中部プロリーグ レポート/第20期中部プロリーグ 決勝レポート
2013年03月04日
1月27日、第20期中部プロリーグの決勝戦が行われた。
決勝の対局者をリーグ戦上位順に紹介します。
1位通過 日下健司 +128.4P(24期生/初段)
決勝進出:2回目 最高成績:4位
前期次点で決勝を逃したが、今期は1位で決勝へと駒を進めた。
決勝直前に話を聞いたがリラックスしており、いつも通りの麻雀を打ってくれるように感じた。
2位通過 村瀬寛光 +113.1P(23期生/二段)
決勝進出:2回目 最高成績:2位
前回の決勝は惜しくも2位。連続決勝進出で気合は十分。
「前回の決勝戦では経験不足を感じたが連続決勝で自信もついたので、優勝目指します!」
と対局前に語ってくれた。
3位通過 古川孝次 +90.1P(1期生/九段)
決勝進出:9回目 最高成績:優勝(2回)
鳳凰戦でもA1復帰を決め、中部プロリーグも決勝と今かなり充実している様子。
中部のトッププレイヤーとして、どんな戦いを見せてくれるのでしょうか。
1位通過 伊藤鉄也 +59.7P(22期生/二段)
決勝進出:2回目 最高成績:4位
この中では伊藤が最も局面をリードしていく意識が強い打ち手であろう。
どのようにリードしていこうとするか楽しみである。
それぞれ対局前に注目選手を聞くとやはり古川の名前があがる。
皆、意識は違えど古川対他3人という図式で戦いが始まる雰囲気となっていた。
1回戦(起家から日下・村瀬・伊藤・古川)
東1局に日下・村瀬の手がぶつかる。
まずは村瀬がリーチ・ピンフ・タンヤオ・ドラ1で先手を取る。
ドラ
ダブ東を暗刻にした日下も前に出る。4枚目のカンが鳴け、次巡ツモ。
チー ツモ
開局4,000オールと乱打戦を予感させるスタートとなった。
続く1本場は更に加点したい日下が鳴いてテンパイを入れるも村瀬・伊藤と2人のリーチを受けオリを選択。
ここを制したのは伊藤。村瀬の放銃となる。伊藤はターツ選択が上手くいった結果に。
村瀬
ドラ
伊藤
ロン
東2局、2局連続で空ぶった村瀬は厳しいかと思ったが、動じていない雰囲気。
村瀬はこの親番を生かしたいところで古川がようやく動く。
・とポンしてテンパイ一番のり。
ポン ポン ドラ
親の村瀬もの片アガリながら、なんとかテンパイを入れる。
ポン
・と1枚ずつ残っている終盤のツモに力が入る村瀬の手元にはアガれない。
は王牌に1枚眠ったまま流局となる。続く1本場、ようやく村瀬にアガリが出る。
ドラ
ここからに反応して、きっちりトイトイに仕上げ日下から7,700をアガる。
ポン ポン ロン
2本場は、村瀬が伊藤からピンフをアガリ3本場。4人ともドラのを1枚持っての進行。
最初にを打ち出したのは7巡目に村瀬。
ドラ
伊藤がを合わせたが、古川・日下は合わせない。
2巡後、村瀬がをツモるのだが、あと1枚が河に出たら村瀬はリーチだったかもしれない。
細かいことだがこの対応が結果失点を少なくした。
4本場も親の村瀬の配牌は衰えない。4巡目にリーチでツモアガリ2,600は3,000オール。
リーチ ツモ ドラ
このアガリを見て3人の雰囲気が変わる。そして5本場、この親をどうにかしようという感じの3人。
まず日下がをポンして村瀬もをポン、古川もに動く。
その後、古川は更に動き3フーロをして村瀬からアガる。
ポン ポン ポン ロン ドラ
ようやく古川に初めてアガリが付き、ようやく村瀬の親が終わる。
東3局、親の伊藤がリーチで先手を取る。
リーチ ツモ ドラ
きっちりツモアガリ2,600オール。
ここから波に乗りたい伊藤だが1本場はテンパイ出来ず親が終わってしまう。
東4局2本場。1人おいてかれている感の古川の親番。
何とかしたいが配牌は字牌が多く厳しい。先制は日下、8巡目にリーチで1,300・2,600ツモ。
南1局は伊藤から日下が3,900をアガリ、続く1本場。
5巡目に古川がドラ切りの先制リーチに日下がポン。
日下はなんとかテンパイをいれ連荘。逆に古川は待ち牌が王牌に3枚と苦しい。
続く1本場の12巡目古川。
ドラ
この牌姿で、マンズによせて長考した日下からが切られるが見送る。
しかし、同巡を引きソーズの両面待ちになったところで村瀬からNが切られポンして打。
これをきっちりツモアガリ、局を進める。この辺りの押し引きが古川は素晴らしい。
南2局は、8巡目に伊藤が高めで一通のリーチを打ち一発でツモるもで700・1,300。
南3局は加点したい親の伊藤が3巡目にポン。
古川がドラ2枚でものにしたいところ。10巡目に4枚目のを引いてリーチ。
リーチ ドラ
伊藤も13巡目にドラ単騎待ちながらテンパイ。
ポン
は空テン。古川の待ちは山に残り3枚で伊藤のハイテイのツモは。
これをツモ切り、古川に放銃。1回戦ということもありここはオリるのも有りだったか。
