九州プロリーグ レポート/第14期九州皇帝位戦 決勝レポート前編
2014年03月18日
今回レポートを担当させて頂きます、九州本部28期生西川舞です。よろしくお願いします。
九州リーグの1番上のリーグであるAリーグは1年間かけて全10節をおこない、ポイント上位4名が決勝へと勝ち進む。
決勝戦は2日間にわたり行われ、初日6半荘、2日目6半荘の全12半荘でトータルトップが皇帝位というタイトルを手にすることができる。
選手は毎年春から、毎月自分の麻雀をぶつけコツコツとポイントを重ねこの決勝の舞台を目指すのだ。
今年度1年間を戦い抜き見事決勝進出を決めた選手は、新谷翔平・大和田篤史・小車祥・中尾多門の4名。
1位通過・新谷翔平(24期生)
4人の中で1番入会期が早い新谷は今年で2度目の皇帝位決勝となる。
前回の雪辱を果たすべくまた決勝の舞台に上ってきた。
先輩として、また決勝経験者として絶対に負けるわけにはいけないという気持ちが、いつにも増して勝ちに拘る麻雀を打たせるだろう。
2位通過・大和田篤史(25期生)
今年度一番成績が安定している大和田。今回は初のAリーグ参戦で決勝進出を決める。
九州リーグでは10節のうち2節しかマイナスしておらず、鳳凰戦では3節連続昇級と、その雀力をフルに発揮できている。
その勢いはだれもが認めており、優勝者予想でもマスターズの小車と並び多くの票を集めた。
3位通過・小車祥(25期生)
第22期マスターズ覇者、現マスターズチャンピオンの小車は今期が初の皇帝位決勝となる。
毎年コンスタントに決勝が見える位置にいたが次点で決勝を逃すなどして、今回がやっと掴んだ決勝。
G1タイトルを持つ者として今回は譲れない戦いになるだろう。
4位通過・中尾多門(27期生)
10節目開始時では7位だった中尾。4位とは30ポイント離れた位置だったがしっかりと勝ちきり初の決勝へ駒を進めた。
今回の決勝では人間力のぶつかり合いを見せたいと強く言っていた彼は、爆発力に定評がありこの戦いを必ず面白い展開にしてくれるキーパーソンとなるだろう。
決勝に出ている選手達は普段から皆仲が良く、プライベートでも一緒に遊んだり食事をしたりしているぐらいの関係だ。
私もこの4名の選手には普段から本当にお世話になっていて、誰も負けないでほしいという気持ちもあるが、この中から皇帝位が決まることが嬉しくもあり、決勝を見届ける側としても複雑な気持ちでいっぱいだった。
選手達は皆、口を揃えて「この4人で決勝ができて嬉しい」と言う。
しかし、それぞれが自分自身が勝つために麻雀を打つのだ。
皇帝位には誰か1人しかなれない。
自分の加点する点棒は誰かの持っていた点棒であり、それが麻雀というゲームなのだから。
誰もが様々な思いを胸に抱きながら、決勝1日目が静かにスタートした。
1回戦(起家から、大和田・中尾・新谷・小車)
2日間に及ぶこの長い戦いで、最初は誰がどんな手をアガるのだろう。
どんな配牌をもらうのだろう。選手たちはもちろん、私を含む観戦者もドキドキしていた。
まずは親の大和田の配牌を見てみる。
ドラ
ピンフ系の速そうな配牌をもらった。大和田は中目の3色を見つつ只々牌効率の通り手を進めていくようだった。
新谷にはドラを含むマンズのホンイツ系の配牌が入り1巡目にが暗刻になる。
ツモ
ここから無駄ヅモ無く、と引きピンズを払ったことで早くも3巡目には手牌がマンズと字牌だけになる。
ドラの重なりを考えるとかなり高打点が見込める勝負手である。
最初に発声をしたのは小車だった。
4巡目からこの形で1シャンテンの小車は6巡目ツモってきたを暗カン
