プロ雀士インタビュー

第195回:第9期グランプリMAX優勝特別インタビュー ダンプ大橋  インタビュアー:櫻井 秀樹

第9期グランプリMAX優勝 ダンプ大橋
ダンプと私はプロ連盟18期生の同期だ。
1期上は「花の・・・」とよく言われ、有名選手も多いのだが、18期は・・・

今回の決勝も17期が2人(ヒロ&HIRO)残っており、「そろそろどちらかが!」の予想は多かったと思う。
私もその予想をした1人だが、その反面「いや、ダンプにもそろそろ一発かましてほしいな!」と密かに応援していた(嘘)

今回は同期ということもあり、私にインタビュー記事の依頼がやってきた。
拙い文章ではあるが、最後までお付き合い頂ければ幸いである。

【グランプリ優勝】
さて久々の戴冠となったダンプだが、いかんせんプロ歴の割にはインタビューをするほど親しい人間がいなかったらしく、私に白羽の矢が立つ(笑)。
「ダンプか・・・あんまり面白い事書けなそうだな」と不安を感じながらも、待ち合わせ場所へ向かった。

櫻井 「お疲れ様」

ダンプ「お疲れっす」

櫻井 「今日は?仕事?」

ダンプ「フォーカスMに行ってきました」

櫻井 「これからさらにいろいろ出番きそうだね」

ダンプ「だといいんだけど・・僕地味だからなー(笑)」

ダンプと2人で会うのは何年振りだっけな? 過去1回しか記憶にないけど、もう10年は前だよなー。
しかしその割にはあまり会話も出てこないな(笑)
まあいいや、とりあえずはグランプリの話聞くか。

櫻井 「じゃあ、まずグランプリを振り返ってくれない?」

ダンプ「そうねえ、僕は1次トーナメントから出たんだけど、すべて接戦で勝てたって感じだったんで、ほんとツイてたな、と」

櫻井 「ダンプはトーナメント強いイメージだよね?」

ダンプ「うん、その辺は得意な自覚もあるんだけど。そうはいっても麻雀なんで。最後のめくり合いなんかは運だから。もちろんそこまで競っていられるように打つのが技術なんだけど。なので、決勝は気楽に挑みましたよ。負けてもともと、的な。もちろん相手もめちゃくちゃ強いしね!」

櫻井 「では、決勝の内容についてだけど」

ダンプ「スタートが相変わらず悪くて・・・あーあ、って感じだったね(笑)」

櫻井 「ここ数年のダンプといえば,十段戦の・・・」

ダンプ「・・・ グランプリは途中敗退ないので、まずは優勝するために残りの回数をどう闘うか?やってる時はそれしか考えてなかったね。ただ、やってる最中はその1局1局に集中できてた。」

櫻井 「印象に残ってる局・半荘はある?」

ダンプ「うーん。6回戦の東1.2かな」

櫻井 「5回戦の大トップではなくて?」

グランプリMAX決勝2日目、ダンプは5回戦東場の親番で9本場を積み、一時は持ち点を8万点にまで伸ばす。
最終62,200点のトップで終え、迎えた6回戦。
東1局、2局ともに親のテンパイをかいくぐる会心のアガリ

 

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櫻井 「確かに、親のチャンスをつぶし、かつそれなりの加点のある大きいアガリだね」

ダンプ「親の高そうなテンパイだからね。飛び込めばさっきの大きなトップが台無しになりかねない。特に東1局は押せばアガれるという手牌でもないので・・・でも決勝だから押す。早くにツモアガリできたのはホントにラッキーだね。でもタイトル取るときってやっぱこういうめくりあいに勝てる日だよね。」

櫻井 「最終戦、かなり有利な状況でむかえたわけだけど。優勝は意識してた?」

ダンプ「いやまったく(笑)間違いなく誰か1人は追いついて来る展開になるのは予想してたよ」

櫻井 「実際、山田プロにまくられてしまうんだねー?」

ダンプ「うん。でも想定してたからあせりはなかったよ。オーラスの親番が勝負どころと捉えて。」

櫻井 「でオーラス目論見どおり手が入る、カン五索の3,900オールが決まり手かな」

ダンプ「あれがあっさりツモれるんだからやっぱりツイてたんだね!」

 

