プロ雀士インタビュー

プロ雀士インタビュー/第114回:女流モンド杯優勝特別インタビュー 魚谷侑未 インタビュアー:菅原千瑛

”魚谷侑未”
麻雀界において、もはやその名を知らない人間はいないのではないだろうか。
彼女の獲得タイトルは、第6期7期女流桜花、第10回女流モンド杯、第9回MONDO王座決定戦、麻雀最強戦2013女流プロ代表決定戦、天空麻雀12女性大会、第1回リーチ麻雀世界選手権女性チャンピオン……そして今回、またひとつ。
第12回女流モンド杯、優勝。
そんな魚谷侑未プロのインタビュー、連盟や職場でも後輩にあたる、菅原千瑛が務めさせていただきます。
菅原「おはようございます!今日はよろしくお願いします!!」
魚谷「あっおはよ~よろしくお願いします」
と、いうことで魚谷プロと集合したのは連盟の事務局。9月某日のことだ。
女流モンド杯の準決勝や決勝はテレビで放送される前ということで、事務局にある映像を観ながらお話を伺うことになったのである。
魚谷「お腹空いちゃったから買ってきちゃった。ちょっと食べない?」
そういってカットパイナップルを差し出してくれる魚谷プロ。
菅原「ありがとうございます!いただきます!」
魚谷「メモとかするよね?確かボイスレコーダーとか事務局で借りれたと思うけど」
菅原「はっ!!ペンはあるけどメモ用紙とか忘れちゃいました!えっ、ていうかボイスレコーダーって借りれるんですか!?(ダンプさん、)貸してください!!」
と、こんな調子で、初めてのインタビューでそわそわ、ばたばたの私と対照的に、慣れた様子の魚谷プロ。
それもその筈。インタビューされることなんと6回目!(2014年9月現在)
それに加えて、最近ではご自身も高宮まりプロのインタビューを担当されている。
結局、用紙はコピー機から拝借、ボイスレコーダーは携帯でアプリをダウンロードすることにして再開。
菅原「魚谷さんが印象に強く残っている局やこれは観てほしい!というお気に入りの局などあればその局をピックアップしたいなと思うのですが…」
魚谷「うーん…私がお気に入りなのっていつも割と地味なやつだからなー(笑)」
菅原「意外!そうなんですね!」
魚谷「うん(笑)じゃあ観るのは決勝からにしよっか」
菅原「了解です!そういえば、まず初めに女流モンド杯の基本的なことから教えてほしいのですが…」
こうして女流モンド杯のシステムが、予選は12人からで1人4半荘打ち、下位4名が敗退。
準決勝は8名によるポイント持ち越しの1半荘勝負で各卓2名ずつ決勝に進出。決勝は2半荘。
順位点10,000・20,000の25,000点持ち30,000点返し。ということを教えてもらう。ふむふむ。メモメモ。
パソコンに2人で向かい、マウスを魚谷プロに預け、決勝の1半荘目から観始めることに。
菅原「決勝戦、この時どんな心境だったんですか?」
魚谷「決勝はみんな優勝しか目指していないから、トップをとるのも勿論のことだけど、点数がいくらあっても困らないというか足りないというか。点数をいくらでも稼げる限り稼ぎにいこうと思ってた」
言葉の通り、オーラス親番で40,900点持ちのトップ目のところから
三万四万五万八万八万三索四索五索一筒一筒一筒四筒五筒  ドラ八万
この形でリーチを打っている。強気のリーチである。
そんな魚谷プロのお気に入りの局はオーラス、役なしテンパイするがリーチを打たずにホンイツのあたり牌を止めた局だという。
高宮まりプロの
一筒一筒二筒二筒三筒三筒六筒七筒八筒九筒九筒発発  ドラ北
このテンパイに対し、
四万五万二索二索五索五索五索七索八索九索四筒五筒六筒
これをヤミテンに構え、あたり牌を見事に止める魚谷プロ。
魚谷「普通だったらこの形でリーチを打っているんだけど、この局面は目に見えて高い手には放銃しない構えでいこうと思ったんだよね。なかなかお気に入りです」
そして2半荘目の南3局。1半荘目ラスだったものの、猛追で2半荘目トップ目の高宮プロの最後の親番。
魚谷「ここが一番の勝負局。他の2人は条件的に厳しいからアガリにこない。だからまりの親落としだけを考えてたし、私が絶対この親番は流そう、打ったら打ってからオーラス勝負にかけよう、そう思ってた」
そしてこれをきっちりとアガリきり、魚谷プロはまたしてもタイトルを掴み取る。
映像を観終わり、場所を移動して再びインタビューを再開。
100
移動した先のカフェにて。
菅原「最近はまっているものとかありますか?」
魚谷「ある!最近一番楽しいのは人狼!麻雀以外のものでこんなにはまっているものは初めてかもしれない。だから、はまりすぎないように制御してます(笑)」
菅原「人狼面白いですよね~!最近は色々なやり方ありますもんね。あ、そういえば…」
と、ここから話があらぬ方向にどんどんずれていく。
つかの間、インタビューであることを忘れてしまいそうになるくらい、魚谷さんと話すのは楽しい。
魚谷さんは話していて好感の持てる女性らしさを持ち合わせているだけではなく、頭の回転が早いからか話題を拾ったり広げることがとても上手なのである。
その後どんどんインタビューと関係ない雑談に花が咲いてしまい、その間は楽しかったという感想だけが残り、メモ用紙は半分白いまま、これだけは訊いておきたかったという質問を投げかける。
菅原「魚谷さんの今後の目標を聞かせてください!」
魚谷「うーん、大きな目標は鳳凰位!って言いたいけどまだ先の先だし(魚谷プロは現在C1リーグ所属)…菅原さんは?」
菅原「私ですか!?うーーーん…………近いところだと女流桜花(菅原は現在Cリーグ)が昇級のみえる位置なので、まずはBリーグに昇級すること、ですかね」
魚谷「あれは?最強戦の今年の最強戦ガールの東西バトルってどうなったの?」
菅原「大久保さん(麻雀最強戦2014最強戦ガール西日本代表の大久保朋美プロ)とシード権をかけてのバトル、私はまだ参加店舗が残っているので奮闘中です!」
魚谷「折角のチャンスだし頑張ってね。チャンスはどこかで1つ掴まないと次に繋がらないとと思う。上にいく人はそのチャンスをものにしている人だと思うし。最強戦、私も頑張ります。お互い頑張ろう!」
菅原「はい!!頑張ります!…ということは、最強戦の全日本プロ代表決定戦、魚谷さんも出られるんですか?」
魚谷「うん、私も予選から出ます!最強位も獲りたいタイトルのひとつだから目標のひとつかな。女流プロのくくりではなく男女混合のタイトル戦で結果を残したい。勿論結果も大切だけど、結果だけでなく良い麻雀で勝ちたいし。麻雀プロって、タイトルを獲得してもそこからが始まりだと思うし、そこからが大切だって頭で分かっていても、私自身タイトルを獲ってから、一時期は目標がない時もあったんだよね。そんなの、さらに結果を重ねていくしかないのにね。あとは、そうだなぁ、良い人間になりたいな。自分がまだ出来ることがあるはずだから、麻雀プロとしてもそうだし、人間的にも、もっと成長したいし、立派だなって思ってもらえるような人間になれたらなと思ってます」
魚谷プロの、麻雀に対し真摯でひたむきな姿勢。
勝ちにこだわる気持ち。
トッププロとして、遺憾無く実力を発揮する精神力。
これら全てを持ち合わせた”魚谷侑未”をいつか超えたい。それが今回出来た私の新たな目標である。