第86回:西川 淳

はじめまして。
18期生の桜井紘己です。

この度、同期の西川淳が第22期チャンピオンズリーグを制し、
本人からのご指名を受けましてインタビュアーを務めさせて頂くことになりました。
よろしくお願いします。

086
インタビュアーの桜井 紘己プロと西川 淳プロ
086

〜都内某所にて〜

桜井「優勝おめでとうございます。」
西川「ありがとうございます。」
桜井「最近強いですねぇ。何かあったんですか?」
西川「いや、実はね…」

〜ここはリレーエッセイでも書かれていたので割愛〜
西川淳のリレーエッセイはこちら

桜井「ふむふむ。まとめると、試合前ウナギを食べたのがよかったと。」
西川「うん。そういうことだね。」
桜井「では決勝戦を通じて、一番良かった点と悪かった点を教えてください。」
西川「良かった点は、いいメンバーと打てたということかな。」
桜井「具体的には?」
西川「なんていうのかな、これは1つの例に過ぎないんだけど、決勝戦を通じて誰1人牌をこぼさなかったとかね。」
桜井「ほう。」
西川「誰もこぼさないってすごいことだと思うのよ。プロなら当たり前かもしれないけど。」
桜井「確かに全員がってのはなかなかないかもしれませんね。」
西川「俺自身は君に言われてから1年半くらいずっと意識していた事なんだけどね。」
桜井「そうだったんですか。」
西川「そうだよ。君には色々影響されてるんだよ。今回の決勝だって少し前に君が十段戦のベスト16に残ったこととかすごくいい刺激になってるんだよね。」
桜井「そうなの?」
西川「うん。だから俺もやらなくちゃって。」
桜井「そうでしたか。いやー。堀内プロ強かったね。あれは。」
西川「まあ、また残ればいいじゃん」
桜井「もちろんそのつもりですよ。では続けます。悪かった点は?」
西川「これは恥ずかしい話なんだけど、開始直後は気持ちがふわふわしていて、浮き足立っちゃったことかな。1回戦東2局なんてひどいよね。」
桜井「5,200を放銃した局ですか?」
西川「うん。あそこは第一打で六筒を切らなくちゃいけないのよ。スタイル的に。」

1回戦東2局、親の西川第一打北切り

二万五万七万八万九万五索六索七索七索九索六筒八筒九筒 ツモ北 ドラ一万

桜井「そうすれば北が重なって三色のテンパイを取れていたと。」
西川「うん。二筒で放銃した時も普通に切っちゃっていて、まさにふわふわしていたという感じ。」
桜井「なるほど。でも南1局はよくリーチ打てましたね。ぼくならヤミテンにしてしまいそう。」

1回戦南1局2本場、南家の西川15巡目に九索切りリーチ

二万二万一索一索六索六索九索二筒二筒三筒南発発 ツモ三筒 ドラ七筒

西川「あれは強烈にアガれるイメージがあったからね。」

直後に、北家の福光から3,200は3,800のアガリ。

二万二万一索一索六索六索二筒二筒三筒三筒南発発 ロン南

親で連荘中の柴田の親を落とす大きなアガリとなった。

桜井「どの辺で勝ちを意識したんですか?」
西川「してないっていうと嘘になるね。やっぱり4回戦かな。」
桜井「あの親番の連荘はすごかったですね。あのペン四筒ツモがでかかったんじゃないですか?」

4回戦東2局、南家1本場13巡目、
親の羽山のリーチ宣言牌である五万をチーし、次巡に四筒ツモアガリ。

四索五索六索二筒三筒五筒五筒六筒七筒八筒 チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き ツモ四筒 ドラ四万

この後始まる西川の大連荘を予感させるアガリであった。

西川「あれはよかったねー。今回ポイントとなった局は3つだと思っていて、1つは今言ったペン四筒ツモと、あとはペン七索ツモ、中バックかな。」
桜井「ペン七索は1巡目の一万を仕掛けた局面ですね。普段からこれは仕掛けるんですか?」

2回戦東3局、南家3本場供託3本1巡目、

一万一万二万五万七索八索六筒九筒九筒北白発発 ドラ九索

北家の柴田が切った一万をポン。

西川「うん。よくやるよ。場を制圧するっていうのかな。意識させたいから。」

同局15巡目、

四索四索七索八索八索九索九索発発発 ポン一万一万一万 ツモ七索

親の柴田のリーチをかわし、1,300・2,600は1,600・2,900のツモアガリをものにした。

桜井「なるほど。中バックもひやひやしましたよね。」

2回戦東1局、北家1本場16巡目、

一万二万三万七筒七筒七筒八筒八筒中中 チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き ロン中

西川「うん。実はロンって言って牌を倒す時、ぐしゃってやっちゃったんだよね。」
桜井「それだけ力が入ってたってことですね。」
西川「そういうことだね。というかせっかくの機会なんだしさ、2人の出会いみたいなことも書いてよ。」
桜井「えー。」
西川「君がまだ大学生の時に、某インターネット麻雀サイトで知り合ってさ、すごいことじゃない?」
桜井「すごいですよねー。プロになったのもたまたま同じ時期だったわけだし。」
西川「すべては必然だと思うんだよね。出会ったのもそうだし、プロになったのもそう。」
桜井「ふーん。」
西川「ほら、あの写真載せてよ。プロの研修中に2人で取ったやつ。」
桜井「あーあれですか。あの頃は痩せてましたねぇ。20キロくらい痩せてたかな。西川さんはあまり変わってないですよね。」
西川「いや、全然違うよ。10キロくらい太ったよ。」
桜井「えーそうですか?」

086
研修時代のお二人

西川「あの写真お互いの結婚式でも使ってたよね。」
桜井「そうでしたねー。いい写真ですね。」
西川「うん。お互い結婚できてよかったよね。」
桜井「うん。よかったよねってなんの話ですか?」
西川「じゃあそろそろまとめようか。」
桜井「えと、今回優勝してどう思いましたか?」
西川「これによって何かが変わればいいかな、って思ってる。例えば視野が広がるとかね。」
桜井「今後の目標は?」
西川「リーグ戦を頑張ることかな。あとやっぱり王位戦で勝ちたいね。あの大会には敬意を表してる。プロアマ混合っていうのもいいよね。」
桜井「研修生時代にベスト16まで残っていましたよね。」
西川「うん。あの後もう1回残ってるんだけど、やっぱりプロになった時からあの大会だけは特別な思い入れがあるからね。」
桜井「なるほど。頑張ってくださいね。」
西川「お互いにね。」
桜井「本日はありがとうございました。」
西川「ありがとうございました。」

同期でプロになったものの、西川淳は現在B1リーグ、私はC2リーグ所属と、
大会成績だけではなくリーグ戦成績においても大きな差がついてしまっています。
今回インタビューを行ってみて、その麻雀に対する情熱に関しても大きな差があると感じてしまいました。
今後の西川淳に期待すると共に、私も負けていられないなと思ったのであります。

最後までお付き合いありがとうございました。

086

(このインタビューは2012年9月現在のものです)

プロ雀士インタビュー/第86回:西川 淳

はじめまして。
18期生の桜井紘己です。
この度、同期の西川淳が第22期チャンピオンズリーグを制し、
本人からのご指名を受けましてインタビュアーを務めさせて頂くことになりました。
よろしくお願いします。

086
インタビュアーの桜井 紘己プロと西川 淳プロ
086

〜都内某所にて〜

桜井「優勝おめでとうございます。」
西川「ありがとうございます。」
桜井「最近強いですねぇ。何かあったんですか?」
西川「いや、実はね…」
〜ここはリレーエッセイでも書かれていたので割愛〜
西川淳のリレーエッセイはこちら
桜井「ふむふむ。まとめると、試合前ウナギを食べたのがよかったと。」
西川「うん。そういうことだね。」
桜井「では決勝戦を通じて、一番良かった点と悪かった点を教えてください。」
西川「良かった点は、いいメンバーと打てたということかな。」
桜井「具体的には?」
西川「なんていうのかな、これは1つの例に過ぎないんだけど、決勝戦を通じて誰1人牌をこぼさなかったとかね。」
桜井「ほう。」
西川「誰もこぼさないってすごいことだと思うのよ。プロなら当たり前かもしれないけど。」
桜井「確かに全員がってのはなかなかないかもしれませんね。」
西川「俺自身は君に言われてから1年半くらいずっと意識していた事なんだけどね。」
桜井「そうだったんですか。」
西川「そうだよ。君には色々影響されてるんだよ。今回の決勝だって少し前に君が十段戦のベスト16に残ったこととかすごくいい刺激になってるんだよね。」
桜井「そうなの?」
西川「うん。だから俺もやらなくちゃって。」
桜井「そうでしたか。いやー。堀内プロ強かったね。あれは。」
西川「まあ、また残ればいいじゃん」
桜井「もちろんそのつもりですよ。では続けます。悪かった点は?」
西川「これは恥ずかしい話なんだけど、開始直後は気持ちがふわふわしていて、浮き足立っちゃったことかな。1回戦東2局なんてひどいよね。」
桜井「5,200を放銃した局ですか?」
西川「うん。あそこは第一打で六筒を切らなくちゃいけないのよ。スタイル的に。」
1回戦東2局、親の西川第一打北切り
二万五万七万八万九万五索六索七索七索九索六筒八筒九筒 ツモ北 ドラ一万
桜井「そうすれば北が重なって三色のテンパイを取れていたと。」
西川「うん。二筒で放銃した時も普通に切っちゃっていて、まさにふわふわしていたという感じ。」
桜井「なるほど。でも南1局はよくリーチ打てましたね。ぼくならヤミテンにしてしまいそう。」
1回戦南1局2本場、南家の西川15巡目に九索切りリーチ
二万二万一索一索六索六索九索二筒二筒三筒南発発 ツモ三筒 ドラ七筒
西川「あれは強烈にアガれるイメージがあったからね。」
直後に、北家の福光から3,200は3,800のアガリ。
二万二万一索一索六索六索二筒二筒三筒三筒南発発 ロン南
親で連荘中の柴田の親を落とす大きなアガリとなった。
桜井「どの辺で勝ちを意識したんですか?」
西川「してないっていうと嘘になるね。やっぱり4回戦かな。」
桜井「あの親番の連荘はすごかったですね。あのペン四筒ツモがでかかったんじゃないですか?」
4回戦東2局、南家1本場13巡目、
親の羽山のリーチ宣言牌である五万をチーし、次巡に四筒ツモアガリ。
四索五索六索二筒三筒五筒五筒六筒七筒八筒 チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き ツモ四筒 ドラ四万
この後始まる西川の大連荘を予感させるアガリであった。
西川「あれはよかったねー。今回ポイントとなった局は3つだと思っていて、1つは今言ったペン四筒ツモと、あとはペン七索ツモ、中バックかな。」
桜井「ペン七索は1巡目の一万を仕掛けた局面ですね。普段からこれは仕掛けるんですか?」
2回戦東3局、南家3本場供託3本1巡目、
一万一万二万五万七索八索六筒九筒九筒北白発発 ドラ九索
北家の柴田が切った一万をポン。
西川「うん。よくやるよ。場を制圧するっていうのかな。意識させたいから。」
同局15巡目、
四索四索七索八索八索九索九索発発発 ポン一万一万一万 ツモ七索
親の柴田のリーチをかわし、1,300・2,600は1,600・2,900のツモアガリをものにした。
桜井「なるほど。中バックもひやひやしましたよね。」
2回戦東1局、北家1本場16巡目、
一万二万三万七筒七筒七筒八筒八筒中中 チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き ロン中
西川「うん。実はロンって言って牌を倒す時、ぐしゃってやっちゃったんだよね。」
桜井「それだけ力が入ってたってことですね。」
西川「そういうことだね。というかせっかくの機会なんだしさ、2人の出会いみたいなことも書いてよ。」
桜井「えー。」
西川「君がまだ大学生の時に、某インターネット麻雀サイトで知り合ってさ、すごいことじゃない?」
桜井「すごいですよねー。プロになったのもたまたま同じ時期だったわけだし。」
西川「すべては必然だと思うんだよね。出会ったのもそうだし、プロになったのもそう。」
桜井「ふーん。」
西川「ほら、あの写真載せてよ。プロの研修中に2人で取ったやつ。」
桜井「あーあれですか。あの頃は痩せてましたねぇ。20キロくらい痩せてたかな。西川さんはあまり変わってないですよね。」
西川「いや、全然違うよ。10キロくらい太ったよ。」
桜井「えーそうですか?」

086
研修時代のお二人

西川「あの写真お互いの結婚式でも使ってたよね。」
桜井「そうでしたねー。いい写真ですね。」
西川「うん。お互い結婚できてよかったよね。」
桜井「うん。よかったよねってなんの話ですか?」
西川「じゃあそろそろまとめようか。」
桜井「えと、今回優勝してどう思いましたか?」
西川「これによって何かが変わればいいかな、って思ってる。例えば視野が広がるとかね。」
桜井「今後の目標は?」
西川「リーグ戦を頑張ることかな。あとやっぱり王位戦で勝ちたいね。あの大会には敬意を表してる。プロアマ混合っていうのもいいよね。」
桜井「研修生時代にベスト16まで残っていましたよね。」
西川「うん。あの後もう1回残ってるんだけど、やっぱりプロになった時からあの大会だけは特別な思い入れがあるからね。」
桜井「なるほど。頑張ってくださいね。」
西川「お互いにね。」
桜井「本日はありがとうございました。」
西川「ありがとうございました。」

同期でプロになったものの、西川淳は現在B1リーグ、私はC2リーグ所属と、
大会成績だけではなくリーグ戦成績においても大きな差がついてしまっています。
今回インタビューを行ってみて、その麻雀に対する情熱に関しても大きな差があると感じてしまいました。
今後の西川淳に期待すると共に、私も負けていられないなと思ったのであります。

最後までお付き合いありがとうございました。

086

(このインタビューは2012年9月現在のものです)

第2回北海道プロトーナメント成績表

初弐段戦

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 合計
10 市川 敦士 初段 26 期 26.3 7.7 15.9 49.9
20 柳田 圭介 初段 27 期 24.3 ▲ 15.1 39 48.2
30 坂木 祐介 初段 27 期 21.9 ▲ 10.0 7.8 19.7
40 石田 雅人 初段 26 期 33 ▲ 15.4 ▲ 4.3 13.3
50 小川 和香奈 初段 28 期 ▲ 23.4 15.7 16.1 8.4
60 須賀 智博 弐段 23 期 ▲ 9.4 19.6 ▲ 19.4 ▲ 9.2
70 浦山 祐輔 弐段 21 期 8.9 ▲ 5.4 ▲ 31.2 ▲ 27.7
80 中村 龍太 弐段 23 期 ▲ 16.0 ▲ 21.7 ▲ 10.2 ▲ 47.9
90 吉木 輝 初段 27 期 ▲ 15.4 ▲ 10.9 ▲ 23.9 ▲ 50.2

参四段戦

A 卓

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 合計
10 市川 敦士 初段 26 期 ▲ 5.5 25.3 ▲ 6.2 13.6
20 加藤 晋平 初段 27 期 39.6 ▲ 18.8 ▲ 22.8 ▲ 2.0
30 石田 雅人 初段 26 期 ▲ 13.4 ▲ 2.1 10.1 ▲ 5.4
40 三盃 志 四段 19 期 ▲ 20.7 ▲ 4.4 18.9 ▲ 6.2

B 卓

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 合計
10 真光 祐尚 参段 24 期 17.2 20.2 4 41.4
20 坂木 祐介 初段 27 期 5.5 10.1 ▲ 4.1 11.5
30 中村 瞬 参段 21 期 ▲ 18.0 ▲ 12.4 14.3 ▲ 16.1
40 柳田 圭介 初段 27 期 ▲ 4.7 ▲ 17.9 ▲ 14.2 ▲ 36.8

五段戦

A 卓

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 4 回戦 合計 順位
10 真光 祐尚 参段 24 期 13.4 3.9 14.3 ▲ 4.6 27 10
20 西野 拓也 五段 11 期 19.2 ▲ 19.6 7.1 ▲ 9.5 ▲ 2.8 20
30 市川 敦士 初段 26 期 ▲ 25.1 11.8 2.3 4.5 ▲ 6.5 30
40 村上 良 五段 6 期 ▲ 7.5 3.9 ▲ 23.7 9.6 ▲ 17.7 40

