プロ雀士インタビュー

第215回:天空麻雀22女性大会優勝特別インタビュー 魚谷侑未  インタビュアー:越野智紀

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越野:「天空麻雀22優勝おめどうとございます。」

魚谷:「ありがとうございます。」

越野:「天空麻雀12・19に続いて3度目の優勝インタビューになるので、今回は今まで出してなかった話しも欲しいのですが…何か最近変ったことってありますか?」

魚谷:「実は結婚することになりました。」

越野:「え、まじすか!?」

魚谷:「はい、そうなんですよ。」

越野:「何年か前のインタビューで和久津さんが『ゆーみんは結婚すると麻雀弱くなるタイプ』みたいなこと言ってませんでしたっけ?」

魚谷:「そんなニュアンスのことは言ってたかも。私は1つのことに集中しすぎる性格だから、結婚したことで麻雀が上手くいくか怖い部分もありました。」

越野:「お相手は何をされている方ですか?」

魚谷:「連盟の宮澤太佑さんってわかりますか?」

越野:「わかります。The Legend of Doragon Youth 2020っていう次世代の白鳥翔を発掘するっていう企画の番組に出ていて、すごく若い人だった気がしたんですが?」

魚谷:「9歳下です。父はウチの娘で良いの?って向こうの心配をしてました。」

越野:「魚谷父面白いですね。宮澤さんとはどこで出会ったんですか?」

魚谷:「友達の勧めでDbDっていうゲームを始めて、それをしているグループに宮澤さんがいたんです。」

越野:「麻雀からじゃないんですね。」

魚谷:「そうです。元々同業者は結婚相手に考えていませんでした。麻雀の話しをすると衝突しそうなので。私が結構なんでも言うほうで今まで付き合った人とは喧嘩が多かったんですが、宮澤さんとは喧嘩をしたことがないんですよ。いつも一緒に笑ってられる人で、この人なら大丈夫。失敗しても後悔しないって思えました。」

 

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越野:「あれ?DbD始めたのって最近ですよね?宮澤さんとはいつから付き合い始めたんですか?」

魚谷:「10月です。」

越野:「付き合って約3ヵ月ぐらいで結婚って最速マーメイドさが出てますね。」

魚谷:「子供もいずれ欲しいと思っていて、年齢のことを考えて次に付き合う人とは結婚と考えていたんです。」

越野:「お相手の宮澤さんがどんな方か教えてください。」

魚谷:「私は麻雀で負けると寝れずに対局を振り返って反省するタイプなんですが、彼は気持ちを切り替えれるタイプ。チンイツが苦手みたいで一度24,000点を見逃した時には、それから毎日メンチンの練習を始めていました。大学まで野球で投手をやっていてプロのスカウトも来たって言ってたので、その時にした努力が今の彼の強さに繋がってるのかもって思います。」

越野:「家で麻雀の話しってしますか?」

魚谷:「彼の麻雀のスタイルがメンゼン守備型と私とは全然違うのであまり話はしないんですが、いつ大きな対局がきても大丈夫なように心の準備はしておいたほうが良いよとは言ってます。」

越野:「宮澤さんメンタル強そうですね。魚谷さんは自分のメンタルが強いほうだと思いますか?」

魚谷:「対局で負けると落ち込んで、復活するまでに時間が結構かかります。新潟や愛知から通っていた時には絶対に結果を出すって一つ一つの対局に意気込んでいましたが、今は対局が増え全ての対局に全身全霊を注ぎ込めなくなってきました。何週も渡って行われるタイトル戦も集中力のオンオフを切り替えるのが苦手で、良い精神状態を維持し続けることが最近の課題になっています。それと昔から生意気だと言われることが多くて、自分の発信したことに否定的な意見が出ることも気になってしまいます。」

越野:「現在自分のプロとしての立ち位置ってどう思ってますか?」

魚谷:「活躍している女流プロが沢山いますが、自分は中堅ぐらいのポジションまでこれたかなと思ってます。これからが勝負です。」

越野:「天空麻雀22の話も一応聞いて良いですか?」

魚谷:「もちろん良いですよ。」

越野:「予選開始前に2人抜けは得意ってコメントをしていましたが、このルールで意識することは何ですか?」

魚谷:「大きく離されないことと、勝負所で押すことです。」

 

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越野:「東1局で、ここから暗カンをしました。」

魚谷:「カンが好きなんですよ。最初は打点重視で抜け出せるチャンスは逃さないようにって考えてました。」

越野:「なるほど。離されたくないってことは、抜け出せば相当有利になるってことですよね。この局は横移動しましたが、次局ピンフイーペーコー赤赤のヤミテンを古川からアガって少し抜け出してます。」

魚谷:「これはリーチとヤミテンでアガリ率がだいぶ違うので、トップが偉いMリーグのルールでもヤミにしていたと思います。」

 

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越野:「満貫のアガリが効いてトップ目のまま局が進んでいった南2局。結構戦えそうな手でしたが、宮内さんのリーチにメンツを壊してオリてました。」

