第34期新人王戦決勝レポート
2021年10月28日
第34期新人王は石川遼!
2021年10月16日、第34期新人王決勝が放送された。結果は連盟入会以来活躍を期待され続けてきた石川遼が、実力を遺憾なく発揮しての優勝。悲願の初タイトル獲得となった。
決勝戦の対局者は以下の4名。
小高佑貴 37期前期入会
奥さんから麻雀の活動に賛同してもらえず、「ここで優勝して認めてもらいたい思いがある」とのコメント。
原田潤次 37期前期入会
「今年39歳で年齢制限ギリギリの入会でした。見ている方に、年齢関係なく挑戦すると夢があることを伝えたいと思います。」
荒井伶太 36期後期入会
「同僚がこういう場に立っているのを見て追いつきたかったので、早い段階で勝ち上がれて良かったと思います。若獅子戦のベスト16でもこの場に立って負けてしまったのですが、今回は勝ちきれるように頑張りたいと思います。」
石川遼 34期前期入会
「今までいろいろチャンスをもらっておきながら結果を出せていなくて、またとないチャンスなので頑張ります。」
4者のなかで石川を「優勝候補の筆頭」と話したのは解説の瀬戸熊。
それもそのはず、石川はネット麻雀「天鳳」の最高段位「天鳳位」を獲得しており、当時鳴り物入りでの連盟入会を果たしていたのだ。しかしそれから数年、石川としては満足のいく対局結果を出せておらず、もどかしい気持ちであったという。
今回は「順当な優勝」と見る方もいらっしゃるかもしれないが、実際その内容は紙一重のめくり合いの連続で、全員の強い思いがぶつかり合う激しい戦いであった。勝負を分けた場面のいくつかを振り返っていきたい。
最初に運命の分かれ目となったのは1回戦東3局。
なんと原田・石川が共にツモり四暗刻のリーチ!山に残っていた枚数は石川が1枚、原田はなんと4枚!
結果は小高から石川へ8,000の放銃となったが、ここで原田のツモアガリがあれば…全く違う1日となっていたかもしれない。
とにもかくにも、この局を制した石川は勢いそのままにアガリを重ねる。
南3局、タンピン高目三色のテンパイは、場に安いピンズ待ちということで冷静にヤミテンに構え7,700のアガリ。
南4局の親番では荒井の先制リーチに追いついてピンフドラドラのテンパイ。
解説の柴田吉和は「先制リーチに通りやすい待ちということでヤミテンもある」と話したが、ここは強く加点を意識して追いかけリーチ!11,600のアガリをもぎ取り、1回戦にして+44.6Pの大トップとなった。
一方で放銃に回った荒井は箱下の4着に。戦いは小高・原田のどちらが石川への挑戦権を得るか、という展開が待っているように見えた。
しかし2回戦ではその荒井が大爆発。2,000・4,000、12,000、3,900オールと連続で勝負手を実らせ、トータル2番手まで急浮上。
(役・ホンイツ・ドラドラ)
(タンヤオドラ3を石川から直撃!)
(リーチツモ一通)
最終戦開始時点では石川・荒井が完全な一騎打ちの構図となった。
ここまで名前の挙がらなかった小高であるが、攻撃型という雀風通りの攻めが今回は裏目となり、最終戦時点ではかなり厳しい条件に。しかしそんな状況ながら、最終戦では視聴者を釘付けにするプレーを見せる。
東一局には国士無双のテンパイ。
さらに南3局の親番には九蓮宝燈のテンパイ!
荒井から安目のアガリ牌が放たれるも見逃し、役満での逆転に望みを懸けた。2回の役満テンパイはどちらも成就することはなかったが、これからも面白い対局を見せてくれる選手だということは十二分に伝わったように思えた。
一方の荒井・石川は互いにリードを許さず、なんとオーラス時点では1.1P差という超接戦に。最後までもつれた名勝負の最後に決定打を放ったのは石川。
2,600オールのツモアガリ。1本場を流局に持ち込み、史上稀に見る熱戦となった34期新人王決勝を制した。
「ようやく一つ結果を出すことができました。他の対局では不甲斐ないのが現状で、これからも頑張っていきたいと思いますので応援よろしくお願いいたします。」
謙虚な人柄が窺えるコメントを残し、雀力・人間性共に新人とは思えないような新人王が誕生した。
石川遼プロの今後の活躍にご注目ください!
(文・浜野太陽)
カテゴリ:新人王 レポート