B 卓

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 4 回戦 合計 順位
10 中村 瞬 参段 21 期 7.4 16.5 25.5 ▲ 8.8 40.6 10
20 坂木 祐介 初段 27 期 2.1 26.9 11.4 ▲ 1.7 38.7 20
30 続木 舜英 五段 6 期 16.7 ▲ 11.9 ▲ 11.3 36.8 30.3 30
40 加藤 晋平 初段 27 期 ▲ 26.2 ▲ 31.5 ▲ 25.6 ▲ 28.3 ▲ 111.6 40

田中 利加子欠席のため、 参四段戦の3位の抽選で中村 瞬勝ち上がり

六段戦

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 4 回戦 5 回戦 合計
10 中村 瞬 参段 21 期 4.5 19.4 ▲ 4.2 36.2 55.9
20 坂木 祐介 初段 27 期 23 ▲ 11.9 14.8 ▲ 9.2 16.7
30 真光 祐尚 参段 24 期 ▲ 2.2 ▲ 1.9 14.1 ▲ 30.0 ▲ 20.0
40 西野 拓也 五段 11 期 ▲ 20.7 ▲ 5.3 23.6 ▲ 18.3 ▲ 20.7
50 前田 富志男 六段 7 期 ▲ 6.8 ▲ 9.7 ▲ 28.5 12.1 ▲ 32.9

決勝戦

順位 名前 段位 持 ち 点 1 回戦 2 回戦 合計
優勝 中村 瞬 参段 21 期 55.9 42.7 27.2 125.8
坂木 祐介 初段 27 期 16.7 ▲ 10.0 9.6 16.3
30 西野 拓也 五段 11 期 ▲ 20.7 ▲ 13.0 ▲ 15.3 ▲ 49.0
40 真光 祐尚 参段 24 期 ▲ 20.0 ▲ 19.7 ▲ 21.5 ▲ 61.2

北海道プロリーグ 成績表/第2回北海道プロトーナメント成績表

初弐段戦

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 合計
10 市川 敦士 初段 26 期 26.3 7.7 15.9 49.9
20 柳田 圭介 初段 27 期 24.3 ▲ 15.1 39 48.2
30 坂木 祐介 初段 27 期 21.9 ▲ 10.0 7.8 19.7
40 石田 雅人 初段 26 期 33 ▲ 15.4 ▲ 4.3 13.3
50 小川 和香奈 初段 28 期 ▲ 23.4 15.7 16.1 8.4
60 須賀 智博 弐段 23 期 ▲ 9.4 19.6 ▲ 19.4 ▲ 9.2
70 浦山 祐輔 弐段 21 期 8.9 ▲ 5.4 ▲ 31.2 ▲ 27.7
80 中村 龍太 弐段 23 期 ▲ 16.0 ▲ 21.7 ▲ 10.2 ▲ 47.9
90 吉木 輝 初段 27 期 ▲ 15.4 ▲ 10.9 ▲ 23.9 ▲ 50.2

参四段戦

A 卓

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 合計
10 市川 敦士 初段 26 期 ▲ 5.5 25.3 ▲ 6.2 13.6
20 加藤 晋平 初段 27 期 39.6 ▲ 18.8 ▲ 22.8 ▲ 2.0
30 石田 雅人 初段 26 期 ▲ 13.4 ▲ 2.1 10.1 ▲ 5.4
40 三盃 志 四段 19 期 ▲ 20.7 ▲ 4.4 18.9 ▲ 6.2

B 卓

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 合計
10 真光 祐尚 参段 24 期 17.2 20.2 4 41.4
20 坂木 祐介 初段 27 期 5.5 10.1 ▲ 4.1 11.5
30 中村 瞬 参段 21 期 ▲ 18.0 ▲ 12.4 14.3 ▲ 16.1
40 柳田 圭介 初段 27 期 ▲ 4.7 ▲ 17.9 ▲ 14.2 ▲ 36.8

五段戦

A 卓

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 4 回戦 合計 順位
10 真光 祐尚 参段 24 期 13.4 3.9 14.3 ▲ 4.6 27 10
20 西野 拓也 五段 11 期 19.2 ▲ 19.6 7.1 ▲ 9.5 ▲ 2.8 20
30 市川 敦士 初段 26 期 ▲ 25.1 11.8 2.3 4.5 ▲ 6.5 30
40 村上 良 五段 6 期 ▲ 7.5 3.9 ▲ 23.7 9.6 ▲ 17.7 40

B 卓

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 4 回戦 合計 順位
10 中村 瞬 参段 21 期 7.4 16.5 25.5 ▲ 8.8 40.6 10
20 坂木 祐介 初段 27 期 2.1 26.9 11.4 ▲ 1.7 38.7 20
30 続木 舜英 五段 6 期 16.7 ▲ 11.9 ▲ 11.3 36.8 30.3 30
40 加藤 晋平 初段 27 期 ▲ 26.2 ▲ 31.5 ▲ 25.6 ▲ 28.3 ▲ 111.6 40

田中 利加子欠席のため、 参四段戦の3位の抽選で中村 瞬勝ち上がり

六段戦

順位 名前 段位 1 回戦 2 回戦 3 回戦 4 回戦 5 回戦 合計
10 中村 瞬 参段 21 期 4.5 19.4 ▲ 4.2 36.2 55.9
20 坂木 祐介 初段 27 期 23 ▲ 11.9 14.8 ▲ 9.2 16.7
30 真光 祐尚 参段 24 期 ▲ 2.2 ▲ 1.9 14.1 ▲ 30.0 ▲ 20.0
40 西野 拓也 五段 11 期 ▲ 20.7 ▲ 5.3 23.6 ▲ 18.3 ▲ 20.7
50 前田 富志男 六段 7 期 ▲ 6.8 ▲ 9.7 ▲ 28.5 12.1 ▲ 32.9

決勝戦

順位 名前 段位 持 ち 点 1 回戦 2 回戦 合計
優勝 中村 瞬 参段 21 期 55.9 42.7 27.2 125.8
坂木 祐介 初段 27 期 16.7 ▲ 10.0 9.6 16.3
30 西野 拓也 五段 11 期 ▲ 20.7 ▲ 13.0 ▲ 15.3 ▲ 49.0
40 真光 祐尚 参段 24 期 ▲ 20.0 ▲ 19.7 ▲ 21.5 ▲ 61.2

第42期 北海道プロリーグ 最終節成績表

順位 名前 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 最終節 合計 順位
優勝 市川 敦士 8.6 25.4 70.7 3.7 74.5 172.9 優勝
準優勝 野々川 博之 30.9 11 20.8 ▲ 22.1 28 90.5 159.1 準優勝
3 三盃 貴之 17.7 ▲ 5.2 16.9 75.4 5.7 0.9 111.4 3
4 中村 瞬 ▲ 66.5 ▲ 3.6 6.8 9.9 35.9 115.8 98.3 4
5 浦山 祐輔 ▲ 1.6 40.5 ▲ 28.0 34.9 53.9 31.3 131 5
6 喜多 清貴 53.2 26.9 ▲ 10.4 35.1 32.5 127.3 6
7 石田 雅人 11.2 87.5 21.7 21.5 ▲ 54.4 ▲ 23.1 64.4 7
8 加藤 晋平 ▲ 10.0 7.8 12.3 55.7 84.9 ▲ 70.7 60 8
9 坂木 祐介 1.4 ▲ 15.7 26.8 22.4 12.3 13.3 60.5 9
10 村上 良 56.3 62.6 ▲ 17.7 49.1 ▲ 33.9 ▲ 71.5 44.9 10
11 小川 和香奈 67.1 61.7 ▲ 27.0 9 ▲ 74.2 26.6 11
12 平島 誉久 ▲ 17.8 17.1 ▲ 2.2 29.1 ▲ 15.2 0.5 11.5 12
13 須賀 智博 ▲ 13.8 ▲ 38.8 24.6 8.2 2 11.7 ▲ 6.1 13
14 藤原 洋一 34.3 10.4 35.5 ▲ 12.9 ▲ 78.7 ▲ 21.4 14
15 中村 龍太 11.8 ▲ 36.5 ▲ 25.6 ▲ 60.6 15.7 50.4 ▲ 44.8 15
16 真光 祐尚 ▲ 28.4 35.5 ▲ 31.0 ▲ 23.3 ▲ 67.2 16
17 西野 拓也 ▲ 7.6 10.3 ▲ 1.4 ▲ 71.8 ▲ 13.6 13 ▲ 71.1 17
18 田中 利加子 ▲ 5.0 ▲ 69.4 1.4 ▲ 44.1 ▲ 6.4 34.5 ▲ 89.0 18
19 土橋 篤 ▲ 1.0 ▲ 38.8 19.7 18.6 ▲ 73.1 ▲ 34.0 ▲ 108.6 19
20 吉木 輝 ▲ 43.8 ▲ 10.2 ▲ 13.0 ▲ 9.5 ▲ 5.4 ▲ 101.4 ▲ 183.3 20
21 三盃 志 ▲ 29.3 ▲ 23.7 ▲ 22.7 ▲ 34.0 ▲ 17.5 ▲ 127.2 21
22 砂原 裕美子 1.7 ▲ 89.4 ▲ 44.0 ▲ 19.6 ▲ 37.4 ▲ 188.7 22
23 柳田 圭介 ▲ 34.6 ▲ 70.0 ▲ 87.0 ▲ 60.2 ▲ 19.4 ▲ 291.2 23

北海道プロリーグ 成績表/第42期 北海道プロリーグ 最終節成績表

順位 名前 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 最終節 合計 順位
優勝 市川 敦士 8.6 25.4 70.7 3.7 74.5 172.9 優勝
準優勝 野々川 博之 30.9 11 20.8 ▲ 22.1 28 90.5 159.1 準優勝
3 三盃 貴之 17.7 ▲ 5.2 16.9 75.4 5.7 0.9 111.4 3
4 中村 瞬 ▲ 66.5 ▲ 3.6 6.8 9.9 35.9 115.8 98.3 4
5 浦山 祐輔 ▲ 1.6 40.5 ▲ 28.0 34.9 53.9 31.3 131 5
6 喜多 清貴 53.2 26.9 ▲ 10.4 35.1 32.5 127.3 6
7 石田 雅人 11.2 87.5 21.7 21.5 ▲ 54.4 ▲ 23.1 64.4 7
8 加藤 晋平 ▲ 10.0 7.8 12.3 55.7 84.9 ▲ 70.7 60 8
9 坂木 祐介 1.4 ▲ 15.7 26.8 22.4 12.3 13.3 60.5 9
10 村上 良 56.3 62.6 ▲ 17.7 49.1 ▲ 33.9 ▲ 71.5 44.9 10
11 小川 和香奈 67.1 61.7 ▲ 27.0 9 ▲ 74.2 26.6 11
12 平島 誉久 ▲ 17.8 17.1 ▲ 2.2 29.1 ▲ 15.2 0.5 11.5 12
13 須賀 智博 ▲ 13.8 ▲ 38.8 24.6 8.2 2 11.7 ▲ 6.1 13
14 藤原 洋一 34.3 10.4 35.5 ▲ 12.9 ▲ 78.7 ▲ 21.4 14
15 中村 龍太 11.8 ▲ 36.5 ▲ 25.6 ▲ 60.6 15.7 50.4 ▲ 44.8 15
16 真光 祐尚 ▲ 28.4 35.5 ▲ 31.0 ▲ 23.3 ▲ 67.2 16
17 西野 拓也 ▲ 7.6 10.3 ▲ 1.4 ▲ 71.8 ▲ 13.6 13 ▲ 71.1 17
18 田中 利加子 ▲ 5.0 ▲ 69.4 1.4 ▲ 44.1 ▲ 6.4 34.5 ▲ 89.0 18
19 土橋 篤 ▲ 1.0 ▲ 38.8 19.7 18.6 ▲ 73.1 ▲ 34.0 ▲ 108.6 19
20 吉木 輝 ▲ 43.8 ▲ 10.2 ▲ 13.0 ▲ 9.5 ▲ 5.4 ▲ 101.4 ▲ 183.3 20
21 三盃 志 ▲ 29.3 ▲ 23.7 ▲ 22.7 ▲ 34.0 ▲ 17.5 ▲ 127.2 21
22 砂原 裕美子 1.7 ▲ 89.4 ▲ 44.0 ▲ 19.6 ▲ 37.4 ▲ 188.7 22
23 柳田 圭介 ▲ 34.6 ▲ 70.0 ▲ 87.0 ▲ 60.2 ▲ 19.4 ▲ 291.2 23

第20期 Aリーグ 前期第5節レポート

前期最終節開始時+155.0Pでトップの東。+109.8Pで2着目の皆川。
2人の争いになるかと思われていたのだが、そこに待ったをかけたのは+72.0Pで4位だった遠藤。
親の3倍満をツモりあげるなど怒涛の勢いで猛追し、最終半荘で東を追い抜くところまでに達する。

しかしオーラス、東がドラツモの1,000・2,000で遠藤の原点を割ってマクり返した。
ドラマチックな幕引きで、前期優勝を果たしたのは東幸一郎プロでした。

順位 名前 前期 1節 前期 2節 前期 3節 前期 4節 前期 5節 前期 合計
1 東 幸一郎 12.8 0.1 125.2 16.9 ▲ 3.7 151.3
2 遠藤 昭太 11.1 ▲ 24.4 67 18.3 74.7 146.7
3 皆川 直毅 ▲ 7.3 59.9 8.9 48.3 ▲ 19.3 90.5
4 今 貴聡 ▲ 73.9 52.9 57.8 50.4 ▲ 28.3 58.9
5 粕谷 勇吉 66.4 ▲ 24.1 5 ▲ 53.8 41.3 34.8
6 青木 武 1.6 5.6 ▲ 13.0 10.6 24.5 29.3
7 泉 亮多 21 36 ▲ 67.0 51.1 ▲ 18.8 22.3
8 菅原 直哉 54.8 ▲ 15.2 3.8 19.7 ▲ 43.4 19.7
9 渡部 稔 50.9 40.4 11.2 ▲ 95.8 4.7 11.4
10 工藤 宏紀 47.7 ▲ 4.7 ▲ 57.8 ▲ 30.6 49.1 3.7
11 高橋 清隆 ▲ 54.8 0.5 11 28.8 ▲ 10.7 ▲ 25.2
12 藤本 修二 ▲ 43.8 39.5 38.3 ▲ 14.2 ▲ 51.7 ▲ 31.9
13 平田 孝章 ▲ 2.9 ▲ 11.6 21 ▲ 29.6 ▲ 10.6 ▲ 33.7
14 国丸 仁哉 ▲ 11.0 47.1 ▲ 29.5 0 ▲ 50.0 ▲ 43.4
15 齋藤 大介 ▲ 21.7 ▲ 19.1 7.3 10 ▲ 27.8 ▲ 51.3
16 雁屋 哲矢 39.2 ▲ 28.6 ▲ 39.2 0 ▲ 50.0 ▲ 78.6
17 佐藤 大介 ▲ 41.0 ▲ 42.7 41 ▲ 66.9 28.8 ▲ 80.8
18 杜 麻沙也 4.9 ▲ 53.2 ▲ 76.9 34.7 ▲ 7.1 ▲ 97.6
19 吉田 勝弥 ▲ 65.2 ▲ 5.2 ▲ 90.0 ▲ 19.5 47.4 ▲ 132.5
20 大里 奈美 6.1 ▲ 53.2 ▲ 64.1 0.8 ▲ 69.1 ▲ 179.5

東北プロリーグ レポート/第20期 Aリーグ 前期第5節レポート

前期最終節開始時+155.0Pでトップの東。+109.8Pで2着目の皆川。
2人の争いになるかと思われていたのだが、そこに待ったをかけたのは+72.0Pで4位だった遠藤。
親の3倍満をツモりあげるなど怒涛の勢いで猛追し、最終半荘で東を追い抜くところまでに達する。
しかしオーラス、東がドラツモの1,000・2,000で遠藤の原点を割ってマクり返した。
ドラマチックな幕引きで、前期優勝を果たしたのは東幸一郎プロでした。

