第30期関西プロアマリーグ冬の陣最終節レポート
2013年03月11日
第30期関西プロアマリーグも最終節を迎えて、梅田の会場には70名近い選手が一同に集まりました。
とりわけ、関西の一般参加者の熱意は高く、全国でも活躍の機会は多い。
この意識の灯を大切にしていかなくてはいけないと感じます。
第4節まではその意識の灯が煌々と燃え上がったのか、一般参加者が上位を占めました。
それでは、今期も上位のラインナップを紹介していきたいと思います。
暫定1位、花岡章生プロ 265.1P
花岡章生プロ |
現在の花岡は関西で1、2を争う安定感のあるプロ。前期のプロアマリーグでは総合2位、今年のゴールデンカップも2位入賞。関西プロリーグ「太閤位戦」は、4期連続決定戦出場と、あらゆる試合で入賞圏内に確実に足を進めている実力者でもあります。今回はその彼が首位を走る中、誰がその鉄壁の牙城を打ち崩せるかに注目が集まります。
暫定2位、米津紘平さん 222.9P
米津紘平さん |
関西プロアマリーグではすでに常連選手であり、面前主体の粘り強い打風で前半戦の首位を牽引してきました。最終節を迎えていよいよ直接対決となっても、プロである花岡に負けない気概を見せてもらえることでしょう。
暫定3位、中山千鶴プロ 203.3P
中山千鶴プロ |
関西ではまだ若手の存在ながら、麻雀に対する情熱では誰にも負けない気持ちを持っている女性選手。最近の彼女には、努力の中での成長が見られます。首位とのポイントは離れていますが、花岡プロに食らいつくガッツでトライしてくれそうです。
暫定4位、藤井一弘さん 194.0P
藤井一弘さん |
藤井さんはオンライン麻雀で鍛えた実力を存分に発揮して、今期を安定した成績を叩き出してきました。戦いは常に平常心を心がける姿勢を目指し、一歩一歩、確実に登りつめることでしょう。
暫定5位、奥田丞志さん 190.8P
奥田丞志さん |
関西プロアマリーグ初参戦という慣れない中での堂々たる成績。先日行われたゴールデンカップでも、優勝に迫るところまでの勢いを見せ、その悔しさを気炎に変えておりました。5位という位置からの立ち上がりで、相手がプロ3名と苦しいところでありますが、逆境を乗り越えて頂きたいところです。
ここから首位卓を中心に、運営リーダーこと私、近野理智男と、運営担当の坂本誠裕が実況を行っていきたいと思います。
1回戦(起家から)花岡、中山、藤井、米津(以下、敬称略)
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どんな試合でも、スタートがその展開を象徴することが多い。
開幕の中山からは、優勝を目指してひたすら得点を叩きに行こうという意思が感じられた。
開幕は筆者が振り向く間もなくリーチを決めて1,300・2,600のツモ。今回は成績が順位点に大きく左右されるため、順位によってはポイント差をひっくり返すことも可能だ。
東2局は親を飛ばされた花岡が、北のみのアガリで軽く場を流す。その花岡の次局の捨て牌、
花岡
ドラ
こう並ぶと場に緊張が走るが、ただ黙っては終わらない3者。
米津が12巡目にピンフドラ1の–ピン待ちでリーチ。流局すれば花岡以外の3人がテンパイだったが、実は最初にテンパイしていたのは花岡。ピン単騎の七対子であったが、米津の手をドラ使いの好形と読み切って、自身の待ちは薄いと無筋を一発で切り飛ばさなかった。結果的には、その為にアガリ逃しをしてしまう訳だが、これがその後の展開にどう影響するか注目していきたい。
次局も、1人テンパイを決めた米津が、気運を高めて迎えた親番の7巡目、トイツ気配が漂う中で以下の牌姿を迎える。
米津
ツモ ドラ
もも打ち取りやすい牌だが、場に3枚切れのを見て、ここの選択は打。これは鋭い選択ではないかと場を見守る中、読みが当たれば嵐が吹き荒れるかもと感じた瞬間、吸い込まれるようにすぐの引き。これで意を決した米津が高らかにリーチを宣言し、ドラをツモりあげた。
米津
リーチ ツモ ドラ
米津の僥倖に対して普通ならば動揺する場面でも、相手にどんなアガリを見せつけられても動じないのが花岡の強みである。米津には連荘でさらに好手が入っていたが、花岡は何かを感じとったかのように真っすぐ牌を切り出していく。そして、ここでリーチを決めてアガったまさかの牌姿が、
花岡
ツモ ドラ
先ほどの、米津のアガリの相似形であった。やられた事はやり返せばいい。そんなセリフが聞こえてきそうな展開に、まるで格闘漫画を思わせるような最終節らしい熱い攻防となってきた。
