特別昇級リーグ 決勝観戦記/第15期特別昇級リーグ 決勝レポート
2014年01月29日
第15期特別昇級リーグの決勝が、1月20日、四ツ谷の連盟道場にて行われた。
特別昇級リーグとは、力量ある若手の為に作られたリーグ戦で、1年目の新人でも優勝すれば最短4年で鳳凰位に就く事が可能となる。
昨期から、プロリーグ最終節前に決勝が行われる筈だったが、日程の折り合いがつかず、今期はプロリーグ最終節後に行われる事となった。
決勝に残ったのは以下の4名。(ポイントは最終節開始時)
高沢智 25期生 C2リーグ所属 +142.1P
伊藤大輔 24期生 C2リーグ所属 +95.0P
前田洋祐 27期生 D1リーグ所属 +89.7P
柴田吉和 28期生 D1リーグ所属 +66.9P
この4名の中で、プロリーグをプラスで終えて、特別昇級の権利があるのは柴田のみとなってしまった。
しかし、優勝で次回の特別昇級リーグ出場権利を得られるので、4者とも優勝目指して最後まで白熱した戦いを期待したい。
1回戦(起家から、前田・柴田・伊藤・高沢)
東1局、起家の前田が開始早々3,900オールのアガリを物にする。
ポン ツモ ドラ
続く1本場は、北家・高沢が2,000・4,000は2,100・4,100のツモアガリ。
ポン ツモ ドラ
早くも打撃戦の展開となった。
そして東3局、三色の手替わりを待っていた前田が、ドラのをあっさりツモ。
ツモ ドラ
この2,000・3,900のツモアガリで、前田は相当手応えを感じたであろう。
しかし、流局を挟んで南1局1本場、前田が痛恨の放銃をしてしまう。
リーチ ロン ドラ
アガったのは柴田。親の前田も役牌を1つ仕掛けてテンパイしていただけに仕方ないかもしれないが、この8,300放銃の精神的ダメージは相当大きかっただろう。
次に大きく動いたのが南3局2本場、親の伊藤、6巡目の手牌。
ツモ ドラ
親だけに切りリーチをする打ち手もいるかもしれないが、伊藤の選択は打。
メンタンピン三色の跳満、最低でもタンヤオを付けた満貫を狙いに行った一打だ。
4回戦を通して伊藤の雀風は、狙える手役はギリギリまで追い、先手を取られたらオリると一貫していた。
この選択が吉と出て、数巡後ツモでリーチ、そして高めでツモアガリとなった。
リーチ ツモ ドラ
最高形とはならなかったが、この4,000は4,200オールで調子を上げた伊藤が、次局も前田から12,000は12,900をアガリ1回戦は一人浮きトップで終了した。
1回戦成績
伊藤+34.4 高沢▲6.4 前田▲9.9 柴田▲18.1
1回戦終了時
高沢+135.7 伊藤+129.4 前田+79.8 柴田+48.8
2回戦(起家から高沢・前田・柴田・伊藤)
1回戦とは打って変わって小場な展開が続き、細かく点棒を積み重ねた柴田がトップとなった。
2回戦成績
柴田+20.8P 高沢+4.7P 前田+2.5P 伊藤▲28.0P
2回戦終了時
高沢+140.4P 伊藤+101.4P 前田+82.3P 柴田+69.6P
3回戦(起家から伊藤・柴田・高沢・前田)
東1局は、前田が伊藤から1,300を出アガリ、東2局は柴田1人テンパイ。
続く1本場、親の柴田が配牌で10種10牌だ。トータルトップの高沢とのポイント差は70P以上あるだけに、一発逆転の国士無双を狙うのかと思いきや、なんと流してしまった。打ち上げで本人に聞いてみた所、「11種あったらさすがに狙ったが、国士が嫌いなので流してしまった」との事。
これが結果的に吉と出て、続く2本場では2,600は2,800オール、3本場では2,000は2,900を加点。
そして、南2局の親番ではこの4,000は4,300オールのツモアガリ。
ツモ ドラ
役満分とまでは行かなかったが、終わって見れば1人浮き大トップを取り3回戦を終えた。
3回戦成績
柴田+44.7P 前田▲3.9P 高沢▲17.6P 伊藤▲23.2P
3回戦終了時
高沢+122.8P 柴田+114.3P 前田+78.4P 伊藤+78.2P
最終戦を迎え、柴田が一気にポイントを詰めて優勝戦線に名乗りを上げた。高沢とはほぼ着順勝負か!?
対する前田・伊藤は最低でも高沢・柴田を沈めての60,000点以上のトップが条件となってしまった。
4回戦(起家から柴田・前田・伊藤・高沢)
東2局1本場、伊藤が好配牌をうまく纏め上げ2,000・3,900は2,100・4,000のツモアガリ。
ポン ツモ ドラ
そして南1局1本場でも2,000・4,000は2,100・4,100のツモアガリ。
ポン ツモ ドラ
伊藤が点棒を50,000点近くまで伸ばす。
南2局は高沢が1,000点で軽く交わし、迎えた南3局。親の伊藤、渾身のリーチ。
リーチ ドラ
このリーチに飛び込んでしまったのがまさかの高沢。
ツモ
高沢のリーチ宣言牌を捉えた伊藤のロンの発生は、本日一番気合が入っていた。
続く1本場も、高沢が前田に8,000は8,300と連続放銃をしてしまい、オーラスを迎えた点棒状況は以下となった。
柴田22,200 前田29,500 伊藤61,100 高沢7,200
柴田は30,000点を超えれば優勝なので、満貫条件。
前田は役満条件。伊藤はアガれば優勝。高沢は親なのでとにかく連荘するのみだ。
運命のオーラス、親の高沢が仕掛けて以下のテンパイ。
ポン ポン ドラ
柴田も追いついて、優勝の条件を満たした渾身のリーチ。
リーチ
この時点では山に4枚、対する高沢の待ちはの1枚のみ。
両者ともツモる手に力が入る。
前田・伊藤はすでにベタオリしているので、実質一騎打ちだ。
数巡後、手を開けたのは高沢だった。
ポン ポン ツモ
この大きな6,000オールで2着に浮上した高沢が、今度は逆に伊藤に条件を押し付けた。
続く1本場、2,600をアガれば優勝の伊藤が必死に手を作るが、最後までテンパイできず高沢の優勝で幕を閉じた。
4回戦成績
伊藤+36.1P 高沢▲5.8P 前田▲10.5P 柴田▲20.8P
最終成績
高沢+117.0P 伊藤+114.3P 柴田+93.5P 前田+67.9P
高沢「決勝戦は守りすぎて、ギリギリまでポイントを詰められてしまいましたが、次回の特昇はもっと余裕をもって打ち、また優勝を狙いたいと思います。」
今回の高沢もそうだが、プロリーグをプラスで終えるという条件が達成できず、特別昇級を逃すというパターンが多い気がする。私もその1人だ(第14期準優勝)。悔しい。
己の実力不足なので致し方ないが、次にこの舞台に立つ時は最低でもプロリーグをプラスで終えて優勝できるように精進していきたいと改めて思った。
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