順位 名前 前期 1節 前期 2節 前期 3節 前期 4節 前期 5節 前期 合計
1 東 幸一郎 12.8 0.1 125.2 16.9 ▲ 3.7 151.3
2 遠藤 昭太 11.1 ▲ 24.4 67 18.3 74.7 146.7
3 皆川 直毅 ▲ 7.3 59.9 8.9 48.3 ▲ 19.3 90.5
4 今 貴聡 ▲ 73.9 52.9 57.8 50.4 ▲ 28.3 58.9
5 粕谷 勇吉 66.4 ▲ 24.1 5 ▲ 53.8 41.3 34.8
6 青木 武 1.6 5.6 ▲ 13.0 10.6 24.5 29.3
7 泉 亮多 21 36 ▲ 67.0 51.1 ▲ 18.8 22.3
8 菅原 直哉 54.8 ▲ 15.2 3.8 19.7 ▲ 43.4 19.7
9 渡部 稔 50.9 40.4 11.2 ▲ 95.8 4.7 11.4
10 工藤 宏紀 47.7 ▲ 4.7 ▲ 57.8 ▲ 30.6 49.1 3.7
11 高橋 清隆 ▲ 54.8 0.5 11 28.8 ▲ 10.7 ▲ 25.2
12 藤本 修二 ▲ 43.8 39.5 38.3 ▲ 14.2 ▲ 51.7 ▲ 31.9
13 平田 孝章 ▲ 2.9 ▲ 11.6 21 ▲ 29.6 ▲ 10.6 ▲ 33.7
14 国丸 仁哉 ▲ 11.0 47.1 ▲ 29.5 0 ▲ 50.0 ▲ 43.4
15 齋藤 大介 ▲ 21.7 ▲ 19.1 7.3 10 ▲ 27.8 ▲ 51.3
16 雁屋 哲矢 39.2 ▲ 28.6 ▲ 39.2 0 ▲ 50.0 ▲ 78.6
17 佐藤 大介 ▲ 41.0 ▲ 42.7 41 ▲ 66.9 28.8 ▲ 80.8
18 杜 麻沙也 4.9 ▲ 53.2 ▲ 76.9 34.7 ▲ 7.1 ▲ 97.6
19 吉田 勝弥 ▲ 65.2 ▲ 5.2 ▲ 90.0 ▲ 19.5 47.4 ▲ 132.5
20 大里 奈美 6.1 ▲ 53.2 ▲ 64.1 0.8 ▲ 69.1 ▲ 179.5

『手牌を折る』

勝負は2日目の第2戦に入ります。

前の半荘は運よくオーラスで瀬戸熊のトップを捲り、トップを拾うことができました。
麻雀ではよくある出来事のようですが、一発と裏なしの競技麻雀では現れる頻度が違います。
おそらく半分以下でしょう。

瀬戸熊にすれば、一番マークしていたボクからのマクリですから、つらい展開となります。
当然、次からボクをマークしてくるはずです。

瀬戸熊の麻雀はボクの目から受ける印象は、王道です。
謙虚に配牌とツモを見据え、アガリに向かって邁進する。
もちろん、行くときは行くがオリるときはきっちりオリる。
小手先の技は使わず正々堂々、大技で勝負する。

ただ、他の打ち手と違うのは、攻めの強さと折れない心を持っているところでしょうか。
攻めの強さはピカ一です。攻めと心…これが両方とも素晴らしい。
そして年齢的に打ち盛りであること。彼が今、トップの座でいられる理由は、ここにあるのだと思います。

第7戦は、瀬戸熊がボクの上家、当然、ボクに対しての牌の絞りはきつくなると予想できます。
しかし気にすることはありません、麻雀というゲームは相対で戦う場合、上家より動ける分、下家が有利なのです。
牌は絞られる側より、絞る側の方が不利です。
なぜなら、その仕掛けが空仕掛けやブラフであっても、牌を絞る必要があるからです。
しかしボクは、めったにブラフは使いません。仕掛けて動くからには、必ず理由があるときです。
しない理由はブラフを多用する者は、ブラフで崩れることが多いからです。

東1局のボクの配牌がこう。

二万四万七万八万二索八索一筒四筒七筒南西白中 ドラ二万

これが9巡目にこうなりました。

column_hououi_03_08_01

配牌からツモは伸びた方ですが、しかし巡目が遅くイマイチ気に入らない。
マンズの形が重く感じます。でも、2枚のドラがあり、これは何としても生かしたい。
なので、オヤの七筒にポンの声を発し、一度手牌を折ります。

手をタンヤオの動ける手に切り替えるのです。先制攻撃と2枚のドラの活用です。
考えて鳴いているのではなく、これは瞬間動作で体の反応です。

ボクはプロの道に入って37年なります。
その間、濃度も打チャン数でも誰にも引けはとらないと思っています。
そこで培った感性を信じて打つ、これがボクの麻雀です。

ボクが動きを見せた途端、すかさず瀬戸熊がツモ切りリーチで圧力をかけてきました。
これが彼の麻雀の決断力とキレの良さです。
向こうはテンパイでこちらは1シャンテンですが、もうこうなったら気合いで真っ向勝負です。
押し込まれてはいけない。

頼みの綱は彼がヤミテンしていたことで、好形テンパイなら即リーチのはずです。
ですから強行突破、こちらの武器は2枚のドラです。
14巡目にやっと追いつき、引き勝つことができました。

column_hououi_03_08_02

この結果は、前の半荘の流れがそのまま続いているように感じました。
しかし、この半荘のトップは右田です。でもこれでいい、大事なのは瀬戸熊との差なのです。
彼を押さえなければボクの勝ちはないと思っているだけで、右田を軽視しているわけではありません。

column_hououi_03_08_03

右田は滝沢和典と同期で千葉県在住。歳は少し右田が上です。
麻雀を始めたのは高校1年で、2年のときは仲間にはほとんど負けなかったと云います。
フリーのデビューは18歳と早熟です。A1まで上るのに8年、今期で4年目となります。
これは立派な成績と云えるでしょう。

A2まで上がるのもメディアに登場するのも滝沢の方が速かったはずですが、滝沢も今はB1に陥落。
これも勝負の世界の明暗なのです。
しかしそれは、人生と麻雀の途中経過に過ぎず、真のゴールはずっと先にあるでしょう。

回戦、ボクの予知した通り、この回にやっとボクの風が吹きました。

column_hououi_03_08_04

まず親満で、主導権を握ります。
大事なのはこの後でいくら加点できるかにあります。

この後、小さなアガリでしたが9種倒牌が2度あり、6本積んでボクのオヤが流れます。
さらに満貫のツモ。

column_hououi_03_08_05

もうこうなれば、仕上がった状態と云えるでしょう。
そしてこの半チャンの結果はこうです。

column_hououi_03_08_06

さあ、このまま決まるかと思ったのですが敵もさる者、そう思い通りにさせてなどくれませんでした。
この後のボクは小さいながら2ラスを引きます。
麻雀の女神は、またボクに試練を与えます。

そして10回戦の総合成績がこう。

荒+53.6P
右田+44.8P
瀬戸熊▲23.9P
望月▲72.5P

瀬戸熊との差は約80P…まだ安心はできません。
次の対戦は1週間後。体を休め万全の体調で臨まなくてはなりません。

鳳凰の部屋/『手牌を折る』

勝負は2日目の第2戦に入ります。
前の半荘は運よくオーラスで瀬戸熊のトップを捲り、トップを拾うことができました。
麻雀ではよくある出来事のようですが、一発と裏なしの競技麻雀では現れる頻度が違います。
おそらく半分以下でしょう。
瀬戸熊にすれば、一番マークしていたボクからのマクリですから、つらい展開となります。
当然、次からボクをマークしてくるはずです。
瀬戸熊の麻雀はボクの目から受ける印象は、王道です。
謙虚に配牌とツモを見据え、アガリに向かって邁進する。
もちろん、行くときは行くがオリるときはきっちりオリる。
小手先の技は使わず正々堂々、大技で勝負する。
ただ、他の打ち手と違うのは、攻めの強さと折れない心を持っているところでしょうか。
攻めの強さはピカ一です。攻めと心…これが両方とも素晴らしい。
そして年齢的に打ち盛りであること。彼が今、トップの座でいられる理由は、ここにあるのだと思います。
第7戦は、瀬戸熊がボクの上家、当然、ボクに対しての牌の絞りはきつくなると予想できます。
しかし気にすることはありません、麻雀というゲームは相対で戦う場合、上家より動ける分、下家が有利なのです。
牌は絞られる側より、絞る側の方が不利です。
なぜなら、その仕掛けが空仕掛けやブラフであっても、牌を絞る必要があるからです。
しかしボクは、めったにブラフは使いません。仕掛けて動くからには、必ず理由があるときです。
しない理由はブラフを多用する者は、ブラフで崩れることが多いからです。
東1局のボクの配牌がこう。
二万四万七万八万二索八索一筒四筒七筒南西白中 ドラ二万
これが9巡目にこうなりました。
column_hououi_03_08_01
配牌からツモは伸びた方ですが、しかし巡目が遅くイマイチ気に入らない。
マンズの形が重く感じます。でも、2枚のドラがあり、これは何としても生かしたい。
なので、オヤの七筒にポンの声を発し、一度手牌を折ります。
手をタンヤオの動ける手に切り替えるのです。先制攻撃と2枚のドラの活用です。
考えて鳴いているのではなく、これは瞬間動作で体の反応です。
ボクはプロの道に入って37年なります。
その間、濃度も打チャン数でも誰にも引けはとらないと思っています。
そこで培った感性を信じて打つ、これがボクの麻雀です。
ボクが動きを見せた途端、すかさず瀬戸熊がツモ切りリーチで圧力をかけてきました。
これが彼の麻雀の決断力とキレの良さです。
向こうはテンパイでこちらは1シャンテンですが、もうこうなったら気合いで真っ向勝負です。
押し込まれてはいけない。
頼みの綱は彼がヤミテンしていたことで、好形テンパイなら即リーチのはずです。
ですから強行突破、こちらの武器は2枚のドラです。
14巡目にやっと追いつき、引き勝つことができました。
column_hououi_03_08_02
この結果は、前の半荘の流れがそのまま続いているように感じました。
しかし、この半荘のトップは右田です。でもこれでいい、大事なのは瀬戸熊との差なのです。
彼を押さえなければボクの勝ちはないと思っているだけで、右田を軽視しているわけではありません。
column_hououi_03_08_03
右田は滝沢和典と同期で千葉県在住。歳は少し右田が上です。
麻雀を始めたのは高校1年で、2年のときは仲間にはほとんど負けなかったと云います。
フリーのデビューは18歳と早熟です。A1まで上るのに8年、今期で4年目となります。
これは立派な成績と云えるでしょう。
A2まで上がるのもメディアに登場するのも滝沢の方が速かったはずですが、滝沢も今はB1に陥落。
これも勝負の世界の明暗なのです。
しかしそれは、人生と麻雀の途中経過に過ぎず、真のゴールはずっと先にあるでしょう。

回戦、ボクの予知した通り、この回にやっとボクの風が吹きました。

column_hououi_03_08_04
まず親満で、主導権を握ります。
大事なのはこの後でいくら加点できるかにあります。
この後、小さなアガリでしたが9種倒牌が2度あり、6本積んでボクのオヤが流れます。
さらに満貫のツモ。
column_hououi_03_08_05
もうこうなれば、仕上がった状態と云えるでしょう。
そしてこの半チャンの結果はこうです。
column_hououi_03_08_06
さあ、このまま決まるかと思ったのですが敵もさる者、そう思い通りにさせてなどくれませんでした。
この後のボクは小さいながら2ラスを引きます。
麻雀の女神は、またボクに試練を与えます。
そして10回戦の総合成績がこう。
荒+53.6P
右田+44.8P
瀬戸熊▲23.9P
望月▲72.5P
瀬戸熊との差は約80P…まだ安心はできません。
次の対戦は1週間後。体を休め万全の体調で臨まなくてはなりません。

第20期 Aリーグ 前期最終節成績表

順位 名前 前期 1節 前期 2節 前期 3節 前期 4節 前期 5節 前期 合計
1 東 幸一郎 12.8 0.1 125.2 16.9 ▲ 3.7 151.3
2 遠藤 昭太 11.1 ▲ 24.4 67 18.3 74.7 146.7
3 皆川 直毅 ▲ 7.3 59.9 8.9 48.3 ▲ 19.3 90.5
4 今 貴聡 ▲ 73.9 52.9 57.8 50.4 ▲ 28.3 58.9
5 粕谷 勇吉 66.4 ▲ 24.1 5 ▲ 53.8 41.3 34.8
6 青木 武 1.6 5.6 ▲ 13.0 10.6 24.5 29.3
7 泉 亮多 21 36 ▲ 67.0 51.1 ▲ 18.8 22.3
8 菅原 直哉 54.8 ▲ 15.2 3.8 19.7 ▲ 43.4 19.7
9 渡部 稔 50.9 40.4 11.2 ▲ 95.8 4.7 11.4
10 工藤 宏紀 47.7 ▲ 4.7 ▲ 57.8 ▲ 30.6 49.1 3.7
11 高橋 清隆 ▲ 54.8 0.5 11 28.8 ▲ 10.7 ▲ 25.2
12 藤本 修二 ▲ 43.8 39.5 38.3 ▲ 14.2 ▲ 51.7 ▲ 31.9
13 平田 孝章 ▲ 2.9 ▲ 11.6 21 ▲ 29.6 ▲ 10.6 ▲ 33.7
14 国丸 仁哉 ▲ 11.0 47.1 ▲ 29.5 0 ▲ 50.0 ▲ 43.4
15 齋藤 大介 ▲ 21.7 ▲ 19.1 7.3 10 ▲ 27.8 ▲ 51.3
16 雁屋 哲矢 39.2 ▲ 28.6 ▲ 39.2 0 ▲ 50.0 ▲ 78.6
17 佐藤 大介 ▲ 41.0 ▲ 42.7 41 ▲ 66.9 28.8 ▲ 80.8
18 杜 麻沙也 4.9 ▲ 53.2 ▲ 76.9 34.7 ▲ 7.1 ▲ 97.6
19 吉田 勝弥 ▲ 65.2 ▲ 5.2 ▲ 90.0 ▲ 19.5 47.4 ▲ 132.5
20 大里 奈美 6.1 ▲ 53.2 ▲ 64.1 0.8 ▲ 69.1 ▲ 179.5

東北プロリーグ 成績表/第20期 Aリーグ 前期最終節成績表

順位 名前 前期 1節 前期 2節 前期 3節 前期 4節 前期 5節 前期 合計
1 東 幸一郎 12.8 0.1 125.2 16.9 ▲ 3.7 151.3
2 遠藤 昭太 11.1 ▲ 24.4 67 18.3 74.7 146.7
3 皆川 直毅 ▲ 7.3 59.9 8.9 48.3 ▲ 19.3 90.5
4 今 貴聡 ▲ 73.9 52.9 57.8 50.4 ▲ 28.3 58.9
5 粕谷 勇吉 66.4 ▲ 24.1 5 ▲ 53.8 41.3 34.8
6 青木 武 1.6 5.6 ▲ 13.0 10.6 24.5 29.3
7 泉 亮多 21 36 ▲ 67.0 51.1 ▲ 18.8 22.3
8 菅原 直哉 54.8 ▲ 15.2 3.8 19.7 ▲ 43.4 19.7
9 渡部 稔 50.9 40.4 11.2 ▲ 95.8 4.7 11.4
10 工藤 宏紀 47.7 ▲ 4.7 ▲ 57.8 ▲ 30.6 49.1 3.7
11 高橋 清隆 ▲ 54.8 0.5 11 28.8 ▲ 10.7 ▲ 25.2
12 藤本 修二 ▲ 43.8 39.5 38.3 ▲ 14.2 ▲ 51.7 ▲ 31.9
13 平田 孝章 ▲ 2.9 ▲ 11.6 21 ▲ 29.6 ▲ 10.6 ▲ 33.7
14 国丸 仁哉 ▲ 11.0 47.1 ▲ 29.5 0 ▲ 50.0 ▲ 43.4
15 齋藤 大介 ▲ 21.7 ▲ 19.1 7.3 10 ▲ 27.8 ▲ 51.3
16 雁屋 哲矢 39.2 ▲ 28.6 ▲ 39.2 0 ▲ 50.0 ▲ 78.6
17 佐藤 大介 ▲ 41.0 ▲ 42.7 41 ▲ 66.9 28.8 ▲ 80.8
18 杜 麻沙也 4.9 ▲ 53.2 ▲ 76.9 34.7 ▲ 7.1 ▲ 97.6
19 吉田 勝弥 ▲ 65.2 ▲ 5.2 ▲ 90.0 ▲ 19.5 47.4 ▲ 132.5
20 大里 奈美 6.1 ▲ 53.2 ▲ 64.1 0.8 ▲ 69.1 ▲ 179.5

第29期十段戦 優勝は瀬戸熊直樹!!

