静岡プロリーグ レポート

第22回静岡リーグ決勝戦観戦記

2月16日。
第22回静岡リーグ決勝戦の日を迎えた。
外気は冷たく、凍えるような寒さが押し寄せる。そんな寒さを忘れさせる熱い戦いが今始まる。

静岡リーグ決勝戦は、予選通過順に、1位+40P、2位+30P、3位+20P、4位+10P 、5位+0Pとアドバンテージが与えられる。
全6回戦行われ、5回戦終了時にポイント最下位の者が敗退となり(各1回抜け番)、最終1回戦を行い、トータルポイントがトップの者が優勝となる。

まず、ここでは選手紹介に加え、決勝直前の選手たちにコメントをいただいた。

1位通過 中部本部 佐藤あいりプロ
(初出場)

2回目の出場、さらに1位通過で初の決勝進出を果たしたのは、中部本部所属の佐藤あいりプロ。
その持ち味といえば、やはり攻撃力だろう。手数も多く、攻めながら自分のペースに持って行き、場をリードする。対局すると、『戦いにくい、やりづらい』そう感じる人も多いのではないだろうか。
決勝戦では、+40Pというアドバンテージがどう作用するかが見所だろう。

佐藤プロ「平常心で打てるようにがんばりたい。」

2位通過 中部本部 越川清一プロ
(2回決勝進出、優勝0回)

6期ぶり3回目の出場となったのは、こちらも中部本部所属の越川清一プロ。越川プロも佐藤プロ同様、攻撃力が持ち味。1節で100P近くポイントを叩き出すことも珍しくない。しかし、今期注目すべきは、20戦でラスが0回ということだ。攻撃は最大の防御という言葉があるが、正にその言葉が合う選手だろう。

越川プロ「平常心で打つ。」

3位通過 東京本部 鮎川卓プロ
(2回決勝進出、優勝0回)

3位通過となったのは、静岡プロリーグを制したことのある東京本部所属の鮎川卓プロ。静岡プロリーグ、静岡リーグ共に相性抜群。両リーグ制覇となるか。
全局参加型であり、攻撃的な印象を受けるが、非常に繊細で淡白な放銃は少ない。場況判断、アガリの精度が高く安定した成績を残す。優勝争いに絡んでくることは間違いないだろう。

鮎川プロ「自分の力を全部出したい。」

4位通過 一般参加 小塚旭さん
(初出場)

2回目の参加で決勝進出となったアマチュアの小塚旭さん。私の第一印象としては、これまで牌に多く触れてきたことがよくわかる美しい牌捌き。ここまで数多く麻雀を打ってきたことだろう。麻雀の内容も非常に丁寧、時に大胆にとメリハリのある麻雀を打つ。
決勝戦でも、持ち前の思い切りの良さで戦い抜いてくれるはずだ。

小塚さん「いつもと変わらず打てれば・・・」

5位通過 一般参加 土本伸之さん
(初出場)

初出場を果たした一般の土本伸之さん。第1節から終始安定した成績を残しての決勝進出。場況判断が冷静で、一打一打丁寧に打つ印象を受ける。しかし、ここぞというときは、勢い良く点数を加点する能力もある。予選ポイントを苦とせず、あまり意識しないことが重要だろう。

土本さん「いつも通り打つ。緊張を楽しみたい。」

以上5名による戦いとなる。
今回の決勝直前のコメントで、「平常心、いつも通り」等のコメントが多かった。よく耳にする言葉であるが、決勝戦という特別な舞台において、その重要性は極めて高い。そして決して簡単なことではない。いつも通り自分の麻雀を打つことが最良の結果を生むことに繋がるのではないか。各者とも是非とも後悔のない麻雀を打ってほしい。

(以下文章中敬称略)

