若獅子戦 レポート

第4期若獅子戦ベスト8B卓レポート

【若獅子戦ベスト8B、渡辺史哉と梅本翔が決勝進出】

11月17日に行われた若獅子戦ベスト8B卓は、既報の通り渡辺史哉と梅本翔が決勝に進出した。
その対局を振り返っていきたい。

渡辺史哉vs梅本翔vs新大地vs瀧澤光太郎

解説:三浦智博
実況:早川林香

まずは決勝進出を決めた梅本から。

 

梅本翔
35期生(4年目)、北陸支部所属

3回戦、彼の会心の一撃はこのアガリだろう。
二索でツモのみのアガリを宣言せず、フリテンリーチ。
インタビューで梅本は「他家からの押し返しがなければ、三索六索はツモ切るつもりでいた」と語る。
解説の三浦も同じようにしたいと解説していた。

 

 

瀧澤から追いかけリーチを受けて肝を冷やすも、嬉しい九索のツモアガリで4,000オール。
大きな加点だった。

 

 

南2局には、ホンイツ、七対子の8,000(+2,300)を瀧澤からアガリ、これで盤石。

一索 上向き一索 上向き二索 上向き二索 上向き九索 上向き九索 上向き東東西北北発発 ロン西 ドラ二筒 上向き

最終戦は、下家の渡辺に局回しを任せて、難なく逃げ切った。

僕は今年の2月に北陸プロリーグ決勝戦のレポートで、以下のように書いた。
(レポートのリンクはこちら)

 

 

繰り返すが、この決勝戦は今年の2月。
こんなに早く、しかも別の舞台の決勝戦に上ってくるのだから驚きだ。

梅本「トーナメントの練習は一番練習してきたと思います。」

これは終局後のインタビューでの一言。
この練習量が自信につながっているのだろう。
決勝戦も楽しみだ。

 

続いて、負けてしまった1人、瀧澤光太郎。

37期生(2年目)、東京本部所属
第1期の若獅子戦ベスト8

前述、梅本の4,000オールの局、瀧澤もしっかりと打点を作って追いかけた。

 

 

次の東4局1本場も、高目の出アガリかツモアガリで跳満のリーチ。

 

 

しかし、この局も先にテンパイを入れていた梅本のアガリ。(ピンフのみ)
これらが実っていれば、全然結果は違っただろう。

3回戦南4局、瀧澤はこの手をヤミテンに構え、渡辺から出た七筒を見逃した。

 

 

これをアガっても、最終戦、渡辺との差が45.1Pと厳しいこと。
イーペーコーをつけて満貫ツモにできると、この半荘の着順がアガリ、34.1P差まで詰められること。
そして何より、親の梅本が配牌からオリていて、悪い結果の1つの親の連荘がないこと。

こういう判断をこの場でできるのは、普段からしっかりと座学もしているのではないか思う。
中堅プロの判断かと思いきや、まだ21歳!?
僕の半分の年齢であることに絶句してしまった。
100人の予選から2回もベスト8に残るだけあって、実力がある。
またすぐにこの舞台で活躍すると思う。

 

もう1人の敗者、新大地

33期前期(6年目)、東京本部所属

この日、一番不遇だったのは新かもしれない。
しかし、非常に忍耐強い麻雀で、解説席を唸らせた。
2回戦南4局、渡辺のリーチを受けてこの手牌。

 

 

ひとアガリで浮きになるこの点数状況、とりあえず九万から押す人がほとんどだろう。
しかし新は、五万九万のドラまたぎの2筋は押せないと、一筒切りで辛抱する。
(実際に渡辺の待ちは六万九万

最終戦南1局、新の最後の親番だが、北家の瀧澤からリーチを受けている。

 

 

(新は三万 上向き三万 左向き一万 上向き二万 上向きでチーしている)
落とせない親番、ここで北を切っても何も問題ないだろう。
しかし新は北を打たず、残り3局での逆転に賭けた。
(なお、瀧澤のリーチは以下の通り、北単騎)

 

 

そして次局、高目3枚切れのフリテンリーチをツモる。
新のファンのボルテージが最高潮に達した瞬間である。
(残り2局の満貫ツモは達成できなかったが)

 

 

不遇な一例をあげておくと、7枚残りと1枚残りで九万を掴んで放銃になってしまうのだから、今日は厳しかった。

 

 

 

最後に決勝進出を決めた、現王位の渡辺史哉。

37期生(2年目)、静岡支部所属
現(第46期)王位

今日の渡辺はいい意味で脇役だった。
なんと最高打点は、リーチ、ツモ、タンヤオの2,000オール。
打点のあるアガリがこれ1つである。

 

 

こう書くと、渡辺の打点力がないと誤解されそうだが、そうではない。
高打点は実らなかったが、放銃側でも渡辺の名前が挙がることがなかった。
放銃は4回戦全45局中(12局、13局、11局、9局)で、なんと、たったの1回しかない。
確率にすると、2.2%だ。
誰が掴んでも放銃してしまうような牌を掴まなかったという幸運もあるが、中終盤の守備意識の高さがこの結果になったのだろう。
※なおアガリは10回

渡辺については、あまり取り上げる局がなくて申し訳ないが、それは決勝に取っておこう。
もう既に王位がフロックではないと思われつつあるが、2冠となれば周りの評価も変わってくる。
人生を大きく左右する一戦かもしれない。

これで決勝の4選手が出揃った。

 

 

笠原は、前期JPMLWRC決勝
岡崎は、最強戦2022FINAL(ベスト16)、第1期若獅子戦2位
渡辺は、現王位
梅本は、第3期と第4期の北陸プロリーグ決勝
と結果も、実力もある4選手が残った。

きっと内容の濃い、熱い試合が観られるはずである。
ぜひともご視聴いただきたい。

[決勝戦] 11/24(木)16時から
笠原拓樹vs岡崎涼太vs渡辺史哉vs梅本翔
解説:藤崎智・阿久津翔太
実況:早川林香

 

 

(文:福光聖雄)