魚谷:「自分がトップ目で多少ツモられても下から狙われるポジションにならないので、ほぼ押さない局ですね。」

越野:「2人抜けルールに合わせた打ち方ですね。以降も最後までターゲットにならないポジションをキープして、このルールが得意のコメントを裏付ける安定した勝ち上がりを見せていました。決勝の打ち方はどう変わってきますか?」

魚谷:「ある程度勝負していかないとダメって気がしますが、勝負所を1回でも間違えたら勝てないかなとも思います。」

越野:「2人抜けの時に気をつけていた離されないようにっていうのは考えないほうが良いですか?」

魚谷:「そうですね。割と早い段階からリスクを取って勝負するべきと思っています。」

越野:「1半荘勝負だと北家スタートが有利ってよく聞くんですが、実際どれぐらい差があると思いますか?」

魚谷:「うーん、体感15%ぐらい違うかな。全員がしっかり打ったと過程して、北家スタートは35%から40%ぐらいの勝率がありそう。だいたい最後のほうで逆転の条件が厳しくなる人が出てくるので、4人での勝負になることが減って、3人だったり2人の勝負に出来るのが北家スタートの強みだと思います。」

越野:「魚谷さんはルールによって大きく打ち方を変えるほう?」

魚谷:「自分では器用だと思っているので、ルールもそうですが相手によっても打ち方を変えています。連盟のB1リーグで1回降級した時とMリーグ1年目で歯が立たなかった時に相手によって打ち方を変えないとダメだと痛感して、翌年に対応することで結果が好転していきました。」

越野:「ゲーム好きな人って対応に優れた人が多い気がします。」

魚谷:「ゲーム脳になってますかね?自分はゲームが好きで、負けた時に攻略法とかを考えたりすることが多いです。」

 

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越野:「魚谷さんって鳴く準備で牌の並びを変えることが多いですよね。」

魚谷:「確かにそうかも。」

越野:「放送対局だと見やすく並べるようにって言われることが多いと思うのですが、鳴きシフトに関しては何を鳴こうとしているかが観ている人に伝わって僕は好きなんですよ。」

魚谷:「私も個人的には分かりやすくて好きです。綺麗に並べることで手牌が露骨に読まれてしまうのも微妙かなとも思います。」

 

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越野:「黒沢さんがツモ切りリーチをするんだけど、それってどう見えますか?」

魚谷:「一般的にはツモ切りリーチって2パターンあって、リーチしないでも高いパターンと何か不満が残っている弱いリーチのパターンなんですが…プロの対局だと弱いリーチのパターンが少ない気がします。なのでツモ切りリーチには高い評価をして対応することが多いです。それと人読みも入れます。」

越野:「今回は黒沢さんでしたが、どう読みました?」

魚谷:「黒沢さんのツモ切りリーチには悪いパターンも多いほうだと思ってますが、この局に関しては早いこともあり高く評価して受けました。こういう選択の部分を全部ランダムにして読ませないようにしてくる打ち手は凄く苦手です。A2リーグだと近藤久春さん。あと同じチームの近藤誠一さんとか。」

越野:「この局は親の亜樹さんに満貫のアガリが出て、序盤はリードを許しました。魚谷さんの反撃は東3局から。最初に話していた決勝での一番の勝負所はどの局になりますか?」

魚谷:「亜樹さんが発中と仕掛けてるところに白を押した東4局の親番ですね。大三元の河には見えず、テンパイもまだしていなそう。自分の待ちには自信があり、最初の勝負所がきたと思いました。」

 

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越野:「白切る時、結構時間を取りましたね。」
魚谷:「もし大三元に打ってしまったらトップを決めてしまいそうで、この対局を壊してしまうのではと嫌な未来が頭をよぎってました。ただ自分の手の価値が高く、勝負所だと判断して白を切ってリーチ。これがツモアガリになって手応えは凄く良かったです。」

 

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越野:「トップ目で迎えたオーラスの親、2着目の亜樹さんの条件は満貫ツモ。どういうプランでした?」

魚谷:「緊急回避のアガリはしたいんですが、かなり手が悪かったので数巡様子見てダメそうならオリようって考えてました。」

越野:「想定通りオリることになって、終盤亜樹さんからリーチがきました。」

魚谷:「亜樹さんは悩みながら手を進めていて条件が足りてない可能性もあると思ってたんですが、一発を消すとハイテイが回ってしまうので最後はお祈りタイムですね。」

越野:「結構祈るほう?」

魚谷:「かなり祈るほうです。」

越野:「祈りが通じましたね。」

 

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Mリーグでドラフト1位の評価を受け、2年目でレギュラーシーズンMVP。さらに男女混合のタイトルも複数獲得。
それでも魚谷侑未は自分の立ち位置は中堅ぐらいと謙虚に言います。
結婚したことで麻雀が上手くいくか怖いというのも謙虚さからであって、この真剣な表情を見れば今後の活躍し続ける姿は容易に想像出来ました。

 

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