1回戦(起家から鮎川、佐藤、越川、土本)抜け番:小塚

東1局0本場
いよいよ1回戦スタート。まず、それぞれの配牌を見てみよう。

起家・鮎川、

四万四万四万七万一索二索三索四索六索八索三筒五筒白中  ドラ七索

南家・佐藤、

一万三万七万七万九万三筒六筒七筒八筒八筒九筒東中

西家・越川、

一万三万五万六万七万八万九万三索三索四索五索西北

北家・土本、

二万六万九万八索八索九索二筒三筒南南南発発

4者とも好配牌と言えよう。1回戦東1局から波乱の幕開けか。
テンパイ一番乗りは、北家・土本。順調にツモが伸び先制リーチ。

そして進むこと17巡目、力強く九索を引き、3,000・6,000。最高のスタートを切った。

七索七索八索八索九索一筒二筒三筒南南南発発  リーチ  ツモ九索

一方、鮎川は跳満の親かぶり。苦しいスタートとなったように思えるが、仮に土本がヤミテンを選択していると、鮎川が九索をすぐ掴み、8,000の放銃となっていた公算が高い。
6,000の失点と8,000の失点、あまり変わらないように考えることもできるが、鮎川はこの失点をどう感じたのだろうか。

東2局0本場
先手を取ったのは、北家・鮎川。打点こそ低いが、場況も含め、最終形の強さからピンフのみのリーチ。

二万三万四万六万七万八万七索八索九索二筒三筒西西  リーチ  ドラ八筒

そして、すぐさま親の佐藤もリーチ。

一万一万三索四索五索七索八索九索二筒三筒四筒六筒八筒  リーチ

さらに同巡に越川からもリーチの声が・・・
しかし、リーチ宣言牌が佐藤のカン七筒に捕まる。
越川の牌姿は、

三万三万五万五万一筒一筒二筒五筒五筒八筒八筒白白

ドラ2の七対子。打二筒としていれば放銃は免れた。しかし、佐藤の捨て牌に、2巡目に六筒が放たれ、その後さらに2枚六筒が切られている。二筒が裏スジであること、六筒が3枚見えていてワンチャンスになっていること、ドラ表示牌であることで打七筒となった。
このアガリは佐藤の柔軟な手組みが生んだアガリであった。
佐藤はメンツ候補が十分でない牌姿で、トイツの六筒を1枚はずし、その後ドラの八筒をひき、テンパイに至った。孤立牌に簡単に手を掛けなかったところを見ると、佐藤は落ち着いた立ち上がりを果たしたと言えよう。

東3局0本場
親番が落ちた佐藤、配牌ドラ2のチャンス手。そして6巡目にあっさりテンパイ。

三万四万五万四索四索五索六索六索八索八索三筒四筒五筒  ドラ四索

2巡後、三索を引き

三万四万五万三索四索四索五索六索八索八索三筒四筒五筒

高目、跳満のテンパイ。しかし、この時すでに土本もテンパイ。鮎川にも仕掛けが入る。おそらく、この2人は、二索五索は止まらない。佐藤優勢と思われたが、鮎川のホンイツの1,000・2,000に阻まれる。

南1局1本場
1回戦南場に突入。ここまで、決定的なアガリはないものの、佐藤の牌の巡りが非常によい。
越川は少し出遅れたか。
ここでも佐藤に本手のテンパイが入る。
13巡目、

一索四索四索五索五索六索六索七索七索九索九索九索東東  ドラ三筒

佐藤は打九索とし、メンホン七対子のテンパイを選択。場には一索四索九索が1枚ずつ。
しかしここは土本が、500・1,000でかわす。打一索としていてもアガリはなかったが面白い選択であった。

南2局0本場
親は佐藤。ここでは2巡目にテンパイ、そしてリーチ。しかし、その牌姿は、

三万四万五万六万七万八万五索六索七索九索九索七筒八筒  ドラ四筒

役ありの一手変わり三色、6,000オールまである手を即リーチ。2巡目というスピードでこれまで手が入っている状態でのこのリーチ。
結果は、リーチの2巡後に八索を引き、手変わりがあった。九筒で出アガるため、そこだけ見れば結果は同じだが、相手に与える印象は変わってくるだろう。

1回戦は、開局に跳満をアガリ、点棒を減らすことなく終えた土本がトップ。
鮎川も持ち前の粘り強さで原点復帰し浮きの2着。
苦しいスタートとなったのは越川のように見えるが、手が入るのに、アガリがつかない佐藤の状態のほうが危険信号かもしれない。両者ともこの後、どういった立て直しを見せてくれるのだろうか。

