「~戴冠、新たなる目標へ~」 HIRO柴田
2023年12月25日
決着を前にして眠れない日々が続いた…正しくは寝ようとしても2時間おきに目が覚めてしまい、どうにも脳が落ち着かない感覚。
理由はもちろん、全4日間16半荘で行われる鳳凰位決定戦の3日目を終えて、2番手の佐々木と113.2ポイント引き離し、鳳凰位戴冠という人生におけるひとつの目標が現実的な数字となった自分に居ても立っても居られないことである。
最終日の戦い方のイメージはもちろん、その先の勝った時、負けた時、今までのプロ人生としての想いなどが何も考えなければ良いのに、じっとしていると無駄に頭の中に流れ込んで来る毎日であった。
最終日の作戦はもちろん「攻める」だ、リーグ戦ではなくここは決勝戦、他家のアガリは意味があることとなるので自ら切り開かねばいけない。
そして相手は追う側なので捨て牌も普段より早く、高く見えてしまうのでしっかり見極め、集中力を高め、挑もうと自分に言い聞かせて卓に着いた。
開局、起家ということと自身を奮い起こそうと役なしドラなし愚形だらけではあるが目いっぱいに手牌を広げてみる。
前巡にドラを重ねていた佐々木が、絶好のタイミングでこのを鳴けて1シャンテンとなる。
その後テンパイを入れるが、前田からもリーチが入っていることもあり、比較的通りそうなとして迂回を選択。
間もなく前田がをツモとし1,000・2,000のアガリとなる。
入りとしてなら良いかもしれないが、毎局このバランスで攻めると手詰まりが増えてしまうので、正直危ないなと自分に言い聞かせ、少しづつ手牌の良い時は今回のように目いっぱい、悪い時は少し控えめのバランス感をしっかり保てるようにと感じた不安な1局であった。
東3局に以下の手が入る。
オタ風のをポンしてどちらでも跳満という形になったところで、佐々木からのリーチ。
順位の並び的にもここでアガれればというところ、この日最初のめくりあい勝負に行く。
しかし、ここは佐々木の失点を取り返す見事な手順の跳満ツモで、一気にこちらが劣勢となってしまう。
こうなるともう佐々木の得意のペースとなってしまい、自身としては大きい放銃こそないものの、チャンスの時にひとつのアガリを取ることが出来ないまま失点が増え続け、110Pあった差がもう60Pとの差となって13回戦を終えることとなる。
14回戦
60.3Pこれは14回戦開始時の私と佐々木との差である。
残すところあと3半荘、ここで沈むようなら現実的に逆転の形が見えてくるところ。
そして勢いのままスタートダッシュを決めたのは起家の佐々木。
私もなりふり構わず佐々木の親を落としに行くも
南場では再び引き離されることとなる佐々木が、2,000・4,000をツモり私が親っかぶりで佐々木の連勝となった。
15回戦
25.2P幾度となく数字を目で追う。追われる側としてのチャンスは2回と考えた。この回で一度逆転を許しても16回戦の最終戦で勝つか、この15回戦で引き離せるか、強気なのか弱気なのかはわからないが、捲られてもいいから無茶と勝負所は間違えないようにと言い聞かせていた。
東場は慎重に進めるも、南場の親番で2回のテンパイ料と1,500点のアガリで1人り浮きのトップ目に立つことに成功する。
最後の選択が訪れた南の3局、親は佐々木。
佐々木とのポイント差は50P弱、そこへ私は6巡目にピンフドラ1のテンパイを入れる。
リーチ判断ミスにおける悪いケースは大きく2つ
〇ヤミテンでアガって次局オーラスで佐々木に浮きに回られるケース
〇リーチをすることによって粘られて佐々木の連荘
前者の方が優秀だとは思うが、私の選択は後者とした、リーチをすることによって連荘を生んでしまうかもしれないが、この手をツモアガることができれば、佐々木の浮き条件は多少厳しくなるここは勝負だと。
ノータイムで佐々木がをツモ切り勝負ありとなった。
人生を懸けて目指していた1つの夢が叶った。
これだけを目標に、ひたすら麻雀と向き合ってきたのは間違いなく、負けては自分を疑うの繰り返し、それでも自分の麻雀で勝ちたいという希望を持って日々研鑽してきたのだ。
これで少しは自分の麻雀を誇ってあげられる、自分に自信が持てない私ではあるが、これからは過信はせずに自分を信じて、胸を張って麻雀人生をこれからも歩んで行きたいと思う。
第39期鳳凰位
HIRO柴田
全5回に渡る鳳凰の部屋にお付き合いいただきありがとうございました。
嬉しいことに鳳凰位、グランプリMAXと続けてG1を獲得し、いよいよ第40期の鳳凰位決定戦も始まります。
麻雀は勝ち続けることが難しいですが、勝ち負けを超えた麻雀の魅力、それを作り上げるプレイヤーの魅力を沢山の方々に伝えられるよう、これからも努力していきますので応援していただけると嬉しいです。
目指すは連覇!頑張ります!
カテゴリ:鳳凰の部屋