伊藤の1人沈みで迎えたオーラス、その伊藤からリーチが入る。
リーチ ドラ
普段の伊藤なら絶対に打たないリーチだが、31,200点持ちの古川の浮きを削るリーチ。
日下・村瀬はオリ。古川もまわりながらテンパイ目指すもノーテンで流局。
伊藤の1人沈みで終わった1回戦。
大きいアガりが沢山あったもののそれほど差のない結果となる。
1回戦成績
日下+14.4P 村瀬+6.7P 古川+1.2P 伊藤▲23.3P
2回戦(起家から古川・村瀬・伊藤・日下)
東1局、この半荘も先制は6巡目の日下。
ツモ ドラ
リーチで9巡目にツモあがる。日下の状態が良い。
東2局1本場、6巡目日下のテンパイ。
ドラ
即リーチも有りな場況だが大事にヤミテンに構える。
この日下のテンパイ打牌の中に村瀬がポン。伊藤もを仕掛ける。古川も11巡目にリーチ。
ドラ2枚の伊藤がを切り、日下に放銃。リーチをしていたらこのは出なかったであろう。
東3局、親の伊藤が9巡目にリーチ。
リーチ ドラ
山に・と1枚ずつ。村瀬が13巡目にドラを引き少考。
ツモ
ここから打。のワンチャンスとはいえ攻めるならを切る方が良かったのではないか?
この後、伊藤からすぐが打たれるもスルー。そして伊藤にを放銃する結果となった。
試合終了後に村瀬に聞いたが、大きなミスをしてしまったと反省していた。
続く1本場、親の伊藤がまたダブ東トイツ。6巡目にドラが重なり9巡目にを引き入れる。
11巡目ポン。
ポン ドラ
ここに古川が打で12,000に捕まる。古川が本手に打つのは珍しい。
2本場、古川ドラが暗刻。伊藤は789の三色。古川が9巡目チーテンを取る。
チー ドラ
伊藤が2枚目のをスルーして、カンを引き入れリーチ。
リーチ
しかし、一発目のツモはで古川に7,700放銃。12,000放銃しても崩れない古川。やはり強い。
東4局、親の日下があっさりとのテンパイから両面に待ちかえしてリーチ。
リーチ ツモ ドラ
ここで高めツモの2,600オール。このアガリを見て3人の表情が険しくなる。
続く1本場は村瀬が捌いて南1局。ラス目で親の古川、連荘したいところだがアガリは日下。
ツモ ドラ
高めツモながらリーチをしていれば、決定打になったかもしれない。
南2局、親の村瀬の1人テンパイで連荘の1本場。
全員配牌が整っていて手がぶつかる。最初のテンパイは7巡目村瀬。
ドラ
テンパイ打牌がなのだが、ここをとするとのツモアガリがあった。
このアガリ逃しから9巡目古川もテンパイ。
ポン
1シャンテンの段階で・・と打牌候補があり、を選択し見事テンパイ。
日下は下記の手からツモをツモ切り。
は前巡に古川がツモ・打で待ちかえしていたため、放銃を免れる。
次巡、伊藤も追い付きリーチ。
リーチ
同巡、日下もツモで追い付くがヤミテンを選択。
ここでの軍配は日下に上がり、ツモで1,300・2,600。このアガリで6万点近くまで点数を伸ばす。
南3局、日下がカンをチーしての片アガリの仕掛け。
チー ドラ
しかし伊藤と持ち持ちで苦しいテンパイ。伊藤もつ仕掛けて追い付く。
ポン ポン
ここに日下がをつかみ12,000の放銃。
ようやく日下を捕えて独走態勢から引きずりおろす。続く1本場も伊藤がリーチ。
リーチ ドラ
古川も仕掛けてホンイツテンパイ
ポン チー ポン
真っ向勝負も決着つかず。2人テンパイで流局。
2本場は、ドラのRを暗刻にした古川が仕掛けてツモアガリ。
ポン ツモ
古川、得意の仕掛けでテンパイまではいくも、なかなかアガリに結び付かなかったが、
ここでようやく2,000・4,000のツモアガリ。
南4局は、日下が2,000点をアガリ、続く1本場は村瀬がリーチするも伊藤に捕まり、伊藤が浮きを確保して終局。日下の手が良い。しかしリーチを打ってリードを広げられたところもあっただけに、この後に響かなければと感じた。
2回戦成績
日下+23.6P 伊藤+6.3P 古川▲9.0P 村瀬▲20.9P
2回戦終了時
日下+38.0P 古川▲7.8P 村瀬▲14.2P 伊藤▲17.0P
3回戦(起家から村瀬・伊藤・日下・古川)
東1局、親の村瀬が日下から2,900をアガリ、1本場は古川以外の3人テンパイ。
2本場は村瀬の1,000オールと細かく連荘をした後の3本場に大きく動く。
6巡目に先制のリーチは伊藤。
リーチ ドラ
このリーチ宣言牌のドラに西家の日下が当然ポン。すぐにカンが鳴けて下記の牌姿に。
チー ポン(後に加カン)
伊藤の待ちはリーチの時点で8枚全部山に、日下の待ちは残り1枚。
さすがに伊藤の勝ちかと見ていると無情にも伊藤の手にはが。
ここでトータルトップ日下への8,000放銃はかなり堪えただろう。
そして東3局に村瀬にチャンス手。
ドラ
ここで古川が動いてテンパイを入れて、ドラのをツモ切るも村瀬動かず。
ここは七対子よりも動いてプレッシャーをかけてもよかったのではないだろうか?
