第22回静岡リーグ決勝戦観戦記
2014年04月17日
2月16日。
第22回静岡リーグ決勝戦の日を迎えた。
外気は冷たく、凍えるような寒さが押し寄せる。そんな寒さを忘れさせる熱い戦いが今始まる。
静岡リーグ決勝戦は、予選通過順に、1位+40P、2位+30P、3位+20P、4位+10P 、5位+0Pとアドバンテージが与えられる。
全6回戦行われ、5回戦終了時にポイント最下位の者が敗退となり(各1回抜け番)、最終1回戦を行い、トータルポイントがトップの者が優勝となる。
まず、ここでは選手紹介に加え、決勝直前の選手たちにコメントをいただいた。
1位通過 中部本部 佐藤あいりプロ
(初出場)
2回目の出場、さらに1位通過で初の決勝進出を果たしたのは、中部本部所属の佐藤あいりプロ。
その持ち味といえば、やはり攻撃力だろう。手数も多く、攻めながら自分のペースに持って行き、場をリードする。対局すると、『戦いにくい、やりづらい』そう感じる人も多いのではないだろうか。
決勝戦では、+40Pというアドバンテージがどう作用するかが見所だろう。
佐藤プロ「平常心で打てるようにがんばりたい。」
2位通過 中部本部 越川清一プロ
(2回決勝進出、優勝0回)
6期ぶり3回目の出場となったのは、こちらも中部本部所属の越川清一プロ。越川プロも佐藤プロ同様、攻撃力が持ち味。1節で100P近くポイントを叩き出すことも珍しくない。しかし、今期注目すべきは、20戦でラスが0回ということだ。攻撃は最大の防御という言葉があるが、正にその言葉が合う選手だろう。
越川プロ「平常心で打つ。」
3位通過 東京本部 鮎川卓プロ
(2回決勝進出、優勝0回)
3位通過となったのは、静岡プロリーグを制したことのある東京本部所属の鮎川卓プロ。静岡プロリーグ、静岡リーグ共に相性抜群。両リーグ制覇となるか。
全局参加型であり、攻撃的な印象を受けるが、非常に繊細で淡白な放銃は少ない。場況判断、アガリの精度が高く安定した成績を残す。優勝争いに絡んでくることは間違いないだろう。
鮎川プロ「自分の力を全部出したい。」
4位通過 一般参加 小塚旭さん
(初出場)
2回目の参加で決勝進出となったアマチュアの小塚旭さん。私の第一印象としては、これまで牌に多く触れてきたことがよくわかる美しい牌捌き。ここまで数多く麻雀を打ってきたことだろう。麻雀の内容も非常に丁寧、時に大胆にとメリハリのある麻雀を打つ。
決勝戦でも、持ち前の思い切りの良さで戦い抜いてくれるはずだ。
小塚さん「いつもと変わらず打てれば・・・」
5位通過 一般参加 土本伸之さん
(初出場)
初出場を果たした一般の土本伸之さん。第1節から終始安定した成績を残しての決勝進出。場況判断が冷静で、一打一打丁寧に打つ印象を受ける。しかし、ここぞというときは、勢い良く点数を加点する能力もある。予選ポイントを苦とせず、あまり意識しないことが重要だろう。
土本さん「いつも通り打つ。緊張を楽しみたい。」
以上5名による戦いとなる。
今回の決勝直前のコメントで、「平常心、いつも通り」等のコメントが多かった。よく耳にする言葉であるが、決勝戦という特別な舞台において、その重要性は極めて高い。そして決して簡単なことではない。いつも通り自分の麻雀を打つことが最良の結果を生むことに繋がるのではないか。各者とも是非とも後悔のない麻雀を打ってほしい。
(以下文章中敬称略)
1回戦(起家から鮎川、佐藤、越川、土本)抜け番:小塚
東1局0本場
いよいよ1回戦スタート。まず、それぞれの配牌を見てみよう。
起家・鮎川、
ドラ
南家・佐藤、
西家・越川、
北家・土本、
4者とも好配牌と言えよう。1回戦東1局から波乱の幕開けか。
テンパイ一番乗りは、北家・土本。順調にツモが伸び先制リーチ。
そして進むこと17巡目、力強くを引き、3,000・6,000。最高のスタートを切った。
リーチ ツモ