1回戦成績
土本+16.8P 鮎川+5.8P 佐藤▲5.3P 越川▲17.3P

1回戦終了時
佐藤+34.7P 鮎川+25.8P 土本+16.8P 越川+12.7P 小塚+10.0P

2回戦(起家から越川、佐藤、鮎川、小塚)抜け番:土本

1回戦抜け番だった小塚はここが初戦となる。
他の選手の初戦の状態を見て、どういう戦い方をするのか注目したい。

東1局0本場
その小塚が、2回戦最初のアガリとなる500・1,000を7巡目にあっさりツモ。

四万五万六万四索六索七索八索九索五筒六筒七筒発発  ツモ五索  ドラ四万

三色、ソウズを縦に引いてのシャンポンの手変わりをする前にテンパイから1巡でのアガリ。
こういったアガリをどう捉えるかで、自分の調子、流れを計る材料となり得ると私は考える。

東2局0本場
1回戦ラスとなった越川が12巡目リーチの宣言。

六万六万六万四索五索六索七筒八筒九筒西西発発  ドラ六万

ドラ暗刻のリーチもリーチ宣言牌が鮎川の2,000に放銃となる。
悪い展開が続いているのか。何か浮上のきっかけを掴みたいところだ。

東3局0本場
親鮎川、配牌ドラ2のチャンス手。5巡目、

三万四万四万六万二索二索三索五筒五筒六筒七筒北北  ツモ三万  ドラ北

ここで鮎川はなんと打六筒。メンツ手を見切り、七対子に決め打つ。私は、メンツ手と七対子どちらも視野に入れ、打六万とするが、この決勝の舞台で打六筒とできる思い切りの良さ、勇気に私は関心させられた。
しかし、実際この局は、トイツ場と言える状態であったが、河にトイツを3つ並べてしまったことでテンパイを逃し、小塚のアガリとなった。
プロとして、牌効率や牌理といったものを知ることは当然必須であるが、こういった打牌にも注目して観戦すると非常におもしろい。

南4局0本場
ここまで多くのアガリをものにしている、親番の小塚がここでも4巡目先制リーチ。

一索二索三索三索四索五索七索八索四筒四筒東東東  ドラ九万

巡目も早く、ホンイツまで伸びる可能性のある手だが小塚はリーチを選択。
結果は、1人テンパイで流局。
続く、南4局1本場も打点こそ見込めないもののスピードには申し分ない配牌で、500は600オールと加点し、トップを決めた。初の決勝戦の滑り出しとしては上出来の結果となった小塚。順位ポイントを加えても3位に浮上。混戦のまま3回戦に進んだことが吉と出るのか。

2回戦成績
小塚+16.0P 鮎川+4.1P 佐藤▲5.7P 越川▲14.4P

2回戦終了時
鮎川+29.9P 佐藤+29.0P 小塚+26.0P 土本+16.8P 越川▲1.7P

3回戦(起家から越川、鮎川、土本、小塚)抜け番:佐藤

まだ2回戦を終えたところだが、トータルポイントが非常に均衡している。さまざまな試合展開が考えられたが、ここから各選手がどういった戦略、戦い方をしていくのかにも注目したい。

東1局0本場
親番越川、

二万三万四万四万三索四索六索二筒四筒六筒七筒南西白  ドラ九索

この配牌からほぼ無駄ヅモなしで7巡目にテンパイ。

二万三万四万七万七万三索四索五索二筒三筒四筒六筒七筒

安目の五索を引いてのテンパイだがここは十分。しかし、五筒八筒が引けない。
そうこうしている間に、16巡目にテンパイを果たした小塚が1,300・2,600のツモ。
1回戦、2回戦苦しんだ越川がここでも苦戦を強いられる。アガれないこともそうだが、さらに追いつかれ、他家にアガリを付けられる。苦しい展開はまだ変わらない。

