第19期北陸プロアマリーグ 決勝レポート
2019年03月06日
2019年2月17日(日)富山市にて第19期北陸プロアマ混合リーグ決勝戦は行われた。
決勝戦は予選通過順位1位40PP、2位20P、3位10P、4位0Pの持ち点スタートでの半荘4回戦。
決勝戦出場選手紹介と決勝へ向けてのコメント
1位通過 獅坂 祐一プロ +40P(32期生、初段)
「いつも通り打ちます」
2位通過 山元 一成さん +20P(一般)
「初めての決勝進出だが、自分らしく打ちたい」
3位通過 後藤 正博プロ +10P(22期生、三段、第1期北陸リーグ4位)
「決勝進出は第1期北陸プロアマリーグ以来なのでぜひとも優勝したい」
4位通過 窪田 一彦さん 0P(一般、第7期北陸リーグ優勝、第3、10、11期2位)
「虚心坦懐で臨みます。」(虚心坦懐…心にわだかまりがなく平静な心境)
決勝戦初出場の獅坂と山元さん、第17期最強位、第1期北陸プロリーグ優勝、をはじめ多くの戦歴を持つ後藤と北陸リーグ優勝と上位経験を持つ窪田さん。
1回戦 起家から獅坂、窪田、山元、後藤
東1局 窪田さんがリーチ、タンヤオ・ドラ1の5,200点を後藤からアガる。
東2局 獅坂が仕掛けてタンヤオ・ドラ3の2,000、3,900のツモ。
東3局 後藤のリーチ。流局。
東4局 窪田さんのリーチ、1,000・2,000ツモ。
東場は上位とのポイントの差を詰めようと窪田さん、後藤が果敢に前に出る。攻撃型の獅坂もそれに応戦する形となった。
南1局 親の獅坂がホンイツ・・イーペーコーの12,000点を窪田さんからアガリ、獅坂の点数は5万点を超える。
ロン
南3局 ドラ
窪田さんの6巡目のリーチ。は山にありと読んで勝負に踏み切ったようだ。
しかし、親の山元さんも待ちは勝機ありと、8巡目にリーチ。
軍配は窪田さんに。リーチ七対子ドラ2の3,100・6,100のツモ。窪田さんはこのアガリで持ち点を30,000点に戻す。
1回戦結果
獅坂+29.8P 窪田+5.4P 山元▲14.5P 後藤▲20.7P
トータルスコア
獅坂+69.8P 山元+5.5P 窪田+5.4P 後藤▲10.7P
2回戦 起家から窪田、山元、獅坂、後藤
大きくリードを広げた獅坂。しかしこの独走を3人は止めなくてはいけない。
東3局 山元さんが仕掛けてタンヤオ・ドラ3の7,700点を後藤からアガる。
東4局 獅坂が仕掛けて親の後藤のリーチ宣言牌を捕えて3,900点のアガリ。
1回戦から果敢に攻め続ける攻撃型の後藤。しかし打ち込みに回り苦しい展開が続く。獅坂はリードを広げるべく攻撃の手を緩めない。
南1局 山元さんが獅坂から3,900点をアガる。
獅坂はこの3,900点の放銃で持ち点29,500点となり原点を割る。ここから窪田さんが動き出す。
南2局1本場供託2 ドラ 5巡目
ツモ
窪田さんの500・800と供託2,000点のアガリ。
南3局 ドラ
ポン ツモ
窪田さん、2巡目にポン、5巡目に300・500のツモアガリ。電光石火で獅坂の親を落とす。守備意識の強いバランス型の窪田さん。獅坂が原点を割ったまま2回戦を終わらせる、この仕掛けに窪田さんの意図が感じられる。優勝経験を持つ窪田さんは現時点で最終戦までに獅坂との差をどこまで詰めるのか構想ができているのかもしれない。
南4局 親の後藤の1,000オール。
南4局1本場 山元さんの400・600のツモアガリ。
2回戦結果
山元+17.4P 窪田+8.5P 獅坂▲7.9P 後藤▲18.0P
トータルスコア
獅坂+61.9P 山元+22.9P 窪田+13.9P 後藤▲28.7P
3回戦 起家から山元、窪田、獅坂、後藤
獅坂への包囲網は厳しさを増してゆく。
東1局 ドラ
ポン ポン
親の山元さん、4巡目ポン、8巡目ポンでテンパイ。
後藤の手牌。ここへを持ってきてを落として回る。アタリ牌のを吸収して3枚目のドラを持ってきてリーチ。
軍配は17巡目山元さんのツモ、4,000オール。
山元さんは次局も4,200点をアガリ、持ち点47,200点。
東1局2本場 窪田さんの七対子ドラ2のリーチ。しかし獅坂の2,600+供託1,000点のアガリ。
