インターネット麻雀日本選手権2014観戦記後半 山井弘
2014年08月27日
もう一度、ここまでの点数状況を振りかえってみよう。
ともたけ+57.5P
佐々木+27.5P
徳川さん▲38.8P
瀬戸熊▲46.2P
トップを走るともたけと、ラス目の瀬戸熊との点差は100Pを超えている。
順位点が15,000点、5,000点なので、トップ→ラスを残り2戦ともクリアしたとしても、瀬戸熊は73,700点の差をつけなければいけない。
徳川さんにしても、瀬戸熊と同じような状況に変わりない。
誰もが、ともたけVS佐々木の一騎打ちと思ったに違いない。
4回戦から解説に入った森山茂和会長も、瀬戸熊の今日の調子から「ほとんどダメでしょう」と言うくらい、絶望的な数字と言っても過言ではない。
しかし、麻雀は何点差だろうと、親番さえ残っていれば、逆転する可能性はゼロではない。
そんな奇跡を瀬戸熊は何度も起こしてきたが・・・
4回戦
起家から、瀬戸熊・佐々木・徳川さん・ともたけ
これまでの点差を挽回するため、ホンイツやチンイツのような高打点を目指したいところだが、今日の瀬戸熊は思い通りに手は進まない。それでも、ここは一通の変化を見ながらヤミテンが定石だろう。そんなことは百も承知。
しかし、瀬戸熊はここでリーチの決断をする。
ドラ
できが悪いからこそのリーチ。流れが悪いから。自分の思い通りにいくわけがない。
そうしなければ、このままともたけ、佐々木のどちらからに持っていかれる。
瀬戸熊はそう考えたに違いない。
あっさりとをツモり、裏が乗って3,900オール。
状態がよくないときは、ファーストテンパイがいいと聞いたことがあるが、今回は正にそのケースだ。
例えば、手替わりを待っている間にをツモってしまし、安手でアガるしかない場合。
または、切りでテンパイを外し、中々テンパイしないうちに相手に逆に攻め込まれてしまうなど、どちらもダメなパターンだ。
今日の瀬戸熊の状態を考えれば、どの選択がいいのか明らかではあるが、それを信じて迷わず実行できるところが、瀬戸熊の強さなのではないだろうか。
また、これまでの実績が、瀬戸熊の背中を強く押してくれたのかもしれない。
次の配牌は、
ドラ
ダブ東にドラがトイツ。一方、ともたけ、佐々木は戦える手になっていない。
それに、優勝争いをしている2人にしてみれば、調子が上がってきた瀬戸熊に放銃するほどバカらしいことはない。競っている相手が喜ぶだけだ。
そして、こちら徳川さんは、前に出て戦わざるを得ない状況。
ツモ
ギリギリまでを引っ張ったが、安全牌候補のを引きここでリリース。
瀬戸熊はこれを当然ポン。
ポン
ともたけ、佐々木はこの瞬間にオリ。瀬戸熊は、この後も鳴けてテンパイ。
そして、徳川さんにもテンパイが入る。アガリ牌であるは瀬戸熊の現物なので冷静にヤミテンにしたいところだが、ここで少しでも得点を稼ぎたい徳川さんはリーチと行く。
リーチ
徳川さんにとってはここが正念場。
だが終盤、残りツモあと2回のところでを掴み、瀬戸熊へ11,600の放銃となってしまった。
徳川さんは、ハンゲームから決勝まで勝ち上がってきた唯一のユーザー代表。
本戦では、猿川真寿プロ。ベスト16では、森山茂和プロ。
そしてベスト8では、荒正義プロ、前原雄大プロといった、いずれも名の知れたトッププロを破ってこの決勝まで勝ち上がってきた。
しかし、この決勝の舞台は、スタジオでの対戦、そしてニコニコ生放送という、大きなプレッシャーの中での戦い。それが、徳川さんに重くのしかかっていたのではないだろうか。
このあと徳川さんが復活することはなかったが、ネット麻雀日本一を決めるこの舞台まで進んできたことを誇りに思ってもらいたい。徳川さんの後ろには、多くの敗れたプロ達がいるのだから。
さあ、ついに”クマクマタイム”発動の時がきたのか?誰もがそう思ったに違いない。
この時点で、トータルトップのともたけとの差は、56.2P差。