南場に入っては、2人の跳満に追いつかれた形となった中山が気合いの攻めを見せた。5巡目にをポンした親の花岡は、いかにもドラがありそうな仕掛けに見える。これに対して、中山がドラ切りリーチで果敢に挑むと、これも吸い込まれるようにポン。
中山
ツモ ドラ
しかし、ここは中山の気合が勝って、望外のツモを得た。ここまでツモによる失点だけでもお互いを疲弊する乱打戦。ここでさらに中山が米津から5,800を打ち取りトップ目に立った。
最後の親番で少しでも苦境を覆したいのが藤井だったが、親満のホンイツテンパイもむなしく、花岡のリーチに突き刺ささってしまう。
次局で、1回戦は50分の時間切れを迎えた。今まで展開に恵まれなかった藤井が最後に迎えたチャンス手、しかしテンパイが遅かった。
藤井
ドラ
藤井はここであえてリーチを選択した。その理由として、ダンラスである以上、どこから出ても順位は変わらないからである。あくまで最後は最高形を目指したという意思表示の為に牌を横にしてリーチとした。普段から折り目正しい藤井らしい、美しい姿勢だと感じた。
1回戦から波乱を含んだ戦いはまず、中山と米津が首位の花岡に条件を押しつけた形となった。しかし、花岡にはまだ大きな失策は見受けられない。この壁をうち崩すまでにはまだ時間がかかりそうだ。
坂本:2番卓は関西Aリーガーの貫録を見せつけた貫上が場を圧倒させるトップを取り、総合4位に浮上した模様です。これで首位卓はプロの濃度がますます高くなりましたね。
1回戦終了時、
1位:花岡章生262.0P 2位:米津紘平235.6P 3位:中山千鶴228.3P 4位:貫上洋志202.3P
2回戦(起家から)、中山、貫上、米津、花岡
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競技の鉄則として、負けた者と勝った者が入れ代わる。2番卓を制したのは貫上洋志、これで1番卓のプロは3名となった。花岡と貫上は共に関西のAリーガーであり、互いに同じ意識を持ってプロアマリーグに参加してくれている。一般選手に対して、技術やマナーでプロ選手としての責任を果たすこと。2人ともそれができるレベルであることは間違いない。
しかし、米津の背中からは熱い闘志が消えることはなかった。普段から決して無茶をする打ち手ではないだけに、静かに牌に向き合う姿に迫力が感じられた。
軽く場が流れて迎えた東3局2本場、親の米津に対して西家・中山、4巡目の手牌。
中山
ドラ
ここから安易にを切らないのがプロの手筋。打ピンとすると、米津の6巡目テンパイは以下の形だった。
米津リーチ
リーチ ドラ
きっちりとした抑えを見せた東3局3本場、ご褒美とばかりに中山にチャンス手が入る。以下のテンパイを果たしてからすぐの12巡目、
中山
ツモ
まだ他家にわかりやすい動きが無い中、ここはリスクを冒してでも切りの一手だと筆者は思ったのだが、ここで中山が選んだのはのカンであった。
リーチでアガリやすい形ならまだいいが、ここではを3枚にした時に有効枚数を損なうのと、カンドラが他家のリーチを誘発しないかという不安が浮上する。もちろん、リンシャンでツモれば、これはこれでドラマチックだが、やはり親の米津からリーチがかけられた。
米津リーチ
リーチ ツモ ドラ、 ウラ、
カンが入らなくても米津がリーチしたら、結果的には同じだったかもしれないが、気持ちの上では中山が失敗した感覚になるのが麻雀の難しいところだ。それにしても米津が強い。
米津がトップの状態で、南2局1本場。再びカウンターを決めたい花岡に面白い手が来た。
花岡
ツモ ドラ
ドラがだけに悩ましいところだが、一引きが残念な形である。確定タンヤオとすぐの三色を見て切りが妙味かなと筆者は感じたが、ここでの花岡の選択はノータイムで打。結果、すぐの引きで裏目かと思いきや、最終形が懐の深く、花岡の強さを垣間見た。
花岡
ロン ドラ
全てをテンビンにかけていた花岡に、元よりリーチの選択などなかったわけである。どちらに掴まっても沈黙の満貫。ここでは貫上が蜘蛛の糸にからめ捕られた。
ポイントはまだまだ首位に届かない中、ここはひたすら攻めたい中山がひたむきに前に出る。しかし、守備の固い選手が3人揃うと、前に出る者が不利になるのは多数決の原理か。再び親の米津を前にして、
米津リーチ
ロン ドラ ウラ
東場のアヤだろうか、手痛い打ち込みでここは惜しくも中山が大きく後退してしまった。
