鳳凰の部屋

「折り返し」 前田 直哉

2日目も前半が終わり、今日も残り2戦である。
ここまで来ると緊張は全く無いし、あと少しで張り詰めた気持ちを一旦緩めることが出来ると思うと少しホッと出来た。
ここまでは勢いもあって展開も申し分ない。気を抜かずにいこう!

6回戦終了時
前田直哉+71.9P 藤崎智+7.0P 勝又健志▲15.4P 瀬戸熊直樹▲68.1P

7回戦(起家から瀬戸熊、勝又、前田、藤崎)
東3局に瀬戸熊プロが5,200をアガリ頭1つ抜け出す。そして東4局1本場で親の藤崎プロが4,800は5,100をアガリ、持ち点を4万点に乗せる。
私にとってはトータルで2着目の藤崎プロなだけにこれ以上の連荘はさせたくないと感じるが、無理に仕掛けてアガリに行く局面でもまだ無いし、親の上家なので出来る限り仕掛けは控えたいところである。
なんとか次局は瀬戸熊プロがあっさりとアガリを決めた。

それにしてもここまでの瀬戸熊プロは調子が悪そうであった。対局している私が感じるくらいだから、きっと本人はもっとそう感じているに違いない!
だが、この人にはもうほとんどの人が知っているクマクマタイムという爆発力がある。幸運にもここまではそれを見ずに済んでいるが、いつかその時が来た時の為にもポイントは離しておきたいところだ。
こういう所が「ちっちゃい」と言われる所以だろうか?(笑)

そして迎えた南1局瀬戸熊プロの親番、第一打からいつもと打牌音が違う。なんと説明すればいいだろうか…切る時の音がワントーン高い感じとでも言えば伝わるだろうか?
親番だけに打点こそ不明だがかなり手はまとまっていそうだ。と、思っていた矢先の4巡目にリーチが入った。そして4巡後には6,000オールのツモ!

一万二万三万二索三索四索五索六索一筒二筒三筒西西  リーチ  ツモ一索  ドラ四索

ついに来たか…そう思った。いつもならここから畳み掛けるところなのだろうが、この後の1本場は勝又プロが藤崎プロから8,000は8,300をアガる。
そして南2局我慢していた私にもやっと勝負手が入る。テンパイしたのは13巡目とかなり遅かったが、持ち点も削られていただけにリーチを選択した。
瀬戸熊プロもドラドラの手で更なる加点を狙うが真っ直ぐに行った六筒で私のアガリとなった。

四万五万六万八万八万二索三索四索一筒二筒三筒七筒八筒  リーチ  ロン六筒  ドラ八万

これで持ち点も30,100となんとか原点には乗せることが出来た。よし次は親番!しかも配牌ドラドラ!とテンション上がってきたら、瀬戸熊プロのアガリではい終了!(笑)
まあそうは簡単にいかないですよね。しかし次はオーラスだからなんとか浮きをキープ出来ればいいな♪と思っていた。
もう1度言おう…浮きをキープ出来ればいいな♪そう思っていたはずなのです!しかしそうは上手くいかないのが麻雀であり、そうはさせてくれないのが決定戦なのだろう。

オーラス親の藤崎プロから6巡目にリーチが入り、私の手牌はタンヤオと役牌の両天秤、中があるのでオリるには困らないであろうと…だが思惑通りにはいかず、2巡後安全牌が無くなる。
手牌は以下の通り

三万三万五万五万六万六索六索七索八索三筒三筒五筒六筒  ドラ五索

ソーズには手を掛けられないのでどうせ情報が無いのなら真っ直ぐ行こうと思い三筒切りを選択。
その三筒が通らないどころかドラ暗刻の12,000!藤崎プロファンの歓喜の叫びが聞こえたような気がした。
顔は平静を装ったが、内心はさすがにガックリであった。なんとか3着では済んだがあまりにも痛い放銃であった。

7回戦成績
瀬戸熊直樹+31.9P 藤崎智+9.0P 前田直哉▲17.3P 勝又健志▲23.6P

7回戦終了時
前田直哉+54.6P 藤崎智+20.6P 瀬戸熊直樹▲36.2P 勝又健志▲39.0P

まあ終わったことは悔やんでも仕方ないのでそこは既に開き直っていた。
まだポイントもプラスだし、とりあえず最終日まで優勝争い出来る位置にいれば良いと。
しかしこのままズルズルと行くことだけは気をつけようと強く思い、この日最後の対局へと気持ちを向けた。

8回戦(起家から勝又、前田、瀬戸熊、藤崎)
東1局、藤崎プロの仕掛けに対して受け気味に手牌を進め17巡目にテンパイを入れ、よしよし!と思っていると次巡に予想外のツモ。いきなり2,000.4,000の好スタートを切ることが出来た。

五万五万六万六万七万七万六索六索七索七索八筒八筒北  ツモ北  ドラ北

7回戦の痛恨の放銃からすぐのアガリであった為かなり救われた気がした。
東場は静かに進み南1局の親番を迎えた。下家の瀬戸熊プロがダブ南を鳴きソーズのホンイツ模様。テンパイか1シャンテンであろう。
私もなんとか11巡目に五索をチーしてテンパイ。待ちは二索五索で瀬戸熊プロと同じ色…感触は良くは無いがなんとかこの親番でアガリをものにしたい。

そんなところに四索を持ってくる…自分で四索七索は4枚使っていてかなり危険に感じたが迷わずツモ切った。
同巡、勝又プロからもリーチが入るがここはなんとか私が五索をツモり、1,000オールと点数こそ安いが点数以上の価値あるアガリだと感じることが出来た。

五万六万七万三索四索七索七索四筒五筒六筒  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き  ツモ五索  ドラ五万

麻雀とは本当に不思議なものである。良いアガリ、良いプレーには必ず良い流れが来るものである。
次局は手なりに任せるだけで2,000は2,100オールをアガリ、その後はアガリにこそ結びつかなかったがなんとか連荘に成功し持ち点を48,300まで伸ばすことができた。
オーラスも安目ながらもきっちりとヤミテンで3,900をアガッて2日目は幕を閉じた。

8回戦成績
前田直哉+25.9P 藤崎智+4.5P 勝又健志▲10.9P 瀬戸熊直樹▲19.5P

8回戦終了時
前田直哉+80.5P 藤崎智+25.1P 勝又健志▲49.9P 瀬戸熊直樹▲55.7P

初めての決定戦その初戦となる2日間が終わった。ポイントを持てたことはもちろん嬉しかったが、なによりこれで少し休めることがまず嬉しかった。
しかしポイントを持ったが故に今度は自分が標的になるであろう。130ポイントの差と言っても半分が終わったってことはもう半分で全く逆の展開になる可能性だって十分考えられるし、このまま黙っている3人では無いということは自分が1番知っている。

次の3日目までの1週間をどう過ごすか…ただそれだけを考えていた。
あくまでも自分は挑戦者だ!その気持ちがあるからプレッシャーというものは正直感じなくて済んだのかもしれない。
もしくは、性格がただノー天気なだけか(笑)どちらかと言うと後者だろう。

さあ!明日からまた仕事だ!何も考えずに仕事に打ち込もう!

次回予告
「大事件勃発!!」

追伸
前回仕事の休みが取れないと書いたら、心優しい運営の方達が解説も立会人も無理に引き受けなくてもいいですよ!そう言ってくれた。
正直有難かった。でも…解説が何もないと思うと正直ちょっと寂しいな…
そう!欲張りなんです(笑)