東2局 獅坂の300・500ツモ。これで獅坂は持ち点を原点に戻す。
東3局 ドラ
7巡目獅坂の手牌
ツモ
獅坂の選択は打。その後は→、→、→、この生牌のを山元さんがポン。→、→、→、を山元さんがポン、→打リーチ。
しかし、この宣言牌のに山元さんと窪田さんからロンの声。
ポン ポン
頭ハネで山元さんの5,200点のアガリ。攻撃寄りのバランス型の山元さん、親番で前に出てくる獅坂を仕掛けて捕える。獅坂、頭がドラに振り替わり痛恨の放銃。このアガリで現時点でのトータルトップは山元さんに。
南3局 ドラ
7巡目 窪田さんのリーチ。
一方、リーチを受けた8巡目の親獅坂の手牌。
ツモ
を打ちリーチと行き、窪田さんへ8,000点の放銃。獅坂は包囲網に捕えられてしまった。
南4局 窪田さんは700・1,300のツモ。このアガリで窪田さんの持ち点は30,000点を越え3回戦も加点に成功する。
3回戦結果
山元+31.0P 窪田+6.6P 獅坂▲14.9P 後藤▲22.7P
トータルスコア
山元+53.9P 獅坂+47.0P 窪田+20.5P 後藤▲51.4P
最終戦 起家から、獅坂、窪田、後藤、山元
(最終戦はトータルスコア2位、3位、4位、1位の順)
トータルトップの山元さんとの差は、獅坂▲6.9P、窪田さんは▲33.4P、後藤▲105.3P。1回戦終了時最大で64.3Pのリードを持っていた獅坂。幾度も勝負手を決め2回のトップでそれを凌駕した山元さん。2回戦、3回戦と獅坂のスコアにマイナスをつけることで差を詰めてきた窪田さん。ここまで牌が寄らず苦戦を強いられている後藤。各々が優勝への道を切り拓きながら辿り着いた最終決戦が始まった。
東1局 ドラ
親の獅坂、3巡目にしてこの形。
その後、と引きこむ。
獅坂はが場に2枚切れも切りリーチ。後藤からあふれたでリーチ・三色7,700点のアガリ。先制打を決めイニシアティブを取る。
東1局1本場 ドラ
5巡目 後藤のリーチ
対して獅坂はドラ2枚の手牌から真っ直ぐに無筋を切り飛ばしてゆく。9巡目に獅坂から打ち出されたで後藤はリーチ・ピンフの2,300点のアガリ。
東2局 山元さんが発を仕掛けて後藤から2,000点のアガリ。
東3局 窪田さんが親番で前に出る後藤から5,200点のアガリ。
東4局 ドラ
親の山元さんの手は重く全く進まない。
9巡目 獅坂の手牌
ツモ
獅坂は切りを選択。その後すぐに、を引き込みリーチ。
ツモ
14巡目ツモで獅坂、リーチ・ツモ・ピンフ・ドラ1の1,300・2,600点のアガリ。
獅坂は持ち点を40,600点とし、トータルトップで南場を迎える。
ここまでの持ち点は獅坂40,600、窪田32,900、後藤16,100、山元30,400。
現在の順位点を含めたトータルスコアは、獅坂+65.6P、山元+55.3P、窪田+26.4P、後藤▲73.3P。
南1局 ドラ 親獅坂
4巡目、窪田さんのリーチ。
獅坂の手牌
ここへを持ってきてツモ切り。窪田さんへリーチ・ダブ・の8,000点の打ち込み。
獅坂の最後の親番が終わる。
南2局 ドラ 親窪田さん
3巡目、またしても窪田さんのリーチ。
親のピンフ・ドラ1、高め一気通貫のリーチ。ツモなら6,000オールまである。
リーチの現物がなく役なしテンパイの獅坂、この手牌にを持ってくる。テンパイ維持しそのままツモ切り。窪田さんのリーチ・ピンフ・一気通貫・ドラ1の12,000点の大きなアガリ。窪田さん、2局で獅坂から20,000点をアガる。持ち点を52,900点とし、獅坂をかわし、トータルトップの山元さんまで一気に詰め寄る。
南2局1本場 窪田さんの1,100オール。現時点で山元さんをかわして窪田さんがトータルトップに。
南2局2本場 ドラ
5巡目の親の窪田さんの手牌、三暗刻のテンパイ。
ここへを持ってきて、切りでトイトイ・三暗刻のテンパイに変化。このを獅坂がポン。すぐに窪田さんはツモ切りリーチ。リーチの段階ではは獅坂に1枚、は山元さんに1枚。途中、は後藤の元へ。残り1枚のは山に奥深く眠ったまま流局。3者は窪田さんの開かれた手を見て肝を冷やしただろう…。