米津がトップのまま迎えたオーラス、我慢してきた花岡のテンパイが早い。6巡目のリーチ、
花岡
リーチ ドラ
ここにきて流れが掴めていない貫上が、花岡と同時にピンフのみのテンパイを入れた。花岡とは5,600点開いた3着目という悩ましい状況で、普段ならヤミに構えたいところだ。しかし花岡の気合のこもり方で打点の高いリーチであることを理解していた貫上は、条件を満たさないリーチで果敢に戦いを挑んだ。こういう場面で逆が打てるのが貫上の強さである。
貫上
リーチ ツモ ドラ ウラ
貫上にとって、プレイヤーとして意識すべきは首位の花岡の存在である。この手を花岡より先にツモりあげた瞬間、裏ドラの存在も必然だったように思えた。タイミングを心得たアガリは、その意識の現れだと思ってもいいのだろうか。
ここでラスに落ちてしまった中山は首位卓から脱落。厳しいながら、彼女は本当によく頑張った。この経験は、必ずこれからの活躍の機会に活きてくることだろう。そして、この戦いで2回連続、花岡に3着を押し付けた米津が、ついに花岡の得点を抜き去り首位に立った。
これが最終戦であれば嬉しいところだろうが、まだ戦いが続く限り米津も簡単には表情を崩さない。そして、花岡もこのまま沈黙で終わらないはずだ。
今期のプロアマリーグはプロvsアマチュアの対決の様相を呈してきた。
坂本:2番卓では下位から上がってきた宮田プロがさらなるリードを伸ばし、総合3位へ。若い選手だけに先輩プロたちを相手に下剋上を果たしてやろうという気合がみなぎっています。
2回戦終了時、1位:米津紘平268.3 2位:花岡章生 254.3 3位:宮田豊夢:238.0 4位:貫上洋志210.5
3回戦(起家から)、花岡、宮田、米津、貫上
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2回戦で敗れた者に代わり上がってきたのが、関西の若手プロの宮田。今期関西プロリーグもBリーグへ昇格を決めて勢いがある。
麻雀に流れはあるか、そんなテーマは昔からされてきた。しかし、間違いなく言えることは勝負事の基本はミスの少ない者に有利に働くということだ。ここまで花岡に大きなミスはない。米津のファインプレーが花岡を苦しめてきたものの、どれだけ押し切られても横綱のように簡単に土俵を割らない粘りを見せつけていた。
麻雀はこれまでの積み重ねが必ず結果に繋がる競技だと言った者がいた。いよいよ折り返し地点となる3回戦。あえて、その言葉を借りるとすれば、ここで誰がその結果に繋げていくのだろうか。
3回戦、東1局から事件は起きた。何の前触れもなかったところに、突如吹き荒れた一陣の強風。何事もなかったかのような表情で一発でツモった、花岡の6,000オールだった。
花岡
リーチ 一発ツモ ドラ ウラ
そして、このアガリを皮切りに嵐は訪れる。東1局1本場、早く親を流したい宮田が仕掛けるも、再び親の花岡がリーチを入れた。危機を感じた貫上も、ストップをかける為に追いかけるのだが、
花岡
リーチ ツモ ドラ ウラ
しかし、軍配はまたも花岡。これもまた地面を割るような大きいアガリだった。まだ、3回戦が始まって、たった2局のことである。その後も花岡の勢いは止まらず、2本場もテンパイしている宮田から花岡が打ち取り3,900は4,500。怒涛の3連荘を決めた。
3本場、花岡の手にはドラのが2枚あり、また形がよかった。突然訪れた花岡の好調は、ライバルである米津にとって悪夢でしかない。これが決まれば完全に形勢が逆転するといった良手だが、もはやこれ以上の連荘は許さないと、普段は仕掛けない米津が翻牌の西と東を叩いた。これに煽られた宮田が10巡目にリーチをかけると、その時の花岡が以下の手牌。
花岡10巡目
ツモ ドラ
さあここでどう打つのだろうか。まずは米津の鳴きが本手かどうか見極めたいところだが、1枚を勝負してもいいと思わせる好手でもある。
ここで花岡は少考することなく、先程までの猛攻から一転、あっさりと安全なマンズ面子を崩した。そして次巡、すぐに宮田のロン牌のを掴む。
宮田テンパイ
あの手牌で、これが止まるのだから凄い。1回戦のレポートを振り返ってもらうとわかるのだが、一番最初に七対子ドラ2のテンパイを果たしながら、米津のリーチに無筋のを打たなかった場面がある。1回戦で止めたは当たりではなかったが、ドラ含みのピンフ形の牌姿はずばり読みの範疇だった。この局も米津がソーズの本手である危険性を考慮し、かつ宮田がアガリやすい形の待ちであれば、花岡にとってはドラ2の1シャンテンも止まるべき赤信号だったのだ。これが積み重ねというのであれば、これからの花岡にさらなる加速の予感を感じ、恐ろしく思えてきた。
