第30期新人王戦 予選レポート 井上 美里
2016年09月12日
2016年8月27日、第30期新人王を目指し75名が全国から集まった。
新人王戦とは、入会3年目までの連盟員が参加できるタイトル戦で、予選半荘7回戦を1日で行い上位4名が翌日半荘4回戦にて新人王を決めるシステムとなっている。
決勝は日本プロ麻雀連盟チャンネルで生放送されるので、若手にとっては麻雀ファンに自身をアピールする絶好の機会である。また、優勝すると年度末に行われるグランプリMAXにも出場する事が出来る為、活躍するチャンスが増える。
何としても決勝に残り優勝したいと誰しもが強く思っていることだろう。
日本プロ麻雀連盟副会長 伊藤優孝プロからの挨拶。
「今、新人が勢いに乗っている。世代交代の時期だ。」と、力強いお言葉で会場の選手達を激励した。
1回戦目、十段戦での活躍が目覚ましい上田直樹はなかなかアガリに結びつかず、トップと20,000点近く離されて南場の親をむかえる。
南2局、子の先制リーチに対してドラがトイツの上田は怯むことなく応戦。決まればぐっとトップに近づくテンパイを入れリーチ。
リーチ ドラ
ツモれば6,000オールのこの手は、惜しくも2人テンパイで流局。しかしこの親番で連荘し2着に浮上。+13.1Pとまずまずのスタートを切った。
3回戦 東4局、林潤一郎は親番で国士無双のテンパイを入れる。さすがに観戦にも力が入る。
ドラ
残り1枚のを見事にツモり16,000オールの特大のアガリで会場に緊張が走る。
オーラス、再び林は4,000オールをアガリこの1回で+67.5Pを叩きあげ一気に全体の上位に躍り出た。
役満について林は、「アガれる気は全くしなかった。」と謙虚な一面を見せた。
出産後、この新人王戦が復帰戦となった七瀬真実は、4回戦目を▲13.7Pでむかえる。ほぼトップ条件の中、南場を迎える頃にはトップと20,000点以上差がついてしまった。親番で藤井崇勝に先制リーチをかけられてしまうと、覚悟を決めたのか一気に3フーロして藤井に追いつく。しかし、七瀬が先に藤井のアタリ牌を掴み、8,000点の放銃となってしまった。ここで敗退となってしまった七瀬だが、全くブランクを感じさせない強気に攻めるスタイルは健在だった。ママさん雀士として今後の活躍に期待したい。
4回戦を終えて、プラスに届かなかった者がここで敗退となる。
昨年の新人王戦決勝まで残った土屋孝弘。先日のプロクイーンベスト16で激闘した片倉まち。麻雀格闘倶楽部でも活躍する七瀬真実、大亀あすか等が無念の敗退となった。
大亀「課題はたくさん残ったけど、自分らしく打てた。来年は頑張りたい。」
ここまでの上位4名。
1位 弘中栄司 +89.7P
2位 林潤一郎 +80.0P
3位 藤井崇勝 +78.0P
4位 石森隆雄 +64.1P
5回戦目は下位16名が敗退となる。ボーダーは+10.1P。
ここまで着々とポイントを重ね、4位につけていた石森。同じ東北所属の選手ともあり観戦には力が入る。
南2局 西家の石森に一手がわりツモリ四暗刻のテンパイが入る。
暗カン
これをヤミテンで待つが、南家の鹿嶌文太に追いつかれリーチを打たれてしまう。石森は掴んだ無筋のを強気に押すが、苦しくもこれが鹿嶌のアガリ牌。手変わりするの枚数が少なかっただけに、先制リーチを打っていたらどうなっていたか…と、考えさせられてしまうが、それも考慮した上での石森の判断だろう。この半荘石森は▲23.3Pの4着となり、上位争いから少し遠のいてしまった。
5回戦が終了し、十段戦で健闘している上田直樹、2016最強戦ガールの優月みか等が敗退となった。
優月「攻め時が必要だった。何もいいところがなかった。」と肩を落とした。
6回戦目、下位12名が敗退。ボーダーが+34.4P。
1位 林潤一郎 +92.7P
2位 藤井崇勝 +86.9P
3位 弘中栄司 +84.2P
4位 庄田祐生 +75.6P