結果論だが続いてを打たれて、鳴いていればすぐにテンパイしていた。
鳴かなかった村瀬は、古川に1,000点放銃となる。
ここからオーラスまで小場で動く。そして南4局、古川にマンズのホンイツの手が入る。
捨て牌はあまり染め手に見えないぐらいマンズがより早々テンパイ。
ポン ドラ
ここからを見送って、点数のほしい伊藤からを打ち取る。
続く1本場は、古川・村瀬の2人テンパイで流局し、2本場は日下がツモアガって浮きを確保。
3回戦結果
村瀬+16.5P 日下+8.6P 古川+1.6P 伊藤▲26.7P
3回戦終了時
日下+48.6P 村瀬+2.3P 古川▲6.2P 伊藤▲43.7P
4回戦(起家から日下・伊藤・古川・村瀬)
東1局11巡目、古川が下記の形からテンパイ取らず。
打 ドラ
ここでを打ちだすと、日下が楽になり連荘の可能性が高かった。次巡、を鳴いて単騎でテンパイ。
ドラの所在が分からないのもあり、3人とも対応して古川の1人テンパイ。
東2局は全員ノーテンで、東3局2本場、古川・村瀬・伊藤の手がぶつかる。
まずは12巡目に伊藤高め三色でリーチ。
リーチ ドラ
16巡目に古川が追いかけリーチ。
リーチ
同巡、ドラが2枚の村瀬も追い付き3件リーチ。
リーチ
結果は、村瀬が次巡を引いて古川に5,800の放銃となる。
この勝負所を制したのは大きい。
続く3本場、連荘したい古川が仕掛ける。伊藤もソーズの染め手で仕掛け返す。
古川が11巡目にテンパイ一番乗り。
チー ドラ
続いて伊藤が2つ仕掛けてテンパイ。
ポン ポン
ここに村瀬が追い付く。
ツモ
力強く打も伊藤に捕まり、7,700の放銃。この連続放銃で、村瀬は優勝からかなり遠退いてしまう。
東4局、古川の配牌が良い。
ドラ
ここから6巡で、
このテンパイ。日下の捨て牌にがあるのでヤミを選択。
この選択がハマり、日下から見事を打ち取り7,700
南1局、痛恨の放銃をして古川との差が10Pほどに迫られ正念場の日下の親番。
日下の配牌は悪くない。
ドラ
ここから3巡目にを引いて動くかと思いきや、・とスルー。
そして9巡目に、
ツモ
四暗刻の1シャンテンとなる。マンズは場に安く・・は山に1枚ずつ。
11巡目にを引き入れてリーチ。ツモアガれば4,000オールだけに挽回のチャンス。
結果は、村瀬がを掴んでしまい、3,900の放銃。
続く1本場。もうひとアガリ欲しい日下だが、古川の手が良い。
ドラ
3巡目、この形からをスルー。鳴きを得意とする古川だがここは鳴かない。
試合後、語ってくれたのだが「最高形に仕上がる勢いでツモに手応えがあって、本手で決めたかった」とのこと。私も普段は鳴かないが、展開的に日下の連荘に怯えて鳴いてしまうかもしれないと、後ろから見ていて思った。そして9巡目に、
ツモ
こうなるも、テンパイ拒否の打白は最高形を求めている意思の表れだろう。
しかし15巡目にリーチの声は伊藤。
リーチ
ドラを暗刻にしてぶつける。同巡、古川が安めの引きに違和感があったのか回る。
終盤、なんとか七対子でテンパイを入れ2人テンパイで流局する。
南2局2本場は、親の伊藤に日下が2,000点放銃。
続く3本場、日下が最初のツモでドラを暗刻にする。
これをアガリきれば、古川を突き放すことが出来る。
白を重ねてポンをして前に出るも、最初にテンパイは7巡目の古川。
ドラ
高め一通のテンパイ。ここはリーチだと思いきや、何かを感じたのかヤミを選択。
日下は手が進まず、14巡目に伊藤からリーチが入る。
ツモ
両面・一通への変化を見てヤミテンしていたが、ここで決めて打でリーチ。
伊藤の、古川の–共に山に1枚ずつ残っていた。先にいたのは。