しかし、ともたけにまだ焦りはない。
ツモ ドラ
ここからテンパイ取らずの打。チンイツに持って行く。実にともたけらしい。
瀬戸熊が親で爆発寸前、いや半分爆発しているようなもの。
それでもともたけはスタイルを曲げない。自分が描いた最終形を目指して進む。
もちろん、テンパイを取るのも普通だ。でも、ここでチンイツに向かってくれたら、見ている人たちはわくわくする。ともたけファンは、きっとペンのテンパイは取ってほしくないだろう。
結果、チンイツのテンパイまで行くことはなかったが、視聴者にともたけ流の麻雀を魅せることができたのではないだろうか。
リーチ一発ツモドラ裏
今局は、佐々木がこの2,000・3,900をアガリ、瀬戸熊の親は爆発寸前で止まった。
次局、アガリで親を迎えた佐々木。
ドラ
9巡目にこの1シャンテンになる。
しかし、後がない徳川さんからリーチが入る。
リーチ
1巡して佐々木が引いたのは無筋の。
佐々木は現在、トップ目のともたけと9.3Pの差。
「くだらない放銃が多いんですよ」
佐々木が十段戦で負けたときに、反省点として話してくれたことがあった。
ある日の勉強会のひとコマだが、例えば佐々木が親でこんな1シャンテンとしよう。
ツモドラ
相手は、
リーチ
この形でリーチとくる。勉強会は普段連盟Aルールが多いので一発と裏がない。
佐々木は、安全牌のがあることや一発があるない関わらず、何時もこのをツモ切る。
これには佐々木なりの考えがあって、どうせ勝負をする手なのだから、遅かれ早かれ切るが、二番手、三番手の攻めに間に合う前に切りたい。それから、リーチ者と一騎打ちに持ち込みたいということもある。これは佐々木の中の1つの戦法である。
しかし、このように放銃することももちろんあり、例えばこの時などは、もし佐々木がを切らなければ、リーチ者はですぐツモとなっていたので700・1,300のアガリ。佐々木はさえ切っていれば7.700の失点が1,300ですんでいたのだ。
このようなことが、佐々木の頭をよぎったかどうかは分からないが、
ここから打となった。
これが新しい佐々木の戦い方で、何度もこので痛い目にあってきた故に止まる。
この後、もう一度を引き、を切って迂回する。
これでもうが出ることはない。そしてようやくを引き込みリーチ。
とのシャンポンだが、での放銃は回避できた。
真っ直ぐ行っていたら、恐らく、の受けになるのでで徳川さんへ放銃となっていたに違いない。
しかしアガったのは瀬戸熊。
佐々木の前局のアガリを見て、すかさずを一鳴きして交わしに行った。
徳川さんからリーチが来るも、ここは真っ直ぐ打ち抜く。
ポン
一発で無筋の、、現物の、中筋の、そして佐々木が通した。
気が付いた方もいると思うが、もし佐々木がを真っ直ぐ切っていたら、瀬戸熊が生牌のを掴むことになり、恐らく瀬戸熊はこれを打ち抜き、それを佐々木がポンしてテンパイすれば、放銃を回避してテンパイすることができた。
しかもアガリまであった可能性もあるが、この場合は、佐々木に入るが徳川さんに流れるので、しっかりと攻め抜いた瀬戸熊の頭ハネとなり、どちらにしても瀬戸熊のアガリであった。
東4局、ともたけが親番を迎える。
ノーミスで七対子をテンパイする。
捨て牌は、
ドラ
確かに、捨て牌は多少派手にはなってしまった。
しかし、ここは親でもあり1枚切れのタンキでリーチに行けばよかった。
そう、強く思ったのはともたけ本人だろう。
ツモ
一発ツモだった。
その心の動きが、次局に影響しないはずがない。
リーチロンドラ裏
裏が乗ったのはその影響かどうか分からないが、ともたけは8,000点の痛い放銃となった。
南場に入り、再び瀬戸熊は親を迎えた。
流れがよくなったら、「自然に打つ」「自然な鳴き」この2つがテーマだろう。
ちなみに自然な鳴きとは、鳴くという行為自体、自然な行為ではないので、極力鳴かないように進めるが、2鳴きやどうしても鳴くほうが自然な場合のことをいう。
南1局
リーチツモドラ裏