一方、鮎川は跳満の親かぶり。苦しいスタートとなったように思えるが、仮に土本がヤミテンを選択していると、鮎川がをすぐ掴み、8,000の放銃となっていた公算が高い。
6,000の失点と8,000の失点、あまり変わらないように考えることもできるが、鮎川はこの失点をどう感じたのだろうか。
東2局0本場
先手を取ったのは、北家・鮎川。打点こそ低いが、場況も含め、最終形の強さからピンフのみのリーチ。
リーチ ドラ
そして、すぐさま親の佐藤もリーチ。
リーチ
さらに同巡に越川からもリーチの声が・・・
しかし、リーチ宣言牌が佐藤のカンに捕まる。
越川の牌姿は、
ドラ2の七対子。打としていれば放銃は免れた。しかし、佐藤の捨て牌に、2巡目にが放たれ、その後さらに2枚が切られている。が裏スジであること、が3枚見えていてワンチャンスになっていること、ドラ表示牌であることで打となった。
このアガリは佐藤の柔軟な手組みが生んだアガリであった。
佐藤はメンツ候補が十分でない牌姿で、トイツのを1枚はずし、その後ドラのをひき、テンパイに至った。孤立牌に簡単に手を掛けなかったところを見ると、佐藤は落ち着いた立ち上がりを果たしたと言えよう。
東3局0本場
親番が落ちた佐藤、配牌ドラ2のチャンス手。そして6巡目にあっさりテンパイ。
ドラ
2巡後、を引き
高目、跳満のテンパイ。しかし、この時すでに土本もテンパイ。鮎川にも仕掛けが入る。おそらく、この2人は、–は止まらない。佐藤優勢と思われたが、鮎川のホンイツの1,000・2,000に阻まれる。
南1局1本場
1回戦南場に突入。ここまで、決定的なアガリはないものの、佐藤の牌の巡りが非常によい。
越川は少し出遅れたか。
ここでも佐藤に本手のテンパイが入る。
13巡目、
ドラ
佐藤は打とし、メンホン七対子のテンパイを選択。場には、、が1枚ずつ。
しかしここは土本が、500・1,000でかわす。打としていてもアガリはなかったが面白い選択であった。
南2局0本場
親は佐藤。ここでは2巡目にテンパイ、そしてリーチ。しかし、その牌姿は、
ドラ
役ありの一手変わり三色、6,000オールまである手を即リーチ。2巡目というスピードでこれまで手が入っている状態でのこのリーチ。
結果は、リーチの2巡後にを引き、手変わりがあった。で出アガるため、そこだけ見れば結果は同じだが、相手に与える印象は変わってくるだろう。
1回戦は、開局に跳満をアガリ、点棒を減らすことなく終えた土本がトップ。
鮎川も持ち前の粘り強さで原点復帰し浮きの2着。
苦しいスタートとなったのは越川のように見えるが、手が入るのに、アガリがつかない佐藤の状態のほうが危険信号かもしれない。両者ともこの後、どういった立て直しを見せてくれるのだろうか。
1回戦成績
土本+16.8P 鮎川+5.8P 佐藤▲5.3P 越川▲17.3P
1回戦終了時
佐藤+34.7P 鮎川+25.8P 土本+16.8P 越川+12.7P 小塚+10.0P
2回戦(起家から越川、佐藤、鮎川、小塚)抜け番:土本
1回戦抜け番だった小塚はここが初戦となる。
他の選手の初戦の状態を見て、どういう戦い方をするのか注目したい。
東1局0本場
その小塚が、2回戦最初のアガリとなる500・1,000を7巡目にあっさりツモ。
ツモ ドラ
三色、ソウズを縦に引いてのシャンポンの手変わりをする前にテンパイから1巡でのアガリ。
こういったアガリをどう捉えるかで、自分の調子、流れを計る材料となり得ると私は考える。
東2局0本場
1回戦ラスとなった越川が12巡目リーチの宣言。
ドラ
ドラ暗刻のリーチもリーチ宣言牌が鮎川の2,000に放銃となる。
悪い展開が続いているのか。何か浮上のきっかけを掴みたいところだ。
東3局0本場
親鮎川、配牌ドラ2のチャンス手。5巡目、
ツモ ドラ
ここで鮎川はなんと打。メンツ手を見切り、七対子に決め打つ。私は、メンツ手と七対子どちらも視野に入れ、打とするが、この決勝の舞台で打とできる思い切りの良さ、勇気に私は関心させられた。