南2局3本場供託1 ドラ
序盤に山元さんがをポン。つづいて獅坂が山元さんからとを仕掛ける。獅坂の発の仕掛け後も・が見えていない。その状況で山元さんがを打ち出した。攻撃寄りのバランス型の山元さんが前に出たということはとドラも持っている可能性が高い。一方、役牌2フーロの獅坂はマンズしか打ち出しておらず一色手ならソウズ、ピンズかは判断しにくい。ドラがのためピンズに寄せているのでは?そう推測したのかもしれない。窪田さんからが打ち出された。獅坂の手牌にピンズはなくソウズのホンイツ・の8,600点のアガリ。このアガリで獅坂は息を吹き返した。
ポン ポン
現状のトータルスコアは、獅坂+51.6P、山元+47.7P、窪田+46.6P、後藤▲75.9P。
1局進むごとに3者の順位が目まぐるしく入れ替わる。
南3局 山元さんのリーチ。一人テンパイで流局。
南4局1本場供託1 親は山元さん。
現在の点数状況は獅坂29,600、窪田47,100、後藤12,500、山元29,800。窪田さんの1人浮きの状況であるが、獅坂、山元さんは何をあがっても浮きに。
現状の順位点込みのトータルスコアは山元+52.7P、獅坂+43.6P、窪田+49.6P、後藤▲76.9P。
親の山元さんは全員ノーテン流局であれば優勝であるが、アガリに向かい1人ノーテンでも伏せられる状況を目指したい。
獅坂は1本場と供託1,000点があるので1,000点をアガリ浮きの2着とすれば優勝。
窪田さんは山元さんと3.1P差で1本場と供託1,000点を加味すると1.8P差。2,000点のアガリ、もしくは山元さんから1,000点のアガリで優勝。
大接戦のオーラス。
ドラ
7巡目、最初に仕掛けたのは親の山元さん。窪田さんから打ち出されたをポン。
ポン 打
このを獅坂がチー。片アガリの待ちのテンパイ。
チー 打
9巡目、窪田さんが獅坂の打ったを仕掛ける。
ポン 打
11巡目、山元さん、チーで片アガリの待ちテンパイ。
チー ポン 打
12巡目、窪田さんが獅坂の打ったをポン。待ちテンパイ。
ポン ポン 打
この時点でとは2枚ずつ山。
そして13巡目。山元さんの手から河にが放たれた。
第19期北陸プロアマ混合リーグ決勝戦。その終止符を打ったのは獅坂。
最終戦を終えた獅坂は大きく息を吐いた。苦しく長い戦いの末、やっと安堵の息をこぼすことができたようだ。優勝おめでとうございます。
優勝 獅坂 祐一プロ +53.9P
準優勝 山元 一成さん +47.4P
第3位 窪田 一彦さん +45.6P
第4位 後藤 正博プロ ▲76.9P
出場選手の皆様本当にお疲れ様でした。
リーグ戦を第1節から攻め抜き首位を走り続け決勝まで辿り着き、決勝戦も攻め抜く姿勢は変わらず多くの失点を乗り越え不屈の意志で優勝を勝ち取った獅坂プロ。
多くの勝負手を決め勝ち取った2度のトップ。しかし、その裏にはアガリの回数より多い忍耐があったと思います。局面を見極め、幾度の勝負手を決めた山元さん。
局面に合わせて打点を見た手作り、スピードを意識した手作り、山読み、変幻自在に使い分け獅坂プロを追い詰めた窪田さん。
終日牌が寄らず後手に回るも機を窺い勝負手を作り攻め続けた後藤プロ。
個性がぶつかり合う本当に素晴らしい決勝戦でした。レポート担当という形でこの決勝戦に立ち会う事ができた幸運に感謝しています。
このレポートで4名が優勝への道を切り拓く様子を上手く伝えられているか不安ではあります。
リーグ戦は苦難に満ちています。それを乗り越えた先の決勝戦は苦難を乗り越えた者が激しくぶつかりまた苦難を味わいます。しかし、我々はなぜその苦難にあえて挑むのでしょう?その答えは卓上にある、と私は思っています。私も16期の決勝戦を経験し、答えの一端に触れました。決勝戦という頂の卓上に待つ答え。多くの方に感じてほしいと願っています。
2019年3月より第20期北陸プロアマ混合リーグが始まります。
是非、ご期待ください。
拙い文章に最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。
北陸支部33期生 成田 理良
カテゴリ:北陸プロリーグ レポート