暗カン
ドラこそないがこの巡目での役牌の暗カンには、まずは自分がイニシアチブを取ろうという気持ちが見えた。
7巡目にドラが重なって手がグッと良くなった中尾は、8巡目に
ツモ
この形から打とする。仕掛けもきく打点も高い手になった。
この時、中尾の下家でマンズのホンイツをしている新谷の手は
は鳴ける形だがまだスルーしてツモの様子を見るようだ。
まだ序盤~中盤だが、対局者4名の手が皆戦える手であり、形もよい。
配牌とツモにはもちろん意思はないのだが、それぞれの勝ちたいという気持ちを代弁しているかのように思えた。
9巡目に大和田が誰よりも先にピンフのみをテンパイ。
三色の見える手変わりもあり、ヤミテンにかまえる。
その巡目に新谷がツモ切ったをとらえて1,500のアガリとなる。
大和田本人は他の選手の手牌を知る由もないが、この1,500点は点数以上に大きな意味のあるアガリとなった。
東1局2本場、小車に早くも7巡目からドラトイツの仕掛けのきく形で1シャンテンである。
次巡、受けが良形になる仕掛けをするが、そこから不要牌しか引かず終盤に入る。
チー
そこに中尾がリーチを打つ。
リーチ
1シャンテンだが一歩も引く気はない小車は、中尾のリーチにまっすぐ向かうが、大和田のバックの仕掛けにで1,500は1,800を放銃してしまう。
大和田も形が悪くタンヤオに移行する仕掛けをしていたのだが、中尾のリーチ後に運よく手牌に1枚持っていたが重なりアガリを拾うことができたのだ。
早い巡目でのこの小車の仕掛けは、打ち手によって仕掛ける仕掛けないの意見が分かれるような鳴きだ。
結果だけを見ると、をスルーしていたらを引き入れ5,200のテンパイになっていたのだ。
他の人間のツモも変わってくるので、小車はもっと大きな手に放銃していたかもしれないし、自分がアガっていたかもしれない。
これが麻雀の面白い所で、同じような局面は必ずやってくるけれどその時その時の正解は1つしかなく、経験則や効率を駆使して戦っても放銃やアガリ逃しはある。
そもそも違う選択をした未来が分からない以上、自分の選択は正解だったかどうかすら分からないのだ。
東1局2本場、全員から少しずつ点棒を集めた大和田が小さくだがリードしている。
この2局、感触こそ良いがアガリに結びつかない中尾にはこのような配牌が入る。
ここから特に考える局面も無くほとんど手なりに打って、仕掛けて中段でホンイツが完成する。
ポン ポン
先程の局でチャンス手を成就できなかった小車は、中尾のテンパイの直後、単騎の役無しからを引き、ピンフドラ1のリーチを打つ。
リーチ
もちろん中尾も本手なので一歩も引かず、ツモってきたを加カン。
結果はリーチしている小車がを放銃し、中尾の8,000は8,600のアガリとなる。
このアガリによって中尾がトップ目になり大和田の親が流れた。
東2局、ここまでおとなしくしていた新谷が、2巡目に仕掛けを入れる。
ポン ドラ
すぐにドラを引き、河にはと並べホンイツへ向かう。
ドラを持っていない者にとって、この仕掛けと河は本当に怖い。
このルールにおいては特にこのような仕掛けをされると、行きづらくなってしまう。
新谷もそれを見越しての仕掛けだ。
その傍らで大和田はひっそりとピンフをテンパイ。
おそらく、新谷はマンズのホンイツなので、いよいよとなったらオリる事も見越して、早くアガらせてくれよとただただ息を潜めていた。
8巡目、親の中尾がここから打でリーチを打つ。
それに対して新谷はこの形でテンパイし、もちろん全く引かない。
ポン
この状況、中尾は怖くないのだろうか?
