「~夢の舞台への扉~」 吉田 直
2019年06月26日
昨年のリーグ戦の中でもかなり印象に残っている第3節。何故ならまさかの4連勝で+124.5Pという自信初の100P超えを記録し、初のA1リーグで首位に躍り出たからだ!
対局後に我に返った時は、嬉しいを通り越して目を疑い放心状態だった。本当に一日中ついていたなぁと思ったが、自分の中で満足できる1局があった。
南3局 東家
西家 伊藤
ポン ドラ
ツモ
切りリーチ
西家の伊藤がマンズの一色手をテンパイしている中、残り1巡しかない所で思い切ってリーチをした。
昔は残り1巡だし、待ちも悪いしリーチ棒がもったいないと思い、とてもリーチに踏み込む事は出来なかった。
しかし、何年か前の勉強会で、親で残り1巡のところでピンフドラ1をテンパイしてヤミテンを選び1,300オールをツモった事があった。
そのとき森山会長が、すかさず残り1巡だろうがリーチに行った方がいいよと言った。
当時はあまりピンっと来なかったのだが、何回も実践で試している内に色々と見えてくるものがあり、なるほどなっと思えた。
何十年も麻雀をして培ってきた経験を、惜しまず我々に教えてくれる会長をはじめ、レジェンドの先輩方には大変感謝している。
何しろ、今では自分の頭の中の抽斗には数多くのお宝が眠っていて、最近は間違わずにそれを開ける事が出来るようになってきたからだ。
今後は自分も連盟の後輩達に、しっかりと伝えらるようにならなければなと思う。
さて話を戻すが、その残り1巡でのリーチに踏み込んだおかげで、ドラを持って来てしまった伊藤が回ってくれて親が連荘出来た。
リーチをしていなかったら、おそらく伊藤はドラを切ってくると思うので、次巡ので1,300・2,600の親っかぶりをしていた。
この1つのリーチ判断を見てもわかるように、この日は非常に冷静でしっかりと自分らしい麻雀が打てていた。
そして、勢いそのままに7節まで首位をキープしていたのだが、決定戦のゴールが見えて来るにつれ、知らぬ間にプレッシャーが重くのしかかって来ていた。
もちろんA1はみんな強く、自分はおそらく実力以上のものを出し切ってここまで大崩れがなかったのだが、8、9、10節と連続でマイナスした。
打っている最中は平常心のつもりが、後で見直すとそのぐらい押せよとか、行き過ぎだよというシーンがいくつもあった。完全にバランスが崩れていたのがわかる。
それだけ鳳凰位決定戦というものが、もの凄く重いタイトル戦で、一度はその頂まで登り詰めたいと思うからなのだろう。
そしてリーグ戦も佳境を迎え、11節A卓終了時点でHIRO柴田が+251.4Pで1人抜け出す。
A1は全12節を戦い上位3名が鳳凰位決定戦に進むのだが、最後の12節目は成績順に上位卓(1位〜4位)、中位卓(5位〜8位)、下位卓(9位〜12位)に分けられて下位卓、中位卓、上位卓の順番で最終節が行われる。
当然上位4名の直接対決まで行けば、かなり決定戦に近づくので是が非でもそこで戦いたい。
そして11節B卓開始前のポイントがこちら。
吉田+126.3P
勝又+112.8P
沢崎+111.2P
紺野▲106.7P
C卓
古川+35.2P
伊藤▲25.0P
藤崎▲117.1P
近藤▲158.4P
HIRO柴田が11節終えているので上位卓に入る為には残り3枠。
直接対決なので最終節を考えると、ポイントを出来るだけ伸ばしたい。しかしあまり無理をして大きくマイナスすると沢崎、勝又にポイントを離されるだけではなくC卓の古川、伊藤に抜かれて中位卓になる可能性もある。
逆にポイントをあまり減らさなければ、たとえ古川か伊藤に抜かれ中位卓になったとしても決定戦に行ける可能性は残るし、本当の勝負所は最終節だと思い今日は守備的に進めて行こうと試合に臨んだ。
ただ、慣れない事はするものではなかった。その気持ちが弱気な打牌を生み、アガリを逃し最悪な結果を導く。
東2局1本場 親紺野
南家の勝又が、とをポンしていてのターツを外してきたところ。
ドラ2もマンズのホンイツもありそうな捨て牌になっているが、テンパイかどうかはわからない。そして自分は以下の手で1シャンテンになる。
ツモ ドラ
三色が崩れターツ選択だが、ピンズの下が良さそうなのでマンズかドラターツを捨てたい。しかし勝又にもも切りづらいと思い雀頭のを切り一度迂回する。
この時の勝又の手は以下の1シャンテン。
ポン ポン
その後すぐ、と連続で持って来てアガリを逃す。
ツモ
ここでを切り単騎に受ける。もう何をしているかわからない。先程まで勝又に対してを切りづらいと思っていたのに自分がテンパイしたからといって、まだテンパイしていないかもとを切り出した。それならさっきのターツを選ばなきゃいけない。またもも切る気がないなら、ピンズの下がいいとはいえ、のターツ外しもあるだろう。そしてアガリ逃しをしているにも関わらずを持って来て場況がいいからとリーチに行く。
リーチ
しかし、その前にテンパイをしていた沢崎がツモ切りでリーチをしてきた。当然この瞬間やられたなと感じる。
沢崎
タンヤオドラ1なので打点的には先制リーチしていてもおかしくないが、勝又の仕掛けや親の紺野が押していることなどから、冷静にヤミテンを選択していたのだろう。しかし自分がリーチをしたので、ここが勝負所と思い追いかけリーチを敢行したと思う。当然のように、すぐに2,000・3,900をツモアガリここから一気に主導権を握られる。
そのあとは後悔してももう遅くオーラス親で24,900点持ち。
ドラ
完全1シャンテンで2フーロの勝又(24,700点)と戦う気満々。勝又はマンズの一色手模様でが余っている。
チー ポン
そして自分がをツモ切り8,000放銃で1人沈みのラスを引く。
続く2回戦は勝又の独壇場で、痛恨の2ラスを引き勝又、沢崎に大きく離されトータルポイントも100Pを切り最終卓に残るのも危うくなってきた。
本当に正念場だと思ってどちらに転ぶかわからないが、じっとしていてもやられるだけだと思い、何かを変えたく普段はあまりしない仕掛けを多用した。
それが上手くはまって、どうにかトップを取り最終戦に望みをつなぐ。
最終戦を迎え以下のポイント
勝又 +149.9P
沢崎 +112.7P
吉田 +108.2P
紺野 ▲127.2P
浮けば最終卓に残るかもしれないが(C卓の古川、伊藤のポイント次第)沢崎を捲れば、確実に最終卓で戦えるので沢崎との着順勝負。
22,500点持ちと苦しい中で東4局の親番を迎えた。
そして8巡目に以下の形でテンパイ。
ドラ
アガれば浮くので何処からでも嬉しかったが、目標にしていた沢崎からが打たれ一番嬉しい12,000の直撃。
この後、オーラスの親でも加点に成功して、40,000点越えの1人浮きトップを取り、どうにかトータル3位で最終節を迎えることになった。
しかし、こんなに苦しい11節目の後の最終節にもまだまだ試練はあった。
カテゴリ:鳳凰の部屋