優勝:瀬戸熊 直樹 
準優勝: 堀内 正人 第3位:仁平 宣明 第4位:浜上 文吾 第5位:安東 裕允

初日 二日目 最終日  

初~二段戦 ・三~四段戦五~六・七段戦八・九~九段戦Sベスト16ベスト8初日二日目
ベスト16動画 ・ベスト8動画
開催概要 ⇒優勝者予想はこちら 第29期十段戦 個人成績はこちら 個人成績(グラフ)はこちら

連盟インフォメーション/第29期十段戦 優勝は瀬戸熊直樹!!

優勝:瀬戸熊 直樹 
準優勝: 堀内 正人 第3位:仁平 宣明 第4位:浜上 文吾 第5位:安東 裕允

初日 二日目 最終日  
初~二段戦 ・三~四段戦五~六・七段戦八・九~九段戦Sベスト16ベスト8初日二日目
ベスト16動画 ・ベスト8動画
開催概要 ⇒優勝者予想はこちら 第29期十段戦 個人成績はこちら 個人成績(グラフ)はこちら

第10期 ベスト16レポート

厳しい残暑が続く9月上旬、ベスト16の熱い闘いが行われた。

A卓:筒井久美子、鳥越智恵子(最高位戦)、清水香織、中山奈々美

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左から 筒井 久美子、中山 奈々美、鳥超 智恵子(最高位戦)、清水 香織

筒井は、昨年準優勝でここからのシード。最高位戦の鳥越は今回初出場で一次予選からの勝ち上がり。
第2期覇者の清水と、昨年ベスト16の中山は二次予選からの勝ち上がり。

ベスト16と準決勝は半荘5回戦のトーナメントで、ルールは一発裏ドラ有りの連盟Bルールだ。

いきなり跳満ツモからの大トップで、幸先良くスタートした筒井だったが2回戦から失速。
地力に勝る清水が圧倒的に場を制し4回戦終了時点で当確。

4回戦終了時成績
清水+76.9P  鳥越+2.7P  筒井▲31.7P  中山▲47.9P

最終戦、筒井と中山はトップが最低条件で、鳥越をラスにするか、かなりの点差をつけることが必要になった。
東2局、西家・筒井が中山の親で倍満ツモ。

五万六万六万七万七万三索三索六索七索八索六筒七筒八筒 リーチ ツモ八万 ドラ北 裏ドラ三索

一撃で鳥越に並びかけたが、中山もまだ諦めない。
南場の親で、筒井からリーチ一発七対子の9.600を打ち取ると、次局、リーチツモ一発イーペーコーの4,000オールでトップを捲くる。
筒井も1.300・2.600を引き返して再びトップ目に立つ。
鳥越もガードが固く放銃しないが、2人がツモリ合うので3着目。

オーラスは、筒井の親番。
現状のトータル込みで、ポイントは筒井が2.7Pまだ下である。
連荘必死の筒井が、機敏に仕掛けて1.000オール。これで筒井が1.3P上になった。
同1本場でも2フーロで決めにいく。

四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒 ポン北北北 チー一筒二筒三筒 ドラ八筒

南家・鳥越も条件を満たす2.000点のヤミテン。

二万二万六万七万八万一索二索三索四索五索七筒八筒九筒

ピンズはもう脇からは出ないが、三索六索なら両脇からもこぼれるかも知れない分、鳥越がやや有利かと思ったが、鳥越が三筒を掴んで勝負が着いた。

最終成績
清水+62.2P  筒井+0.1P  鳥越▲23.4P  中山▲38.9P

勝ち上がり者  清水香織  筒井久美子

B卓:石井阿依(協会)、魚谷祐侑未、京杜なお(最高位戦)、内田美乃里

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左から 京杜 なお(最高位戦)、内田 美乃里、魚谷 侑未、石井 阿依(協会)

石井阿依は第7期に初出場した時から、3年連続で決勝に残っている強者。
魚谷は現女流桜花でここからのシード。
京杜は、昨年準決勝のオーラスまで筒井と大接戦を繰りひろげて悔しい逆転負けを味わったが、今年またトーナメントまで勝ち上がった。
内田は第5期と第8期に決勝に残った実力者で、3度目の正直を狙う。

ゲームは初戦ダントツを決めた内田が3戦目も制し、1人だけ早々と当確。
他の3人は同じ位のマイナスで横一戦だったが、女流桜花の底力か、
ラストスパートをかけた魚谷が4、5回戦を連勝して内田と共に余裕で勝切った。

石井は4年目にして初の途中敗退。
京杜は今年も無念の敗退となったが、2人にはまた来年の再挑戦に期待したい。

最終成績
内田+38.2P  魚谷+36.1P  石井▲22.0P  京杜▲35.1P

勝ち上がり者  内田美乃里  魚谷侑未

C卓:黒沢咲、石井あや(最高位戦)、安田麻里菜、室伏理麻

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左から 黒沢 咲、室伏 理麻、安田 麻里菜、石井 あや(最高位戦)

ここからシードの黒沢は、第6、7期の連覇を含み、昨年まで4年連続決勝を闘っているプロクイーンの第一人者。
本場所のプロリーグでもA2リーグで堂々の優勝争いをしていて、今や女流ではトップクラスの実力者として君臨している。

同じくシード選手の石井は、第8期に黒沢の三連覇を阻止して優勝し、和久津に奪われた昨年も黒沢と決勝で闘った。
2人の女王が早くも合間見えることになったが、二次予選から勝ち上がりの安田は、前期の女流桜花で決勝進出。
室伏はチャンピオンズリーグ優勝経験があり、2人とも女流ではAリーガー、女王達に土をつける力は持っている。

試合展開はスタートから明暗を分けた。
石井が抜け出し、安田が後に続く。置いていかれた黒沢と室伏は、3回戦でも3着かラスなら早々と敗戦濃厚になってしまう。
お互いに後が無い室伏と黒沢の、3回戦南2局、南家の黒沢が意志のこもった手作りで七対子リーチ。

五万五万一索九索九索二筒二筒四筒四筒五筒五筒西西 リーチ ドラ五万

場には二索が4枚切れで一索が1枚切れ、狙って作った絶好の待ちで2枚山。
親の室伏が苦し紛れで追いかける。

二万三万四万七万八万九万四索四索四索二筒二筒三筒四筒 リーチ

五筒も1枚だけ山にいるが、形から見ても打点的にも普通は黒沢の勝ちかと観ていると、他家にカンが入った後、黒沢がラス五筒を掴んでしまった。
リーチのみならまだ救われるが、カン裏が二筒で7,700になったのは痛すぎる。
裏も五万だったから、黒沢の手は出アガリでも倍満だった。同情するくらいのツカンポだが、この局で黒沢は事実上ジ・エンド。
最後まで諦めの表情を見せずに闘ったが、この日はどうしようも無かった。

逆に、このアガリをきっかけに、室伏が突然確変に入る。
次局リーチで黒沢から4.800。次は石井から12.000。
そして6.000オールと、怒涛のラッシュで約5万点浮きの特大トップ。
一躍トータル2位に踊り出た。

2年前に優勝したときは、手硬く攻守のバランスのとれた麻雀だった石井だが、確変中の親の室伏のリーチに一発で飛び込むなどして箱ラスを引き、
1回で貯金を殆ど吐き出したのは彼女らしくなかった。
しかし、室伏が4回戦でまたラスを引き3位に落ちるなど、出入りの激しい麻雀だったため、再び石井がトータル2着に戻ったのだが、
最終戦では、石井がお返しのようにラスを引き、元女王と前女王が2人共敗退する波乱となった。

最終成績
安田+55.1P  室伏+8.1P  石井▲18.9P  黒沢▲44.3P

勝ち上がり者  安田麻里菜  室伏理麻

D卓:豊後葵(協会)白河雪菜 藤井すみれ 北野由実

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左から 藤井 すみれ、北野 由実、白河 雪菜、豊後 葵(協会)

協会の豊後は今回が初参戦。
白河も藤井もこれまでプロクイーンでの好成績は特に無い。
前期のチャンピオンズリーグ優勝の北野は、新人の頃、このプロクイーンの準決勝に残り、決勝まで後一歩及ばなかった経験があり、
この卓のメンバーでは、一日の長があるかと思われたが、この日は超絶不調だったようで、一度もプラスすること無く大敗に終わった。

勝敗を分けた大きな分岐点は、2回戦のラス前、豊後の親。
初戦が2着だった豊後は、15.000点持ちのラス目で、南家の藤井は45.000点持ちのトップ目だった。
藤井は初戦ラスだったが、このまま2回戦をトップで終わればこれからの勝負だ。

まず豊後が、七対子ドラ2の1シャンテンから6巡目に1枚目の白をポンで、リャンシャンテンに戻る仕掛けを敢行する。

一万一万六索六索七索一筒一筒発発中 ポン白白白 ドラ一万

南家・藤井が、豊後の切った三筒をチーテンに取る。

一索二索三索六索七索南南南北北 チー二筒三筒四筒

残りの形と巡目の早さを考えると、少し勿体無いような気もするが、どうしてもトップで終わりたくて捌きに行ったようだ。
ところが、藤井の次のツモはドラの一万で、これをツモ切ると豊後がポンして打中。藤井に回ってきたのは生牌の発

ここまで中を引っぱるのは、三元役を追いかけたと読めるので、超怖い発だが藤井はこれもツモ切り豊後もテンパイ。

六索六索七索一筒一筒 ポン発発発 ポン一万一万一万 ポン白白白

豊後は六索が1枚切れていることもあり、トイトイにせず六索切りで両面に受けた。
藤井と同テンであるが、脇の2人は当然ベタオリだから何も出ない。
五索八索は河に1枚も顔を見せていないが、豊後の次のツモは七索、ここで豊後は思いなおして打六索とし、トイトイに戻した。
この判断が良く、五索八索ならアガれていなかった。

途中、白発を加カンするとカンドラが一筒になり親倍にアップ。
最後のツモで一筒を引き当て、一気にラスからトップになった。

実は藤井は、途中掴んだスジ牌の三索で怖くなってオリたのだが、押しきっていれば藤井が先に八索をツモッていたのだ。

捌くと腹を括ったのなら最後まで押すべきだと思うし、受けるならドラか発のところで止めていれば豊後は仕掛け倒れに終わっただろう。

一番中途半端な押し引きで逆転を許した藤井は、この後苦しい闘いとなり、勢いに乗った豊後は4回戦で当確。
手堅くプラスを重ねて2位に着ける白河も、4回戦終了時で3位の藤井と70P近い差となり最終戦は消化ゲームとなった。

最終成績
豊後+90.6P  白河+56.8P  藤井▲24.9P  北野▲126.0P

勝上がり者  豊後葵  白河雪菜

これで準決勝進出者が全て確定し組合せは次の通り。

A卓:清水香織vs内田美乃里vs筒井久美子vs豊後葵
B卓:安田麻里菜vs魚谷侑未vs室伏理麻vs白河雪菜

さて、現女王・和久津晶への挑戦者となるのは誰なのだろうか?

(文中敬称略)

プロクイーン決定戦 レポート/第10期 ベスト16レポート

厳しい残暑が続く9月上旬、ベスト16の熱い闘いが行われた。
A卓:筒井久美子、鳥越智恵子(最高位戦)、清水香織、中山奈々美

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左から 筒井 久美子、中山 奈々美、鳥超 智恵子(最高位戦)、清水 香織

筒井は、昨年準優勝でここからのシード。最高位戦の鳥越は今回初出場で一次予選からの勝ち上がり。
第2期覇者の清水と、昨年ベスト16の中山は二次予選からの勝ち上がり。
ベスト16と準決勝は半荘5回戦のトーナメントで、ルールは一発裏ドラ有りの連盟Bルールだ。
いきなり跳満ツモからの大トップで、幸先良くスタートした筒井だったが2回戦から失速。
地力に勝る清水が圧倒的に場を制し4回戦終了時点で当確。
4回戦終了時成績
清水+76.9P  鳥越+2.7P  筒井▲31.7P  中山▲47.9P
最終戦、筒井と中山はトップが最低条件で、鳥越をラスにするか、かなりの点差をつけることが必要になった。
東2局、西家・筒井が中山の親で倍満ツモ。
五万六万六万七万七万三索三索六索七索八索六筒七筒八筒 リーチ ツモ八万 ドラ北 裏ドラ三索
一撃で鳥越に並びかけたが、中山もまだ諦めない。
南場の親で、筒井からリーチ一発七対子の9.600を打ち取ると、次局、リーチツモ一発イーペーコーの4,000オールでトップを捲くる。
筒井も1.300・2.600を引き返して再びトップ目に立つ。
鳥越もガードが固く放銃しないが、2人がツモリ合うので3着目。
オーラスは、筒井の親番。
現状のトータル込みで、ポイントは筒井が2.7Pまだ下である。
連荘必死の筒井が、機敏に仕掛けて1.000オール。これで筒井が1.3P上になった。
同1本場でも2フーロで決めにいく。
四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒 ポン北北北 チー一筒二筒三筒 ドラ八筒
南家・鳥越も条件を満たす2.000点のヤミテン。
二万二万六万七万八万一索二索三索四索五索七筒八筒九筒
ピンズはもう脇からは出ないが、三索六索なら両脇からもこぼれるかも知れない分、鳥越がやや有利かと思ったが、鳥越が三筒を掴んで勝負が着いた。
最終成績
清水+62.2P  筒井+0.1P  鳥越▲23.4P  中山▲38.9P

勝ち上がり者  清水香織  筒井久美子

B卓:石井阿依(協会)、魚谷祐侑未、京杜なお(最高位戦)、内田美乃里

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左から 京杜 なお(最高位戦)、内田 美乃里、魚谷 侑未、石井 阿依(協会)

石井阿依は第7期に初出場した時から、3年連続で決勝に残っている強者。
魚谷は現女流桜花でここからのシード。
京杜は、昨年準決勝のオーラスまで筒井と大接戦を繰りひろげて悔しい逆転負けを味わったが、今年またトーナメントまで勝ち上がった。
内田は第5期と第8期に決勝に残った実力者で、3度目の正直を狙う。
ゲームは初戦ダントツを決めた内田が3戦目も制し、1人だけ早々と当確。
他の3人は同じ位のマイナスで横一戦だったが、女流桜花の底力か、
ラストスパートをかけた魚谷が4、5回戦を連勝して内田と共に余裕で勝切った。
石井は4年目にして初の途中敗退。
京杜は今年も無念の敗退となったが、2人にはまた来年の再挑戦に期待したい。
最終成績
内田+38.2P  魚谷+36.1P  石井▲22.0P  京杜▲35.1P

勝ち上がり者  内田美乃里  魚谷侑未

C卓:黒沢咲、石井あや(最高位戦)、安田麻里菜、室伏理麻

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左から 黒沢 咲、室伏 理麻、安田 麻里菜、石井 あや(最高位戦)

