北関東プロリーグ レポート/第1期宇都宮リーグ(プロアマ混合) 準決勝レポート
2012年12月04日
北関東宇都宮リーグ準決勝・決勝レポート
2012年4月、北関東リーグが第7期を迎えると共に北関東支部は新たに宇都宮リーグを開催した。
半年間のリーグの上位8名が抽選により2つの卓に分かれ2回戦の準決勝を戦い、上位2名が決勝に駒を進める。
まず予選の通過順位の順に選手紹介を。
1位通過 日本プロ麻雀連盟 鈴木翔悟プロ
宇都宮リーグの会場となっている麻雀店に常勤している。
独特な感性と積極的な攻撃が武器。鳳凰位戦プロリーグ前期を昇級した好調子をキープ。
2位通過 日本プロ麻雀連盟 後藤隆プロ
経験則と独自のシステムに基づき、時に繊細に時に豪快な麻雀を打つ。
卓外では表情豊かだが、一度卓に入れば感情の漏れないポーカーフェイス。
3位通過 アマチュア 谷口佳之
過去、日本プロ麻雀連盟に所属していた経歴を持つ。
雀風は受け主体の守備型。
「謙虚に場を乱すことのないように心掛けます。」
4位通過 アマチュア 中津真吾
強い精神力をもって粘り強い麻雀を打つ彼は23歳。
鈴木プロとは同年代で「鈴木プロには負けないように!」とコメント。
5位通過 アマチュア 桑原俊之
雀歴30年のベテラン。今回の選手の中では最年長。
しかし柔軟な感性を持ち仲間たちと麻雀談義をする姿が印象的。
「優勝を狙っていきます!!」
6位通過 アマチュア 松村孝
自身の雀風をバランス対応型と説明する通り、場をよく捉えている。
予選5節を全てプラスでまとめており、高い雀力が伺い知れる。
「自分の持つ力を出し切って楽しんで打ちます。」
7位通過 アマチュア 渡辺健史
高打点を心掛けた麻雀を打つ。型にハマると怖い存在だ。
予選で繰り出した驚異的な威力を発揮できるか。
「なるべく放銃しないように楽しく打ちたい。」
8位通過 アマチュア 黒木聡太
最年少。18歳にして安定感抜群の麻雀を見せる。
守備重視だが、ここぞという場面での思い切りのいい麻雀は力強い。
「経験では劣るが食らいついていきたい。」
準決勝の卓組
A卓:鈴木、松村、渡辺、中津。
鈴木、中津の同年代対決。
攻撃型の3人を相手に松村がどう戦うか。
B卓:後藤、桑原、谷口、黒木。
対局前のコメント通り、黒木にとっては経験の差に苦しみそうなメンツとなった。
後藤、桑原、谷口の技の前に、黒木は食らいついていけるのか。
準決勝は採譜を取らずに観戦記者1人で記事を書かなくてはいけないために、ダイジェストをお送りすることになりますがどうかご容赦頂きたい。
1回戦 A卓(起家から、中津・松村・鈴木・渡辺)
東1局,起家・中津の配牌。
ドラ
ドラのリャンメンターツと、ターツ候補になりそうな中張牌も多く、1回戦目の起家としては悪くない配牌だ。
先手は鈴木。
リーチ
続いて松村が追いかけた。
リーチ
前述した配牌を受けた中津も、
このテンパイをヤミで押している。軍配は鈴木。松村より出アガる。
松村はリーグ戦のときだったとしてもリーチか。
泣いても笑ってもこの回戦で名が勝ち上がるトーナメント。
ドラのない松村の手は高め安めはあれど、本手ではない。
相手のリーチを成就させないためのリーチなのだとすれば危険度が高すぎるし、勝ちに対する意志は見えるがこれで勝負が決まるような手や状況ではない。
実際、5,200の失点となったが、5,200で済んで良かったと捉えるべきだろう。とはいえ、これが後に響くこととなる。
東2局、東家・松村7巡目。
ポン チー ドラ
一応のテンパイだが、待ちも打点も悪い。
先ほどの失点さえなければ、もっとジックリと松村は育てただろう。
気の焦りで動いた麻雀に、追い風は吹かない。
中津
ポン ポン ツモ
500・1,000のアガリだが、途中で7,700のテンパイを崩しこの形にした。
実際に松村のアガリを防いでいる。
反撃のキッカケを与えないこのアガリは松村に重く伸し掛かる。
逆に、中津が目先の打点に手を伸ばしていたら…。
地味に見えるかもしれないが、打点以上に大きな価値のあるアガリである。
…一方、B卓は…
1回戦 B卓(起家から、桑原・後藤・谷口・黒木)
ロン。という声と共に手を倒したのは谷口と桑原。
アタマハネで親の谷口のアガリとなったその手はタンピンドラ3。
後藤から12,300、これが東3局だった。
続く東3局2本場も、谷口が仕掛けを駆使して2,900は3,500をアガる。
東3局3本場、桑原が颯爽と動く。
ポン ポン ドラ
しかしアガリは後藤。ツモドラ。
そこからは得点に余裕のできた谷口が危なげなく進めてゆく。
大きな失点をした後藤、イマイチアガリに結びつかない桑原、手に恵まれない黒木。
3人の我慢比べになるかと思われた南1局1本場。
リーチ ツモ ドラ
この2,600オールを引く。
