第9期北関東リーグ 準決勝&決勝レポート
2013年08月26日
今期で第9期となる北関東プロアマリーグ。
29期生の新人プロである(岡部、林、斉藤、吉井、吉原、石川、村山)7名が初参戦し、北関東に新たな風を吹き込んだ。その中から斉藤健人がこの準決勝に勝ち残った。
また、十段戦大活躍の河井保国(ベスト16敗退)と弓削雅人(九段戦S敗退)、更には初決勝を目論む紅一点の高田麻衣子というプロ勢が、強豪揃いのアマチュア勢と激突する。
準決勝
A卓
[ 河井、弓削、渡部正さん、内野宏太さん]
1回戦、南1局に内野さんが、メンホン七対子ツモの3,000・6,000をアガリ、大きめのトップをものにする。
2回戦、渡部さんが順調に加点し、トップを取り、プロ2人が窮地に追い込まれた。
3回戦、東4局に渡部さんが、小三元の4,000オールツモで抜け出す。
南場の弓削の親が落ち、現実的に渡部さん、内野さんの勝ち上がりが濃厚に思えた。
しかし、南3局、弓削が残りツモ2回という土壇場で、テンパイし、最後のツモで、
ツモ
この3,000・6,000。内野さんに親っかぶりさせ、逆転に成功する。
最後は弓削が1,000点をアガリきり決着した。
決勝進出者:渡部さん、弓削
B卓
[斉藤、高田、西尾猛さん、小林晃さん]
1回戦、軽快にアガリを重ねた斉藤がトップ。
オーラス、ラス目だった高田が2,000・3,900をツモりあげ、浮きの2着に浮上。
2回戦、南3局、親の高田がリーチ、そしてすぐにツモ。その手はなんと、
ツモ
この16,000オール!
1人浮きの大トップを決め、決勝進出を確実なものとした。
3回戦、残り1つの椅子をかけた争いは、西尾さんが猛烈に斉藤を追い上げる。
最後は浮き条件の斉藤だったが、浮きを確保することができず、敗退となった。
決勝進出者:高田、西尾さん
30~40分の休憩を挟み、全4回戦の決勝が行われる。
今期もまた、プロ2人対アマ2人の構図となった。
ただでさえ、毎回優勝候補に挙がる沢崎誠、吉田幸雄の両名が不在の今期のこのリーグ戦。
弓削、高田はプロの意地をみせることができるか?
渡部さん、西尾さん共に打点、攻撃力のあるタイプで、プロ勢が苦戦しても何ら不思議ではない。
決勝戦
誰しもが主導権を握りたいと思うのは当然の心理であるが、その反面、大きなリスク・失点を避けたいと願うのもまた、人間の心理であると思う。
立ち上がりは皆、相手の出方を窺うような展開となった。
その中で大きく展開が動いたのが、東3局4本場、南家。弓削リーチ。
リーチ ドラ
親・西尾さんリーチ。
リーチ
北家・高田リーチ。
リーチ
この3軒リーチ。西尾さんの切ったにロンの声が重なる。
頭ハネで弓削の5,200のアガリとなった。
完全に弓削が主導権を握ったかに思われた。
東4局、親・弓削のソーズのホンイツ仕掛けに上手く対応した、北家・西尾さんが渾身の七対子ドラ2をツモ。
ツモ ドラ
すぐに失点を回復。
実は、打ち上げの席で、このアガリが一番手応えがあったアガリと西尾さんは語ってくれた。
南2局1本場、ここまで劣勢の親・高田が、
チー ツモ ドラ
この4,000オール一撃で、トップ争いに加わる。
南3局、弓削、渡部さんの2軒リーチに、親・西尾さんが追っかけリーチ!
リーチ ツモ ドラ
すぐにツモりあげ2,600オール。
南3局1本場、この局が、この決勝戦のターニングポイントだったのでは?と私は思っている。
中盤を迎え、北家・高田の手牌は以下のようになっていた。
ツモ ドラ 打
、、が場に1枚ずつ切られている局面。
ここで切られた2枚目のをスルー。
次巡、ツモで打とし、メンホン七対子に決め打ちしたのだが、この選択はどうだったのだろうか?
一方で、親・西尾さんがこの1シャンテン
ここからをツモり、当然の打。すぐにをツモアガリ4,000オール!