ここからシードの黒沢は、第6、7期の連覇を含み、昨年まで4年連続決勝を闘っているプロクイーンの第一人者。
本場所のプロリーグでもA2リーグで堂々の優勝争いをしていて、今や女流ではトップクラスの実力者として君臨している。
同じくシード選手の石井は、第8期に黒沢の三連覇を阻止して優勝し、和久津に奪われた昨年も黒沢と決勝で闘った。
2人の女王が早くも合間見えることになったが、二次予選から勝ち上がりの安田は、前期の女流桜花で決勝進出。
室伏はチャンピオンズリーグ優勝経験があり、2人とも女流ではAリーガー、女王達に土をつける力は持っている。
試合展開はスタートから明暗を分けた。
石井が抜け出し、安田が後に続く。置いていかれた黒沢と室伏は、3回戦でも3着かラスなら早々と敗戦濃厚になってしまう。
お互いに後が無い室伏と黒沢の、3回戦南2局、南家の黒沢が意志のこもった手作りで七対子リーチ。
五万五万一索九索九索二筒二筒四筒四筒五筒五筒西西 リーチ ドラ五万
場には二索が4枚切れで一索が1枚切れ、狙って作った絶好の待ちで2枚山。
親の室伏が苦し紛れで追いかける。
二万三万四万七万八万九万四索四索四索二筒二筒三筒四筒 リーチ
五筒も1枚だけ山にいるが、形から見ても打点的にも普通は黒沢の勝ちかと観ていると、他家にカンが入った後、黒沢がラス五筒を掴んでしまった。
リーチのみならまだ救われるが、カン裏が二筒で7,700になったのは痛すぎる。
裏も五万だったから、黒沢の手は出アガリでも倍満だった。同情するくらいのツカンポだが、この局で黒沢は事実上ジ・エンド。
最後まで諦めの表情を見せずに闘ったが、この日はどうしようも無かった。
逆に、このアガリをきっかけに、室伏が突然確変に入る。
次局リーチで黒沢から4.800。次は石井から12.000。
そして6.000オールと、怒涛のラッシュで約5万点浮きの特大トップ。
一躍トータル2位に踊り出た。
2年前に優勝したときは、手硬く攻守のバランスのとれた麻雀だった石井だが、確変中の親の室伏のリーチに一発で飛び込むなどして箱ラスを引き、
1回で貯金を殆ど吐き出したのは彼女らしくなかった。
しかし、室伏が4回戦でまたラスを引き3位に落ちるなど、出入りの激しい麻雀だったため、再び石井がトータル2着に戻ったのだが、
最終戦では、石井がお返しのようにラスを引き、元女王と前女王が2人共敗退する波乱となった。
最終成績
安田+55.1P  室伏+8.1P  石井▲18.9P  黒沢▲44.3P

勝ち上がり者  安田麻里菜  室伏理麻

D卓:豊後葵(協会)白河雪菜 藤井すみれ 北野由実

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左から 藤井 すみれ、北野 由実、白河 雪菜、豊後 葵(協会)

協会の豊後は今回が初参戦。
白河も藤井もこれまでプロクイーンでの好成績は特に無い。
前期のチャンピオンズリーグ優勝の北野は、新人の頃、このプロクイーンの準決勝に残り、決勝まで後一歩及ばなかった経験があり、
この卓のメンバーでは、一日の長があるかと思われたが、この日は超絶不調だったようで、一度もプラスすること無く大敗に終わった。
勝敗を分けた大きな分岐点は、2回戦のラス前、豊後の親。
初戦が2着だった豊後は、15.000点持ちのラス目で、南家の藤井は45.000点持ちのトップ目だった。
藤井は初戦ラスだったが、このまま2回戦をトップで終わればこれからの勝負だ。
まず豊後が、七対子ドラ2の1シャンテンから6巡目に1枚目の白をポンで、リャンシャンテンに戻る仕掛けを敢行する。
一万一万六索六索七索一筒一筒発発中 ポン白白白 ドラ一万
南家・藤井が、豊後の切った三筒をチーテンに取る。
一索二索三索六索七索南南南北北 チー二筒三筒四筒
残りの形と巡目の早さを考えると、少し勿体無いような気もするが、どうしてもトップで終わりたくて捌きに行ったようだ。
ところが、藤井の次のツモはドラの一万で、これをツモ切ると豊後がポンして打中。藤井に回ってきたのは生牌の発
ここまで中を引っぱるのは、三元役を追いかけたと読めるので、超怖い発だが藤井はこれもツモ切り豊後もテンパイ。
六索六索七索一筒一筒 ポン発発発 ポン一万一万一万 ポン白白白
豊後は六索が1枚切れていることもあり、トイトイにせず六索切りで両面に受けた。
藤井と同テンであるが、脇の2人は当然ベタオリだから何も出ない。
五索八索は河に1枚も顔を見せていないが、豊後の次のツモは七索、ここで豊後は思いなおして打六索とし、トイトイに戻した。
この判断が良く、五索八索ならアガれていなかった。
途中、白発を加カンするとカンドラが一筒になり親倍にアップ。
最後のツモで一筒を引き当て、一気にラスからトップになった。
実は藤井は、途中掴んだスジ牌の三索で怖くなってオリたのだが、押しきっていれば藤井が先に八索をツモッていたのだ。
捌くと腹を括ったのなら最後まで押すべきだと思うし、受けるならドラか発のところで止めていれば豊後は仕掛け倒れに終わっただろう。
一番中途半端な押し引きで逆転を許した藤井は、この後苦しい闘いとなり、勢いに乗った豊後は4回戦で当確。
手堅くプラスを重ねて2位に着ける白河も、4回戦終了時で3位の藤井と70P近い差となり最終戦は消化ゲームとなった。
最終成績
豊後+90.6P  白河+56.8P  藤井▲24.9P  北野▲126.0P

勝上がり者  豊後葵  白河雪菜

これで準決勝進出者が全て確定し組合せは次の通り。
A卓:清水香織vs内田美乃里vs筒井久美子vs豊後葵
B卓:安田麻里菜vs魚谷侑未vs室伏理麻vs白河雪菜
さて、現女王・和久津晶への挑戦者となるのは誰なのだろうか?
(文中敬称略)

第22期 決勝観戦記

皆さんこんにちは。
夏も真っ盛り、アップされる頃には涼しくなってきているでしょうか?
いつものように準々決勝で負けて落ち込んでいるところに、瀬戸熊さん(HP担当の代理)に頼まれました。
私内川が、渾身の力で今回の観戦記を書かせていただきます。
最後までお付き合いくだされば幸いです。

8月19日、連盟道場
会場に入り選手たちの顔色をうかがってみると、柴田、西川、羽山は、にこやかにスタッフと談笑中。
今回の決勝メンバーは皆、決勝戦の経験があるためか3者とも緊張などはなさそうである。

その3人とは少し遅れて会場入りしてきたのが福光、その表情は硬い。
明らかに緊張している。

それをみた、紺野審判員が「今日の髪形はいけてねーな」と茶化して声をかける(やさしい人だなー)。
「そうですかー?ばっちりやってきたつもりなのですが」
と、福光が照れながら答えると一気に強張っていた表情が和んだ。

牌確認をし、注意事項等が立会人の瀬戸熊から告げられる。
皆の顔がぐっと引きしまり、会場にも静寂がおとずれる。
開局のサイコロがカラカラと音を立てて、闘いがはじまった。

champ22
左から 西川淳、福光聖雄、羽山真生、柴田弘幸

『1回戦』

起家から、柴田、西川、羽山、福光
東1局、ドラは北で各位の配牌は、

柴田
一万一万二万三万六万二索六索九索二筒三筒九筒南白発

西川
四万五万六索八索二筒四筒九筒九筒東東東北白

羽山
三万三万九万二索四索五索八索八索九索一筒二筒三筒白

福光
二万七万九万三索四索五索二筒三筒南西西発発

西川と福光の手が2シャンテンと早くにまとまりそうだ。
親の柴田は第一打に一万を選んだ。

champ22
柴田弘幸

柴田弘幸
17期生・A1リーグ所属・好きな手役は、一通
第1期 チャンピオンズリーグ3位
第25期鳳凰位決定戦3位
第26期鳳凰位決定戦3位

2008年にA1に昇級し、鳳凰位決定戦にも2度進出したことのある柴田。
チャンピオンズリーグの決勝進出は第1回以来と久しぶり。
実績、格ともに今回の本命であることは間違いない。
不安要素があるとすれば、優勝経験がない事くらいか。
普段は連盟道場などに勤務。メンゼン主軸の場況重視バランス型。

2巡目にドラの北を重ねた西川が、積極的にこの形から3巡目に九筒をポン。

四万五万二筒四筒六筒九筒九筒東東東北北白

その発声に迷いが無くいつも通りに主導権をとりに行くといった感じだ。
開局ということもあり、相手がどのように対応してくるのかも見たかったのだろうか。

champ22
西川淳

西川淳
18期生・B1リーグ所属・好きな手役は、ホンイツ
第18期チャンピオンズリーグ3位
第20期麻雀マスターズ 3位

2011年のマスターズ決勝進出や同年の特別昇級リーグ優勝など近年の活躍がめざましい西川。
チャンピオンズリーグの決勝進出は第18期以来の2回目。
特昇優勝の経験や直前のリーグ戦昇級などまさに乗りにのっていて今大会勢いはナンバー1、本人もその好調さは感じているであろう。
健康マージャン教室を経営、運営する。
データを綿密にとり、全ての対局の結果や対戦者まで記録しているらしい。
仕掛けを多用し、主導権をとりに行く攻撃型。

champ22

この仕掛けを受けての羽山。手拍子で打七筒と行きそうだが、西川の最終手出しが四筒ということでリャンカンからのカン七筒もあると踏んだか。
ここは、丁寧に福光が通した八筒を打った。

champ22
羽山真生

羽山真生
27期生・C1リーグ所属・好きな手役は、ジュンチャンと七対子
第22期王位戦 優勝
第23期王位戦 優勝
第24期王位戦 準優勝
第35期王位戦 準優勝

連盟2年目の新人?であるが、アマ時代から王位戦を連覇するなどその実力は確かなものがある。
近年の王位戦でも決勝進出を果たしており、プロ入り後のタイトルが欲しい所。
普段は大手企業に勤めているが、仕事終わりにプロがゲストでいるお店に足を運んでは、やっつけているとの噂、今決勝の筆者の本命である。
引き出しがたくさんある手役重視守備型。

この羽山のファインプレーで得をしたのが福光(羽山自身含め全員このプレーを知る由も無いが)。
1,300のアガリだが、一番目立っている仕掛けの現物ということでヤミテンを選択。
西川は5,200を潰されがっくりというとこか。

実は、親の柴田もがっくりときていたのでは、ないだろうか。
もう一度先ほどの牌譜を見ていただくと分かるのだが、三万中の打ちだし順で、柴田のテンパイ牌である五筒が食い下げられているのだ。
西川の捨て牌がピンズのホンイツに見えることと、柴田の目から5枚見えの三万六万を先に打つのが普通だと思う、
また、西川が1シャンテンというのも感じとっていたであろう。

しかし、柴田ほどの選手の力からいえば、役牌暗刻のこの西川の牌姿は想定できたはず。
五筒が食い下げられたのは結果論だが(逆に、先に三万を打った事により食い下がって来てリーチに行けるケースもある)、
それらのケースが思考にあり中を先に打っておけば、即リーチに行けたであろうことなのでこの結果は変わっていただろうな、
というのも柴田なら気付いているのではないだろうか。

先ほどの羽山の七筒を止めたのは皆知る由もないが、この三万中の切り順での出来事は柴田には見えているからだ(他の3人は知らない)。
麻雀は必ず選択を迫られるゲームだ。その選択の結果は1,300の横移動であった。
しかし違う未来もあった(もしかしたら、連荘できたかも知れない)。
麻雀で大事なのは、この結果を受けて次局以降をどう戦うかだと僕は思っている。

champ22
福光聖雄

福光聖雄
25期生・C2リーグ所属・好きな手役はトイトイ
第23期新人王

昨年行われた、最強戦プロ予選を勝ちきるなど大舞台での勝負強さは素晴らしいものがある。
東大卒で、普段は大手企業に勤めるも暇をみては筆者をセットに誘ってくるナイスガイ。
瞬間集中力ひらめき攻撃型。
紹介文が適当にみえるのは、前日、ベスト16で引導を渡され、書いていてイライラしてきたのでは決して無い。
相手は格上となるが高い集中力を遺憾なく発揮して、自分の時間が作れれば勝機あり。

東2局、柴田が8巡目に四筒単騎タンヤオ七対子のリーチを打つ。
これ皆さんに是非牌譜データサービスでみられるので見てもらいたいのだが、どのくらいの人がこう打つのであろうか?
牌譜データサービスはこちら

ノーミスでテンパイし即リーチ!しかも、八筒単騎でなくて四筒単騎。
試合後、まず最初に質問したのはこの場面だった。

三筒六筒が4枚見えていた事、六筒が2枚打たれているのに八筒が1枚も見えていないから、
固められているのでは?と思って四筒単騎にしたよ、と答えてくれた。
実際、固められていた訳では無かったが、上メンツで八筒が2枚使われていて四筒は山に2枚残っていた。

champ22

よく見ている。
リーチは早い段階で掛けて相手の対応を見たかったという事を教えてくれた。
チャンピンズリーグ決勝は5回戦の短期戦だ。
相手のweekpointを一早く探し出し、どんな攻撃が利くか見極めているのだ。
相手はリーチに弱いのか?仕掛けに弱いのか?ブラフは利くのか?相手は序盤、後半どちらに強いのか?etc…

さて、結果は福光がここから五万を引きいれ123の三色5,200を西川から打ちとる。
またしても柴田はがっくり、十分なサンプルも取れず、手を相手に見せる事もできなかった。
西川もまた、真っ直ぐ作っての放銃、2連続の打ちこみに危機感を覚えたのではないか。

東3局、その西川にドラ2枚の好手が入る。

一索一索六索二筒二筒三筒四筒五筒九筒九筒九筒南南 ツモ六索 ドラ二筒

西川はここから打五筒とし、数巡後六索をポン、南を引きいれすぐに一索でロン。
トイトイドラ2で親の羽山から8,000を打ちとった。

東4局、羽山から西川にピンフの1,000点。
南1局、ここまで順調であった福光に暗雲が立ち込める。
柴田の親リーチに手詰まりオリ打ち、2,400を献上する。
柴田の第一打が利いており止むなしかと思ったが、1枚六索より安全な牌があっただけに残念だ。

牌譜再生

同1本場、柴田のアンテナ精度の高さ、相手との距離感が見てとれる局だと思う。
ここまで手らしい手がなかった羽山が、序盤に自風を仕掛けてホンイツへ、これが良く手が伸びた。
打ちこんだ羽山もこれは仕方なしか、柴田の素晴らしい選択を褒めるべきだろう。

同2本場、前々局揺らいだ福光が再びエラー。
西川のリーチに、場に1枚切れの南をトイツ落しでの打ちこみ。リーチ七対子3,200の2本場。
これは、試合後本人が一番悔んだ一打になったと漏らしていた。

南2局、親の西川と点数の無い羽山がぶつかり、結果、羽山から西川への5,800の2連続放銃。
同2本場も羽山は柴田への打ちこみとなり箱を割る、明らかにフラフラになっているのが見て取れた。
勝負手がアガれず、我武者羅に突っ込むその姿は、僕の知っている羽山ではなかった。

このあと、柴田が南3局で満貫をツモりトップ目に。
オーラスは福光が意地で浮きを確保して3人浮きで1回戦を終えた。

1回戦結果
柴田+26.9P 西川+15.4P 福光+5.4P 羽山▲47.4P

『2回戦』

1回戦、苦しい立ち上がりの柴田、西川がうまく立ち回り、福光は東場の好調を生かせず、浮きは確保したもののやや不安定な形に終わってしまった。
羽山は前のめりになりすぎたか、全14局の内6局も打ちこみがあり、勝負に行っての放銃とはいえ明らかに普段とはかけ離れた麻雀であった。
しかし、そこは経験豊富な羽山の事、巻き返しが有ることを期待したい。

起家から羽山、柴田、福光、西川

東場は全7局あったが、流局が4回と乱打戦の1回戦から一転して皆が慎重になった。
並びは、東4局に福光が柴田にリーチ三色5,200を打ちこみ、西川、羽山、柴田、福光といった形で南入した。

南1局、親の羽山の1人テンパイで連荘した1本場、柴田からドラ3のリーチが入る。

一万一万二万二万五万五万五万九万九万九万三筒四筒五筒 リーチ ドラ五万

ここは勝負どころだと一歩も引かない羽山、ソーズのホンイツでこれを制す。

一索一索二索三索三索中中 ポン七索 左向き七索 上向き七索 上向き ポン八索 上向き八索 左向き八索 上向き ロン二索

2本場も6巡目に先制リーチ。

一万二万三万三万四万五万五索六索六索七索七索南南 リーチ ドラ九索

これは実らず流局となるが、ノーテン罰符と先のアガリで4万点を超えトップ目に立つ。
この親、どこまで続くかと見ていると同3本場、あっさり柴田がこのアガリ。

champ22

タンピン三色ドラ1と綺麗な満貫。
僅か5巡目の仕上がりで、飛び込んだのは七対子1シャンテンの福光。
全体の捨て牌をみると、誰もが打つ八万で有りそうなのでこれは不運。
ただ、七対子だけに手の内に八万が残れば違う結果があったかも、まぁ冷静にヤミテンに構えた柴田の選択が勝っていたのだろう。

この後、羽山のダブルリーチに福光が飛び込み羽山トップ、福光はこの回大きく沈んだ。

二索三索四索四索五索六索二筒三筒四筒東東中中 ダブルリーチ ロン中 ドラ九筒

2回戦結果
羽山+20.4P 西川+13.9P 柴田+7.4P 福光▲41.7P

2回戦終了時
柴田+34.3P 西川+29.3P 羽山▲27.3P 福光▲36.3P

『3回戦』

やはり羽山が巻き返してきた。
1回戦とは落ち着きが全く違っていて、リーチに仕掛けに危なげない所はなくやっと試合に入り込めた感じだ。

起家から福光、柴田、西川、羽山
東1局、親は福光、タンピン形の手が入るもあっさり柴田に300・500で流されてしまう。
東2局、丁寧な手順で進めた羽山が先制リーチを打つ、4巡後、ドラ2の西川も追いかけリーチ!