ここでは昨年の決勝進出を果たした平野良栄等が敗退となった。
次が最後の新人王戦となる平野は「来年また来ます。」と冗談交じりに帰って行った。
7回戦目、ついに決勝進出者4名が決まる時が来た。上位3名が+100.0Pをこえ、例年通りボーダーが高い。しかしポイント順に4卓に分かれるため、まだまだチャンスがある。
1卓
ここまでトータルトップの弘中との差が一番近い石森でも59.0Pとかなり開いている。今日1日絶好調の弘中は、さくっと最終戦もトップをとりトータル+138.1Pまでポイントをのばした。昨年の決勝進出者ということもあり、非常に観戦者が多く、注目の卓となっていた。
2卓
谷誠之が、ここまで全ての半荘でプラスにしてきた藤井を苦しめた。オーラス、谷が5本場まで積みなかなか終わらせない。この勢いのまま一気に藤井のトータルポイントをまくるかと思いきや、無情にもタイムアップとなる。最後は沈みの3着になるかと思われた藤井が花井香央理から1,600は3,100をアガリ、きっちりプラスで終わらせた。
3卓
池田太郎がトップを走り健闘するも、トータル3位の林を誰も沈められないまま林は+9.4Pの2着で終了。トータルを+109.5Pとし、決勝進出を確信したのか安堵の表情で深く腰を下ろした。
4卓
東1局、親の庄田が古川から18,000をアガリ一気にトップに躍り出た。勝負アリかと思えたが、東1局1本場で菊田政俊が庄田から8,300を直撃し2人の点差がぐっと縮まる。
南3局、庄田と中川基輝の2人をまくらなければならない菊田は、この時すでに中川をまくり残るは庄田のみ。12,000直撃でトータルもひっくり返せるところまで庄田を追い詰める。
ところがここまで静かだった中川が動き始める。まずは古川から2,600をアガリ、ここで菊田の親が終わった。
中川が親のオーラス、一刻も早く終わらせたい庄田が早々にテンパイをとるも、追いついた中川に2,900を放銃。完全に勢い付いた中川が3本場まで積み上げここで時間切れとなるも、トータルで庄田をきっちりとまくり大逆転劇を見せた。
8時間にも及ぶ対局が終わり、疲れた表情の選手達。緊張の成績発表が行われる。
6位 谷誠之 +76.7P
6回戦目まで予選敗退ギリギリをくぐり抜け、残り2回で一気に追い上げた。苦しくも決勝進出は逃したものの、堂々の6位と結果を残した。
谷「昨年は7回戦まで残れたが決勝には行けず悔しくて泣いた。今年は自分の麻雀がしっかり打てた。来年また頑張ります。」
5位 庄田祐生 +91.5P
チャンピオンズリーグに続き新人王もとるかと期待された庄田だが、最後の最後に悔しい結果となってしまった。
「最後の半荘、8,000を打ってしまったところから崩れてしまった。ひどかった。言葉がでません。」
そしてここからは見事に決勝進出を果たした4名。
4位 中川基輝 +97.2P
庄田との戦いに見事勝利し、4位に滑り込んだ中川。
中川「2回戦目までラスラスで、もうどうにでもなれと思い切ったのが良かった。」
3位 藤井崇勝 +103.8P
7回戦全てプラスに収め、安定した麻雀が光った藤井。
藤井「九州に新人王のタイトルを持って帰りたい。明日も頑張ります。」
2位 林潤一郎 +109.5P
国士無双を決めた林。最後までそのポイントを守り抜いた。
林「今日は本当にツイていました。明日は気持ちで負けなければ大丈夫だと思います。」
1位 弘中栄司 +138.1P
昨年も決勝に進んだ弘中。雪辱を晴らす為、今年は見事に1位通過した。
弘中「″決勝に残る″有言実行できた。明日は優勝を狙います。」
明日は台風も近づいてきて空模様も心配されるが、この新人王戦も熱い戦いになることだろう。
翌日の決勝は予選ポイントがリセットされ、半荘4回戦のトータルポイント勝負となる。
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