにきて自分に手が入らないようになってきた。
相手のツモアガリによって自分の点数が削られていく。
ここでいつもの私なら、2半荘目までのポイントを守ろうと長打を無理に狙い、傷口を広げているかもしれないな。と、客観的に自分をみる事が出来た。
結果として、他家の攻撃に対して押し返すことをしなかったのでそのまま4着となったが、自分の目標を意識して傷口を広げることなく、しっかりと4着を引くことが出来たと思う。
第3節を終えて自分の狙いよりも良い順位にいるわけだが、2位とは僅かなポイント差、さらに現在3位の越川・4位の安藤との直接対決ものこっている。選択肢が広いとはいえ、まったく安心など出来ない。
ここからは、ここからも、自分を律することが出来るかどうかの戦いである。
私はまた次節、卓に着くのが楽しみである。
Bリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 山神 達也 | 27.5 | 52.3 | 40.1 | 119.9 | ||
2 | 牛尾 信之 | 89.8 | 15.8 | 12.3 | 117.9 | ||
3 | 越川 清一 | 59.6 | 29.8 | ▲ 3.1 | 86.3 | ||
4 | 安藤 大貴 | 31.6 | ▲ 31.3 | 72.9 | 73.2 | ||
5 | 葛山 英樹 | ▲ 11.8 | 34.6 | 26.9 | 49.7 | ||
6 | 朝岡 祐 | 13.6 | 34.5 | ▲ 6.2 | 41.9 | ||
7 | 中西 栄二 | ▲ 4.7 | 21.9 | ▲ 4.7 | 12.5 | ||
8 | 古川 孝次 | 2.6 | 2.5 | 5.4 | 10.5 | ||
9 | 原田 知彦 | ▲ 24.4 | ▲ 2.1 | 9.7 | ▲ 16.8 | ||
10 | 大滝 聡 | 42.3 | ▲ 66.0 | ▲ 19.1 | ▲ 42.8 | ||
11 | 鈴木 雄介 | ▲ 57.6 | 3.5 | 9.4 | ▲ 44.7 | ||
12 | 中谷 彰吾 | 23.8 | ▲ 35.8 | ▲ 47.4 | ▲ 59.4 | ||
13 | 山本 拓哉 | ▲ 87.7 | ▲ 13.2 | 41.3 | ▲ 59.6 | ||
14 | 菅野 直 | ▲ 16.3 | ▲ 7.1 | ▲ 39.3 | ▲ 62.7 | ||
15 | 木村 東平 | ▲ 48.8 | ▲ 14.3 | ▲ 37.8 | ▲ 100.9 | ||
16 | 鈴木 基芳 | ▲ 39.5 | ▲ 25.1 | ▲ 60.4 | ▲ 125.0 |
Cリーグ:池沢麻奈美
最強クラスと言われる台風19号が日本列島に猛威を振るい始めている最中、第3節が行われた。
折り返し地点でもある今節。私は現状▲43.6P、厳しい状況ではあるが、昇級争いを意識して今回は「大きなプラス」を目標に設定した。
私の今回の対戦相手は、大高坂(+117.3P)、中山(▲21.4P)、太田(▲17.8P)、上田(▲18.0P)。
首位を走る大高坂は無理はしてこないだろう、しかし私含め他は皆マイナスポイント。
今節でプラスにしておきたいはずなので、その為にはある程度前に出てくる事を予想して勝負に挑んだ。
1回戦(太田・大高坂・上田・中山)
開局、幸先いいスタートを見せたのは中山。9巡目に先制でリーチ、親の太田(峻)も仕掛けを入れて追いつくも、その後、中山が先にツモり、1,000・2,000のアガりとなった。
しかし、東2局、大高坂が2,600オールをアガリしっかりついていく。
太田(峻)も南1局、親で三色をテンパイ、リーチをいれるが成就せず、上田も苦しい中、自風から仕掛けたマンズのホンイツ・チャンタ・西の2,000・4,000のアガリをみせたが、結果は大高坂が安定した卓回しで、1回戦目+17.1Pとさらに加点していった。
2回戦目、私は1回戦目が抜け番となり少し気が抜けてしまったか、思うように手が入らず苦しい局面が続き、終始拮抗した点差でなんとか食らいついたが、3回戦目、この日調子の良かった中山に大きくポイントを削られ、それ以降4回戦、5回戦と私はずっと局面に見合った手が入らず、結果は▲43.6Pと苦しい展開となってしまった。
全体の結果を見てみると、大町が3回戦、4回戦目とトップを取り+48.2Pと大きく加点をして、一気に昇級争いに食い込んだ。中山はこの日Cリーグでは最高ポイントとなる+66.7Pを出し、鈴木も+39.9Pと加点して、両名十分に昇級を狙える位置まで上り詰めてきた。
後半戦に突入し残りあと2節。これからどんなドラマが起こるのか、今後の昇級争いに目が離せません。
Cリーグ
順位 | 名前 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 大高坂 松城 | 98.9 | 18.4 | ▲ 1.5 | 115.8 | ||
2 | 河合 慎悟 | 56.4 | 75.8 | ▲ 31.0 | 101.2 | ||
3 | 都築 友和 | 102.0 | ▲ 7.7 | 0.0 | 94.3 | ||
4 | 大町 篤志 | ▲ 15.2 | 48.3 | 48.2 | 81.3 | ||
5 | 加藤 泰史 | 39.5 | 23.7 | 7.4 | 70.6 | ||
6 | 中山 千鶴 | 26.0 | ▲ 47.4 | 66.7 | 45.3 | ||
7 | 鈴木 淳 | ▲ 41.8 | 41.3 | 39.9 | 39.4 | ||
8 | 小野 雅峻 | ▲ 25.8 | 28.6 | 14.2 | 17.0 | ||
9 | 岡本 丈司 | 27.5 | ▲ 10.1 | ▲ 33.0 | ▲ 15.6 | ||
10 | 上田 利華 | ▲ 18.0 | ▲ 7.7 | 5.8 | ▲ 19.9 | ||
11 | 清水 哲也 | ▲ 21.5 | ▲ 2.8 | 0.0 | ▲ 24.3 | ||
12 | 太田 峻也 | 14.1 | ▲ 31.9 | ▲ 28.4 | ▲ 46.2 | ||
13 | 若松 正和 | 72.4 | ▲ 150.0 | 4.9 | ▲ 72.7 | ||
14 | 斎藤 寛生 | ▲ 71.0 | ▲ 29.3 | 21.3 | ▲ 79.0 | ||
15 | 角谷 和幸 | ▲ 100.0 | 18.3 | 0.0 | ▲ 81.7 | ||
16 | 浅野 文雅 | ▲ 37.9 | ▲ 49.4 | 0.0 | ▲ 87.3 | ||
17 | 池沢 麻奈美 | ▲ 78.4 | 19.9 | ▲ 43.6 | ▲ 102.1 | ||
18 | 大西 義則 | ▲ 44.7 | ▲ 52.0 | ▲ 9.9 | ▲ 106.6 | ||
19 | 家田 みゆき | ▲ 83.5 | ▲ 38.0 | ▲ 62.0 | ▲ 183.5 |
カテゴリ:中部プロリーグ レポート