羽山
五万五万五万七万七万三索四索五索八索八索八索二筒二筒 リーチ ドラ一筒

西川
一万二万二万三万三万五索五索五索一筒一筒五筒五筒五筒 リーチ

両者ツモに力が入る。
羽山が二筒を引き当て、リーチツモタンヤオ三暗刻の2,000・4,000のアガリとなった。

東3局、親の西川に大物手が入る。

八万九万七索八索九索一筒二筒三筒九筒九筒北北北 ドラ北

これが僅かに3巡目の仕上がりである。
しかし、アガリ牌の七万が既に1枚しか山におらず、このままではアガリは難しいだろうなと思って観ていた7巡目、ツモ北
これを迷わず暗カン!親のドラの暗カンに場に戦慄が走る。出アガリでも18,000、西川はヤミテンを続行。
これに反応したのが、ここまで好調の羽山。

champ22

自分が好調であると思っている時は、自然の手順で打てば(あるいは手なりで打てば)アガリが付いてくるし、
その調子を落とす事は無いと僕は思っている。

この羽山のプレーは、自分自身にとって一番最悪の結果を招いたと思う。
自然に打っていけば出て行かない牌での打ちこみ。
西川のドラ暗カンが無ければ絶対にチーはしないだろうし、前局、西川とのリーチ合戦に勝利しているのだから、
シャンテン数の変わらない動きをいれてのさばきはいらなかったのではないだろうか。

我慢していれば、タンヤオ1シャンテンの福光がアガったかもしれないし、羽山の次のツモが六万だったかもしれない。

同1本場、大きなアドバンテージを得た西川。
今回もややラフに打たれたダブ東のポンテンをとって2,900は3,200と加点していく。
点数を持てば主導権を取りにいくタイプの西川の強い時間が来る。
それをさせまいと、同2本場は羽山と福光が手を作る。

羽山
一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒中 暗カン牌の背西西牌の背 ツモ中 ドラ九筒

福光
三索四索五索六索七索八索八索八索中中 暗カン牌の背北北牌の背

勝ったのは羽山。

次局は福光が1,300・2,600のツモアガリ

五万五万五万二索三索四索五索六索七索七索白白白 リーチ ツモ四索 ドラ北

流局を挟んで南2局にも、

七万九万一索一索三筒三筒四筒四筒五筒五筒七筒八筒九筒 リーチ ツモ八万 ドラ九万

この2,000・4,000で西川に食らいつく。

オーラス、

champ22

羽山がこの7,700を福光からアガリ、次局も役牌ドラ3の4,100オール引き上げトップに立ちこの半荘を終える。
道中、18,000を打った所からの南場での修正力はさすがの一言。
しかし、あれがなければこの半荘6万点、7万点のトップがとれたのではないかと思ってしまうのは筆者の欲であろうか。
福光はオーラスに落車してプラスに転じられず、柴田は放銃は無いのだがツモアガリに削られ痛いラスとなってしまった。

3回戦結果
羽山+20.2P 西川+8.7P 福光▲4.8P 柴田▲24.1P

3回戦終了時
西川+38.0P 柴田+10.2P 羽山▲7.1P 福光▲41.1P

『4回戦』

さあ、後半戦。福光は西川を沈めての2連勝と条件ができてしまった。
柴田、羽山にとっても4回戦の結果で最終戦に届くポイントにとどめたいところであろう。

起家から柴田、羽山、西川、福光
東1局、親の柴田の配牌が1シャンテンと良い。

二万三万四万五万六万七万二索三索四索一筒七筒八筒南西 ドラ東

これが10巡目まで時間がかかって即リーチ。

二万三万四万五万六万七万三索三索四索五索六索七筒八筒 リーチ

このリーチを受けてドラを重ねた羽山が追いかける。

四万五万六万七索七索七索二筒三筒三筒四筒五筒東東 リーチ

残りツモ1回のところで羽山が柴田から一筒を打ちとり5,200。

東2局、親の羽山が前局の勢いそのままに、

二万三万四万三索四索五索一筒二筒三筒六筒六筒東東 ドラ二万

これをテンパイするも流局。
同1本場も先制リーチ!

champ22

これを捌いたのが西川。
試合後に羽山はこのリーチをかわされたのは、一番がっくり来たと言っていた。
それだけこのリーチにたどり着く道中に手ごたえがあったのであろう。
打点は安いが、この後に続く展開に期待するものは大きかったに違いない。

それだけに、この西川の四筒ツモは効いた。
親のリーチの現物待ちとはいえ、ペン四筒でアガリに賭けるのは勇気がいる。
西川にもこの局の事を聞いたら、羽山が噴きそうであったので勝負に行ったと教えてくれた。
「相手の勝負所を楽にやらせたくなかった」と勝ちに対する執念みたいなものを感じた。

東3局、そして西川のその執念がこの親番で昇華する。

三万四万三索四索五索五索六索七索九索九索 暗カン牌の背六万六万牌の背 リーチ ツモ二万 ドラ三筒

1本場
二万三万四万四万六万五索五索六筒七筒八筒 ポン五筒 左向き五筒 上向き五筒 上向き ドラ東

2本場
一万二万三万二索三索四索六索六索六索一筒三筒西西 リーチ ツモ二筒 ドラ西

3本場
二万三万四万五万五万三索三索三索東東 暗カン牌の背七筒七筒牌の背 ドラ四万

4本場
二索三索四索五索五索二筒二筒二筒三筒三筒 ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 左向き ツモ三筒 ドラ七索

5本場
五万五万一索二索三索三筒四筒五筒六筒七筒 ポン東東東 ロン八筒 ドラ五万

圧巻、あっという間に7万点!
6本場で親は落ちるも、東4局に5,200をアガリ南3局親番に、

五索五索六索六索六索三筒三筒三筒六筒七筒 チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き ツモ五筒 ドラ三筒

ダメ押しの3,900オール!
持ち点は8万点を超え最終戦を待たずして優勝を決めた。

4回戦結果
柴田▲19.8P 羽山▲10.5P 西川+64.9P 福光▲34.6P

4回戦終了時
西川+102.9P 柴田▲9.6P 羽山▲17.6P 福光▲75.7P

最終戦を戦っている4人を眺めながら、西川の大爆発の事について考えていた。
東2局までは羽山が明らかに良かった。
やはり、先の羽山のリーチをかわせたのが1つの要因であろう。

更にもう1つ、観ていて気になっていた局があった。

champ22

普段、この状況ならば柴田はポンテンをとりそうな筆者のイメージがあったので、この局を探してみたのだ。

最終戦は何事も無く、西川の優勝が決まった!

champ22
左から 越野智紀、羽山真生、柴田弘幸、松岡千晶

最終トータル
西川+79.3P  柴田+14.1P  羽山▲6.2P  福光▲87.2P

第4位:福光聖雄
「接戦にならず、4回戦途中から離されてしまったので辛かった。最後まで戦いたかった。
優勝したいという気持ちの差がでてしまったと思います」

第3位:羽山真生
「初戦の入りが良くなかったので、すごくラフになってしまってダメだったかなぁ
色々とやってみたけど…内容悪かった」

第2位:柴田弘幸
「気を抜いていた訳ではないけど、気持ちの面で相手の方が上だったのかなぁ。
3回戦は自由な気持ちで打てたけど2,4回戦は攻守の切り替えが上手くできずに終わってしまった」

優勝:西川淳
「初タイトルで嬉しいの一言です!
4回戦で大きなトップを取れてよかったですが、最後の最後まで気を抜く事ができなくて苦しかったです。」

champ22

皆それぞれの打ち筋、スタイルをもっていると思う。
この決勝、西川が間違いなく一番普段通りに打ち切れていたと思う。
プレッシャーの中、普段通り打つことは決して簡単なことではない。
コメントでも何人かが言っていたが、西川の心の強さがこの優勝を掴んだ最大の要因であろう。

西川さんおめでとうございます。

(文中敬称略)

JPML WRCリーグ 決勝観戦記/第22期 決勝観戦記

皆さんこんにちは。
夏も真っ盛り、アップされる頃には涼しくなってきているでしょうか?
いつものように準々決勝で負けて落ち込んでいるところに、瀬戸熊さん(HP担当の代理)に頼まれました。
私内川が、渾身の力で今回の観戦記を書かせていただきます。
最後までお付き合いくだされば幸いです。
8月19日、連盟道場
会場に入り選手たちの顔色をうかがってみると、柴田、西川、羽山は、にこやかにスタッフと談笑中。
今回の決勝メンバーは皆、決勝戦の経験があるためか3者とも緊張などはなさそうである。
その3人とは少し遅れて会場入りしてきたのが福光、その表情は硬い。
明らかに緊張している。
それをみた、紺野審判員が「今日の髪形はいけてねーな」と茶化して声をかける(やさしい人だなー)。
「そうですかー?ばっちりやってきたつもりなのですが」
と、福光が照れながら答えると一気に強張っていた表情が和んだ。
牌確認をし、注意事項等が立会人の瀬戸熊から告げられる。
皆の顔がぐっと引きしまり、会場にも静寂がおとずれる。
開局のサイコロがカラカラと音を立てて、闘いがはじまった。

champ22
左から 西川淳、福光聖雄、羽山真生、柴田弘幸

『1回戦』

起家から、柴田、西川、羽山、福光
東1局、ドラは北で各位の配牌は、
柴田
一万一万二万三万六万二索六索九索二筒三筒九筒南白発
西川
四万五万六索八索二筒四筒九筒九筒東東東北白
羽山
三万三万九万二索四索五索八索八索九索一筒二筒三筒白
福光
二万七万九万三索四索五索二筒三筒南西西発発
西川と福光の手が2シャンテンと早くにまとまりそうだ。
親の柴田は第一打に一万を選んだ。

champ22
柴田弘幸

柴田弘幸
17期生・A1リーグ所属・好きな手役は、一通
第1期 チャンピオンズリーグ3位
第25期鳳凰位決定戦3位
第26期鳳凰位決定戦3位

2008年にA1に昇級し、鳳凰位決定戦にも2度進出したことのある柴田。
チャンピオンズリーグの決勝進出は第1回以来と久しぶり。
実績、格ともに今回の本命であることは間違いない。
不安要素があるとすれば、優勝経験がない事くらいか。
普段は連盟道場などに勤務。メンゼン主軸の場況重視バランス型。
2巡目にドラの北を重ねた西川が、積極的にこの形から3巡目に九筒をポン。
四万五万二筒四筒六筒九筒九筒東東東北北白
その発声に迷いが無くいつも通りに主導権をとりに行くといった感じだ。
開局ということもあり、相手がどのように対応してくるのかも見たかったのだろうか。

champ22
西川淳

西川淳
18期生・B1リーグ所属・好きな手役は、ホンイツ
第18期チャンピオンズリーグ3位
第20期麻雀マスターズ 3位

2011年のマスターズ決勝進出や同年の特別昇級リーグ優勝など近年の活躍がめざましい西川。
チャンピオンズリーグの決勝進出は第18期以来の2回目。
特昇優勝の経験や直前のリーグ戦昇級などまさに乗りにのっていて今大会勢いはナンバー1、本人もその好調さは感じているであろう。
健康マージャン教室を経営、運営する。
データを綿密にとり、全ての対局の結果や対戦者まで記録しているらしい。
仕掛けを多用し、主導権をとりに行く攻撃型。
champ22
この仕掛けを受けての羽山。手拍子で打七筒と行きそうだが、西川の最終手出しが四筒ということでリャンカンからのカン七筒もあると踏んだか。
ここは、丁寧に福光が通した八筒を打った。

champ22
羽山真生

羽山真生
27期生・C1リーグ所属・好きな手役は、ジュンチャンと七対子
第22期王位戦 優勝
第23期王位戦 優勝
第24期王位戦 準優勝
第35期王位戦 準優勝

連盟2年目の新人?であるが、アマ時代から王位戦を連覇するなどその実力は確かなものがある。
近年の王位戦でも決勝進出を果たしており、プロ入り後のタイトルが欲しい所。
普段は大手企業に勤めているが、仕事終わりにプロがゲストでいるお店に足を運んでは、やっつけているとの噂、今決勝の筆者の本命である。
引き出しがたくさんある手役重視守備型。
この羽山のファインプレーで得をしたのが福光(羽山自身含め全員このプレーを知る由も無いが)。
1,300のアガリだが、一番目立っている仕掛けの現物ということでヤミテンを選択。
西川は5,200を潰されがっくりというとこか。
実は、親の柴田もがっくりときていたのでは、ないだろうか。
もう一度先ほどの牌譜を見ていただくと分かるのだが、三万中の打ちだし順で、柴田のテンパイ牌である五筒が食い下げられているのだ。
西川の捨て牌がピンズのホンイツに見えることと、柴田の目から5枚見えの三万六万を先に打つのが普通だと思う、
また、西川が1シャンテンというのも感じとっていたであろう。
しかし、柴田ほどの選手の力からいえば、役牌暗刻のこの西川の牌姿は想定できたはず。
五筒が食い下げられたのは結果論だが(逆に、先に三万を打った事により食い下がって来てリーチに行けるケースもある)、
それらのケースが思考にあり中を先に打っておけば、即リーチに行けたであろうことなのでこの結果は変わっていただろうな、
というのも柴田なら気付いているのではないだろうか。
先ほどの羽山の七筒を止めたのは皆知る由もないが、この三万中の切り順での出来事は柴田には見えているからだ(他の3人は知らない)。
麻雀は必ず選択を迫られるゲームだ。その選択の結果は1,300の横移動であった。
しかし違う未来もあった(もしかしたら、連荘できたかも知れない)。
麻雀で大事なのは、この結果を受けて次局以降をどう戦うかだと僕は思っている。