しかし、実際この局は、トイツ場と言える状態であったが、河にトイツを3つ並べてしまったことでテンパイを逃し、小塚のアガリとなった。
プロとして、牌効率や牌理といったものを知ることは当然必須であるが、こういった打牌にも注目して観戦すると非常におもしろい。
南4局0本場
ここまで多くのアガリをものにしている、親番の小塚がここでも4巡目先制リーチ。
ドラ
巡目も早く、ホンイツまで伸びる可能性のある手だが小塚はリーチを選択。
結果は、1人テンパイで流局。
続く、南4局1本場も打点こそ見込めないもののスピードには申し分ない配牌で、500は600オールと加点し、トップを決めた。初の決勝戦の滑り出しとしては上出来の結果となった小塚。順位ポイントを加えても3位に浮上。混戦のまま3回戦に進んだことが吉と出るのか。
2回戦成績
小塚+16.0P 鮎川+4.1P 佐藤▲5.7P 越川▲14.4P
2回戦終了時
鮎川+29.9P 佐藤+29.0P 小塚+26.0P 土本+16.8P 越川▲1.7P
3回戦(起家から越川、鮎川、土本、小塚)抜け番:佐藤
まだ2回戦を終えたところだが、トータルポイントが非常に均衡している。さまざまな試合展開が考えられたが、ここから各選手がどういった戦略、戦い方をしていくのかにも注目したい。
東1局0本場
親番越川、
ドラ
この配牌からほぼ無駄ヅモなしで7巡目にテンパイ。
安目のを引いてのテンパイだがここは十分。しかし、–が引けない。
そうこうしている間に、16巡目にテンパイを果たした小塚が1,300・2,600のツモ。
1回戦、2回戦苦しんだ越川がここでも苦戦を強いられる。アガれないこともそうだが、さらに追いつかれ、他家にアガリを付けられる。苦しい展開はまだ変わらない。
東2局0本場
親番鮎川、3巡目に七対子テンパイ、リーチ。
リーチ ドラ
そこに、親の1人旅にさせまいと同巡越川が仕掛ける。
しかし、この仕掛けによって放った白が放銃となる。その時、越川の牌姿は、
ここからをチーして打。
ここまで、本調子には程遠い越川。焦りなのか、気負いなのか、きっかけを作ろうとしているのか、私には見えない何かを越川から感じた。
東3局0本場
前局放銃となった西家・越川が積極的に仕掛けていく。2巡目のTをポン。10巡目八チーでテンパイ。
チー ポン ドラ
15巡目、鮎川から3,900のアガリとなる。
このアガリが越川にとっても大きなきっかけとなるのだろうか。
南1局1本場
粘り強く連荘を果たした越川、5巡目テンパイしリーチ。
リーチ ドラ
1シャンテンの形は、
ツモ
入り目がで、三色の渡りも見えるが越川はリーチを選択。
これが、すぐに2,000は2,300のアガリとなる。
南1局2本場
ここでも先手は越川。13巡目にリーチ。
リーチ ドラ
しかし、鮎川16巡目に追いつき、リーチ。
リーチ
ハイテイで鮎川が一をツモり、2,000・4,000は2,200・4,200。
勢いに乗りかけた越川の親番を落とし、自分自身にも非常に大きな満貫のアガリとなった。
南3局1本場
7巡目、北家・鮎川リーチ。
リーチ ドラ
–は山に6枚。これをすぐにツモリ、1,300・2,600。一時は、23,700のラスだった鮎川も持ち前の粘り強さで37,800のトップまで急浮上。
南4局1本場
前局2,000をアガリ、連荘の小塚。ここは粘りを見せたいところだ。13巡目、
ドラ
テンパイを果たす。七対子、リャンペーコーのテンパイ。普通ならもちろん打とするところだが、が2枚切れであることから打とする。すると、次巡のツモはまさかの。痛恨の4,000オールのアガリ逃し。
そしてこのアガリ逃しが、越川の2,000・4,000を生む。
このアガリで越川は、本日初の浮きに終わることとなった。
3回戦成績
鮎川+13.7P 越川+8.0P 小塚▲6.0P 土本▲15.7P
3回戦終了時
鮎川+43.6P 佐藤+29.0P 小塚+20.0P 越川+6.3P 土本+1.1P