東2局0本場
親番鮎川、3巡目に七対子テンパイ、リーチ。

二万二万八万八万九万九万五索五索西西北北白  リーチ  ドラ二索

そこに、親の1人旅にさせまいと同巡越川が仕掛ける。
しかし、この仕掛けによって放った白が放銃となる。その時、越川の牌姿は、

三万五万七万三索四索六索二筒四筒五筒七筒八筒東白中

ここから四万をチーして打白
ここまで、本調子には程遠い越川。焦りなのか、気負いなのか、きっかけを作ろうとしているのか、私には見えない何かを越川から感じた。

東3局0本場
前局放銃となった西家・越川が積極的に仕掛けていく。2巡目のTをポン。10巡目八チーでテンパイ。

一索二索三索七筒九筒発発  チー八万 左向き七万 上向き九万 上向き  ポン東東東  ドラ二索

15巡目、鮎川から3,900のアガリとなる。
このアガリが越川にとっても大きなきっかけとなるのだろうか。

南1局1本場
粘り強く連荘を果たした越川、5巡目テンパイしリーチ。

二万二万七万八万九万七索八索九索三筒四筒五筒発発  リーチ  ドラ二筒

1シャンテンの形は、

二万二万七万八万七索八索九索三筒四筒五筒七筒発発  ツモ九万

入り目が九万で、三色の渡りも見えるが越川はリーチを選択。
これが、すぐに2,000は2,300のアガリとなる。

南1局2本場
ここでも先手は越川。13巡目にリーチ。

一万二万三万二筒三筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ中

しかし、鮎川16巡目に追いつき、リーチ。

二万三万二索三索四索七索八索九索三筒四筒五筒中中  リーチ

ハイテイで鮎川が一をツモり、2,000・4,000は2,200・4,200。
勢いに乗りかけた越川の親番を落とし、自分自身にも非常に大きな満貫のアガリとなった。

南3局1本場
7巡目、北家・鮎川リーチ。

四万四万七万七万八万八万九万九万四索五索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ八索

三索六索は山に6枚。これをすぐにツモリ、1,300・2,600。一時は、23,700のラスだった鮎川も持ち前の粘り強さで37,800のトップまで急浮上。

南4局1本場
前局2,000をアガリ、連荘の小塚。ここは粘りを見せたいところだ。13巡目、

一万一万二万三万三万四筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒  ドラ発

テンパイを果たす。七対子、リャンペーコーのテンパイ。普通ならもちろん打八筒とするところだが、二万が2枚切れであることから打二万とする。すると、次巡のツモはまさかの二万。痛恨の4,000オールのアガリ逃し。
そしてこのアガリ逃しが、越川の2,000・4,000を生む。
このアガリで越川は、本日初の浮きに終わることとなった。

3回戦成績
鮎川+13.7P 越川+8.0P 小塚▲6.0P 土本▲15.7P

3回戦終了時
鮎川+43.6P 佐藤+29.0P 小塚+20.0P 越川+6.3P 土本+1.1P

4回戦(起家から小塚、土本、佐藤、鮎川)抜け番:越川

3回戦を終えたこの時点で、トップと5位との差が僅か40Pと混戦となっている。
まだまだ誰が優勝してもおかしくはない展開だ。

東1局0本場
まずは、西家・佐藤、9巡目リーチが入る。

四万四万八万八万八万五索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ四筒

親番小塚も次巡にテンパイし追いつく。しかし、七対子のテンパイで、打牌選択は暗刻から1枚切るしかない。

五万五万七万二索二索三索三索四索四索四索五索五索七筒  ツモ七万

形は良いが、現物は2のみでテンパイをとらないことは難しい。
四索も先に処理できる牌ではなく、苦しい放銃となった。

東2局0本場
前局5,200をアガった佐藤が配牌ドラ暗刻のチャンス手。

一万七万一索四索六索一筒二筒三筒三筒三筒西発発  ドラ三筒

しかし、ツモが伸びず、発も鳴けない。そうしている間にも他者の手は進み、鮎川に2,000の放銃となった。
その鮎川の牌姿は、

二万三万七万八万九万七索八索九索中中  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き

MAXチャンタ、三色の跳満になる可能性のある手を、2枚目の九筒を9巡目に迷わず仕掛けた。四万引きはともかく、六筒を引いたときは確かに不本意だが、なかなか仕掛けにくい手ではないだろうか。この辺りは、打点だけにとらわれず、場況や相手との距離感などを考え、鍛錬された鮎川の強さの1つであろう。

東4局1本場
10巡目、鮎川からリーチが入る。

四万五万五万六万六万七万七索九索五筒五筒八筒八筒八筒  ドラ五筒

そこに、親の佐藤から15巡目にリーチが入る。

七索八索九索二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒六筒発発  リーチ

両者ともにドラ2。後にカン八索でリーチは決めていた、と鮎川が話し、自信があった待ちだが、リーチの時点で山に2枚。すぐに1枚他家が引き、佐藤がリーチを打った時点では、鮎川の待ちは1枚。佐藤の待ちは発が2枚。両者ともアガれず、ハイテイまで勝負は縺れた。南家の鮎川、ハイテイ牌を少し力強く河に放った。
「ロン。」
それは佐藤の声だった。鮎川はホウテイで発を掴み、12,000は12,300の放銃。
暫定トップの鮎川、大きな失点となった。