champ22
福光聖雄

福光聖雄
25期生・C2リーグ所属・好きな手役はトイトイ
第23期新人王

昨年行われた、最強戦プロ予選を勝ちきるなど大舞台での勝負強さは素晴らしいものがある。
東大卒で、普段は大手企業に勤めるも暇をみては筆者をセットに誘ってくるナイスガイ。
瞬間集中力ひらめき攻撃型。
紹介文が適当にみえるのは、前日、ベスト16で引導を渡され、書いていてイライラしてきたのでは決して無い。
相手は格上となるが高い集中力を遺憾なく発揮して、自分の時間が作れれば勝機あり。
東2局、柴田が8巡目に四筒単騎タンヤオ七対子のリーチを打つ。
これ皆さんに是非牌譜データサービスでみられるので見てもらいたいのだが、どのくらいの人がこう打つのであろうか?
牌譜データサービスはこちら
ノーミスでテンパイし即リーチ!しかも、八筒単騎でなくて四筒単騎。
試合後、まず最初に質問したのはこの場面だった。
三筒六筒が4枚見えていた事、六筒が2枚打たれているのに八筒が1枚も見えていないから、
固められているのでは?と思って四筒単騎にしたよ、と答えてくれた。
実際、固められていた訳では無かったが、上メンツで八筒が2枚使われていて四筒は山に2枚残っていた。
champ22
よく見ている。
リーチは早い段階で掛けて相手の対応を見たかったという事を教えてくれた。
チャンピンズリーグ決勝は5回戦の短期戦だ。
相手のweekpointを一早く探し出し、どんな攻撃が利くか見極めているのだ。
相手はリーチに弱いのか?仕掛けに弱いのか?ブラフは利くのか?相手は序盤、後半どちらに強いのか?etc…
さて、結果は福光がここから五万を引きいれ123の三色5,200を西川から打ちとる。
またしても柴田はがっくり、十分なサンプルも取れず、手を相手に見せる事もできなかった。
西川もまた、真っ直ぐ作っての放銃、2連続の打ちこみに危機感を覚えたのではないか。
東3局、その西川にドラ2枚の好手が入る。
一索一索六索二筒二筒三筒四筒五筒九筒九筒九筒南南 ツモ六索 ドラ二筒
西川はここから打五筒とし、数巡後六索をポン、南を引きいれすぐに一索でロン。
トイトイドラ2で親の羽山から8,000を打ちとった。
東4局、羽山から西川にピンフの1,000点。
南1局、ここまで順調であった福光に暗雲が立ち込める。
柴田の親リーチに手詰まりオリ打ち、2,400を献上する。
柴田の第一打が利いており止むなしかと思ったが、1枚六索より安全な牌があっただけに残念だ。
牌譜再生
同1本場、柴田のアンテナ精度の高さ、相手との距離感が見てとれる局だと思う。
ここまで手らしい手がなかった羽山が、序盤に自風を仕掛けてホンイツへ、これが良く手が伸びた。
打ちこんだ羽山もこれは仕方なしか、柴田の素晴らしい選択を褒めるべきだろう。
同2本場、前々局揺らいだ福光が再びエラー。
西川のリーチに、場に1枚切れの南をトイツ落しでの打ちこみ。リーチ七対子3,200の2本場。
これは、試合後本人が一番悔んだ一打になったと漏らしていた。
南2局、親の西川と点数の無い羽山がぶつかり、結果、羽山から西川への5,800の2連続放銃。
同2本場も羽山は柴田への打ちこみとなり箱を割る、明らかにフラフラになっているのが見て取れた。
勝負手がアガれず、我武者羅に突っ込むその姿は、僕の知っている羽山ではなかった。
このあと、柴田が南3局で満貫をツモりトップ目に。
オーラスは福光が意地で浮きを確保して3人浮きで1回戦を終えた。
1回戦結果
柴田+26.9P 西川+15.4P 福光+5.4P 羽山▲47.4P

『2回戦』

1回戦、苦しい立ち上がりの柴田、西川がうまく立ち回り、福光は東場の好調を生かせず、浮きは確保したもののやや不安定な形に終わってしまった。
羽山は前のめりになりすぎたか、全14局の内6局も打ちこみがあり、勝負に行っての放銃とはいえ明らかに普段とはかけ離れた麻雀であった。
しかし、そこは経験豊富な羽山の事、巻き返しが有ることを期待したい。
起家から羽山、柴田、福光、西川
東場は全7局あったが、流局が4回と乱打戦の1回戦から一転して皆が慎重になった。
並びは、東4局に福光が柴田にリーチ三色5,200を打ちこみ、西川、羽山、柴田、福光といった形で南入した。
南1局、親の羽山の1人テンパイで連荘した1本場、柴田からドラ3のリーチが入る。
一万一万二万二万五万五万五万九万九万九万三筒四筒五筒 リーチ ドラ五万
ここは勝負どころだと一歩も引かない羽山、ソーズのホンイツでこれを制す。
一索一索二索三索三索中中 ポン七索 左向き七索 上向き七索 上向き ポン八索 上向き八索 左向き八索 上向き ロン二索
2本場も6巡目に先制リーチ。
一万二万三万三万四万五万五索六索六索七索七索南南 リーチ ドラ九索
これは実らず流局となるが、ノーテン罰符と先のアガリで4万点を超えトップ目に立つ。
この親、どこまで続くかと見ていると同3本場、あっさり柴田がこのアガリ。
champ22
タンピン三色ドラ1と綺麗な満貫。
僅か5巡目の仕上がりで、飛び込んだのは七対子1シャンテンの福光。
全体の捨て牌をみると、誰もが打つ八万で有りそうなのでこれは不運。
ただ、七対子だけに手の内に八万が残れば違う結果があったかも、まぁ冷静にヤミテンに構えた柴田の選択が勝っていたのだろう。
この後、羽山のダブルリーチに福光が飛び込み羽山トップ、福光はこの回大きく沈んだ。
二索三索四索四索五索六索二筒三筒四筒東東中中 ダブルリーチ ロン中 ドラ九筒
2回戦結果
羽山+20.4P 西川+13.9P 柴田+7.4P 福光▲41.7P
2回戦終了時
柴田+34.3P 西川+29.3P 羽山▲27.3P 福光▲36.3P

『3回戦』

やはり羽山が巻き返してきた。
1回戦とは落ち着きが全く違っていて、リーチに仕掛けに危なげない所はなくやっと試合に入り込めた感じだ。
起家から福光、柴田、西川、羽山
東1局、親は福光、タンピン形の手が入るもあっさり柴田に300・500で流されてしまう。
東2局、丁寧な手順で進めた羽山が先制リーチを打つ、4巡後、ドラ2の西川も追いかけリーチ!
羽山
五万五万五万七万七万三索四索五索八索八索八索二筒二筒 リーチ ドラ一筒
西川
一万二万二万三万三万五索五索五索一筒一筒五筒五筒五筒 リーチ
両者ツモに力が入る。
羽山が二筒を引き当て、リーチツモタンヤオ三暗刻の2,000・4,000のアガリとなった。
東3局、親の西川に大物手が入る。
八万九万七索八索九索一筒二筒三筒九筒九筒北北北 ドラ北
これが僅かに3巡目の仕上がりである。
しかし、アガリ牌の七万が既に1枚しか山におらず、このままではアガリは難しいだろうなと思って観ていた7巡目、ツモ北
これを迷わず暗カン!親のドラの暗カンに場に戦慄が走る。出アガリでも18,000、西川はヤミテンを続行。
これに反応したのが、ここまで好調の羽山。
champ22
自分が好調であると思っている時は、自然の手順で打てば(あるいは手なりで打てば)アガリが付いてくるし、
その調子を落とす事は無いと僕は思っている。
この羽山のプレーは、自分自身にとって一番最悪の結果を招いたと思う。
自然に打っていけば出て行かない牌での打ちこみ。
西川のドラ暗カンが無ければ絶対にチーはしないだろうし、前局、西川とのリーチ合戦に勝利しているのだから、
シャンテン数の変わらない動きをいれてのさばきはいらなかったのではないだろうか。
我慢していれば、タンヤオ1シャンテンの福光がアガったかもしれないし、羽山の次のツモが六万だったかもしれない。
同1本場、大きなアドバンテージを得た西川。
今回もややラフに打たれたダブ東のポンテンをとって2,900は3,200と加点していく。
点数を持てば主導権を取りにいくタイプの西川の強い時間が来る。
それをさせまいと、同2本場は羽山と福光が手を作る。
羽山
一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒中 暗カン牌の背西西牌の背 ツモ中 ドラ九筒
福光
三索四索五索六索七索八索八索八索中中 暗カン牌の背北北牌の背
勝ったのは羽山。
次局は福光が1,300・2,600のツモアガリ
五万五万五万二索三索四索五索六索七索七索白白白 リーチ ツモ四索 ドラ北
流局を挟んで南2局にも、
七万九万一索一索三筒三筒四筒四筒五筒五筒七筒八筒九筒 リーチ ツモ八万 ドラ九万
この2,000・4,000で西川に食らいつく。
オーラス、
champ22
羽山がこの7,700を福光からアガリ、次局も役牌ドラ3の4,100オール引き上げトップに立ちこの半荘を終える。
道中、18,000を打った所からの南場での修正力はさすがの一言。
しかし、あれがなければこの半荘6万点、7万点のトップがとれたのではないかと思ってしまうのは筆者の欲であろうか。
福光はオーラスに落車してプラスに転じられず、柴田は放銃は無いのだがツモアガリに削られ痛いラスとなってしまった。
3回戦結果
羽山+20.2P 西川+8.7P 福光▲4.8P 柴田▲24.1P
3回戦終了時
西川+38.0P 柴田+10.2P 羽山▲7.1P 福光▲41.1P

『4回戦』

さあ、後半戦。福光は西川を沈めての2連勝と条件ができてしまった。
柴田、羽山にとっても4回戦の結果で最終戦に届くポイントにとどめたいところであろう。
起家から柴田、羽山、西川、福光
東1局、親の柴田の配牌が1シャンテンと良い。
二万三万四万五万六万七万二索三索四索一筒七筒八筒南西 ドラ東
これが10巡目まで時間がかかって即リーチ。
二万三万四万五万六万七万三索三索四索五索六索七筒八筒 リーチ
このリーチを受けてドラを重ねた羽山が追いかける。
四万五万六万七索七索七索二筒三筒三筒四筒五筒東東 リーチ
残りツモ1回のところで羽山が柴田から一筒を打ちとり5,200。
東2局、親の羽山が前局の勢いそのままに、
二万三万四万三索四索五索一筒二筒三筒六筒六筒東東 ドラ二万
これをテンパイするも流局。
同1本場も先制リーチ!
champ22
これを捌いたのが西川。
試合後に羽山はこのリーチをかわされたのは、一番がっくり来たと言っていた。
それだけこのリーチにたどり着く道中に手ごたえがあったのであろう。
打点は安いが、この後に続く展開に期待するものは大きかったに違いない。
それだけに、この西川の四筒ツモは効いた。
親のリーチの現物待ちとはいえ、ペン四筒でアガリに賭けるのは勇気がいる。
西川にもこの局の事を聞いたら、羽山が噴きそうであったので勝負に行ったと教えてくれた。
「相手の勝負所を楽にやらせたくなかった」と勝ちに対する執念みたいなものを感じた。
東3局、そして西川のその執念がこの親番で昇華する。
三万四万三索四索五索五索六索七索九索九索 暗カン牌の背六万六万牌の背 リーチ ツモ二万 ドラ三筒
1本場
二万三万四万四万六万五索五索六筒七筒八筒 ポン五筒 左向き五筒 上向き五筒 上向き ドラ東
2本場
一万二万三万二索三索四索六索六索六索一筒三筒西西 リーチ ツモ二筒 ドラ西
3本場
二万三万四万五万五万三索三索三索東東 暗カン牌の背七筒七筒牌の背 ドラ四万
4本場
二索三索四索五索五索二筒二筒二筒三筒三筒 ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 左向き ツモ三筒 ドラ七索
5本場
五万五万一索二索三索三筒四筒五筒六筒七筒 ポン東東東 ロン八筒 ドラ五万
圧巻、あっという間に7万点!
6本場で親は落ちるも、東4局に5,200をアガリ南3局親番に、
五索五索六索六索六索三筒三筒三筒六筒七筒 チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き ツモ五筒 ドラ三筒
ダメ押しの3,900オール!
持ち点は8万点を超え最終戦を待たずして優勝を決めた。
4回戦結果
柴田▲19.8P 羽山▲10.5P 西川+64.9P 福光▲34.6P
4回戦終了時
西川+102.9P 柴田▲9.6P 羽山▲17.6P 福光▲75.7P

最終戦を戦っている4人を眺めながら、西川の大爆発の事について考えていた。
東2局までは羽山が明らかに良かった。
やはり、先の羽山のリーチをかわせたのが1つの要因であろう。

更にもう1つ、観ていて気になっていた局があった。
champ22
普段、この状況ならば柴田はポンテンをとりそうな筆者のイメージがあったので、この局を探してみたのだ。
最終戦は何事も無く、西川の優勝が決まった!

champ22
左から 越野智紀、羽山真生、柴田弘幸、松岡千晶

最終トータル
西川+79.3P  柴田+14.1P  羽山▲6.2P  福光▲87.2P
第4位:福光聖雄
「接戦にならず、4回戦途中から離されてしまったので辛かった。最後まで戦いたかった。
優勝したいという気持ちの差がでてしまったと思います」
第3位:羽山真生
「初戦の入りが良くなかったので、すごくラフになってしまってダメだったかなぁ
色々とやってみたけど…内容悪かった」
第2位:柴田弘幸
「気を抜いていた訳ではないけど、気持ちの面で相手の方が上だったのかなぁ。
3回戦は自由な気持ちで打てたけど2,4回戦は攻守の切り替えが上手くできずに終わってしまった」
優勝:西川淳
「初タイトルで嬉しいの一言です!
4回戦で大きなトップを取れてよかったですが、最後の最後まで気を抜く事ができなくて苦しかったです。」
champ22
皆それぞれの打ち筋、スタイルをもっていると思う。
この決勝、西川が間違いなく一番普段通りに打ち切れていたと思う。
プレッシャーの中、普段通り打つことは決して簡単なことではない。
コメントでも何人かが言っていたが、西川の心の強さがこの優勝を掴んだ最大の要因であろう。
西川さんおめでとうございます。
(文中敬称略)

第68回:西川 淳

はじめまして。18期生の西川 淳と申します。
今回、第22期チャンピオンズリーグを優勝することができました。
その時、対戦した福光 聖雄プロよりバトンをいただきました。
どうぞよろしくお願いします。

私は2002年の4月にプロ連盟に入ったので10年が過ぎたことになります。
デビュー年の4月1日付の私個人のホームページのコラムに私はこう記していました。

—前略—

(以前の麻雀は)時間的、空間的制約が多いゲームの性質上、
対戦相手、対戦数は限られ、人が一生の間に伸ばせる資質の幅は限られていた。
多くの人が、井の中の蛙であり、井戸からでることがなく
井戸のなかで培った自分の財産を分け合うことがなかった。

でもこれからは違う。
インターネットの出現により、上記のようなボトルネックは打破できる可能性がある。
そのことにひらめいたから、私はプロになろうとおもったのだ。

インターネットは、膨大な数の対戦、牌譜の処理、データの検索、戦術の共有を容易にする。
公開された対局、よりインタラクティブな対話を可能にする。
そして、そのことは一般ユーザーの急速なレベル向上をも促し、
それは再び循環して、プロの淘汰、質の向上に貢献するだろう。

—後略—

まだ黎明期であった、とあるインターネット麻雀を体験して面白さにどっぷりはまりました。
そこで知り合ったひとたちを全国から集める麻雀大会を企画。
参加者100人を超える規模、名前も住所も知らない人が相手です。

現在でこそ同様の企画はあたりまえのように行われますが、当時は前例もなく、アシストしてくれるインフラもなく、
誰もが口を揃えて「そんなの無理だ」と言いました。

しかし紆余曲折はありましたが2000年に東京にて実現。
そこで出会った数多くの人々との、いまでも続く笑顔の交流が、私の麻雀観を支える原点となっています。

「麻雀は人と人とをつなぐ最高のツールだ」
「インターネットは、麻雀のありかたを変える」

この出来事により、そうインスピレーションを得た私は会社員をやめ、
翌年から麻雀教室の講師や、健康マージャンの運営で生計をたてることを目指してきました。

2008年には、麻雀教室が主目的のカルチャーセンターを千葉にオープン。
毎日、麻雀と接しています。

教室に来られる方は主に年配の方ですが、実に様々。
全くゼロから麻雀を覚える方。昔、会社員時代にならした方。いずれも楽しそうに牌と戯れます。

会場は会話と明るい笑顔で溢れています。いつも同じ時間にきて、同じ時間に帰る。
お弁当持参でランチも仲間と一緒に卓を囲む。車いすで来るかたもいる。台風でもみんな来てくれる。
毎週、往復4時間かけて何年間も通ってくれる人もいる。