一発も裏ドラもない競技Aルールにおいて、この役もドラもない愚形のリーチを打ち、高そうな新谷に無筋を押される。もちろん中尾はこの決勝に残る程の打ち手なのだからその状況を想定していない訳ではない。想定した上でのリーチだった。
中尾はをアッサリとツモり、1,000オールのアガリになる。
ドラがであり、新谷の早々の仕掛けと河の様子から言って、これは思い切ったリーチのように思えるが、中尾の力強さを見せつけられた局面だった。
ここから全員が、相手の様子を見ながら上手く本手をかわし局が進んでいった。
本手をかわしたと言うよりも、本手になる前に局を進めたというほうがシックリくる。
東4局、1人沈みの小車の親も新谷にアッサリと流されてしまい、20,700点持ちの1人沈みラスのまま南場へ突入した。
南1局、トップ目の中尾は終始早く局を進めようとして仕掛けてきた。
1巡目のをポンして3巡目にリャンメンをチーするも1シャンテンである。
チー ポン
何が何でもトップをとりアドバンテージが欲しいのだろう。
親の大和田も仕掛けて8巡目にはドラ雀頭の5,800をテンパイ。
ポン チー
巡目が進むも中尾もなかなか手が進まず、すごく場にマンズが高くなってしまったので流局も濃厚になってきた。
しかしこの局を制したのは新谷だった。
ここから打とし、次巡、中尾から切られたを大和田とのダブロン。
このルールはダブロンが無いので、頭ハネで新谷の2,600のアガリとなった。
このは中尾のテンパイ打牌なのだが、中尾本人が1日目の対局終了後この放銃だけはダメだったと言っていた。
この一押しは、下手したら大怪我をする打牌であり、その大怪我をするラインのギリギリまで攻め切ると決めた中尾が唯一ラインを超えたと思う放銃だったのだ。
しかし、結果だけ見るなら、もう1巡でも早く中尾がテンパイしを切れば大和田に5,800の放銃になったのだから、中尾はツイていると言わざるを得ない。
ここから3局は、とにかく加点したい小車と、局を流しながらトップ目に立ちたいが放銃はしたくない3人との攻防のすえ連続で流局した。
小車の1人テンパイ・1人ノーテン・1人テンパイと続き、3本場と供託を1本引継ぎオーラスを迎える。
オーラスの点棒状況は
東:小車 22,700
南:大和田 31,500
西:中尾 32,600
北:新谷 32,200
こうなっており、皆にトップのチャンスがありながら皆にラスの可能性がある状況となった。
小車は配牌がいつも悪いようで1局はなんとか流局に持ち込んだが、次局、中尾に1,300を放銃し1人沈みで1回戦が終了した。
1回戦終了時
中尾+16.6P 新谷+3.7P 大和田+1.0P 小車▲21.3P
2回戦(起家から中尾・大和田・新谷・小車)
東1局、1回戦1人沈みラスを引いてしまった小車は、ここで少しでも加点して追いつきたいところだ。
小車はTを仕掛けてホンイツへ向かうのだが、新谷がドラを重ねドラ雀頭のリーチを打ってくる。
小車はその巡目で当たり牌のを掴み、テンパイして新谷の下記の牌姿の6,400放銃になる。
ロン
東2局、この局も小車の配牌はピンズ寄りでドラのがトイツ。
しかし、不幸にも鳴いた後の形があまり良くなく3フーロする事になる。
チー ポン チー
1回戦、ずっと配牌が悪かった小車が、ようやくもらった打点のある手。
どうしてもこの手をアガリたい。という小車の声が聞こえてくるようだった。
しかし、この手も新谷の役牌のみの仕掛けで簡単にかわされてしまうのだった。
南1局1本場、親の中尾がこのような配牌をもらう。
中尾はここから打としトイツをほぐしメンツ手に向かう。
道中、さらにトイツのも1枚切り両門固定をするのだが、ピンズがイーペーコーの形で伸びてしまいもう1枚のもはずし七対子とイーぺーコーの1シャンテンにかまえる。
ここにすぐにを引き入れ打でリーチを打つ。