東3局2本場
西家・小塚、8巡目にテンパイ。

二万二万一索一索八索八索二筒二筒五筒五筒東東西  ドラ八索

このテンパイに飛び込んだのは土本。2巡前に切った西を再度引き、これが小塚の6,400に捕まる。
この後、南場に入り、小場で場が回っていき、ほとんど点棒の動きがないまま、4回戦を終えた。

4回戦成績
佐藤+22.6P 小塚+7.3P 土本▲11.7P 鮎川▲18.2P

4回戦終了時
佐藤+51.6P 小塚+27.3P 鮎川+25.4P 越川+6.3P 土本▲10.6P

5回戦(起家から土本、佐藤、越川、小塚)抜け番:鮎川

静岡リーグ決勝戦は、この5回戦が1つの区切りとなる。5回戦を終えた時点で、ポイントが最下位の者は、残す6回戦を前にして敗退となる。
最終的に目指すところは、優勝であることは間違いない。しかし、ここで敗退となってしまっては最終戦を目前にしてその優勝の二文字は、消えて無くなってしまうのだ。
卓上で戦っている全ての選手がこの5回戦、全力を尽くし戦ってくるだろう。

東1局0本場
ここまで、なんとかしがみ付いて来たものの、現状トータルポイント最下位の土本の親番。
その土本が魅せる。10巡目、

三索三索四索五索五索七索八索九索六筒六筒  カン一索 上向き一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ドラ三索

12,000のテンパイを果たす。そして、次巡ツモ三索
ここで、土本は打四索でリーチ。ツモリ三暗刻のテンパイを取る。
するとリーチの同巡、すでに七対子のテンパイを果たしていた越川から六索が打ち出され、嫌な予感がしたのだが、その予感とは裏腹に、16巡目、土本は力強く五索を引き付けた。

東4局0本場
北家・越川の配牌。

三万五万六万四索五筒東東南西白白発中  ドラ一万

ここから、四万東南三万白と引き入れ、以下のテンパイ。

三万三万四万五万六万東東東南南白白白

このテンパイに飛び込んだのは、タンヤオ三色のテンパイをしていた佐藤。痛い8,000の放銃となった。

南1局0本場
10巡目西家・越川、

六万七万八万四索五索六索一筒二筒三筒五筒六筒七筒白  ドラ白

ドラ単騎のリーチ。
次巡、親番土本、

二万二万四万四万六万七索七索八索八索四筒四筒白白

ドラを引き、七対子ドラ2テンパイ。
ここに飛び込んでしまったのは、小塚。痛恨の9,600の放銃。

南1局2本場
ここでも土本。11巡目、メンゼンで我慢し、ようやくテンパイしリーチ。

六万七万八万一索二索三索六索七索八索六筒七筒南南  ドラ中

安目だが、佐藤から2,000は2,600のアガリ。

南1局3本場
またしても土本。8巡目、

一万二万三万六万七万八万三索四索一筒一筒四筒五筒六筒  ドラ九万

ヤミテンを選択。勢いがある親番、リーチもありだが、ドラ引きがあるため慎重にヤミテンとする。15巡目、700は1,000オールのツモ。
仕掛けが2件入り、紙一重のアガリであった。

南3局1本場
10巡目、西家土本、中をポンしテンパイ。

二万二万二万四万五万六万南南西西  ポン中中中  ドラ四筒

そこにドラ2の佐藤が攻め返す。が、西家のホンイツの仕掛けに対し、西のトイツ落とし。
これが土本に捕まり、8,000の放銃。

南4局0本場
オーラスを迎えた。親番小塚、苦しいながらもリーチが掛かる。

一万二万三万一索二索三索六索七索八索二筒二筒四筒四筒  ドラ九索

このリーチ、2巡目に一筒を切っていることもあるが、ほぼ足止めのリーチ。しかし、このリーチに佐藤が押す。そしてこの勝負は佐藤に軍配が上がる。400・700。
この瞬間、小塚の敗退が決まった。ここで敗退となった小塚だが、イメージとは違い、非常に丁寧にしっかりと場を見極め、繊細な麻雀を魅せてくれた。また成長した姿をこの決勝の舞台で見せてくれることを期待したい。