「やっぱり麻雀は実際に会ってするのが楽しい」
「やっぱり麻雀は世に誇れる健全で素晴らしいゲームだ」

こんな思いを揺らぎ無いものにしてくれたのは、このような多くの方たちとの日々であることは間違ありません。
そして膨らむ気持ちは、やはり1つの願いにつながります。

「もっと多くのひとに麻雀を楽しんでほしい」

はじめてマージャンに接する人が対象の教室。全ての人が緊張や不安で「私にもできるかしら?」と表情が固くなります。
そんな中、初めて自力でアガった瞬間、電灯が点くかのようにぱっと明るくなる顔の変化は、
何回立ち会っても、心が温まる、麻雀の素晴らしさを実感する瞬間です。

そしてそれは、ポーカーフェースを気取る上級者でもさほど差はないと考えます。
長くやっていると忘れがちですが、アガる瞬間が麻雀最大の楽しみであり、続けていく原動力なのでしょう。
そう、麻雀はアガるから楽しい。

ところが、こんなに素晴らしいゲームなのにも関わらず、初心者に限らず、麻雀を途中でやめていくひとたちもいます。
幾度もあったそういう機会の度に、講師である己の非力を嘆きながら、理由を探ります。
そうすると、多くの場合、打牌批判やアガリ批判が原因であることがわかったのです。

「そんな牌を普通打つか?」
「そんなんでリーチしてどうするの?」
「そのアガリでは着順変わらないじゃない?」

このような言動を受けて、少なくない人々が、自分の打牌に制約を設け、アガリかたに制約を設け、そしてアガリの楽しみを失っていきます。
ほとんどの批判は、理に適っています。しかし、残念なことに全ての人がそれを直ちに理解できるわけではありません。
何より、多くのケースでは、発言者が思うようにいかない腹いせに言っているに過ぎないのです。

そして、結果は言われた人が心を閉ざすことになります。
心を閉ざすと、ひとつひとつの打牌に対して相手の視線、評価が気になりだします。
消極的になり、無難なものを選択するようになり、自由な表現ができなくなります。

教室で、とある初心者のひとが、四暗刻のテンパイからオリようとしていました。
理由を聞いてみると、
「だってこわいんです」

…何が?
そんな麻雀が楽しいわけがありません。

こういった経験を経るごとに、多くの人にマージャンを好きになってもらいたい人間として、

「アガリに対して楽しみながら積極性をもつこと」
「フリコミをおそれないこと」
「可能性を信じること」

などを伝えることにいつしか力を注ぐようになっていました。
そしてどんな選択も、アガリも大いに認め、絶対に批判などをしないようにと心に決めるようになっていったのです。

長年私は、このような教室等での普及活動に重きを置いてきました。
麻雀を楽しむ人を増やすことを最重要視してきました。
だから麻雀で勝つことよりも、大事にしていることを実行できる基盤づくりを優先して、時間や労力の配分を行っていたのです。

そんな私にも、競技においてチャンスがやって来ました。
18期チャンピオンズリーグの決勝戦に残ったのです。が、結果は惨敗。
そこでとても悔しい思いをしました。
このとき、「なんとかしてまた決勝に残り、そして勝ちたい」という思いがふつふつと沸き起こってきました。
なんだかんだいっても勝ちたいんですね。

時間的制約が多かった私にとって、インターネット麻雀はベストのトレーニングの場でした。
ロン2で打つ回数を大幅に増やすと同時に、プロやレーティング上位者の打ち方や考え方を勉強しました。
そんな中、とあることに気が付いたのです。

「わたしのアガリ率って極端に低い!?」

当時の私のアガリ率はだいたい23%弱でした。
「アガリの楽しみを伝えたい!」と取り組んでいたつもりの張本人がこれでは…とショックを受けたものです。

「もっとアガろう!」

スタイルの差こそあれ、トップレベルの方はやはりアガリ率が高いものです。
彼らと自分との違いを研究し、いくつかの仮説に基づく打ち方の変更を実験してみることにしました。
そして目標をアガリ率25%以上に設定したのです。

結果はすぐに出ました。飛躍的にアガリ率はアップし目標値を軽く達成。
それにともなって、平均順位やレーティングも急上昇し、2年ほど経った現在でも維持できています。

以来、プロリーグ戦連続昇級の成績をはじめとして、マスターズの決勝に残ったり、特昇リーグで優勝したりなど、
リアルな場での麻雀も格段に成績が安定するようになりました。

今春ロン2で行われた「第1回インターネット麻雀選手権」のプロ選抜選考期間に、平均順位が1.97(100半荘)という数値も残せて自信にもなりました。
私がたてた仮説に基づく打ち方の変更は、

1)1シャンテンからテンパイへのフーロを意識的に多用する。
2)先行リーチを積極的に用い躊躇しない。
3)こだわりやカッコつけた打牌を控え、実効的なアガリ取りを目指す。

という至極単純なものでした。
でも、芽がでるきっかけとは、意外とこういう単純なことにあるのかもしれません。
ロン2のデータがそのヒントをくれたのです。

そして、以前の私を知っている方からみると一目瞭然な打ち筋の変化があったはずです。

今回のチャンピオンズリーグ決勝では、自由な発想による様々なアガリの形態。
勇気をもってアガリに向かい、あきらめないこと。放銃を恐れず先手を打つこと。
など、普段教室で伝えたいと考えていることを、少しは実践できたと考えています。

もちろんこれがベストだと思っているわけではありません。
ツキで勝てた部分も大きいでしょうし、ミスも多々ありました。
上位リーグで通用するかどうかはわかりませんし、今後も成長していかないといけないでしょう。
何1つ満足しているわけではなくて、それに何といってもやはり私にとって大事なのは普及活動です。

ただ、ひとつ明らかな事として、インターネットは、わたしに2つの大きなプレゼントをくれました。
麻雀に関わって生活していくきっかけ。
そして、麻雀の技術を向上させ、楽しみの幅を広げてくれる場所。

2011年からは麻雀映像の配信も多くみられるようになり、インターネットがもたらす恩恵により、
麻雀はますますエキサイティングなものになっていくとおもいます。
そうすれば、さらに多くの麻雀ファンが増え、自ずと麻雀の可能性は広がっていくでしょう。
そんな時代を、私はみなさんと一緒に楽しみたいと願っています。

だから最後に私のお願いです。

いっぱいアガろう!
そして批判はやめよう!

相手を認め、麻雀の楽しみを共有して謳歌しよう!
そうしてくれるあなたが上手な人であればあるほど、麻雀の輪は広がっていきます。
とりあえずロン2のプロフィール成績で、私がアガリ率25%を切っていたら、
「西川はあせっているぞ?」と、ほくそ笑んでくださいね。

長文を最後まで読んでくれてありがとうございました。

では次回のバトンは、9月から日本プロ麻雀連盟のプロとしてデビューを飾った、
手塚紗掬プロ、よろしくお願いします!

リレーエッセィ/第68回:西川 淳

はじめまして。18期生の西川 淳と申します。
今回、第22期チャンピオンズリーグを優勝することができました。
その時、対戦した福光 聖雄プロよりバトンをいただきました。
どうぞよろしくお願いします。
私は2002年の4月にプロ連盟に入ったので10年が過ぎたことになります。
デビュー年の4月1日付の私個人のホームページのコラムに私はこう記していました。
—前略—
(以前の麻雀は)時間的、空間的制約が多いゲームの性質上、
対戦相手、対戦数は限られ、人が一生の間に伸ばせる資質の幅は限られていた。
多くの人が、井の中の蛙であり、井戸からでることがなく
井戸のなかで培った自分の財産を分け合うことがなかった。
でもこれからは違う。
インターネットの出現により、上記のようなボトルネックは打破できる可能性がある。
そのことにひらめいたから、私はプロになろうとおもったのだ。
インターネットは、膨大な数の対戦、牌譜の処理、データの検索、戦術の共有を容易にする。
公開された対局、よりインタラクティブな対話を可能にする。
そして、そのことは一般ユーザーの急速なレベル向上をも促し、
それは再び循環して、プロの淘汰、質の向上に貢献するだろう。
—後略—
まだ黎明期であった、とあるインターネット麻雀を体験して面白さにどっぷりはまりました。
そこで知り合ったひとたちを全国から集める麻雀大会を企画。
参加者100人を超える規模、名前も住所も知らない人が相手です。
現在でこそ同様の企画はあたりまえのように行われますが、当時は前例もなく、アシストしてくれるインフラもなく、
誰もが口を揃えて「そんなの無理だ」と言いました。
しかし紆余曲折はありましたが2000年に東京にて実現。
そこで出会った数多くの人々との、いまでも続く笑顔の交流が、私の麻雀観を支える原点となっています。
「麻雀は人と人とをつなぐ最高のツールだ」
「インターネットは、麻雀のありかたを変える」
この出来事により、そうインスピレーションを得た私は会社員をやめ、
翌年から麻雀教室の講師や、健康マージャンの運営で生計をたてることを目指してきました。
2008年には、麻雀教室が主目的のカルチャーセンターを千葉にオープン。
毎日、麻雀と接しています。
教室に来られる方は主に年配の方ですが、実に様々。
全くゼロから麻雀を覚える方。昔、会社員時代にならした方。いずれも楽しそうに牌と戯れます。
会場は会話と明るい笑顔で溢れています。いつも同じ時間にきて、同じ時間に帰る。
お弁当持参でランチも仲間と一緒に卓を囲む。車いすで来るかたもいる。台風でもみんな来てくれる。
毎週、往復4時間かけて何年間も通ってくれる人もいる。
「やっぱり麻雀は実際に会ってするのが楽しい」
「やっぱり麻雀は世に誇れる健全で素晴らしいゲームだ」
こんな思いを揺らぎ無いものにしてくれたのは、このような多くの方たちとの日々であることは間違ありません。
そして膨らむ気持ちは、やはり1つの願いにつながります。
「もっと多くのひとに麻雀を楽しんでほしい」
はじめてマージャンに接する人が対象の教室。全ての人が緊張や不安で「私にもできるかしら?」と表情が固くなります。
そんな中、初めて自力でアガった瞬間、電灯が点くかのようにぱっと明るくなる顔の変化は、
何回立ち会っても、心が温まる、麻雀の素晴らしさを実感する瞬間です。
そしてそれは、ポーカーフェースを気取る上級者でもさほど差はないと考えます。
長くやっていると忘れがちですが、アガる瞬間が麻雀最大の楽しみであり、続けていく原動力なのでしょう。
そう、麻雀はアガるから楽しい。
ところが、こんなに素晴らしいゲームなのにも関わらず、初心者に限らず、麻雀を途中でやめていくひとたちもいます。
幾度もあったそういう機会の度に、講師である己の非力を嘆きながら、理由を探ります。
そうすると、多くの場合、打牌批判やアガリ批判が原因であることがわかったのです。
「そんな牌を普通打つか?」
「そんなんでリーチしてどうするの?」
「そのアガリでは着順変わらないじゃない?」
このような言動を受けて、少なくない人々が、自分の打牌に制約を設け、アガリかたに制約を設け、そしてアガリの楽しみを失っていきます。
ほとんどの批判は、理に適っています。しかし、残念なことに全ての人がそれを直ちに理解できるわけではありません。
何より、多くのケースでは、発言者が思うようにいかない腹いせに言っているに過ぎないのです。
そして、結果は言われた人が心を閉ざすことになります。
心を閉ざすと、ひとつひとつの打牌に対して相手の視線、評価が気になりだします。
消極的になり、無難なものを選択するようになり、自由な表現ができなくなります。
教室で、とある初心者のひとが、四暗刻のテンパイからオリようとしていました。
理由を聞いてみると、
「だってこわいんです」
…何が?
そんな麻雀が楽しいわけがありません。
こういった経験を経るごとに、多くの人にマージャンを好きになってもらいたい人間として、
「アガリに対して楽しみながら積極性をもつこと」
「フリコミをおそれないこと」
「可能性を信じること」
などを伝えることにいつしか力を注ぐようになっていました。
そしてどんな選択も、アガリも大いに認め、絶対に批判などをしないようにと心に決めるようになっていったのです。
長年私は、このような教室等での普及活動に重きを置いてきました。
麻雀を楽しむ人を増やすことを最重要視してきました。
だから麻雀で勝つことよりも、大事にしていることを実行できる基盤づくりを優先して、時間や労力の配分を行っていたのです。
そんな私にも、競技においてチャンスがやって来ました。
18期チャンピオンズリーグの決勝戦に残ったのです。が、結果は惨敗。
そこでとても悔しい思いをしました。
このとき、「なんとかしてまた決勝に残り、そして勝ちたい」という思いがふつふつと沸き起こってきました。
なんだかんだいっても勝ちたいんですね。
時間的制約が多かった私にとって、インターネット麻雀はベストのトレーニングの場でした。
ロン2で打つ回数を大幅に増やすと同時に、プロやレーティング上位者の打ち方や考え方を勉強しました。
そんな中、とあることに気が付いたのです。
「わたしのアガリ率って極端に低い!?」
当時の私のアガリ率はだいたい23%弱でした。
「アガリの楽しみを伝えたい!」と取り組んでいたつもりの張本人がこれでは…とショックを受けたものです。
「もっとアガろう!」
スタイルの差こそあれ、トップレベルの方はやはりアガリ率が高いものです。
彼らと自分との違いを研究し、いくつかの仮説に基づく打ち方の変更を実験してみることにしました。
そして目標をアガリ率25%以上に設定したのです。
結果はすぐに出ました。飛躍的にアガリ率はアップし目標値を軽く達成。
それにともなって、平均順位やレーティングも急上昇し、2年ほど経った現在でも維持できています。
以来、プロリーグ戦連続昇級の成績をはじめとして、マスターズの決勝に残ったり、特昇リーグで優勝したりなど、
リアルな場での麻雀も格段に成績が安定するようになりました。
今春ロン2で行われた「第1回インターネット麻雀選手権」のプロ選抜選考期間に、平均順位が1.97(100半荘)という数値も残せて自信にもなりました。
私がたてた仮説に基づく打ち方の変更は、
1)1シャンテンからテンパイへのフーロを意識的に多用する。
2)先行リーチを積極的に用い躊躇しない。
3)こだわりやカッコつけた打牌を控え、実効的なアガリ取りを目指す。
という至極単純なものでした。
でも、芽がでるきっかけとは、意外とこういう単純なことにあるのかもしれません。
ロン2のデータがそのヒントをくれたのです。
そして、以前の私を知っている方からみると一目瞭然な打ち筋の変化があったはずです。
今回のチャンピオンズリーグ決勝では、自由な発想による様々なアガリの形態。
勇気をもってアガリに向かい、あきらめないこと。放銃を恐れず先手を打つこと。
など、普段教室で伝えたいと考えていることを、少しは実践できたと考えています。
もちろんこれがベストだと思っているわけではありません。
ツキで勝てた部分も大きいでしょうし、ミスも多々ありました。
上位リーグで通用するかどうかはわかりませんし、今後も成長していかないといけないでしょう。
何1つ満足しているわけではなくて、それに何といってもやはり私にとって大事なのは普及活動です。
ただ、ひとつ明らかな事として、インターネットは、わたしに2つの大きなプレゼントをくれました。
麻雀に関わって生活していくきっかけ。
そして、麻雀の技術を向上させ、楽しみの幅を広げてくれる場所。
2011年からは麻雀映像の配信も多くみられるようになり、インターネットがもたらす恩恵により、
麻雀はますますエキサイティングなものになっていくとおもいます。
そうすれば、さらに多くの麻雀ファンが増え、自ずと麻雀の可能性は広がっていくでしょう。
そんな時代を、私はみなさんと一緒に楽しみたいと願っています。
だから最後に私のお願いです。
いっぱいアガろう!
そして批判はやめよう!
相手を認め、麻雀の楽しみを共有して謳歌しよう!
そうしてくれるあなたが上手な人であればあるほど、麻雀の輪は広がっていきます。
とりあえずロン2のプロフィール成績で、私がアガリ率25%を切っていたら、
「西川はあせっているぞ?」と、ほくそ笑んでくださいね。
長文を最後まで読んでくれてありがとうございました。
では次回のバトンは、9月から日本プロ麻雀連盟のプロとしてデビューを飾った、
手塚紗掬プロ、よろしくお願いします!