南1局2本場、桑原が積極的に仕掛ける。
ポン ポン ポン ドラ
高め18,000のテンパイを入れるが、後藤も負けじと応戦する。
チー ポン ポン ロン
桑原が掴み放銃となったが、手に汗握るぶつかり合いであった。
形成は大きく動くことなく1回戦が終了。
B卓1回戦成績
谷口+20.3P 桑原+5.7P 黒木▲10.1P 後藤▲15.9P
ここで再びA卓へ戻す。
南1局、対局の随所で中津は仕掛けを入れ展開を作ってゆく。
鳴きが増えれば下家に手が入るとよくいう。ここでもまさにそうなった。
松村
リーチ ドラ
これに渡辺が飛び込んでしまう。
松村は息を吹き返したが、渡辺は逆に厳しい展開を強いられることに。
南2局、中津が仕掛けてテンパイすると渡辺がリーチ。
その時、中津の牌姿が、
加カン ドラ
ツモで打
ツモで打
ツモで打
加カン
再びカンでテンパイ復帰し、そのを見事にツモる。
山にマンズが多く眠っていることはわかっていたそうだ。
制度の高い山読み、上手く回してアガリ切る中津のセンスが垣間見えた1局だった。
南4局、北家。鈴木。
ポン ドラ
この倍満テンパイ。河はかなり派手になっている。が、ここに渡辺がリーチで一騎打ちに。
鈴木が放つ牌にロンの声が掛かる。
リーチ ロン
4,800の失点になってしまったが、点を支払う鈴木の姿に感心した。
16,000のアガリが目前にあった。それにも関わらず打牌はいたって力まず通常通り。
ロン、と声が掛かり点を申告されるなり「ハイ」と支払う。
30,000点を割り、逆境に立たされるもその顔色には何ら変化がない。
何も考えてないわけではあるまい。内心、希望と絶望に心を揺るがしたことだろうが…。
A卓1回戦成績
中津+20.6P 松村▲1.5P 渡辺▲6.9P 鈴木▲12.2P
2回戦 A卓(起家から、渡辺・鈴木・松村・中津)
東1局、中津の仕掛けから渡辺がテンパイしタンヤオをアガる。
東1局1本場、1回戦で1人浮きだったためか仕掛けが更に軽快になった中津。
ここも仕掛けて渡辺にテンパイを入れさせ。
ツモ ドラ
このアガリを演出してしまうこととなる。
東1局は2本場、3本場、4本場と渡辺がアガリ続け60,000点を持った。
どの局も誰かが動き、グッと面前で手を育てた渡辺がアガリを拾い続けた。
逆に、中津が12,000点持ちになり1回戦の+20.6Pを全て放出する形になり、松村と鈴木とほぼ並んだ。
この3人のうち1人が決勝へと駒を進めることになるだろう。
実質、この時点でほぼ渡辺の決勝進出が決まった。
以降、中津が自らのスタンスを決して崩さず仕掛けとアガリに向かう姿勢を緩ますことなく攻め続け、得点失点を繰り返す。
オーラスまで中津と渡辺がアガリを手にし、2回戦は終了した。
2回戦成績
渡辺+51.3P 中津▲13.1P 松村▲16.3P 鈴木▲21.9P
2回戦合計
渡辺+44.4P 中津+7.5P 松村▲17.8P 鈴木▲34.1P
A卓からは渡辺、中津が勝ち上がり。
2回戦 B卓(起家から、後藤・桑原・谷口・黒木)
東1局、全員テンパイで始まる。
東1局1本場、後藤が仕掛ける。
チー チー ドラ
これにツモでツモ切り。
これが桑原に放銃となってしまった。
東2局、桑原。
ドラ
このテンパイにこぎつけるが谷口に交わされる。
桑原はこのように堅実にしっかりと手を組むが、なかなかアガリに結びつかない。
南1局、ここでやっと桑原にアガリが訪れる。
ポン ポン ツモ ドラ
この2,000・3,900で暫定トータルトップに立つ。南2局、
ポン ドラ
南家・谷口が決めに行くも、後藤からリーチが入る。
リーチ
このリーチに谷口はをトイツ落としで回ることを余儀なくされる。
その間に後藤がをツモり、2,000・4,000。
南4局、オーラスが始まった時点では谷口、後藤、桑原で2つのイスを懸け争っていたが、黒木は最後の最後まで諦めていなかった。
黒木が、
ドラ
この手をリーチすれば全員撤退し流局。
南4局1本場、
ドラ
この手をヤミでツモり4,100オール。
南4局2本場、
ポン ドラ
これもツモって2,200オールとし、たった3局で3人を出し抜いた。
大接戦の2回戦が終了。
2回戦成績
黒木+19.0P 後藤+11.9P 桑原▲8.8P 谷口▲22.1P
2回戦合計
黒木+8.9P 谷口▲1.8P 桑原▲3.1P 後藤▲4.0P
B卓からは大接戦の末、黒木、谷口が決勝へ。
こうして決勝の選手が揃った。
谷口
「謙虚に、場を壊さぬように」
渡辺
「良くも悪くも、謙虚に頑張る」
中津
「落ち着いて、自らの麻雀を」
黒木
「4回戦、チャンスが来るのを待ち諦めずに戦う」
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