5回戦成績
土本+38.3P 越川+7.7P 小塚▲15.1P 佐藤▲30.9P

5回戦終了時
土本+27.7P 鮎川+25.4P 佐藤+20.7P 越川+14.0P 小塚+12.2(敗退)

6回戦(起家から鮎川、佐藤、越川、土本)

最終6回戦は、トータルポイント2位、3位、4位、1位の順に、東家、南家、西家、北家の並びとなる。
ここまでの僅差で最終戦を向かえることは非常に稀だろう。
誰もが現実的に優勝の可能性があるだけに最後まで白熱した戦いとなりそうだ。

東1局0本場
開局、最初にアガリをものにしたのは、南家・佐藤。14巡目、

六万七万二索二索三索四索四索三筒四筒五筒六筒六筒発  ツモ三索  ドラ発

絶好の三索を引き入れテンパイ、ヤミテンに構える。ドラの発を打ってテンパイだが、この同巡に親の鮎川がツモ切ったドラに合わせて打つことができ、他家に目立つことなくテンパイすることができた。
さらに八万は親の現物。ここは丁寧にヤミテンとし、鮎川から3,900のアガリとなった。

東3局0本場
前局500・1,000のアガリをした親番越川、5巡目テンパイ、リーチ。

六万七万八万一索一索一索三索四索五索五索六索五筒五筒  リーチ  ドラ八筒

10巡目、西家の鮎川が追いつく。

四万五万五万六万六万七万六索七索二筒二筒五筒六筒七筒  リーチ

高目三色のリーチ。五索が1枚、八索が2枚、最後の五索の行き着くところは無情にも越川であった。

東4局0本場
5回戦大きなトップで一気に優勝争いに加わった土本、この半荘はここまで無理せずチャンスを窺ってきた。そして迎えた親番、理想的なテンパイが入る。

四万四万三索四索五索六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ東

メンタンピンの3面張。文句なしのテンパイを果たしもちろんリーチ。そこに無スジをノータイムで切り、佐藤が押し返す。

一万二万四万五万六万六筒七筒九筒九筒九筒東東東

ドラ暗刻の1シャンテン。牌姿的にも十分押し返す手だ。
しかし、リーチに対し押した3枚目の五索が捕まり、5,800放銃。
この手を簡単にオリては勝負にならないが、1シャンテンとテンパイは雲泥の差。
ここは、親の土本に軍配が上がる。

南1局0本場

鮎川、最後の親番で絶好のテンパイが入る。5巡目、

二万三万四万六索六索二筒三筒六筒七筒八筒南南南  ドラ四万

南を暗刻にしドラの四万を引いてのテンパイ。感触としてもかなり手ごたえがあったろう。
ツモれば最良だが、巡目も早く待ち読みの情報量が少ないため、親のリーチと言えども、出アガリの可能性も高い。
ここに飛び込んだのは、土本であった。1シャンテンとなり、現物もないため、避けようがない放銃であったと割り切ることができれば、まだ致命傷にはならない。自然な形で他者のアガリ牌が出て行ってしまうことをマイナスと捉えることもできるが、この優勝が掛かった最終戦ではあまり引きずらないことが大切であろう。

南1局1本場
44,600のトップ目に立った鮎川。しかし、まだ守ろうとして守りきれる点差ではない。ここで、突き放すことができれば優勝がグッと近づく。南ポン、九索ポンと積極的に主導権を握りに行く。九索ポンで打七索、テンパイとなるのだがこの七索が佐藤に捕まる。1,000は1,300の放銃となり最後の親番が終わる。

南2局0本場
今度は佐藤に最後の親番が回る。鮎川が頭一つ抜け出している現状、ここでの加点が非常
に大きい。9巡目、打点こそ低いもののネックのペン七索を仕掛け、チーテンを取りに行く。

四万五万六万四筒四筒四筒六筒中中中  チー七索 左向き八索 上向き九索 上向き  打八万

しかしテンパイ打牌の八万が前巡にテンパイを果たしていた鮎川に3,900の放銃となる。
鮎川としては加点しつつ、局を回すことができ、大きなアガリとなった。

南3局0本場
ここまで、苦しいながらも耐え続け、優勝が見える位置につけてきた越川の親番。
それが功を奏してか、先手でリーチが掛かる。

六万六万九万九万九万一索一索四索四索四索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ九索

ツモれば4,000オール、一気に鮎川の背中が見える。鮎川は前に出ないが、9巡目リーチの声。佐藤であった。最後の親番が落ち、優勝するには打点にも制限が掛かるこの局面でリーチが掛かることは高打点は確実。

