第11期北陸リーグ 決勝レポート
2015年02月05日
平成27年1月18日、第11期北陸リーグの総決算として準決勝~決勝戦が金沢にて開催された。
今期の北陸リーグは通過者8名の上位3位までに対してそれぞれ30P、20P、10Pがアドバンテージとして付与され、準決勝3回戦の対局。上位の4名までがポイントを持ち越して決勝を2回戦行うという仕組み。そのため、リーグ戦終盤でも予選上位陣のポイント争いは白熱したものであったし、準決勝におけるポイント差の有る立ち回りにもそれぞれの個性が見て取れ、観戦する者を飽きさせない盛り上がりを見せたのではないだろうか。
決勝進出者は以下の4名
平澤さん(53.7P)、光岡さん(39.7P)、窪田さん(29.2P)、木下さん(18.7P)
2期続けてオールアマによる決勝戦。光岡さんは9,10期に続いて3連覇という偉業に向かっての視界良好。
前期惜しくも優勝を逃した窪田さんも、雪辱を期しての決勝進出となり、北陸のアマチュアのレベルの高さとプロの不甲斐なさを内在する、ドラマ性充分な組み合わせである。
縦長の様相を呈してはるが、最下位からでもトップラスで逆転が可能。逆に平澤さんは緒戦を奪取できれば優勝の確率は一気に跳ね上がる。
各々が条件を再確認し、決勝戦の火蓋は切って落とされた。
1回戦 起家 木下さん-平澤さん-窪田さん-光岡さん
先制リーチは4巡目の窪田さん
東1局ドラ
ツモれば開局早々総合トップに並べるリーチ。観戦する側から見ても、決勝2回戦の方向性を決めかねない窪田さんのリーチだったが、この時点で⑦は全て河と他者の手の内。
これを跳ね返したのが起家の木下さん
リーチ ツモ
最終形を間違えず2,000オール。
優勝の目は十分あるとはいえ、木下さんはほぼ連勝が条件。その気迫が奏功した先制の一撃
しかしながら、決勝に掛ける想いの強さは他の面々も決して劣っていない。東場は他の3者も確実にアガリをモノにする一進一退の攻防
東2局1本場ドラ
リーチ ロン 5,800は6,100
平澤さんが索子のターツ払いからの最高形にて、安目ながら木下さんを討ち取る。
東2局2本場ドラ
ポン チー ロン 1,000は1,600
光岡さんが平澤さんを走らせない。
東4局ドラ
リーチ ツモ
窪田さんも他者に追いつく1,300-2,600
安目の決着が多い展開だったが、南場に入って勝負は大きく動く。
南1局、ポンから仕掛ける窪田さんとリーチで被せる光岡さんの争いに対し、静かに前に出ていた木下さんが徐ろに手を開く。
南1局ドラ
チー
ドラ暗刻の11,600。振り込んだ光岡さんは3連覇に暗雲か。
木下さんは準決勝~決勝と、手役・打点を伴うアガリをキチンと作り、仕上げていたように感じられる。競技麻雀の経験は浅いが、しっかりと腰の入った麻雀を打つ方である。
これで1回戦の趨勢は決したかに見えたが、これに待ったをかけたのが総合トップの平澤さん。
次局、勢いに乗る木下さんの親リーをダブのポンで上手く捌き、次の親で本手をツモりあげてトップを奪い返す。
南2局ドラ
リーチ ツモ 2,600オール
平澤さんは手作りも勿論だが、綺麗な手を丁寧に仕上げていた。勝負手というよりは、「ここでアガリが欲しい」場面をしっかりと制しており、態勢の良さと雀風が噛み合った強さをこの日は遺憾なく発揮していたと思う。
平澤さん、木下さん。更なる加点を狙う二者に対しては、王者の意地か、光岡さんが待ったをかける。
南2局1本場ドラ
暗カン リーチ ツモ
ドラの無い手牌からターツを落として強引にドラを重ね、それでいてアガリ逃しの無い選択で満貫を引きアガる。
だが、二の矢を放つ事は出来ず反撃もここまで。結局として、1回戦は平澤さん、木下さんが浮き、窪田さん、光岡さんが沈む決着となった。
1回戦スコア
平澤さん(+20.0P)、木下さん(+14.7P)、窪田さん(△14.6P)、光岡さん(△21.1P)