4回戦(起家から小塚、土本、佐藤、鮎川)抜け番:越川
3回戦を終えたこの時点で、トップと5位との差が僅か40Pと混戦となっている。
まだまだ誰が優勝してもおかしくはない展開だ。
東1局0本場
まずは、西家・佐藤、9巡目リーチが入る。
ドラ
親番小塚も次巡にテンパイし追いつく。しかし、七対子のテンパイで、打牌選択は暗刻から1枚切るしかない。
ツモ
形は良いが、現物は2のみでテンパイをとらないことは難しい。
も先に処理できる牌ではなく、苦しい放銃となった。
東2局0本場
前局5,200をアガった佐藤が配牌ドラ暗刻のチャンス手。
ドラ
しかし、ツモが伸びず、も鳴けない。そうしている間にも他者の手は進み、鮎川に2,000の放銃となった。
その鮎川の牌姿は、
チー
MAXチャンタ、三色の跳満になる可能性のある手を、2枚目のを9巡目に迷わず仕掛けた。引きはともかく、を引いたときは確かに不本意だが、なかなか仕掛けにくい手ではないだろうか。この辺りは、打点だけにとらわれず、場況や相手との距離感などを考え、鍛錬された鮎川の強さの1つであろう。
東4局1本場
10巡目、鮎川からリーチが入る。
ドラ
そこに、親の佐藤から15巡目にリーチが入る。
リーチ
両者ともにドラ2。後にカンでリーチは決めていた、と鮎川が話し、自信があった待ちだが、リーチの時点で山に2枚。すぐに1枚他家が引き、佐藤がリーチを打った時点では、鮎川の待ちは1枚。佐藤の待ちはが2枚。両者ともアガれず、ハイテイまで勝負は縺れた。南家の鮎川、ハイテイ牌を少し力強く河に放った。
「ロン。」
それは佐藤の声だった。鮎川はホウテイでを掴み、12,000は12,300の放銃。
暫定トップの鮎川、大きな失点となった。
東3局2本場
西家・小塚、8巡目にテンパイ。
ドラ
このテンパイに飛び込んだのは土本。2巡前に切ったを再度引き、これが小塚の6,400に捕まる。
この後、南場に入り、小場で場が回っていき、ほとんど点棒の動きがないまま、4回戦を終えた。
4回戦成績
佐藤+22.6P 小塚+7.3P 土本▲11.7P 鮎川▲18.2P
4回戦終了時
佐藤+51.6P 小塚+27.3P 鮎川+25.4P 越川+6.3P 土本▲10.6P
5回戦(起家から土本、佐藤、越川、小塚)抜け番:鮎川
静岡リーグ決勝戦は、この5回戦が1つの区切りとなる。5回戦を終えた時点で、ポイントが最下位の者は、残す6回戦を前にして敗退となる。
最終的に目指すところは、優勝であることは間違いない。しかし、ここで敗退となってしまっては最終戦を目前にしてその優勝の二文字は、消えて無くなってしまうのだ。
卓上で戦っている全ての選手がこの5回戦、全力を尽くし戦ってくるだろう。
東1局0本場
ここまで、なんとかしがみ付いて来たものの、現状トータルポイント最下位の土本の親番。
その土本が魅せる。10巡目、
カン ドラ
12,000のテンパイを果たす。そして、次巡ツモ。
ここで、土本は打でリーチ。ツモリ三暗刻のテンパイを取る。
するとリーチの同巡、すでに七対子のテンパイを果たしていた越川からが打ち出され、嫌な予感がしたのだが、その予感とは裏腹に、16巡目、土本は力強くを引き付けた。
東4局0本場
北家・越川の配牌。
ドラ
ここから、、、、、と引き入れ、以下のテンパイ。
このテンパイに飛び込んだのは、タンヤオ三色のテンパイをしていた佐藤。痛い8,000の放銃となった。
南1局0本場
10巡目西家・越川、
ドラ
ドラ単騎のリーチ。
次巡、親番土本、
ドラを引き、七対子ドラ2テンパイ。
ここに飛び込んでしまったのは、小塚。痛恨の9,600の放銃。
南1局2本場
ここでも土本。11巡目、メンゼンで我慢し、ようやくテンパイしリーチ。
ドラ
安目だが、佐藤から2,000は2,600のアガリ。
南1局3本場
またしても土本。8巡目、
ドラ