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櫻井 「今回の決勝はかなり攻めていたようだけど?」

ダンプ「うん。まあ自分なりに予選やリーグ戦と決勝とでは若干変化を加えて。かなり攻めの意識を強めたつもり。連続で決勝負けてるし、今回は勝ちたかったしね!」

櫻井 「お見事でした。」

【普段のダンプ大橋(35)】

櫻井 「じゃあ、一応プライベート的な話も聞いておくよ」

ダンプ「興味ないでしょ?(笑)」

櫻井 「無いけど、記事の構成的にね」

ダンプ「なんもしてない・・・」

櫻井 「仕事休みの日は?」

ダンプ「ロン2か麻雀格闘倶楽部か」

櫻井 「仕事やん(笑) なんかないの?趣味! ラーメン食べ歩きとか、カレー早食いとか!」 「萌え系アニメとか、アイドル追っかけとか!!」

ダンプ「やめて(笑) 強いていうなら・・・映画鑑賞かな。」

櫻井 「・・・へー、何の映画? 映画館見に行くの?レンタル?」

ダンプ「マンガ喫茶で、〇〇映画を・・・」

櫻井 「もういいや、次行きまーす」

やっぱり書く事がない(泣)

【今後の目標・将来について】

櫻井 「月並みな質問ですが、今後の目標を教えてください。やっぱ鳳凰位?」

ダンプ「まあ最終的にはそうだけど、まずはA1復帰かな。ほんとに戻りたい」

櫻井 「前期はいいところいたよね?」

ダンプ「そう、だから今期は不安。 ほら、よく言われるじゃん!昇級争い敗れた翌年は苦戦するって。」

櫻井 「そんなの気にするんだ?(笑)」

ダンプ「基本ネガティブなんで」

櫻井 「昇級を競うにあたってマークする相手とかは?」

ダンプ「いや、相手は関係ないといつも言い聞かせてますよ。だいたいA2リーグのメンツ見ると、全員実力者で・・・誰が昇級してもおかしくないので、ね。自分なりに1節1節しっかり打つ。当たり前の答えで面白くないけど、最終節に昇給狙える位置に付けれるように調整したいですね」

櫻井 「Mリーグは見てますか?」

ダンプ「見てる、かな。仕事している時間もあるので、全部ではないけど」

櫻井 「何か思うところはある?」

ダンプ「うん。もちろんチャンスがあれば参加したいよね。プロならみんなそうだと思うけど。 でも、今の自分の知名度では可能性はないんでね。自分に足りないものはわかっているので、今後しっかりやっていって、チャンスがあればチャレンジしたいですね。」

櫻井 「なるほど。」

ダンプ「まずは、今期のマスターズ、十段戦あたりでなんとか・・・」

【プロ連盟18期】

櫻井 「最後に、同期についてだけど。頑張っている同期に18期のエースとして一言(笑)」

ダンプ「はい。もう17年ですかね?18期は人数多くて、入った当時はかなり周りを意識してる部分もあったんですが。」

櫻井 「同期とか、あまり仲良しではなかったしね(笑)」

ダンプ「うん。リーグ戦なんかの対局終わってご飯、とかまず行ったことないよね。」

ダンプ「僕は特にCリーグが長くて、周りが上がっていくのを悔しい思いもして見てたよ。でも今はそういうのはなくて。皆が活躍すると嬉しいよ。櫻井さんの十段とか、宮内さんの2冠とか、最近だと西川さんのA1とかね。もちろん刺激にはなるけど。」

櫻井 「王位とって最初にA1あがったからでしょ?上から目線で。」

ダンプ「いや、そうじゃなくて(笑)。これだけ長く同じことをやってきているのだから、もうライバルとか通り越して【戦友】だよね。どんどん人数も減っていっているけど、残っている皆で連盟を盛り上げていきたいよね。」

櫻井 「なるほど。同感です。」

櫻井 「今日はありがとうございました。お疲れ様でした。」

ダンプ「お疲れ様です。」

店を出て、駅前でダンプと別れた。

ダンプとはもう17年か・・・
帰りながら十数年前を思い返していた。
ダンプは今でこそメンタル強者、試合巧者のイメージがあるが、昔は逆でしょっちゅう麻雀や対戦相手に心折られていた印象だ。
本人曰く、「今もそうだよ」、との事だが、最近の対局ではプロ競技者として、真の粘り強さを見せてくれている。
解説者の評価も高い。
グランプリMAX最終戦、山田にまくられた瞬間、以前のダンプなら心折れて集中を切らしていたかもしれない。
しかし一切あきらめることなく最後まで冷静に見えた。
強かった。

文中にもあったが、同期に限らず共に競い合った仲間がどんどん減っていく。
残っても、結果を出せずただただしがみついている者が大多数だ。

「G1タイトル2つ以上、かつA1の経験が一流プロの最低条件」と、ある先輩プロが言っていたが、ついにダンプはその資格を手にしたことになる。

やめていったもの、残って踏ん張っている仲間たちの希望となるべく、今後の一層の活躍に期待したい。

 

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