第227回:プロ雀士インタビュー 二階堂瑠美 インタビュアー:越野智紀
2021年12月10日
「その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ」
僕の好きな言葉です。
たしか、どこかの島の酒場で働いている女性の言葉だったと記憶しています。
今回はプロクイーン優勝の話しと、二階堂瑠美が何に対して感情が動くのか?その2点を中心に話しを聞かせてもらいました。
越野:第19期プロクイーン優勝おめでとうございます。8年前の初優勝の時と比べて何か違いはありましたか?
瑠美:時代の変化もあると思うんだけど、1回目の時よりも喜びの声が沢山届いて。それが嬉しかったの。それとMリーグのドラフトでEX風林火山に指名された年っていうのもあって、注目が集まったタイミングで勝てたのも良かったかな。
越野:喜びの話しが出てきたところで、普段YouTubeるみあきchanねるで「喜怒哀楽を表現する生配信」ってしてるじゃないですか?瑠美さんは何に対して喜びを感じます?
瑠美:それって麻雀で?
越野:どちらでもOKです。
瑠美:さっきの話しの続きになるんだけど、最近YouTubeのオカルトチャンネルの人たちと仲良くしてもらっていて。その人たちとの食事会がたまたまプロクイーンの直後にあったんだけど、そこでサプライズで祝って貰えたりとか。他にもEX風林火山のスポンサーの1つのまんまるハウスさんが出してる夕刊フジ杯のチームで、そのチームまんまるの勉強会の時にお花を頂いたり色々祝ってくれたり。あとはSNS。炎上したりして使い方が難しいんだけど、喜びの声が届いた時はすごく良いコンテンツだなって思う。
越野:麻雀でもある?
瑠美:麻雀だと自分が想定したように手がの伸びていったときに喜びがあるかな。あと麻雀に対する理解が深まったと感じた時が嬉しい。
越野:怒りはどういう時に感じますか?
瑠美:怒ることはあんまりないんだけど、わかっていたことを疎かにした自分に対して怒ることはあるかな。自分の麻雀感とは違う選択をしたとき、こないだのMの時とか
いつもの自分ならツモ切ってるを、チーム戦を意識したばっかりに残して失敗したやつとかね。あーでも自分の思うようにやろうって再確認出来たから、怒るとは…怒る…んー難しいな。麻雀では怒らないです。
越野:麻雀以外だとある?
瑠美:なんかあったっけ?わたし多分知らない人にぶん殴られても怒らないもん。「え?」とはなるけど。
越野:それは怒りよりも先に驚きがくるやつ。
瑠美:あー危険運転してる人をみると怒るかも。危ないよって。車運転するからさ。都内運転してると危ない運転してる人が多いから。でも危ないよって注意するのと怒るのとは違うか。4歳の子が急に背中に氷入れたり、毛足の長い絨毯にスライムぶち撒けたりした時は「ダメだよ」って怒ったかなー。
越野:子供ってスライム好きよね。
瑠美:そうなのよ。絨毯とかお気に入りのソファーとかに広げてカピカピにしてくる。スライム開発した人には怒るかも。でもダメなこととかをそうやって覚えて子供は成長していくからなー。
越野:あんまり怒りの感情が湧かないの?
瑠美:怒らないなー。今年怒ったかな?
越野:全然怒るイメージないから想像出来ないね。怒るっていうより悲しくなるとかなのかな?
瑠美:悲しみは…怒ってる人を見ると悲しくなる。余裕がないのかな?って感じるから、世の中が豊になれば、そういった怒りも少なくなっていいなとは思う。私はあんまり怒りも悲しみも長く持続しなくて、基本的には色々楽しもうって考えて生きてるかな。麻雀だと深く考えずに決めつけているのを見ると悲しくなるかも。麻雀ってすごく難しいじゃない?奥が深くて複雑だから、柔軟に対応したほうがいいと思うの。漠然とした麻雀セオリーみたいなのに縛られて選択の幅は狭めないようにっていうのは気をつけてるかな。
越野:まさにキャッチフレーズの天衣無縫な感じだね。「楽」は多そうだけど、最近は何にハマってますか?
瑠美:ラジオ感覚でYouTubeを聞きながらマンガ読んだりゲームやったりパズルやったり。YouTubeで怪談話をしている芸人さんはやっぱり話し方が凄く上手で…
(ここから長い雑談)
越野:…っていうパズルが面白そうでYouTube向きかも。
瑠美:人生って短いんだから、せっかくなら楽しいことに使いたいよね。それじゃ、こんな感じで締めてください。
越野:ありがとうございます。あ、すんません、ここからは少し麻雀の話しを。2回目のプロクイーン優勝になりましたが、今回の麻雀を自分で点数をつけるとしたら何点ですか?