中尾の河にはが3枚切れていても切れている。が手の内から2回出てきた事も考えると、手出しツモ切りを見ている方からするとは通るように見える。
ほどなくして新谷が中尾に4,800は5,100放銃する。
ロン
南4局、南3局で少しだけ加点した小車が若干点棒を持っているが、またしても点差の少ないオーラスとなった。
東:小車 37,300
南:中尾 27,100
西:大和田 25,600
北:新谷 30,000
親の小車は1回戦の1人沈みラスがあるので1人浮きトップをとりたいところだ。
しかし
これでリーチを打つも流局してしまい、次局ノーテン罰付で原点を割った新谷が、原点を目指し300・500をアガリ小車の2人浮きトップで2回戦が終わった。
2回戦成績
小車+16.7P 新谷+5.4P 中尾▲8.3P 大和田▲13.8P
2回戦終了時トータル
新谷+9.1P 中尾+8.3P 小車▲4.6P 大和田▲12.8P
3回戦(起家から小車・中尾・大和田・新谷)
東2局、小車が3フーロしてドラが雀頭のこの形になる。
ポン ポン ポン
この時は大和田に1枚新谷に2枚なのだが、1枚も持っていない中尾がリーチを打つ。
リーチ
は場に1枚も切れておらず小車にも危ない。
実際は、もも新谷にトイツなのだが、中尾はの所在が分からないまま役有りの手をリーチしてきたのだ。
本人に聞いてみた所、推測で大和田がを掴んで回っている雰囲気が出ていたし、新谷の所にもがあると思ったそうだ。
ドラがトイツの勝負手だから、ツモって3,000・6,000を引きに行こうと。本当に力強い人だ。
結果は、小車が2,000・4,000をツモアガるのだが、明らかにイニシアチブを取っていた小車の仕掛けにリーチをかぶせた、中尾の恐ろしさを再認識させられた局になった。
東4局、大和田が仕掛けて1シャンテンなのだが
チー
ここから打とする。ドラのを2枚使い切る確率が最も高い打牌である。
さらに、最高のツモであるドラを引き、ほどなくして2,000・3,900をツモアガる。
現状トータルラスの大和田にとって久しぶりの嬉しいアガリだった。
南2局、親の中尾はピンズのチンイツの仕掛けをする。
ポン ポン ポン
もちろん誰も向かっては来ないのだが、待ちがあまり良くない。
実は大和田は中尾よりも先にテンパイしていた。
こんな状況でなければ本手なのに、はもう無い事もあり、三色に手変わりしたとしてもアガリ牌以外のピンズを引いた瞬間終わるような手となった。
その後、中尾はを引くもツモ切り。そしてを引くのだが、自分で4枚使っていて場に1枚のと単騎は枚数が同じなのでをツモ切ったところ、大和田に2,000放銃となった。
大和田にとって半ば諦めていただけに、このアガリは本当に嬉しいアガリとなった。
オーラス
東:新谷 26,600
南:小車 35,800
西:中尾 15,500
北:大和田 42,100
ラス目の中尾だが、仕掛けて早い巡目にドラの雀頭の跳満のテンパイが入る。
チー チー
大和田はアガリトップなのだが、絶対にこの半荘はトップが欲しい。
実は中尾は、をチーしてテンパイなのだが、その時の大和田の手牌は
ポン
ここからと落としテンパイする。
そのを中尾が更にポンして、打とし跳満から倍満へと変化させる。
ポン チー チー
2巡後、中尾は大和田のアガリ牌であるを持ってくるのだが、自身もかに待ちの選択ができる。
見えている枚数は同じで、を切り大和田に放銃となり3回戦が終了した。
ポン ロン
中尾はこの半荘に2回も、自らのチンイツテンパイから待ちの選択で大和田に放銃となる牌を打牌してしまった。
自分の打点が高いだけに、これはかなりメンタルをやられるだろう。
逆に大和田は、これまで本手でない時は踏み込まずひっそりとしていたが、このオーラスは歯を食いしばってトップをもぎ取ったように見えた。
3回戦成績
