第19期北関東プロリーグ決勝戦レポート
2021年02月08日
【第19期北関東プロリーグ決勝戦】
新井駿一vs吉田幸雄vs中津真吾vs岡部光輝
最終4回戦、二番手の中津の親が落ち、吉田の優勝までのウイニングランと思われた。
本局を七対子に決め打った中津、2枚切れの待ちでリーチ。
テンパイの入っていた吉田から出アガリと最高の結果を得る。
オーラス、中津の条件は吉田から5,200の出アガリ、ツモアガリは2,000・3,900。
そして、6巡目には条件を満たせそうな1シャンテン。
しかし、テンパイをすることなく流局。吉田の優勝となった。
こう振り返ると、「中津はあと一歩だった、惜しかった」となるのだが、私には吉田の完勝のように見えた。
本決勝戦の4半荘で、吉田の5,000点以上のアガリはこの3回しかない。
1回戦南2局、リーチ七対子ドラ2、8,000点を中津から
3回戦南3局1本場、仕掛けたタンヤオ三色ドラの5,800+300を中津から
4回戦東2局1本場、メンゼンのホンイツ、6,400+300を新井から
どうして吉田が優位な(最後は少しヒヤヒヤだったが)スコアを築けたのか、この決勝はとてもいい教材だと思うので、対局者だけでなく、若手は全員、アーカイブを見て考察していただきたい。
新井「相手との対局経験が少なかったので、1回戦は様子見ながら無理せず…。」
手牌に恵まれないまま進み、3、4回戦ではスコアに合わせざるを得ず打牌の制限が出て、そのまま終わってしまった感じがする。
でも、この次局が宝の山だったかもしれない。(三色片アガリのチーテンを取る、連荘狙いは有力だった。)
(局面を説明すると、上家の親吉田が、9巡目にカンをチーして打。10巡目にカンをチーして打。次巡に手出しで。)
ドラまたぎだからとが切りきれない。
しかし、鳴く前からを持っているので、がリャンメンで当たるケースはない。
この局は結局、吉田テンパイ中津ノーテン。
次局3本場は、吉田が1,000+300オール。
2局で8.2ポイントの差である。この僅差での8.2ポイントはかなり大きい。
岡部は、この7,700点のテンパイがアガれず、逆に中津に11,600点の放銃になったのが痛かった。
リーチをすれば違う未来だったが、ヤミテンがセオリーでそれを悔やんでも仕方がない。
これ以降、打点はないが早い手牌が多かったのだが、打点も欲しいが故に中途半端な選択になったように思われる。
シャンテン数を落として高打点に仕上げたり、アガリ数で食らいつき最後での逆転を目指す、など一貫すればもっと競れていたのではないか。
「ここは通過点です。グランプリの出場権を得るために北関東リーグに出ています」という新井。
中津、岡部も中央のリーグ戦に遠征している。(優勝した吉田も)
実況の小笠原の事前インタビューで「辛口で解説してください」と語った中津。
彼らの姿勢はとても称賛したい。
新井、中津は初の決勝、初の放送とは思えないほど堂々としていた。間違いなく来期もレベルアップしてくるであろう。
このような(批判した)ストーリーにすると、負けた3人や北関東リーグのレベルが低かったように勘違いされることがあるが、あえて辛口で書かせていただいた。
読者の皆様は、その点を誤解しないようお願いしたい。
吉田「打ってもいいから、全部行く気でいたんですけどね。まさかのがあたったんで、びっくりでしたね。ちょっと面白くなったかなと自分の中では思いながらやってました。」
これからも『北関東の壁』として若手の前に立ちふさがってくださいね。
おめでとうございます。
(※ キャッチフレーズが『北関東の狼』)
(文:福光聖雄)
カテゴリ:北関東プロリーグ 決勝観戦記