ヤミテンを選択。勢いがある親番、リーチもありだが、ドラ引きがあるため慎重にヤミテンとする。15巡目、700は1,000オールのツモ。
仕掛けが2件入り、紙一重のアガリであった。
南3局1本場
10巡目、西家土本、をポンしテンパイ。
ポン ドラ
そこにドラ2の佐藤が攻め返す。が、西家のホンイツの仕掛けに対し、のトイツ落とし。
これが土本に捕まり、8,000の放銃。
南4局0本場
オーラスを迎えた。親番小塚、苦しいながらもリーチが掛かる。
ドラ
このリーチ、2巡目にを切っていることもあるが、ほぼ足止めのリーチ。しかし、このリーチに佐藤が押す。そしてこの勝負は佐藤に軍配が上がる。400・700。
この瞬間、小塚の敗退が決まった。ここで敗退となった小塚だが、イメージとは違い、非常に丁寧にしっかりと場を見極め、繊細な麻雀を魅せてくれた。また成長した姿をこの決勝の舞台で見せてくれることを期待したい。
5回戦成績
土本+38.3P 越川+7.7P 小塚▲15.1P 佐藤▲30.9P
5回戦終了時
土本+27.7P 鮎川+25.4P 佐藤+20.7P 越川+14.0P 小塚+12.2(敗退)
6回戦(起家から鮎川、佐藤、越川、土本)
最終6回戦は、トータルポイント2位、3位、4位、1位の順に、東家、南家、西家、北家の並びとなる。
ここまでの僅差で最終戦を向かえることは非常に稀だろう。
誰もが現実的に優勝の可能性があるだけに最後まで白熱した戦いとなりそうだ。
東1局0本場
開局、最初にアガリをものにしたのは、南家・佐藤。14巡目、
ツモ ドラ
絶好のを引き入れテンパイ、ヤミテンに構える。ドラのを打ってテンパイだが、この同巡に親の鮎川がツモ切ったドラに合わせて打つことができ、他家に目立つことなくテンパイすることができた。
さらには親の現物。ここは丁寧にヤミテンとし、鮎川から3,900のアガリとなった。
東3局0本場
前局500・1,000のアガリをした親番越川、5巡目テンパイ、リーチ。
リーチ ドラ
10巡目、西家の鮎川が追いつく。
リーチ
高目三色のリーチ。が1枚、が2枚、最後のの行き着くところは無情にも越川であった。
東4局0本場
5回戦大きなトップで一気に優勝争いに加わった土本、この半荘はここまで無理せずチャンスを窺ってきた。そして迎えた親番、理想的なテンパイが入る。
ドラ
メンタンピンの3面張。文句なしのテンパイを果たしもちろんリーチ。そこに無スジをノータイムで切り、佐藤が押し返す。
ドラ暗刻の1シャンテン。牌姿的にも十分押し返す手だ。
しかし、リーチに対し押した3枚目のが捕まり、5,800放銃。
この手を簡単にオリては勝負にならないが、1シャンテンとテンパイは雲泥の差。
ここは、親の土本に軍配が上がる。
南1局0本場
鮎川、最後の親番で絶好のテンパイが入る。5巡目、
ドラ
を暗刻にしドラのを引いてのテンパイ。感触としてもかなり手ごたえがあったろう。
ツモれば最良だが、巡目も早く待ち読みの情報量が少ないため、親のリーチと言えども、出アガリの可能性も高い。
ここに飛び込んだのは、土本であった。1シャンテンとなり、現物もないため、避けようがない放銃であったと割り切ることができれば、まだ致命傷にはならない。自然な形で他者のアガリ牌が出て行ってしまうことをマイナスと捉えることもできるが、この優勝が掛かった最終戦ではあまり引きずらないことが大切であろう。
南1局1本場
44,600のトップ目に立った鮎川。しかし、まだ守ろうとして守りきれる点差ではない。ここで、突き放すことができれば優勝がグッと近づく。ポン、ポンと積極的に主導権を握りに行く。ポンで打、テンパイとなるのだがこのが佐藤に捕まる。1,000は1,300の放銃となり最後の親番が終わる。
南2局0本場
今度は佐藤に最後の親番が回る。鮎川が頭一つ抜け出している現状、ここでの加点が非常
に大きい。9巡目、打点こそ低いもののネックのペンを仕掛け、チーテンを取りに行く。
チー 打