大和田+22.0P 小車+9.8P 新谷▲7.4P 中尾▲24.4P
3回戦終了時トータル
大和田+9.2+P 小車+5.2P 新谷+1.7P 中尾▲16.1P
4回戦(起家から小車・中尾・新谷・大和田)
東1局、トータルトップになった大和田にドラのを使った大きな手が入る。
テンパイこそ遅かったが打点は十分でソーズが安いためヤミを選択。すぐにアガれそうだ。
がしかし、テンパイして1度もツモ番が来ることはなく、中尾に800・1,600をツモられてしまう。
ツモ
先程から、中尾と大和田の本手の潰し合いがよく見られるなという印象だった。
東4局、現状トータルラスで1人沈みの中尾にここで今日一番の勝負手が入る。
11巡目にこのテンパイだ。
役満をツモると、容易にトータルトップになるのでツモりたい所だがヤミテンを選択。
すると親の新谷からリーチが入る。この手を成就させたい中尾だが、新谷に2,900の放銃となる。
リーチ ロン
3回戦からなかなか本手をアガらせてもらえない中尾にとっては、またしてもメンタルを攻撃される放銃となった。
オーラス
東:大和田 28,300
南:小車 28,400
西:中尾 35,800
北:新谷 27,500
さて、さっきから現マスターズの小車の名前がなかなか出て来ないなと思っている方も多いだろう。なんと言っても小車は先程から確実に他3人より手が悪く、後手で愚形で打点も見込めないと3拍子揃っていた。
そんな小車にオーラス1巡目1シャンテンの手が入る。
2,000で原点を超える小車は、早くテンパイしてリーチをかけたいところだが、自分が南家という事も有り、第一打はを切る。次巡、を持ってきて裏目ってしまうのだが、すぐにをツモり早いリーチをかける。
リーチ
誰から出アガリしても2着にはなるしツモると原点超えする。
しかし、2,000点で出アガリの条件を満たすだけに、と河の最初に並んでいるのが悔やまれる。
巡目は深まり、下段でもう流局かと思っていた所、トップ目の中尾が動いた。
ポン
そして次巡、を持ってくる。は通っているのだが、結構な種類の牌が通ってしまいツモ切りという訳にはいかなくなった。
これが中尾の言うところの、ギリギリまで攻めるギリギリのラインなのだろう。先程ポンしたを切り単騎に受け変える。
小車はハイテイでを掴んでしまい2,000は2,300を放銃しラスまで転落してしまう。
トータルラスである中尾の会心の1人浮きトップだ。
4回戦成績
中尾+21.1P 大和田▲2.8P 新谷▲5.4P 小車▲12.9P
4回戦終了時トータル
大和田+6.4P 中尾+5.0P 新谷▲3.7P 小車▲7.7P
4半荘戦ってトータルポイントがこんなに近いと、ここからの戦い方の重要度が増していく。
今日は残り2回。早く他を突き放したい。もちろんその思いは皆同じだ。
なかなかラクな展開にはならず、せめぎ合いは続いていく。
5回戦(起家から新谷・中尾・小車・大和田)
5回戦は大きく点棒が動くことなく、皆で局を進めているように思えた。
もちろんチャンスがあれば出し抜いてやろうと思っているのだろうが、トータルポイントがそうさせているのか、各々が様子見といった雰囲気でオーラスまで進む。
中尾と大和田に終始早い手が入っていたように見えたが、1,000・2,000と2,000オールをアガった大和田がトップ目で、オーラスを迎える。
東:大和田 40,300
南:新谷 23,700
西:中尾 35,100
北:小車 20,900
3着目の新谷が10巡目にドラのを使いリーチを打つ。
リーチ
そのリーチに対して下家の中尾は無スジかつ、河とリーチ宣言牌から推測すると結構危険なを押す。
ラス目の小車の手牌はこうだ。
本当ならラス回避のために真っ直ぐ行きたい所だが、あまりにも後手すぎる。
また、中尾が真っ直ぐいった事から中尾が新谷からアガるというものすごく薄い希望も見えない事も無い。