この自然なアガリで連荘。そして次局は自然に6,000オール。
南1局2本場、この局の注目は第一打である。
ドラ
ここからではなくを切る。これはいわゆる、初心者の打ち方である。
断っておくが、瀬戸熊が初心者と言っているわけではない。
麻雀を覚えたてのころ、まずは字牌整理と言って、字牌をとにかく先に切って行き、本当の意味での手成りで手を進める初心者がいたと思う。その頃、みなさんも経験があると思うが、バカみたいにツイている仲間はいなかっただろうか。一度爆発すると誰にも止められない。そんな打ち方をする人が。
当然、初心者であるその人は、ついていなくても同じように打つので、その時は大敗するだろう。でも瀬戸熊は、それを分かって使い分けることができる。
1局、1局に繋がりはないと言うプロも大勢いるが、私はそうは思わない。
そうでないと、この瀬戸熊の第一打は説明のしようがない。
鳳凰位を連覇、十段位を三連覇している男が切る牌である。
そこに意味がない分けがないのである。瀬戸熊がいつも言う、
「いかに早く麻雀に入れるか、自分の時間帯を作れるか」
ついに瀬戸熊はその時間帯を捕まえた。
リーチツモ
普通にごく自然にツモアガる。
しかし次局、麻雀の神様は瀬戸熊に意地悪な選択を迫る。
この状態になればもう相手は関係ない。誰のリーチであろうと、自分の手を中心に攻める。
しかし、このドラのは鳴くほうが自然なのか、それとも鳴かないほうが自然なのか。
非常に難しい選択だ。
「ネットじゃなきゃポンしてましたね」
瀬戸熊は声が出なかった、いや、指が反応しなかったというほうが正しいだろう。
もしこれが実際の牌を使う麻雀だと、指を動かすのではなく、まずは声が出る、
「ポン」そうすれば、
ポンロン
このアガリがあったかもしれない。
結果は2人テンパイで流局。
次局、このアガリ逃しが分かっている瀬戸熊の気持ちと、先ほどタンキをリーチしておけばよかったと思ったに違いない、ともたけとの心境がシンクロしたかのように、
暗カンツモドラ
この跳満を佐々木がアガリ、瀬戸熊の”クマクマタイム”はここで終わった。
4回戦成績
瀬戸熊+73.2P 佐々木+9.0P ともたけ▲15.3P 徳川さん▲66.9P
4回戦終了時
ともたけ+42.2P 佐々木+36.5P 瀬戸熊+27.0P 徳川さん▲105.7P
最終戦を迎え、ともたけ、佐々木は、着順が上のほうが勝ち。
瀬戸熊はともたけと2着順つけるか、1つ上の着順で5,200点差をつければ勝ち。
なんとも、103.7Pあった差が、たった1回で普通の差になってしまった。
5回戦
起家から、瀬戸熊・佐々木・徳川さん・ともたけ
開局は瀬戸熊、3巡目に早くもテンパイするも、アガリ牌であるはすでに2枚打たれた後だ。
ツモ
ここは、引きからの789の三色やピンズのピンフ変化を見てヤミテン。
このあたり、先ほどまでと流れが変わってきているので、打ち方も普通に戻している感じがする。
しかし、ここからが瀬戸熊の正念場である。
1つの選択ミスが、すぐに敗北に繋がる。表情もこれまでと少し違ってきた。
手替わる間もなく、あっさりとをツモアガリ。
次局1本場、実に自然な手順である。
ドラ
リーチ
暗カンリーチリンシャンツモドラ裏
この4,000オールで、ついにトータルトップに踊り出た。
ともたけも負けてはいない。
リーチツモドラ裏
何とか瀬戸熊の親を落とす。
そして、次局も徳川さんの高め三色リーチを交わし、1,000・2,000をアガリ瀬戸熊を追う。
後がない徳川さんが親番を迎える。
最終戦の開始前に、「どう打てばいいのでしょうか」と私に問いかけてきた徳川さん。
私は、「親番がある限り、逆転の可能性はゼロではないので、最後の親が落ちるまでは普通に打ちます」と、そう答えた。
一般のユーザーの方が、普段、麻雀を娯楽として楽しんでいるだけの方が、自分の打った牌で勝者を決めていいのだろうか、そんなことを真剣に考えてくれたことが私には感激だった。
