戦術の系譜

戦術の系譜20 本田 朋広

グランプリ初日を終え、2着とは30ポイントほどリードを持って最終日を迎えました。
ポイント差に応じた戦術は人それぞれ違うかも知れませんが、タイトル戦決勝は逃げて勝てるほど甘いものでは無いと思います。
勝負できる時にしっかりと戦い失点を恐れず前に出る、中途半端が一番危険で後悔の残りやすいものになりやすい、そう考えて最終日に臨むものの、どうしても大事に戦ってしまう事もあります。

最終日
5回戦南2局4巡目

 

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トータル2着目の山田プロの親番を落としたい局面で、一万のトイツ落としか八筒九筒落としか、八索を切ればツモり三暗刻かイーペーコーの1シャンテン。
一万が場に2枚切れの七筒が1枚切れで、私が選択したのは八筒九筒落とし。
本来なら一万を落としてタンヤオに向かい、ドラ七万引きを視野に入れつつ勝負を待つか仕掛けて親を落としたいところですが、親の捨て牌に四万がある為、安全牌候補の一万を温存する事にしました。

勝負できる時にしっかりと戦うと決めて臨んだはずなのに、初日のリードを守ろうと受け気味に進めた結果、7巡目に親の山田プロからリーチが入り、安全牌候補だった一万をトイツ落としとして9巡目の私の手牌。

 

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ここから親リーチの安全牌に困り、序盤の五筒切りのスジを頼って八筒落とし。これが12,000点の放銃。

 

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局にテーマがあるのであれば落としたい親であり、一番放銃しては駄目な相手。これを最初からしっかりとアガリに向かえば、自分の9巡目の形はこうです。

六万六万六万七万四索四索四索五索五索八索八索八筒八筒八筒

最後にドラではあるが七万を勝負して、放銃なしのツモり四暗刻になります。
結果論とは言われそうですが、この選択が後悔の一打として記憶に残りました。

決勝戦の様な特別な対局は一か八かのような選択を取り入れて、2位や3位を目指すのではなく優勝か4位を設定するような戦術のほうが、決勝戦のバランスに丁度良いのでは無いかと思います。 

続いて6回戦。
南1局山田プロの親番。これ以上山田プロに加点されたくない状況で、一か八かの選択と言いたいところですが、コラムの趣旨に戻って戦術と行きましょう。

私の手牌。ドラが五筒

 

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ソウズのホンイツ、ホンロウ七対子、トイトイ、ドラ色のピンズのホンイツなど色々な手役が見えそうな手牌です。
攻めながらも比較的安全牌になりそうな牌を持ち進められる守備が効く手牌であるため、積極的に仕掛けて行きたいところ。
打牌候補はソウズやピンズのホンイツをみた九万切りや、ホンロウ七対子やトイトイをみた六筒四索八索など人それぞれだと思いますが、私の選択は四索切り。
それは四索にくっついた場合のホンイツが、この候補の中で一番打点が低いと思ったからです。

六筒はドラ色でもありドラのフォローも効いていますし、ピンズのホンイツにいった場合、ドラ1枚でそれなりの打点を作れるのも魅力的です。
3巡目に打たれた一筒を積極的にポンして打八索。ホンロウトイトイ、ピンズのホンイツを意識します。

5巡目に五筒を引いて一気にホンイツに向かいたい所ではありますが、トータル首位の親でもあるので捌く事も考えます。

続けて三筒六筒と引いたので、九索を落としてピンズのホンイツに決めます。これが上手くホンイツに仕上がり、トータルトップからの直撃が決まり、良い追い上げムードを作る事に成功しました。

 

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仮にトップ目だった場合は、ホンロウ七対子を見て仕掛けなかったり、西以外は仕掛けるが西は安全牌候補として仕掛けなかったり色々と戦術は変わってきます。
私はそれなりに打点がみえる場合は積極的にトライしていく事が良いと思っています。

5回戦で山田プロの親で失点し、6回戦の山田プロの親番で加点プラス直撃に成功、攻めて失点してしまう場合もあったと思いますが、やはりタイトル戦での優勝以外に意味のない頭取りは、積極的に攻める姿勢が勝ちに繋がるのでは無いかと私は思います。