八万八万六索六索七索七索八索八索九索三筒三筒北北  リーチ

ドラ待ちの七対子。ツモれば3,000・6,000となり、オーラスに最後の希望を繋ぐことができる。
しかし、13巡目越川のアガリ牌の一索を掴んでしまう。
だが、越川からロンの声が聞こえない。
高打点が濃厚な追っかけリーチをもらいながら、シャンポン待ちのアガリ牌を見逃したのだ。

アガっても親番が続くため、これに関しては最良の判断とは言いがたい。しかし、越川もそんなことは百も承知。それでも、自分のツモに賭け、この手をものにし、頂点だけを見ているその気持ちは見ている人に伝わったのではないだろうか。
結果、この局は流局となり、次局2,000の放銃で越川の親が終わった。

南4局0本場
オーラスを向かえた。この時点での順位点込みのトータルポイントは以下の通り。

鮎川+53.1P 佐藤+19.0P 土本+18.5P 越川▲2.8P

現実的には、鮎川と親番の残る土本の一騎打ち。鮎川が絶対有利なことは間違いないが、土本も十分逆転可能なポイント差だ。
この緊迫した局面で、土本が勝負強さを魅せる。6巡目にリーチが掛かる。

二万三万四万六万七万三索三索三索四索四索六筒七筒八筒  リーチ  ドラ九索

さらに、この状況下において鮎川に安牌が1枚もない。鮎川の中でギリギリまでアガリに向かう、1回の放銃は良しと言う考えがあったようだが、少し距離感がずれていたか。前に出るしかない鮎川は当たってもなんら不思議はない、むしろ危険と思われる牌を切り飛ばしていく。しかし、六索を通しスジとなったドラの九索を引き、長考。六索が通ったことで、当たりにくい牌となったが、万が一当たれば、7,700以上が確定する牌でもある。そこで鮎川はオリることに。
すると、土本が八万をツモ。2,000オールのアガリ。鮎川とのポイント差が、8,000詰まった。

南4局1本場
土本の配牌。

三万三万四万五万七万七万八万三索五索九索三筒七筒西白  ドラ一筒

鮎川の配牌。

五万七万四索四索五索七索八索一筒一筒二筒七筒九筒西

土本は高打点の可能性もあるまずまずの配牌。鮎川はドラ2だが、ここで打点は不必要なため、スピードがなにより重要である。できれば役を付けたい鮎川としては少し時間が掛かりそうな配牌と言える。
しかし、その鮎川、六万三筒六索と引き入れなんとわずか5巡でテンパイ。

五万六万七万四索四索五索六索七索八索一筒二筒三筒七筒九筒

八索として、テンパイを取るか、打九筒として1シャンテンとし、役ありのテンパイを目指すか、またテンパイを取るならリーチを打つのか、様々な選択肢がある中で鮎川は八索切りのヤミテンを選択。
テンパイを取る理由としては、やはり第一にダイレクトの八筒ツモを逃したくないのが1つ。それに加え、六筒引きのピンフの手変わりだけでなく、五筒引きも三色になり、手変わりの牌が2種あることが挙げられる。
そして13巡目...鮎川が八筒を力強くツモリ、鮎川の優勝が決まった。

6回戦成績
鮎川+28.0P 土本▲2.3P 佐藤▲6.3P 越川▲20.4P

最終ポイント
鮎川+53.4P 土本+25.4P 佐藤+14.4P 越川▲5.4P 途中敗退:小塚

第22回静岡リーグは、東京本部鮎川プロの優勝で幕を閉じた。静岡支部発足以来、2人目の快挙となる静岡リーグ両リーグ制覇。毎度、遠路はるばる静岡の地までお越しいただき、長期にわたり静岡リーグに参加してくださっていること、また、その麻雀に対する姿勢にも頭が下がる次第だが、こうして静岡の両タイトルを獲られたことは、尊敬に値するすばらしい実績として静岡の歴史に名を刻まれたことをとても嬉しく思う。

鮎川プロ、本当におめでとうございました。
そして、熱い闘牌で感動を与えてくれた決勝進出者の方々お疲れ様でした。