ドラ
配牌ドラ暗刻の手。しかし、他の牌が少々重い形ではある。
案の定、手は進まず、
渋々ここでをポンして形式テンパイの1シャンテン。
にくっついてくれれば、を切ってタンヤオに移行できるのだが。
この仕掛けを受けて瀬戸熊。
ツモ
この手牌で少考に入る。
普段あまり時間をかけて考えるタイプではない瀬戸熊が、時間を使っているので珍しいと思った。しかも、得点のほしい徳川さんの仕掛けが安いわけがないのに。
すると瀬戸熊は、まったく無筋であるをツモ切ってきたのである。
これには少し驚いた。いくら瀬戸熊といえども、ここで親に放銃してしまったら痛い。
ましてや、攻めるような手でもない。でも瀬戸熊の何かが、この手はいかなければ行けない、ベタオリしてはいけないと、本人にしか分からない何かがあるのかと思った。
がしかし、そうではなかった。
何と、ネットの回線の不具合で、は完全にコンピューターが勝手に切ったものだった。
ネットの対戦は、このようなことがたまに起こるので致し方ないのだが、この時はそれが致命傷になる一打にはならなかった。
このマシーントラブルを直すため、今回は1人持ち時間5分という設定にしてあったため、徳川さんの切り番で待ってもらう。それでも時間が足りず、ともたけの切り番まで行く。
瀬戸熊のマシーンも直り再開。
佐々木からリーチも入るが、徳川さんも何とかテンパイまで持ち込み連荘に成功。
しかし、このドラ暗刻の手は悔しいが成熟せず。
次局、徳川さんがダブをポンしてテンパイ。
ポンドラ
そこに佐々木がテンパイで追いつく。
ツモ
仕掛けがなければ、また、自身に得点が必要なければドラであろうとを切ったに違いない。
ここは切りでタンキリーチ。しかし、次巡のツモは。
だが、ちなみにここでを切ると、
瀬戸熊がここからポンテンになり、佐々木がツモるでツモアガリとなるのだ。
従って、佐々木のアガリはここでも無いのである。
今局はハイテイまでもつれ、佐々木のほしいはまだ山に1枚残っている。
しかし、ハイテイにいた牌は徳川さんの当たり牌であるだった。
ダブ、ホウテイの5,800の放銃で、佐々木は苦しい位置となってしまった。
このアガリで勢いがついてきた徳川さんが、またもリーチとくる。
リーチドラ
これに追いついた瀬戸熊は、ドラが暗刻で打点十分にもかかわらずリーチと行った。
現状、トータルトップ目、調子が上がってきた親に放銃となれば、喜ぶのはともたけや佐々木。だがしかし、瀬戸熊はここで勝負をかける。
まだともたけとの点差がそれほどないこと、そのともたけがオーラス最後の親を残していること。
これは、タイトル戦の決勝をいかに多く経験し、そして勝利してきた瀬戸熊だからこそできる押し引きではないだろうか。勝負勘とでも言えばいいのだろうか。
結果は流局だったが、この鬼気迫るリーチに、瀬戸熊のオーラが画面越しに伝わった。
それが次のアガリに繋がったかどうか立証することはできない。
がしかし、麻雀は4人の人間が打つもの。ネットであろうと、やはり人が打っている限り、そこに流れは存在する。森山会長も「ネットでも流れはある」「あるに決まっている」と断言していた。
ロンドラ
瀬戸熊があっさりとこのアガリを決める。
東4局、ともたけは、瀬戸熊にトータルを捲られて迎えた親番。
配牌
ドラ
これが伸びて、
ツモ
こうなるのだが、ここでともたけの選択は打。
普通の人が打てば、それほどおかしな打牌ではない。
まだ一通も残るし、ドラ絡みのイーペーコーなどもあるので、無理に染めに行く必要はない。
しかし、これを今打っているのは、ともたけ雅晴である。
ともたけは、これくらいの手であれば、思い切って真ん中の牌を切って行き、自分の描いた理想の手に向かって、手順は無視して行く打ち手である。
しかし、トータルで瀬戸熊に抜かれてしまった。ここで連荘して追いつきたい。
そう思ったのかもしれない。ともたけらしくない打。
麻雀を打っていると、その人なりの勝ちパターンがあるように思う。
