第226回:プロ雀士インタビュー 石川遼 インタビュアー:仁平宣明
2021年11月29日
何年か前に天鳳位VS連盟プロという連盟チャンネルの企画が行われた。
その名の通り、天鳳位と連盟を代表するトッププロとの対局。
そこで僕は「すずめクレイジー」という名を初めて知った。
この番組の2ndseasonの連盟公式Aルールで、天鳳位の中でひときわ輝いているなあと思った選手が彼だった。
彼は決勝まで勝ち進んで、最後までその時の鳳凰位である、前原プロとデッドヒートを繰り広げていた。
そしてこの天鳳位VS連盟プロの企画終了の時に、彼は天鳳位から唯一日本プロ麻雀連盟入会の決意を固めたのである。
すずめクレイジーことプロ雀士石川遼の誕生であった。
それから時は経ち、石川遼にとってプロとしての初のリーグ戦が始まった。
僕はプライベートでよく麻雀を打つ、B1リーグに所属している福島プロに、すずめの麻雀の話しをしていた。
その事もあってか、福島プロは石川プロの連絡先を聞いてくれて、一緒に麻雀を打つことが実現した。
これが彼と僕との出会いである。
それからかなりの回数一緒に麻雀を打った。
ここからは石川プロの事をすずめという愛称で紹介したいと思います。
すずめの雀風が自分と似ていた事もあるが、自分と同型でこれだけ強い人はなかなかいないと感じていた。
よく話す僕とは対照的に、彼の控えめな性格も好きだった。
リーグ戦ですずめはB1リーグから降級していた。
すぐに戻ってくるだろうと思っていたが、彼の不調期は続きC1リーグまで降級。リーグ戦では苦戦する日々が続いていた。
そんな中迎えた今期の新人王戦。
新人?なのかどうかは別として、170人もの参加人数からすずめは見事に決勝まで勝ち残った。
決勝の面子をみて他3人の情報は無く判らなかったが、経験では格上で迎える決勝戦。
僕は九分九厘すずめが優勝出来ると信じていた。
そして彼は期待を裏切る事なく新人王の栄冠を見事に獲得した。
その翌週、すずめと麻雀を一緒に打った。
すずめ「仁平さん文章書くの得意ですか?」
といつもの控えめな口調で話してきた。
仁平 「まぁ苦手ではないよ笑」
すぐに察しはついた。
そして、前置きは長くなったが僕がこのインタビューを受けることになった。
仁平 「新人王獲得おめでとうございます。」
すずめ「ありがとうございます。」
仁平 「まずは率直な感想をお願いします!」
すずめ「とにかく嬉しいです。大小様々な大会で決勝を戦ったことは今まで何度かありましたが、一度も優勝できていませんでした。今回勝てなかったら、今後も無理なんじゃないかと思ってました。」
仁平 「決勝戦を迎える心構えは?」
すずめ「ガンガン攻めようと思ってましたね。そうじゃなきゃ勝てないと。」
仁平 「新人王戦がスタートして1回戦を断トツで終わる事が出来ましたが、この時に新人王を少し意識したのではないですか?」
すずめ「リードはそこそこあるものの、チャンス手が何回か空ぶって、そこまで良い気分じゃなかったです。」
仁平 「2回戦3回戦を2着で終えて最終戦、成績だけ見ると断トツになっていそうなのですが、1回戦を箱ラスで終えた荒井プロが猛烈な追い上げで、ポイント差は僅か10ポイントちょっと。トータルトップの為、座順はラス親でしたが、この時どんな気持ちで最終戦を迎えましたか?」
すずめ「荒井プロのハリケーンがストップするよう、お祈りしてました。」
仁平 「ここから長い長い最終戦が始まるのですが、その前に少し話しそれます。笑 連盟に入会しようと思った経緯などを教えてください。」
すずめ「天鳳位vs連盟プロに出場している内に、連盟のことが好きになりました。企画が終わったら絡む機会がなくなるわけで、それは寂しいなと思っていたのですが、そんな折りに連盟に誘っていただき、渡りに船といった感じで決めました。」
仁平 「最短の対戦数で天鳳位を獲得しているのですが、その時の思い出なども良かったら聞かせて?」
すずめ「非常にストレスの溜まるゲームですが、物に当たるといったことはありませんでした。押し入れの布団に頭を突っ込んで叫び声をあげたことはあります。」
仁平 「すごいストレス解消方ですね(*_*)笑!麻雀以外の趣味に、将棋、推理小説と麻雀格闘倶楽部の選手紹介の所にあるのですが、その事についてもよかったら聞かせてください。」
すずめ「綾辻行人先生などの真本格派ミステリーが大好物です。将棋は窪田義行七段のファンです。」
仁平 「僕も中学までは将棋をやっていました。麻雀プロで将棋好きな方多いですね。福島プロも強いみたいだから今度対戦してるの見てみたいなぁ」
仁平 「話は大分それましたが、新人王最終戦について聞きたいと思います。最終戦が始まって東3局に事件が起きます。ここまでトータル3位の原田プロに、親満放銃と小高プロの親番で7,700の放銃。特に2度目の三色の7,700オリうち放銃はかなり精神的にこたえたのではないですか?」
すずめ「ちょっと厳しくなったかもと思いましたが、絶対あきらめないぞと自分に言い聞かせました。」
仁平 「この後、手が落ちてまわりに圧倒されるのですが、焦りなどはなかったですか?」
すずめ「荒井プロの早い暗カンからの親リーチの局は、牌勢に差がありすぎて苦笑してしまいましたね。焦りとかはないです。」
仁平 「僕だったらこの圧倒的な牌勢の差をみて、相手がミスをしてくれないと厳しいなぁと感じてしまいますね。」
仁平 「ここから荒井プロの猛攻を受けながらも、アガリをとって再び交わしてラス前にまた荒井プロに僅かに交わされてと、デッドヒートを繰り返して迎えたオーラスでしたね。。この時の心境は?」
すずめ「良い配牌が来てくれるよう祈りながらサイコロを振りました。祈りが通じましたね。」
仁平 「オーラス2,600オールをツモって迎えた最終局、荒井プロの優勝条件は満貫ツモか、跳満出アガリ以上。少し安心な気持ちで迎えたと思いますが、最後の2枚目ポンという違和感のある仕掛けは反射的なものだったのですが?」
すずめ「荒井プロから残りツモ番1回のリーチが来なくてホッとしたところに、続けてを切られて思考が追い付きませんでした。」
仁平 「無意識に鳴いてしまったポンだったんだね。」
仁平 「終わった後、瀬戸熊プロに1枚目を鳴いていたら跳満ツモられてたよと言われた時の感想は?」
すずめ「荒井プロの序盤の切り出しが苦しい感じで、最後まで条件クリアの手ができなかったのかなと思っていたのでビックリしました。」
仁平 「こうして新人王石川遼が誕生したのですが今後の目標などにをお聞かせください。」
すずめ「Aリーグを目標としています。自分がまだ戦ったことのないステージに立ってみたいです。」
仁平「ありがとうございました。近い未来、一緒にAリーグで闘いたいと心底思います。それには僕もAリーグに居続けないとならないので頑張ります!今日はありがとうございました。それではお互い大好きな甘いものを食べに行きましょう!笑」
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