関西プロリーグ レポート

第17期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第8節レポート

Aリーグ第8節:辻本翔哉

17期のリーグ戦も残り2節となりました。上位陣はどうなったか。降格争いの行方は。8節のレポートです。

1卓:横山・藤川・稲岡・辻本
1卓は上位陣の横山、辻本と降格争いの藤川、稲岡の対局となった。お互いに意識をしながらの難しい選択を迫られる事となる。

1回戦目 オーラス ドラ二筒
辻本31,100点 南家:稲岡26,300点 西家:横山32,100点 北家:藤川30,500点

稲岡が1人沈みで迎えたオーラス。先制リーチはその稲岡だった。
4巡目、5巡目に白のトイツ落としをしてのリーチ。早い巡目に1人沈みの稲岡がリーチという事で多分30,000点を超えられるだけの手役を完成させたと予想できた。
稲岡のリーチの一発目のツモが白。勿論ツモ切り。

リーチ ツモ 白 で1,000・2,000点のツモアガリを逃した訳だが、そこに悔しさや迷いのない雰囲気を醸し出した。早い巡目で確定の3,900点以上の手を仕上げたのだろう。
白のトイツ落としで七対子もない。タンヤオかピンフ系の手役であることが予想された。
その為ツモなら、辻本は沈む事は確実だ。だがまだ2シャンテン。不要な中張牌を抱え込んでいるため、攻めても逃げても苦しい戦いになった。もし放銃してしまうと、1人沈み。
このままツモを待つと4着になる可能性が高かった。
筋を頼りに放銃しないように攻めることにした。しかし自摸が芳しくない。結局13巡目に1シャンテンまで辿り着いたが、ソウズの危険牌を引いて巡目も後半に差し掛かっていたので、流れる事を祈りつつオリる事とした。
しかし横山は違った。トップで迎えたオーラス。成績が近い辻本が2位のラス親でもし自分が自摸あがれば1人浮となる絶好のチャンス。稲岡のリーチにも果敢に攻めていた。そして14巡目、横山は4を切りリーチを宣言。しかし稲岡に放銃してしまい、リーチ、ピンフ、ドラ1の3,900点を放銃してしまう。

結果は、辻本:31,100点 藤川:30,500点 稲岡:30,200点 横山:28,200点となり横山が1人沈みとなった。
対局後、横山はあの場面を振り返り「1人浮きを狙いに行って1人沈みはダメだ」と言っていたが、私は恐ろしさを感じた。最後まで一番危ない牌を抱えている麻雀自体の読みもそうだが、傍観していても浮きの2位は確実視されている局面で、守る事なく前に進める挑戦者の気持ちがベテランの横山にも備わっている事に。

その後の3回戦は辻本の調子が悪く、結果は稲岡+22.0P藤川+15.0P横山+7.3P辻本▲44.3Pとなった。

A2卓:坂本・佐々木・宮田・高谷
こちらは観戦できなかったので結果を報告します。
佐々木+64.4P宮田▲11.1P坂本▲16.8P高谷▲36.5Pであった。上位の3名が成績を落とし、今期不調であった佐々木が後半伸びてきた。

A3卓:仁科・勝間・米川・吉本
こちらも別日対局であったため結果だけ報告します。
勝間+16.7P米川+13.5P仁科▲12.3P吉本▲18.9Pとなった。こちらは上位陣が着実に+を伸ばした。
これで残すは最終節。最後の戦いは今期成績の1位3位5位7位が同卓、2位4位6位8位が同卓、9位10位11位12位が同卓となる直接対決となる。例年だとトップと最下位ぐらいはほぼ確定の差がでるが、今期は全体の成績の差が縮まっているため、決定戦の3名も降格の2名も最終節の出来次第で決まる事になる。本当に最後まで目が離せなくなった17期関西プロリーグ。太閤位の花岡に挑戦出来るのは誰か、楽しみです。

 

 

Bリーグ第6節:山室太二

今期のBリーグも残す所あと3節、大詰めとなって参りました。
ポイントの有無に関わらずほぼ全員が全力で攻めて来るでしょうが、私の手持ちはほぼプラスマイナス0なのでマージンをとった立ち回りも可。と甘く考えていました。
今節の対戦相手は昇級圏内の長尾と福原、逆に降級圏内の丸山。
丸山は数少ない同期なので頑張って欲しいのですね。
展開的にはリーチ、フーロの飛び交う乱打戦模様で流石に終盤戦ともなると普段以上に追い込みを掛けてきている印象です。かくいう私は東場の稼ぎに甘んじてスロープレイしだすと、高打点のツモや2軒テンパイに挟まれ手詰まりおこしたりしてガンガン削られかなり苦しめられました。
今節特に目を見張ったのは福原でした。福原は前回対戦時にも攻め傾向が強い打ち手だと思っていましたが、今回かなりの成功率で絶好調の様子でした。