結果は、米津が2,600で宮田からロンアガリをするも、花岡が宮田に打ちこんでくれた方が展開的にはありがたかったに違いない。
宮田は若い選手で麻雀はまだ荒いが、攻撃的で手数を繰り出すタイプの打ち手である。ましてや一発裏ドラありのBルール、局の半分近くもリーチをかけられると、前に出なければならない立場の米津は辛かった。本来ならば、少しでも花岡の得点に追いつきたいところ。しかし、宮田の動きに合わせてしまうと、米津自身の仕掛けもリーチも早くて安くなるジレンマが発生する。常に卓上には敵が4人いる。相手3人と、そして何より自分自身だ。これが麻雀の真に難しいところだろう。
そして展開は最後まで花岡に有利になった。激しく攻める2人から一歩距離を置いたところに身を置くと、南1局1本場で花岡は親の宮田から七対子ツドラ2を射抜いた。オーラス、ドラ2枚を抱えてなんとかものにしたい米津が果敢に仕掛けるも、
米津、
ポン ドラ
しかし、ここは仕掛けのタイミングが上回り、花岡に軍配が上がる。
花岡
チー ロン ドラ
土壇場を迎えて、花岡の麻雀が場を震撼させた3回戦だった。麻雀はたった1回の半荘の出来事でも、それまでの軌跡を塗り替えることができる。これで暫定首位が再び花岡に戻ってきたが、これで諦める米津ではない。
そしてついに、長かったリーグ戦も佳境を迎え、参加する全ての選手にとって残すところあと1回戦となった。
坂本:3回戦は先ほど脱落したばかりの中山プロが、もう一度息を吹き返して決勝卓にリベンジを挑みます。アマチュア2位も接戦となり、奥田さん、藤井さん、佐藤さんがその座を争う模様となりました。みなさん真剣な表情で戦いに臨まれていますね。
3回戦終了時、1位:花岡章生314.6 2位:米津紘平263.7 3位:中山千鶴 203.9 4位:宮田豊夢:201.8
最終戦(起家から)宮田、花岡、中山、米津
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プロアマリーグは大会の順位以外にも、プロアマの上位2名ずつにマスターズ本戦シードの権利がかかっている。そのため、注目される対決は首位卓のみではない。優勝争いは花岡、米津の直接対決に絞られたが、アマチュアの2位枠は藤井、奥田、佐藤の順番で争われた。
決勝卓は首位の花岡がポイント差を大きく開けたものの、順位点があるため着順によってはまだひっくり返せる可能性がある。米津にとっても優勝のかかったラストチャンス。ここまで懸命に活躍を見せただけに、できる限り踏ん張ってもらいたい。
2回戦で脱落した中山が再び決勝卓へ戻ってきた。これができるのは地力がある証拠である。優勝までのポイントは果てしなく遠いが、それでも最後まで挑み続けるのがプロの麻雀だろう。
この局は宮田の自己主張から始まった。総合優勝の他に本戦シードがかかっているだけに、どの選手も可能性がある限り諦めないのがリーグ戦の醍醐味である。ポイント差は大きく開けど、がんがんと攻める宮田を咎められない。
東3局、仕掛けの早い宮田の親番に対してアガリを決めたい米津であったが、
宮田
ポン ポン ポン ドラ
米津
ツモ
ここは宮田の仕掛けにが打てず、打とする。さすがと言いたいところだが、ここでロン牌を掴むあたり波に乗れていない。
東3局1本場、花岡の第一打のドラに宮田が飛びついた。花岡にとっては、意識しなくてはならないのは米津の動向。例え誰かにドラを叩かれたとしても、それが米津に対する押さえつけになれば、自身に有利に働くことを知っている。結果、アガリには結びつかなかったが、2度の1人テンパイで宮田が3本場を迎える。
そして、その3本場で波乱が巻き起こった。面前指向で大きく叩きたい中山は、以下の手牌から、セオリーとばかりにテンパイと同時にカンをしてリーチをかけた。これだけで裏ドラが乗れば満貫。手順を考えれば仕方がない、と言いたいところだが、流れを掴めていない状態のカンは、これまでも自分の首を絞めてきた。そして、ここでツモったのは花岡。見事なまでの漁夫の利という他ならない。
中山
暗カン ドラ、
花岡
ポン ツモ
東4局、大きすぎる点差に対しても米津はまだ諦めない。花岡の親を押さえつけようと激しく仕掛ける。しかし、波に乗った花岡の手牌はすでに6巡目でテンパイ。さらに、これをリーチすることなくツモ。