少し考えて、小車はを抜いてオリる事にした。
さて中尾はどんな手牌だったのかというと
この1シャンテンだったのだ。
中尾の麻雀はこうだ。頂点を目指すのだから、大事なのは2着維持でも原点でもなくトップに拘る麻雀。
次巡をツモり、ツモアガればトップのリーチを打つ。
そして、残念ながら新谷は最後のツモで中尾に2,600放銃してラスまで落ちてしまう。
アガリを確認した新谷の「はい」の返事が聞いていてすごく痛々しかった。
あと1枚で流局だったこともあり、小車からしたらおこぼれ3着なので、新谷の精神的ダメージが大きい半荘となった。
5回戦成績
大和田+18.3P 中尾+12.7P 小車▲13.1P 新谷▲17.9P
5回戦終了時トータル
大和田+24.7P 中尾+17.7P 小車▲20.8P 新谷▲21.6P
6回戦(起家から小車・新谷・大和田・中尾)
長い戦いもようやくこの半荘で折り返し地点となる。
トータルプラスの者は更に突き放したいし、マイナスの者は逆転したいところだ。
6回戦で1日目は終わりということも有り、見所が沢山ある半荘となった。
大きく点棒は動かずに南場を迎えるのだが、南1局
親の小車はがトイツで5巡目から1シャンテン。そこに9巡目役有りの1シャンテンに変わるポンをする。
ポン
その時、新谷はを暗カンしていて、ドラのを1枚もっているので打点も見込める1シャンテンだった。
暗カン
小車はそこからすぐに2フーロ目をして打とし、のテンパイをとるが、次巡裏目のをツモる。
ドラのが重なったり、を引き入れたりすると放銃に回りそうな新谷だったが、をスライドし、を引きペンチャンターツを落としたので三色のおまけがついた本手のテンパイとなる。
暗カン
小車は終盤ドラのを持ってきて、単騎に受け変えて2人テンパイで流局する。
流局で恩の字の局だが、このを新谷がツモっていたら、小車は跳満を親被りしていたと思うとゾッとする。
もしそうなっていたら、小車はあの打を悔やんでも悔やみきれなかっただろう。
大和田がコツコツと点棒を奪われて迎えたオーラス。
東:中尾 36,500
南:小車 28,300
西:新谷 33,600
北:大和田 21,600
親の中尾は2,000点、1,500は1,800と加点していく。
オーラス2本場、ラス目の大和田は、これ以上失点は避けたいので、6巡目
リーチ
このリーチを打ち、ほどなくして中尾から1,300は1,900をアガる。
大和田はアガって4着、中尾は打ちトップとなり1日目が終了した。
6回戦成績
中尾+17.4P 新谷+7.6P 小車▲7.7P 大和田▲17.3P
6回戦終了時トータル
中尾+35.1P 大和田+7.4P 新谷▲14.0P 小車▲28.5P
1日目の終わりに選手にインタビューと称し反省点や抱負などを聞いてみた。
それぞれに反省点もあるようだが、それよりも明日に向けて力強い勝利宣言が沢山聞けた。
中尾:「スピードと力を見せきれたと思います。ポイントを持っているからと言って戦い方は変えるつもりはありません。明日も自分の麻雀を打ちきって頂点を目指そうと思います。」
大和田:「疲れました。多門さん(中尾)に着いて行くのに必死で、最後の半荘はめちゃくちゃ厳しかった。今日は自分の持ち味の仕掛けが少なかった気がするので明日はたぶんもっとチーしますよ。(笑)」
新谷:「周りのスピードに合わせて積極的に仕掛けた気がします。皆強かったし現状3着ですけど正直自分の力が他の選手に負けているとは全く思わないので明日は全力で勝ちに行きます。」
小車:「60P弱の差は、すぐどうにかなると思っています。今日はそんなに大きくポイントが動くことも無く、終始結構ツイてなかったけど、そのわりには負けを抑えれられたと思っているので、明日ツイてるといいなと願うばかりです。」
カテゴリ:九州プロリーグ レポート