2回戦、南2局、南家福原

六万八万発発発中中  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ドラ三万

このテンパイ形から、長尾の強打した中をポン、打六万からの単騎回しで

一筒発発発  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ポン中中中  ツモ一筒

四回戦、東2局、南家福原

二索二索四索四索四索西西  暗カン牌の背四筒 上向き四筒 上向き牌の背  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ツモ西

この三暗刻、トイトイをあっさりツモ
淡々とアガっているようでこの2局は私にとっては相当に頭を押さえつけられた強烈な仕掛けでした
理由は2局ともドラが1枚も見えていなかったからです。この手の仕掛けはドラを持っていない者からみれば5,200~満貫リスクでなく下手すれば跳満も考えるので、生牌2枚でも掴めばもう割が合わないので早い段階で手を崩されてしまいます。
逆に跳満のリスクを薄く見れば、ドラ持ちはまともな採算で押し引きできるので上図で中を強打できた長尾がその例でしょう。
この展開は私の普段打ちから考えるドラ抱えた仕掛けの役牌バック系統の保険の複合役選択にトイトイが採用されるケースをよく見ているので、勝手なイメージで見えないドラに怯えて手を崩してしまう覚悟の無さも因子でしょう。
4人抽選より3人抽選のほうが断然有利ですし、その有利さをむざむざ渡してしまう自分のヌルさを反省させられる対局でした。
ポイントの変動は少ないもののトータルで攻撃の刺さりの良かった福原、バランスよく立ち回った長尾がプラスで締めました。

 

 

C1リーグ後期1節:松尾潤

1卓 松尾・辰巳・吉田(圭)・長野
今節のハイライトは1回戦、点差に大きな開きはなく迎えた南2局。
親の辰巳が早々に七万ポン、七筒ポンと仕掛けタンヤオまたは対々和が濃厚。
また、ドラの六索は松尾の目からは一枚も見えておらず打点も充分にある気配です。
中盤から終盤に入り、長野がションパイの中白をノータイムで切り、攻め返しの意志が見て取れる。
結果は流局となったが、親の辰巳がタンヤオ・ドラ3、長野が配牌10種からの国士無双を10巡目に聴牌とお互いアガリになっていればその後の展開が大きく変わる局だった。
長野の待ちは一枚切れの発で松尾の手牌に暗刻、タイミング次第ではオリ打ちの可能性があっただけにベタオリせずに向かっていたことが功を奏した。
個人として今節では、高打点の手をあがりきれない局面が続いたが、早い手が来た時には局を進め失点を抑えたことをプラスと考え次節に備えたいと思います。

 

 

C2リーグ後期1節:北村祐二

C2リーグは後期3節を向かえ、各々順位が気になり出すところ。
組み合わせは、
1卓(冨田・高橋・秋山・南田)
2卓(北村・吉田・平柴・三好)
3卓 (楠木・山本・伊原・管東・中島)

1卓では、接戦が繰り広げられ、高橋が+35.1Pで卓内1位。2位は冨田で+16.0P。
リーグトップを走る冨田は今節もプラスで終えました。

2卓では、三好の1人旅。全回プラスの上、トップ2回のいずれも50,000超えで、堂々の卓内1位の+75.1P。北村は今節も復調のきっかけをつかめず▲71.6P。

3卓では、リーグ上位につけている山本、伊原の安定感が光りました。山本がトップ3回2着1回で、卓内1位の+58.5P。伊原もトップ1回2着3回で+46.1Pの2位。

【第8節終了時点】
1位 冨田 +121.3P
2位 山本 +107.5P
3位 伊原 +92.3P
4位 三好 +75.1P
5位 高橋 +62.5P

依然冨田のトップは変わらないものの、2位の山本以下上位者が着実にポイントを重ねて、いよいよ冨田の背中が見える位置までつけてきました。

その中で、今回は山本に注目しました。現在リーグ2位につけておりますが、12回戦中トップ8回という好成績。トップを狙える局では確実にモノにする勝負強さが随所に見られます。

5回戦の南2局(起家から、中島・管東・山本、・楠木)、ドラ北

【南1局終了時点】
中島33,200
管東24,300
山本 30,900
楠木 30,600

4者混戦で向かえた今局。親の管東は1人沈みのラス目とはいえ、1アガリすればトップ逆転に躍り出ます。
そんな中、山本は中島から発をポンし、その後発を加カン。河からはピンズのホンイツ模様。ドラは場に1枚切れで、その他字牌も少ない状況。
楠木が勝負の中切り。山本からロンの発声。

六筒七筒八筒東東北北北中中  明カン発発発発  ロン中  ドラ北

ドラの北はここに。これが決定打となり山本がトップを獲りました。
緊迫した状況でもリズムを崩さず冷静に、山本は実を結ぶ時を待っていました。