しかしテンパイ打牌のが前巡にテンパイを果たしていた鮎川に3,900の放銃となる。
鮎川としては加点しつつ、局を回すことができ、大きなアガリとなった。
南3局0本場
ここまで、苦しいながらも耐え続け、優勝が見える位置につけてきた越川の親番。
それが功を奏してか、先手でリーチが掛かる。
リーチ ドラ
ツモれば4,000オール、一気に鮎川の背中が見える。鮎川は前に出ないが、9巡目リーチの声。佐藤であった。最後の親番が落ち、優勝するには打点にも制限が掛かるこの局面でリーチが掛かることは高打点は確実。
リーチ
ドラ待ちの七対子。ツモれば3,000・6,000となり、オーラスに最後の希望を繋ぐことができる。
しかし、13巡目越川のアガリ牌のを掴んでしまう。
だが、越川からロンの声が聞こえない。
高打点が濃厚な追っかけリーチをもらいながら、シャンポン待ちのアガリ牌を見逃したのだ。
アガっても親番が続くため、これに関しては最良の判断とは言いがたい。しかし、越川もそんなことは百も承知。それでも、自分のツモに賭け、この手をものにし、頂点だけを見ているその気持ちは見ている人に伝わったのではないだろうか。
結果、この局は流局となり、次局2,000の放銃で越川の親が終わった。
南4局0本場
オーラスを向かえた。この時点での順位点込みのトータルポイントは以下の通り。
鮎川+53.1P 佐藤+19.0P 土本+18.5P 越川▲2.8P
現実的には、鮎川と親番の残る土本の一騎打ち。鮎川が絶対有利なことは間違いないが、土本も十分逆転可能なポイント差だ。
この緊迫した局面で、土本が勝負強さを魅せる。6巡目にリーチが掛かる。
リーチ ドラ
さらに、この状況下において鮎川に安牌が1枚もない。鮎川の中でギリギリまでアガリに向かう、1回の放銃は良しと言う考えがあったようだが、少し距離感がずれていたか。前に出るしかない鮎川は当たってもなんら不思議はない、むしろ危険と思われる牌を切り飛ばしていく。しかし、を通しスジとなったドラのを引き、長考。が通ったことで、当たりにくい牌となったが、万が一当たれば、7,700以上が確定する牌でもある。そこで鮎川はオリることに。
すると、土本がをツモ。2,000オールのアガリ。鮎川とのポイント差が、8,000詰まった。
南4局1本場
土本の配牌。
ドラ
鮎川の配牌。
土本は高打点の可能性もあるまずまずの配牌。鮎川はドラ2だが、ここで打点は不必要なため、スピードがなにより重要である。できれば役を付けたい鮎川としては少し時間が掛かりそうな配牌と言える。
しかし、その鮎川、、、と引き入れなんとわずか5巡でテンパイ。
打として、テンパイを取るか、打として1シャンテンとし、役ありのテンパイを目指すか、またテンパイを取るならリーチを打つのか、様々な選択肢がある中で鮎川は切りのヤミテンを選択。
テンパイを取る理由としては、やはり第一にダイレクトのツモを逃したくないのが1つ。それに加え、引きのピンフの手変わりだけでなく、引きも三色になり、手変わりの牌が2種あることが挙げられる。
そして13巡目...鮎川がを力強くツモリ、鮎川の優勝が決まった。
6回戦成績
鮎川+28.0P 土本▲2.3P 佐藤▲6.3P 越川▲20.4P
最終ポイント
鮎川+53.4P 土本+25.4P 佐藤+14.4P 越川▲5.4P 途中敗退:小塚
第22回静岡リーグは、東京本部鮎川プロの優勝で幕を閉じた。静岡支部発足以来、2人目の快挙となる静岡リーグ両リーグ制覇。毎度、遠路はるばる静岡の地までお越しいただき、長期にわたり静岡リーグに参加してくださっていること、また、その麻雀に対する姿勢にも頭が下がる次第だが、こうして静岡の両タイトルを獲られたことは、尊敬に値するすばらしい実績として静岡の歴史に名を刻まれたことをとても嬉しく思う。
鮎川プロ、本当におめでとうございました。
そして、熱い闘牌で感動を与えてくれた決勝進出者の方々お疲れ様でした。
カテゴリ:静岡プロリーグ レポート