瑠美:90点ぐらいは挙げてもいいんじゃないかな。ベスト16から優勝するまでの麻雀は現時点で自分が出来ることは出せたかなと。でも今の自分が正しいわけじゃないから、現状で満足せず成長したいと思ってるし成長出来ると思ってる。
越野:今回一番目の抜け番選択権を得て、初日4回戦の中で3回戦目を抜け番にしたのって何故ですか?解説の藤崎さんが「1番目を選ぶかと思った」って言ってたので。
瑠美:初日はまだ病み上がりで体力が万全じゃないかもと思って、途中で抜けれる3戦目にしたの。本来は連続で打つのが好きなんだけどね。実際2回戦終わった時にはまだ元気で、連続でも打てたなって、その時は思ってた。
越野:2日目最初の5回戦が終わって二度目の抜け番抽選では、9回戦をりんのさんが選び、6・7・8・10の中から8回戦を選んでいましたが、この時には連続で打つ体力が戻ったってことですか?
瑠美:5回戦を打った感じで体力的に大丈夫そうと思って2日目は5・6・7回戦と3連続で打つことにしたの。それで体調を万全にした最終日で4連続打つ。実は10回戦と悩んでて、10回戦終わった段階で脱落1名が決まるから最後抜けると結果待ちになるじゃん?自分が脱落のターゲットにならないって自信をもって最後の抜け番に選んどいて、6戦目以降にラスラスとか引くと超カッコ悪いかなって。
越野:その展開は悲惨よね。
瑠美:みんな強いし、まだどうなるかわからない状況だったから。高みの見物が出来るほどの自信はなかったんだよね。
越野:自信がないって言うけど、抜け番抽選直前の5回戦は良いトップでしたね。特に印象的な局が南4局の1本場。
越野:トイツからを1枚切った浮かせ打ち。ペンのターツも払ってからマンズを伸ばして2,600オールの綺麗なアガリ。
瑠美:これ自分的には特に変わったことをした感覚はなくて、いつも通りに打ってるだけなんだよね。
越野:確かに。いつも瑠美さんの麻雀を観てる人にとっては普通に見えるかもだけど。先切りや手牌が伸びていく感じが「This is 二階堂瑠美」でした。ここから勢いに乗って2日目圧勝。逆に初日首位だったりんのさんが落ちてきて並びが出来てきた。この辺から優勝って意識してました?
瑠美:まだまだ全然。りんのさんに変わって2番手に浮上した東城さんは勢いがあるし、それまで不調だった山脇さんも怖いし。結局山脇さんは10回戦終わった時に敗退になったけど、全然強いからね。来年のプロクイーンはベスト16から出てくるし、また決勝くるでしょ。
越野:最終日は南3局1本場にテンパイ外しからのリーチがめちゃくちゃ痺れたよね。
瑠美:役無しヤミテンのカンにした時に何引いたらテンパイ外そうかなって考えてて、は外そうって考えてたら引いたのよ。岡田さんが絶対にオリない状況だったし、押し返されても良い形で勝負したかった。
越野:リーチしてアガったのもカッコ良すぎた。これで東城さんに満貫ツモの条件を押しつけてオーラス勝負。
瑠美:早くアガれそうならアガってさらに条件厳しくしたかったけど、手役絡んでそうな変則っぽい捨て牌から5巡目にリーチがきちゃって。東城さんさすがだなーって。放銃も出来ないから祈るだけなんだけど、高目なら条件クリアで安めなら一発か裏条件とかもあるから一発は消しといた。東城さん南家だからハイテイもズラせるしね。
越野:あの鳴きで東城さんの安めの一発ツモも高めのも両方流れたし、なんならハイテイもだった。
瑠美:あの時、配牌から手を崩さなくて、が鳴けたおかげ。
越野:これで直近10年のプロクイーンで6度決勝に進出して二度目の優勝と抜群の強さを発揮していますが、この相性の良さはどこにあると思いますか?
瑠美:最初の10年はさっぱりだったんだけどね。素点が大事なルールに変わってから決勝に残れるようになったから、ルールの部分はあるかも。あと1次予選から残るのは大変。決勝まで残ると翌年ベスト16シードがあるから、それは大きいね。
越野:それでは最後に20期のプロクイーンに向けての意気込みをお願いします。
瑠美:連覇っすよ。連覇。
越野:三度勝った人は1人もいないですしね。
瑠美:真面目な話しをすると、優勝しなくても良いんだけど、なるべく毎年決勝には残っていたい。それで、たまに優勝出来れば嬉しいかな。
勝っても負けても話題になるような、多くの人に注目してもらえる決勝戦。
1人以外が敗者になる世界なので、負けた人も称えられるような面白い試合が出来たらいいなと思ってる。
越野:年内はMリーグ・女流桜花・王位戦と注目の対局が続くので面白い試合を期待しています。長い時間お付き合いいただき、ありがとうございました。
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