普段から打っている勝ちパターンでないと、中々勝つのは難しいのではないだろうか。
ともたけはよく決勝まで進出する。しかし、決勝では中々結果が出ない。
それはやはり、決勝では自分のスタイルを貫き通せていないということではないだろうか。
4回戦で瀬戸熊が、東1局に連荘していてもまったく気にせず、ペンのテンパイ取らずで、マンズの1メンツを切って行けるともたけならば、
ツモ
この形でのアガリがあったのではないだろうか。
リーチをすかどうかは本人次第だが、ヤミテンでも6,000オールある。
リーチなら8,000オールだ。そうなると、今度は瀬戸熊が苦しくなる番であった。
リーチ
結局、この形で1人テンパイの流局。
捨て牌にはが2枚、が3枚寂しそうに並んでいた。
すると次局もやはり続かない。
南2局、佐々木の親は、瀬戸熊が自らピンフのみで流して残すは2局。
現状、瀬戸熊は50,300点で総合ポイントは+62.3P。
佐々木は、14,100点で+5.6P。残す2局で逆転するには、役満級のアガリが必要になる。
ともたけは、33,200点で50.4Pと、最後の親番が勝負か。
徳川さんはとにかく連荘しかない。
その徳川さんが連荘して迎えた南3局1本場。
瀬戸熊は2役トイツで、逃げるには絶好の手牌となった。
そう誰もが思っていたと思う。しかし、瀬戸熊本人はそうは思っていなかった。
ともたけとの差がまだそれほどでもないので、この手を決まり手にしよう。
そう考えていたと、対局終了後に話してくれた。
確かに、ともたけが2着の場合、現状11,900点の差しかないのである。
そう考えると、オーラスを迎え、最悪一度アガられても、捲り返せるくらいにしておかなくてはならない。
これも、決勝を何度も経験してきて初めて分かる押し引きかもしれない。
しかし、ここ最近は連盟チャンネルなどでタイトル戦の生放送が見られるようになった。
そのことで、これまで知ることができなかった情報が、こうして知ることができる。
決勝の経験がなくても、学ぶことができるようになったのだ。
決勝初体験でも、しっかりと勉強さえしておけば、大事な難しい局面で答えを導き出せるかもしれない。
ポンドラ
ここでを鳴いて行く。その後、手は進み、
ポン
こうなり、ここで上家のともたけからが出る。
私はこれをチーしてを切るものと思っていた。
しかし、瀬戸熊は先ほどから述べているように、ここでさらに点差をつけるため、ホンイツへ向かう。
すぐにも鳴けて、
最後は、全員がテンパイとなる、乾坤一擲の勝負を制して、見事、インターネット麻雀日本選手権の優勝を手繰り寄せた。
勝利した瞬間、瀬戸熊はいつものポーズをとる。
腰に手をあて、胸を張って大きく深呼吸する。
その仕草は、タイトル戦の決勝を勝利で終えた直後にする、瀬戸熊特有のポーズだ。
たしか16年前に優勝したやつも、同じポーズをとっていたような気がするのは気のせいだろうか。
最終戦成績
瀬戸熊+44.7P ともたけ+3.3P 徳川さん▲13.8P 佐々木▲34.2P
総合トータル
瀬戸熊+71.7P ともたけ+45.5P 佐々木+2.3P 徳川さん▲119.5P
瀬戸熊は”暴君”と呼ばれていた時代があった。しかし、今は誰もそう呼ばない。
瀬戸熊の今の麻雀を見ていれば分かると思うが、その打ち筋は正に王道。
絶対王者と呼ぶに相応しい打ち手となった。
もはや、連盟のエースではなく、麻雀界のエースと言っても過言ではない。
世界に広がるインターネット。まだまだ世界中に多くの打ち手がいる。
それはまだ未知数ではあるが、このインターネットを使えば、何年後かには、
インターネット”世界”選手権なるものが開催されているかもしれない。
今回はネットで”クマクマタイム”が証明された。
だがしかし、麻雀が世界中に広がればきっと、瀬戸熊をも越える、そんな打ち手がいるかもしれない。
今の麻雀界は、夢が広がるばかりだ。
カテゴリ:プロ雀士コラム