これを伊藤が引いてしまう。もう1手リーチを待てば使いきれただけに悔やまれる。
この3,900を加点し、さらに親でテンパイ収入を得て日下との差は1.5P差。
50P以上あった差を、後ひとアガリで逆転まで迫る。
逆転までいきたいところだが、連荘の1本場はテンパイ出来ず、全員ノーテンで流局。
オーラスは伊藤の手が早く古川が伊藤にピンフドラ1を放銃して終わる。
古川が56,800点の大きいトップを取り、日下との差が着順勝負まで近づいた。
伊藤・村瀬はさすがに苦しくなった。
4回戦成績
古川+34.8P 伊藤+10.5P 日下▲13.9P 村瀬▲31.4P
4回戦終了時
日下+32.7 古川+28.6P 村瀬▲29.1P 伊藤▲33.2P
最終戦(起家から日下・古川・村瀬・伊藤)
東1局、日下の親。突き放したい日下の配牌。
ドラ
逆転したい古川の配牌。
日下が7巡目に先制リーチ。
リーチ
この局の古川の手順が素晴らしい。
ロン
最終形を見て丁寧に受けながらテンパイし、競りの日下からの直撃。
私なら2巡目のでを切っていきを残して、古川がテンパイの13巡目で、
ツモ
こうなりを捕まえることが出来ず、日下にアガリが付いたかもしれない。
この7,700はかなりの手応えだろう。
東2局は古川の親番。2,000点をアガリ迎えた1本場。
9巡目古川。
ツモ ドラ
ドラを引き入れ、どちらでも三色を取れる1シャンテンとなる。
11巡目日下からリーチが入る。
リーチ
すぐに古川がを引く。日下の捨て牌にはがある。ドラがとはいえこれをノータイムでオリ。
つい1本押してみたくなるところだがしっかりやめる。
この守備力の高さが、手牌を短くしても古川が放銃しない理由であろう。
ここからは小場で進み、南場に入り日下の最後の親番。
古川との差は16,700点差、最低でも満貫ツモで逆転可能な点差にしておきたいところ。
何とか連荘しようとするがツモが噛み合わず、伊藤のリーチに捕まってしまう。
リーチ ロン ドラ
この16,000で日下の条件はかなり厳しいものに。
ここからは危なげなく局が回り、古川が逃げ切り優勝を決める。
5回戦成績
古川+23.6P 村瀬+6.1P 伊藤+3.5P 日下▲33.2P
最終結果
古川+52.2P 日下▲0.5P 村瀬▲23.0P 伊藤▲29.7P
麻雀にセーフティリードは無いというが、50P差は競技麻雀としてはかなり大きい。
過去に私も70Pの差を逆転されかけたという経験がある。あの時は本当に苦しかった。
この展開で追われるものの苦しさは、想像以上にメンタルに来る。日下も相当苦しかったであろう。
古川は鳳凰位戦のA1昇級・中部プロリーグ優勝と今期は充実した1年であっただろう。
来期は鳳凰位を目指して戦うと力強く語ってくれた。
名古屋からリーグは大きく違えど、同じ鳳凰位戦を戦う者として古川の活躍を期待したい。
後列左より:伊藤鉄也、村瀬寛光、日下健司
前列左より:木村本部長、古川孝次
氏名 | 1回戦 | 2回戦 | 3回戦 | 4回戦 | 5回戦 | 小計 |
---|---|---|---|---|---|---|
日下 健司 | 14.4 | 23.6 | 8.6 | ▲ 13.9 | ▲ 33.2 | ▲ 0.5 |
村瀬 寛光 | 6.7 | ▲ 20.9 | 16.5 | ▲ 31.4 | 6.1 | ▲ 23.0 |
古川 孝次 | 1.2 | ▲ 9.0 | 1.6 | 34.8 | 23.6 | 52.2 |
伊藤 鉄也 | ▲ 23.3 | 6.3 | ▲ 26.7 | 10.5 | 3.5 | ▲ 29.7 |
供託 | 1.0 | 1.0 |
カテゴリ:中部プロリーグ レポート