総合スコア
平澤さん(+73.7P)、木下さん(+33.4P)、光岡さん(+18.6P)、窪田さん(+14.6P)
平澤さんが自身のトップ&他者の並びも理想的な展開となり、最終戦を前に優勝を大きくその手に引き寄せた。他の3者はある意味わかりやすい。「平澤さんを沈めて大トップ条件」
この半年間の総決算として、各人の思惑を乗せて、決勝最終戦はスタートされた。
2回戦 起家 木下さん-窪田さん-光岡さん-平澤さん
東1局ドラ
無理をする必要の無い平澤さんに対し、他の3名が打点を付けて手を争う。
満貫級の意地をぶつけ合い、反撃の1番手となったのは1回戦なかなか手をモノに出来なかった窪田さん
ポン ツモ
自身のトップは最低条件であり「平澤さんを沈める」というノルマもある以上、このツモは大きい
そして場が俄にヒートアップしたのが東2局1本場。本手同士が火花を散らしてせめぎ合う。
東2局1本場ドラ
木下さん
窪田さん ポン ポン ポン
を掴んだ木下さん。痛恨の、そして窪田さんにとっては先程の満貫と合わせて、一気に詰め寄る18,000
60P弱という大差のあったこの半荘。たった2局にして独走状態が崩れ去った。
その後も一気呵成の窪田さん。1回戦目と打って変わって仕掛けを多用して攻めにかかるが他者の警戒が強く、流局を重ねつつ、だがじわりと点棒を増やしてゆく。
4本場まで親権を維持するも、平澤さんの軽い和了が出てようやく親流れ。この時点で二人の点差は満貫直撃で逆転する程度まで縮まっていた。
窪田さんは、手役や仕掛け、攻守においてバランスが良く、失策も無く当たり前の手を当たり前に仕上げる。「名人に名手無し」。アマチュアながら北陸においては上位の常連であり、前期に続き今期もその存在感を見せつけていたように感じられる。
その後、木下さん、光岡さんも意地を見せつつも親を維持できず、窪田さんは南場の親で再度点数を詰めにかかる。
南2局ドラ
リーチ ツモ 2,000オール
順位点を含め、二人の点差は7P。もう一度の2,000オールで大逆転というドラマが現実味を帯びてきた。
そして1本場、窪田さんがついにアガれば逆転のリーチを打つ
リーチ
しかし、満を持してと言うべきか。ドラマの引き立て役に甘んじるつもりはない平澤さんが、点数こそ小さいが、大きな2回の上りで勝負所の2局を制した。
南2局1本場ドラ
ツモ
南3局ドラ
チー ロン
僅かながらの加点も地味に大きく、肉薄した点差もオーラスにおける逆転条件は跳満条件にまで広がっていた。
最終局、窪田さんは七対ドラ2に最後の望みを賭けるも叶わず。最後は平澤さんが静かに牌を伏せて決着した。
仮定の話となるが、前述のアガリがなければ、窪田さんは立直ツモ七対で条件を満たしていただけに、ドラに固執すること無く辿りつけていたのかもしれない。それだけに、平澤さんの最後の2度の捌きは大きく、地力と意地の相俟った和了として見る者を嘆息させるに充分だったように思う。
初優勝の平澤さん。出来や展開に恵まれたと謙遜していましたが、北陸リーグの優勝者として何ら恥じることのない雀力を発揮していたと思います。本当におめでとうございます。
3連覇ならずの光岡さん、前期に続いての準優勝の窪田さん、決勝初参戦の木下さんも来期こその思いも強いかと思います。リベンジの機会を得るために頑張って下さい。
そして私を含めてのプロの面々は、一層の稽古にて来期の奮起を目指さなければです。アマチュアのレベルが高いからこそ、私達の研鑽が一層求められるのではないでしょうか。
最後になりますが、半年間ではありますが、拙い観戦記にお付き合い戴き有難うございます。またいつかお目にかかる事があれば、宜しくお願い致します。
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