花岡
ツモ ドラ
1本場、上げ潮とはまさにこのことを言う。この配牌も最速の手順で決めた。
花岡配牌
ドラ
花岡8巡目
暗カン ポン ツモ
いよいよ時間切れを迎えたオーラスは米津が親だったが、配牌を見ればため息が出そうだ。
米津配牌
ドラ
しかし、米津は最後までしっかりと手役を見据えて打った。一打、一打、これまで培ってきた姿勢を崩さず、大事にツモに力を込める。これまでの積み重ねが、自分をこの場に立たせてくれている。花岡という厚い壁さえなければ、優勝してもおかしくないポイントを叩き出してきた。
米津17巡目
ツモ
最後のツモでホンロー七対子のテンパイが取ることもできた。しかし、米津は安全牌を2枚重ねて落とし、綺麗に幕を降ろすことを選んだ。本当にこの半年間、その丁寧な姿勢を崩さず戦ってきたことを心より評価したい。
こうして、第30期関西プロアマリーグの優勝が決定した。300P超えという圧巻の実力を見せた花岡章生プロに、共に戦ってきた参加選手たちから惜しみない拍手が送られたのだった。
坂本:花岡プロの優勝の舞台裏では、アマチュアシードをめぐって熱い戦いが行われました。そちらでは奥田さん、佐藤さん、藤井さんという3つ巴の中、冷静な打ちまわしでリードを保ち、ポイントを守りきった藤井さんがアマチュア2位の座を獲得されました。
最終節終了時、優勝:花岡章生プロ358.1P 2位入賞:米津紘平さん243.9P 3位入賞宮田豊夢プロ209.7P 4位入賞、藤井一弘さん203.5P
優勝、花岡章生プロ
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2位入賞、米津紘平さん
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3位入賞、宮田豊夢プロ
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4位入賞、藤井一弘さん
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全ての試合が終わった後は、会場はいつものような和やかな雰囲気に戻っていた。戦いは悲喜こもごもだが、そこにはやりきった清々しさが残る。これは、リーグ戦という長い道のりを乗り越えた者だけにしかわからない達成感である。機会があれば、一度は味わって頂きたい感覚である。
優勝した花岡章生プロにコメントを頂いた。
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花岡「開幕は選手を意識するより、まずはミスをしないことを重視して考えていました。けれど、1回戦、東3局で6巡目に七対子のドラ単騎をテンパイしていたのだけど、米津さんのリーチにドラのピンフ気配があったから、待ちが弱いために無筋が打ち切れず、オリてしまったんですよね。その結果、自分にアガリ逃しが生まれたので、その後の米津さんの6,000オールを受けても、これは自分にとってのミスだと感じました。
それからの試合に対しても、極力ミスをなくして相手の動向に惑わされることなく、自身の麻雀の内容を重視して戦ってきた結果、3回戦からは自分に運が向いてきたのだと感じています。最後は米津さんとの一騎打ちになったので意識をしましたが、最後までいい波に乗れましたね。これからもミスをなくして、いい麻雀を積み重ねることで色々な大会で優勝を狙っていきたいと思います。これからも宜しくお願いします。」
余談にはなるが、16期生の私と、17期生の花岡との付き合いは長い。学生時代の彼を知っているのは関西でも貴重な存在だ。その時から自分というものを曲げずに対局に取り組んできたのが彼である。そんな彼だからこそ、これからももっと色々な舞台で飛躍して欲しいと思う。意識を持って、結果を生み出すことのできる実力のあるプロだからこそ。
花岡プロは近く、関西プロリーグの頂点を決める太閤位決定戦を控えている。こちらの試合もぜひ楽しみにして頂きたい。
最後になりましたが、今年もたくさんの方に関西プロアマリーグにご参加頂き、本当にありがとうございました。これからも関西本部一同、麻雀を心の底から楽しんで貰えるような競技リーグを目指して頑張っていきたいと思います。どうぞ、どなた様もお気軽に会場にお越し頂き、競技麻雀の熱意に触れて下さい。
拙いレポートになりましたが、ご精読ありがとうございました。
カテゴリ:関西プロリーグ レポート