麻雀にタラレバは厳禁だが、高田がを鳴いていれば、いずれ出てくるはずのも鳴け満貫テンパイは確実であった。また、西尾さんのテンパイ・アガリがあったかも正直わからない。全く違う結末が待っていたと思われるのだ。
南4局にも、高田、渡部さんの2軒リーチを掻い潜り、7,700をアガリ切った西尾さんが、大トップをものにした。
1回戦成績
西尾さん+33.8P
高田+5.7P
弓削+5.7P
渡部さん▲45.2P
2回戦
東2局、親・弓削リーチ。
リーチ ロン ドラ
この7,700で先制。高田が放銃。
東2局2本場、西家・西尾さんリーチ。
リーチ ツモ ドラ
しっかり高めツモの2,000・4,000。
東3局、ここまで苦しい展開の続いていた西家・渡部さんがリーチ。
リーチ ロン ドラ
高田のテンパイ打牌をとらえ7,700。
東4局、親・西尾さんが10巡目にリーチ。
リーチ ロン ドラ
同巡、西家・弓削にもテンパイが入るのだが、役なしドラなしのカンチャン待ち。
そして、出ていく牌は無情にも、西尾さんのアガリ牌であるであった。
1回戦で大きなトップを取った西尾さんのリーチなのだから、どんなことあっても打ってはいけない局面であると感じた。弓削にとっては悔やんでも悔やみきれない11,600の放銃となってしまった。
南場の親番でも2,600オールをアガリ加点した西尾さんが、またしても大トップで2連勝、優勝へ大きく前進した。
2回戦成績()内はトータルポイント
西尾さん+30.6P(+64.4P)
渡部さん+10.7P(▲34.5P)
弓削▲16.7P(▲11.0P)
高田▲24.6P(▲18.9P)
3回戦
残り2回戦で、大きく差が開いてしまったが、3者が上手く西尾さん包囲網を敷ければ、まだまだ逆転の可能性は残っている。
東1局、南家の高田が、西尾さんから5,200を撃ち取る。
東2局、気分よく迎えた親高田がこのダブルリーチ!
ロン リーチ ドラ
そして、この12,000に放銃してしまったのも西尾さんであった。
さらに、東4局の渡部さんの2,600オールなどで、西尾さんの点棒は削られていき、他3者にとっては理想的な展開になった。しかし、やはり西尾さんはこのまま崩れていくような男ではなかった。
東4局1本場、
リーチ ツモ ドラ
南2局1本場、
ツモ ドラ
この2回の満貫をアガリ、原点付近まで復活。
そして…
南3局、優勝を決定づけるアガリが生まれる。
まずは西家・弓削がとのシャンポン待ちでリーチ。
このリーチを受け、親の西尾さんの手牌は、
ドラ
このテンパイから、をツモり長考に入る。
マンズは場に高く、弓削のリーチにもドラ周りは打ちずらい。安全にいくならなども選択肢に入る。
意を決して西尾さんの放った牌は!四暗刻単騎にとった。
そして、次巡、
ツモ
高らかに発声された16,000オール!!
最終戦を待たずして西尾さんの優勝が決定した瞬間だった。
3回戦成績
西尾さん+58.3P(+122.7P)
高田▲10.7P(▲29.6P)
弓削▲20.5P(▲31.5P)
渡部▲27.1P(▲61.6P)
最終戦成績
弓削+29.7P(▲1.8P)
西尾さん▲1.3P(+121.4P)
高田▲6.6P(▲36.2P)
渡部さん▲21.8P(▲83.4P)
丁寧に対応しながら、本手を育て上げ、ツモりアガる西尾さんに強さを感じずにはいられなかった。
正に圧勝という言葉がぴったりな優勝劇であった。
『各選手コメント』
4位 渡部さん
「もうちょっと手広く受けてもいい局面がいっぱいあった。手役・打点にこだわりすぎたかな?
また、決勝に残れるように頑張ります。」
3位 高田
「もっと勉強してきます。」
2位 弓削
「変なところで押しちゃった。来期も頑張ります。」
優勝 西尾さん
「準決勝で運良く勝ち上がったのが大きかった。本当にツイていました。
まぁ、押すべき所で押せたのが勝因だと思います。
今期は宇都宮リーグも参加していて、すごく疲れた!」
カテゴリ:北関東プロリーグ レポート